「うーん、お金が心許ない」
「お金は大切でやんすからね」
実家からの仕送りだけだとどうしてもお金が足りないことが発覚した。
友達と遊んだり、食費や野球道具にお金が吸い取られたのが原因だ。
「アルバイトしないとなぁ……何か中学生でも働けるアルバイト無いかな」
「調理サークルとかがやっている学生のお店に参加するのはどうでやんすか? 新しく従業員の募集をしていたでやんすよ? パワプロ君の料理の腕前なら大丈夫でやんす!」
「どこどこ?」
「お料理研究会の超一家という中華料理を中心とした所が出店を計画しているらしいでやんすよ。上手く行けば初期メンバーに入れるかもしれないでやんす」
「ちょっと応募してくるね!」
「即決でやんす!」
「おお! 応募してくれるネ!」
お料理研究会に行くと超鈴音という中国人? で同じく中学1年生の女の子が超一家の発起人らしい。
「いやぁなかなか集まってくれなかったんダヨ! 男手は1人でも欲しかったネ! ……早速だけどこのレシピを見て炒飯をどれぐらいできるか確かめさせてもらうネ」
「腕試しってことですか……やってやりますよ」
調理道具は貸してくれるらしいが、基本中華包丁や中華鍋など中華の調理器具で統一されている。
レシピを確認し、下ごしらえとして長ネギ、チャーシュー、鶏油を取った残りカスを細かく切っていく。
次に鶏油を鉄鍋に馴染ませ、水を少量入れて卵を3つ、入れる。
固まる前にご飯を入れて鉄のお玉(お玉杓子)で卵とご飯を混ぜていく。
そして切った具材を投入し、パラパラになるまで火を入れてお玉で掬って皿に盛り付ける。
「へいおまち」
上手くできたと思うが果たして……
「手際も良いし、即戦力ネ! うちで出す料理は基本炒飯、餃子、肉饅ネ。この3つをレシピ通り作れたら戦力ネ! 料理研究会の部費はイベントの時に荒稼ぎするのが基本故に麻帆良祭でどれだけ売れるかにかかっているネ! できれば準備期間の1週間含めて3日程入ってくれたらこれぐらい出せると思うヨ」
提示されたのは6万円。
1日2万円計算になり、中学生のバイトとしては破格だ。
是非やらせてくださいと頼み、契約を結んだ。
「一応超包子(超一家の店の名前)メンバーだけど超の友達の古菲と博士、四葉ネ、あとは大学生と高校生が幾人かいるくらいネ」
まだ料理研究会でも出来立てのサークルらしくそこまで人数はいなかったが、超は大学生顔負けの頭脳を持っているらしく既に路面電車を改造して食堂車を作ってしまい、料理研究会でも一目置かれた存在らしい。
「パワプロは野球部の活動もあると思うから週に1回打ち合わせと料理の研鑽しに来てくれると嬉しいアルネ」
「改めてよろしくお願いします超さん!」
「超で良いアルヨ!」
【超鈴音と連絡先を交換した
超包子及びお料理研究会に参加した】
【イベント 小テスト】
「この前やった小テストを返却するぞお前ら」
テストが返却されるとクラスの学力みたいなのがわかってくる。
僕は外部入学だったこともありしっかり勉強をしてきたため成績は上位だった。
頑張れば成績優秀者として食券が貰えるかもしれない位置にいる。
矢部君は普通よりのやや優秀って感じかな?
「パワプロ君凄いでやんすね! 全教科8割以上できているでやんす!」
「矢部も70点前後は取れているじゃないか。これなら中間テストは大丈夫そうだね」
「パワプロ君ちょっと良いかな」
話しかけてきたのは学級委員の南條で運動神経は良いのだがまだどこの部活に所属するか決めかねていた。
「南條どうしたの?」
「いや、中間テストに向けて皆で勉強会を開かないか? うちのクラスは突出して頭の良い奴は居ないが平均的に高いから中間テストのクラス賞を狙えるかもしれないって思ってな」
イベント毎に学年で3位までにはクラス賞として食券が贈られるため、南條はそれを狙ってみないかと提案してきた。
クラスのメンバーの殆ども参加を表明しているらしいので、僕と矢部君も参加することにした。
「ありがとう助かるよ!」
「なぁ南條、野球には興味ないか?」
「野球かい?」
「お前の運動神経の良さなら2年でもレギュラー取れると思うんだよな。外部の大会で入賞できれば結構な額の食券が贈られるし、僕らのチームは男女入り混じっているから彼女も作れるかもしれないぞ」
「うーん、一度見学には参加してみるよ。パワプロ君は皆にも声をかけているのかい?」
「有望そうなのには声をかけてるな。やるからには勝ちたいからな」
「レギュラーの座を奪い合うとかは考えないのかい?」
「野球ってポジションが幾つもあるし、ピッチャーなら複数人勝つためには必要になってくるからとにかく人数が必要なんだよ。レギュラーよりも上手い奴を集めたほうが練習の効率も上がるからな」
