5月……学園祭もそうだが中間テストも近づいてきた今日このごろ、クラスでは勉強会が頻繁に開催されていた。
「負の計算は0を基準として足し算引き算を逆に考えれば上手くいくよ。逆に掛け算割り算はそのまんま計算すれば良い」
そんな事を教えていると今日も夕方になり解散となる。
「パワプロ、今日も勉強会に来てくれてありがとうね」
「いや、南條もありがとう」
「おやおやしっかり学べているようで感心ですね」
話しかけてきたのは担任の識蝕(しきじき)先生である。
識蝕先生は理科の担当教師でもあり、特に重力系統の研究をしていたらしい。
見た目はチャラチャラしたホストにしか見えないが……
「先生も自習に付き合ってくれてありがとうございます」
「なに、先生もクラスの学力が上がるなら手伝いますよ」
チャラチャラしている先生であるが先生としては生徒に対して紳士的で、ちゃんと一人一人を見てくれている良い人である。
「いいですね。あとはクラスで女の子絡みの関係が進展すれば面白いのですが」
「女の子絡みですか……」
「チームの女子と仲良くなりたいでやんす」
矢部君がそう言うと識蝕先生は矢部君の肩を掴んで
「なら先生が女の子にモテる方法を伝授してあげよう」
「本当でやんすか!」
「ああ! これでも先生恋愛経験も豊富でな! 女の子の落とし方なんかを悩める男子に教えているのだ」
「おお! 凄いでやんす!」
矢部君と識蝕先生が盛り上がっているが、僕は料理研究会から呼び出しの電話が入ったので教室から出るのであった。
【イベント 絡繰茶々丸】
「こんにちはー」
料理研究会に行くと見知らぬ人? ロボットが居た。
「初めましてマスターから話しは聞いています。絡繰茶々丸と申します」
「あ、これはこれはご丁寧にどうも」
ほぼ人と同じ様な動きをするこのロボットは超とハカセが作ったロボットらしい。
今は経験を積ませるために同じクラスメイトとして授業も受けているのだとか……。
「茶々丸はオリジナルでこれの姉妹型を幾つか作って超包子の従業員を増やしていくアルヨ」
そんな超技術を中学生が作っているのが麻帆良の恐ろしいところである。
「矢部君とかが知ったらテンション上がりそうだな」
「パワプロは興味ないアルカ?」
「いや興味はあるけど……凄いとしか言いようが……」
「ふむ、まぁ普通の人はそういう感想になるノネ」
茶々丸は黙々と料理の練習をしている。
「ちなみにこの子はとある人物に貸し出すことが決まってるヨ。残念だったネ」
「いや、残念も何もないですが……」
まぁこんなハイテクなロボットを渡す人物なのだから多分お偉いさんだろうな。
「……皆さん料理を勉強する時間ですよ! 少しでも良い食事を作れるようにならないとお客様にガッカリされてしまいますよ」
と、四葉さんに言われ、皆料理の練習に戻るのだった。
【イベント リーグ戦】
今日は先輩達のリーグ戦。
日曜日だからか観客が球場に観戦しに結構な人数が来ており、学生達が屋台をやったりして賑わっていた。
僕は野球部員になった鳴滝姉妹を呼んで一緒に観戦することにした。
「あそこのポジションがショート、あっちがセカンドだよ」
「野球も覚えることがたくさんで大変だね!」
「でも覚えたら覚えたで楽しいよ」
そんな事を言っていると試合が始まる。
「今リーグ戦ってどんな順位なのです?」
史伽の質問に僕は新聞部が発行している新聞を見ながら順位を教える。
「科学スターズが1位、2位がファーマーズ、3位がキューピッズで4位がアドベンチャーズだね。外部の大会登録まではあと4回試合ができるから、他のチームとの勝敗によってはキューピッズの逆転優勝もあり得るね」
「スケジュールってどんな感じなの?」
風香に聞かれ、僕は年間予定を教える。
外部の大会は6月と12月で全国大会に行ければ8月と3月にも大会が行われる。
