【貞操逆転世界】で逆レ〇プされたい! してくれなきゃ嫌だ! 作:BIBI
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車での移動は避けたカナタ達は、人が少ない街を屋根を足場に駆けていた。それは少しでも他人を巻き込まない為の配慮であったが――。
「――ロゼ……!」
背後からの銃弾を避け、カナタは振り返る。
「あら。一目で分かるのね。私ってそんなに有名かしら」
黒褐色の髪を腰まで伸ばした女――ロゼ。彼女は二丁拳銃を下げ、少し驚いた様に立ち止まる。
犯罪者でありながら纏う雰囲気は意外と柔和であり、張り詰めていない。長身でスラっとした印象に、白シャツとジーンズで平凡な格好だからだろうか。
あまりにも立ち振る舞いが極自然だ。それは息を吸うの様に命懸けで戦える精神状態という事であり、逆にカナタはロゼをおぞましく感じた。
「当然です……! A級犯罪者の中でも特に貴女は凶悪ですから……!」
カナタも両手に拳銃を握り、正面に構えた。十数メートル離れた距離。A級同士の戦いで当たる訳もないので、まだ撃たない。単なる無駄打ちで段数を減らしたくないからだ。
寧ろカナタは会話で時間稼ぎしようと試みる。
「凶悪? ミサエみたいに、私は殺しが趣味じゃないのよ。少し男を食っているだけじゃないの。これの何処が凶悪よ」
強姦を全く悪いと思っていないロゼ。時間稼ぎは見え見えだが、別段何も問題はない。遠目でアヤセと自分の部下が交戦している様子を、楽しそうに横目で眺めていた。
「今どき、セクハラすら罰せられる時代ですよ……! 強姦する様な人は、誰がどう見ても凶悪です……!」
飄々としたロゼの態度に、真面目なカナタは憤りを覚えた。この世界の男性は尻を触られただけでも傷ついて泣いてしまう人も珍しくない。
強姦なんてされたら、もう外を歩けないほどトラウマになる人も居る。それを知りながら何の罪悪感も抱いていないであろうロゼを、とてもじゃないがカナタは許せなかった。
「何よ、その処女みたいな発想は……」
呆れた様子。戦争を身近で経験し、何度も暗殺の依頼を受けた身からすれば、強姦程度の犯罪なんて些細なものだ。
戦いの世界に身を置き過ぎた所為だろう。ロゼの感覚は一般人とは大きく異なる。
銃弾が飛び交う戦いを当然だと思い生きていた彼女が、強姦程度で泣き喚く男なんか理解できなくても当然といえば当然だった。
「しょ、処女がないですけどぉ!? それに単に当然のことを言っているだけです!」
処女です、カナタは。彼女は今、見栄を張っています。
「過剰な気遣いを求めるなんて、異性に慣れていない奴が考える事でしょ? 陰キャすぎるのよ、アンタ」
どうせ男慣れしてないんだろと、見透かしたロゼは鼻で笑う。
「育ち悪過ぎでしょ⁉ 恵まれた生まれの発想じゃありませんよね⁉ 明らかに‼」
カナタは顔を真っ赤にして慌てながら、わりとまともな返しをした。表面上は単にモテない弄りされて切れている陰キャだが、言葉自体は説得力を持っている。
「…………? あぁそういやアンタ、財閥令嬢だったわね。確かに、私とアンタじゃあ育ちは真逆ね。私の出身はスラムだったもの。しかも、こんな安全な国じゃない。本当の底辺に居たわ」
あまりにも強いのでカナタが令嬢だと忘れていたロゼ。何か自分とは纏う空気が違うとは思っていたのだ。
少し得心がいき、そりゃあ真面目な訳だと、ロゼは笑い飛ばす。
「なんだか、分かった気がする、日本で犯罪が少ない理由が。アンタ達って結局、恵まれているから、穏やかに生きられるのね。私達の出身国みたいに犯罪が多いと、気が強い事が格好いいみたいな価値観になってしまうの。そりゃあ悪い奴ほど遺伝子を残す訳よね」
これは常々日頃ロゼが考えていた事。淫らというだけで、真面目な部分もある。彼女は殺しを好まない事もあり、そこまで凶悪な行為を野放しにするべきと考えていない。
仲間の死には慣れているが、一人でも生き残って欲しいとは考えるタイプなのだ。
「自分達の国民性を社会の所為にする。そういう甘えが、社会を堕落させると気づくべきでは?」
カナタは呆れた様子で、ロゼを見た。所詮は犯罪者の戯言だと、あまり聞く耳を持っていないらしい。
「そういう自己責任論は危険よ。その考えが浸透した所為で、私の国は犯罪者が多くなってしまった。環境なんて関係ない。それが本当に正しいなら、教育する意義を社会は失う。どう育てた所で、駄目な奴は駄目。教育に何の意味もない。そういう自己責任論こそが、最も憎むべき社会の歪みだと私は考えているわ」
「……随分と口が達者ですね」
呆れた様に吐き捨てた。A級という恵まれた資質を持ちながら犯罪者に堕ちたのだ。もう少し会話が通じない程の馬鹿だと思っていた。
でもロゼの言葉を聞いて、正しい思った。同時に薄っぺらだとも。何故なら、正しい意見は口先ばかりで、彼女は自分の価値観を喋っていない。
ただ理詰めしているだけで、何の信念も感じなかった。
育ちの違いと言うべきか。口論で勝つ事ばかり優先されたロゼの児戯は、カナタを薄らと苛立たせる。
「褒め言葉だと受け取っておくわ」
目を合わせようともせず、微笑を浮かべ受けた言葉を軽く流す。
「口だけは達者を誉め言葉と受け取るなんて、ホント育ちが悪いんですね。口論が強い事に自信持っている低学歴の発想ですよ、それ。出来損ないの癖に負けず嫌い。そんな馬鹿ほど言い訳の多い人生を歩みますよね。そりゃあ、口論が強くなるわけですよ。だって、それしかしてこなかったんだから」
そろそろ始めようとカナタは、一発の弾丸を撃つ。すると「――――ッ」ロゼの足元に着弾した瞬間、眩い光と共に大きく爆発する。
「……あ、アンタ、結構口悪いわね。本当に財閥の令嬢なの? 品性が少し足りないんじゃないかなぁ」
たった一撃でビルは半壊し、土煙が上がる。その中から飛び出し、ロゼはため息交じりに屋根へ飛び移る。
「あぁごめんなさい、イギリスに居た期間が長かったもので」
冷たい瞳。銃口をロゼに向けるカナタ。それに――。
「育った環境の所為にすんな!」
ロゼはブチ切れて、銃口を向ける。