「ふーん、面白い考えだね。とりあえず体験からにするよ」
「サンキューな」
【南條と連絡できるようになった】
【イベント 散歩部3人との料理教室】
「美味しい!」
「パワプロは本当に料理が上手かったでござるな」
「まぁ簡単な料理ばかりだけどね」
「私パワプロ君の恋人に立候補しようかな!」
「お、お姉ちゃん!」
「なに史伽もパワプロの事を狙ってるの?」
「うぅ……」
「風香食事目当てなだけだろ」
「ありゃバレた! あはは!」
俺が今日作ったのは豚汁と肉じゃがだ。
どちらの料理も料理の基礎を覚えるには良い料理であり、豚汁は豚肉の代わりに芋にすれば芋煮になるし、具材や出汁を調整すれば味噌汁にもなる。
肉じゃがができればカレーやシチューとかも同じ具材でできるので皮むきや切り方を覚えればあとはルーを市販されているパッケージの分量で入れれば良い。
ご飯の炊き方は米を洗って分量分の水を入れて炊飯器に入れてボタンを押せば良いので簡単だ。
「パワプロ君的に難しい料理って何があるの?」
「うーん、今は大丈夫だけどコロッケは多く失敗したな」
「コロッケ?」
「うん、揚げる温度を間違えると生焼けだったり焦げちゃったり、中にクリームシチューを入れたクリームコロッケとかだと失敗すると爆発するから酷い目にあったよ」
「へぇ……コロッケって難しいんだね」
「温度と下準備を怠らなければだいたいの料理は失敗しないよ。僕的にはお菓子とかの方が難しいと思うんだよね」
「なるほどでござる」
料理を終えて食器を洗い、そこから女子寮の近くまで事前に買い物をした物を運ぶ。
「こういう時に男の子の手助けあると本当に助かるよ」
「お米とか重くてね」
「風香や史伽だとお米持っていくのも辛いだろうに」
女子寮の前まで持っていくと
「ありがとうね。ここからはボク達が運ぶよ」
「2人でならなんとか運べると思うからね」
「エレベーターとかないの?」
「あるけど……」
「そしたら買い物カートとかを借りたほうが良いんじゃない? 学校側に言えば借りることできると思うけど」
「なるほど、その手があったか!」
「確かにそれなら近くのスーパーから運ぶことができるね」
小さい鳴滝姉妹みたいな子は中学生からは基本自炊になるが、したくてもお米を自身の階層まで持っていくのも大変だ。
「うーん、なんとかなれば良いんだけど……」
【長瀬楓 鳴滝風香 鳴滝史伽の好感度が上がった】
思い立ったが吉日。
工学部と繋がりがあるのは超だ。
超に女子生徒向けに買い物カートを電動自転車みたいにサポートしてくれる機能付きで寮まで運べる機械があればお料理研究会とかも含めて買い物が楽になるんじゃないかと提案した。
「それは面白い発想ネ! 確かに非力な女子学生とかは寮まで食材を運ぶのが辛いからそういうサポートアイテムがあれば楽になるアルネ」
「工学部に繋がりがある超ならできないかな?」
「勿論できるアルが、こういうのはハカセ!」
「超呼びました?」
瓶底メガネに三つ編みツインテールで基本白衣を着ている葉加瀬さんことハカセが出てきた。
超がシュバババと設計図を描くと
「こういうのを作って欲しいネ」
「ふーむ、タイヤはゴム製で横付けの方が良いんじゃないですか? レンタルするなら管理する人員も必要でしょうが」
「それなら工学部の大学生達のアルバイトにするアル」
一気に話しは進み、翌日には試作1号ができていた。
「おお、スイスイ動きますね」
「流石にタイヤのメンテナンスがあるからスーパーに導入というのは無理ですが、私みたいに非力な学生達からはレンタルをされると思いますよ」
「パワプロやったアルネ! 提案者として利益を受け取るネ」
バサっと超から10万円分の食券を渡された。
「こ、こんなに貰って良いんですか?」
「アイデアがなければ発明はできないアルヨ」
「……でしたらもしよかったら試作品も1台貰っては駄目でしょうか? 渡したい人がいるので」
「おお! イイヨイイヨ! なんだパワプロも気になる子でもいるのカナ?」
「まぁそんなところです」
試作品を貰うと僕はそれを鳴滝姉妹に渡した。
「友人に相談したら作ってもらいました。風香と史伽もこれがあれば買い物が楽になるでしょうか?」
「パワプロありがとう! 大好き!」
「好きー!」
鳴滝姉妹は僕に抱きついてきた。
異性に簡単に抱きつくと誤解してしまいますよというと誤解じゃないからと言われてしまった。
鳴滝姉妹はこれがきっかけかどうかは分からないが、風香は選手、史伽はマネージャーとして正式にキューピッズに加入することになるのだった。
【鳴滝風香 鳴滝史伽がキューピッズに加入した
2人の好感度がぐぐーんと上がった】