6月と12月の予選期間はリーグ戦も停止になるが、それ以外の期間はもし全国大会に駒を進めた場合2軍チームがリーグ戦を戦う事になる。
キューピッズの場合外部との試合は男女別になるが、リーグ戦は女子も試合に参加することができるので、1軍男子が全国大会に行っている最中に1軍女子がリーグ戦を勝ち抜く事で結構リーグ戦を有利に勝ち進む事ができてきたらしい。
「女子には外部との試合は無いの?」
「女子の対外試合はソフトボールに集中しちゃうから野球は無いね。ちょっと冷めちゃった?」
「いや? 学園内でリーグ戦で活躍できれば楽しいからボクは気にならないかな」
「私はマネージャーとしてサポートするよ!」
「ありがとうね! 春は基礎作りになると思うけど、秋の先輩達が引退した頃にはレギュラーになれるように頑張るからね!」
「ボクも頑張るよ!」
試合の方はキューピッズ対ファーマーズで、最初は3年生のエース対決だったが、乱打戦になり、4回にキューピッズの投手は交代し、僕がチームに入る時に教えてくれた2年生の水石アオさんがマウンドに上がった。
キレのあるスライダーと120キロの直球を際どいコースにビシバシ投げていく。
「凄い、あの女の先輩が出てきてから相手が全く打てなくなったよ」
「キューピッズはまだ打線がイケイケだからか点がばかすか入るね」
試合は5対9でキューピッズが勝利し、順位が2位に上がった。
「野球見てるだけでも楽しいね!」
「ボクは見てるよりも試合に出て活躍したいな〜シュシュッてショート? の人がボールを捕って投げるのがかっこよかったな」
「パワプロ君ってどこを守るの?」
「投手と外野手だね。ただアオさんみたいに速い球はまだ投げれないなぁ」
「速い球投げたいよね!」
「そしたらもっと食べて鍛えるしか無いね! せっかくだから僕が今日も何か作ろうか!」
「おお! やったね史伽! パワプロの美味しい料理が食べれる!」
「私揚げ物が良いな!」
「じゃあ唐揚げにしようか!」
「「やったー!」」
【イベント 幸せ草 2】
ある日歩いていると再び不思議な雑草? を見つけた。
「あ、またこの花だ」
草に近づくと金髪のちびっ子が
「おい、お前」
と声をかけていた。
「ん?」
「その草に触るな。危ないぞ」
そう言われ、僕は草から離れると草を女の子は踏んづけてグリグリと地面に擦り付けた。
「コイツは幻覚作用がある毒草だ。嗅いでいたら危なかったな」
「え……前に同じ草を嗅いでしまったんですけど」
「なに……体に違和感とかは無かったか?」
「体が軽くなるような感覚はありましたけど……」
「……魔力の量が多いのか?」
「あの~」
「おい、お前、名前は?」
「赤土球児です。パワプロと皆から言われてます」
「じゃあパワプロ。私はお前に少し興味が湧いた。少し茶に付き合え」
そう言われると喫茶店に連れて行かれた。
紅茶を頼み席に座る。
「ほう……パワプロお前なかなかセンスがあるな。その紅茶を選ぶとは」
「はぁ……あの、名前を伺っても?」
「む、言ってなかったか。私はエヴァンジェリンだ。覚えておけ」
「あの、さっきの草を嗅いでしまったのですが大丈夫でしょうか?」
「……体が軽くなったということは体がさっきの草……幸せ草に免疫があるのだろう。中々いないのだぞ」
「じゃあ何か体に悪いことが起こるとかはない感じですか?」
「断言はできないな。まぁ大丈夫だろう」
「そ、そんなあやふやな」
「声をかけたのも気まぐれだ。見知らぬ女の言葉にいちいち気にしていたらキリが無いだろう」
「それはそうですが……」
「……美味そうだな。そして使えそうだ」
「何か言いました?」
「いや、何でも無い。もし気になるようなら数日後に起こる麻帆良の大停電の日にこの場所に来い」
そう言うとエヴァンジェリンさん? ちゃん? は席を立つのだった。