【貞操逆転世界】で逆レ〇プされたい! してくれなきゃ嫌だ! 作:BIBI
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ミサエがロゼと共闘しなかった理由。それはロゼの能力が味方を巻き込むリスクが極めて高いものだからだ。
だからロゼにカナタの足止めを単独で任せた。そしてミサエは自身の姿を偽り、集団に加わってアヤセと戦う。
最初からミサエはカナタの実力を見誤っていないのだ。プロの護衛であり、幾度となく厳しい戦いを乗り越えたエリート中のエリート。
そんな彼女は見抜いていた、そんじょそこらの天才で式辺カナタは殺せないと。
圧倒的才能を持つ彼女の弱点は、実戦経験と激しい負傷。
その強さ故に自信を持ち、常に冷静でいられる。その強さ故に一方的な戦いばかりで苦戦を知らない。その強さ故に負傷した経験すら殆どない。
「フミカを探す手掛かりとか、あればいいんだけど……」
カナタが死体に触れた瞬間だった。死体ごと彼女の腕が爆散した。
「な…………ッ!」
残った左腕で念を放ち、爆発の威力を抑える事に成功する。だが、痛みと激しい動悸。息切れに襲われた。
ただの爆発じゃない。理解不能な状況に困惑していた時、カナタは後ろに強い気配を感じる。
振り返ると、遠くのビルからこちらを見下ろす本郷ミサエの姿があった。
念で強化した目で捉えた彼女の姿は、先程とは印象が別物だった。
冷たい目で見下ろし、ふざけていた態度は感じられない。目に光はなく、本当の殺気が込められている。
「…………くッ‼」
激しい痛みに耐え、恐怖を覚えながら、カナタは歯噛みする。そして後ろを振り返ると、フラフラとした足取りのアヤセがいた。しかし彼女の腕は腐敗し、崩れ落ちている。
「な、なに……が……」
状況が理解できない。何が起きている。一体何の能力だと、心臓の鼓動が早まり、緊張感で上手く声が出せなかった。
それはアヤセも同じらしい。カナタと目を合わせ、「お嬢……様……」と声が枯れ、続きの言葉が出てこない。
「――――ッ!」
カナタは寸前で避け切れなかった、背後から迫る銃弾を。「うぐ……」腹部を貫かれ、激しい痛みに襲われる。
そして同時に困惑した。そこには居るはずのない本郷ミサエの姿があったからだ。背後から伝わる本郷ミサエの気配は消えていない。振り返らずとも分かる。
なのにミサエの姿は目の前にもある。恐らく周囲の死体が一つ消えている事から、彼女は何かしらの能力で自らを姿と死を偽装していたに違いない。
つまり背後の本郷ミサエが偽物なのだ。カナタにとって彼女は初見であり、実物で念の気配を知られていない。知っているのは、顔写真のみ。
だから大胆に最初から偽物を登場させたのだ、戦いが終わったと思い込ませる為に。
そしてカナタと相性が良い超能力者を殺させたのも、恐らく本郷ミサエが切り札を失う状況を演出す為だ。
実際は、死体に込められた念こそが、切り札。念にどんな特殊効果が込められているか分からないから、普通は警戒する。
だが死体相手で、しかも能力が割れている相手なら警戒心は薄れる。
それを狙って死体に宿った念に、爆発の特殊効果を付与したのだ。
フミカを攫い、焦らせていた状況込みで、カナタが死体を漁る事も計算の内。あえて構成員に携帯を持ち歩かせる事で、彼女に興味を持たせていたのだ。
ここまで全てミサエの計算通りである。
「――――ッ!」
右手を失っても、カナタは諦めず、拳銃を構え――たが、左腕は腐敗して崩れ落ちた。
「…………え?」
震える先のない腕を見て、息を呑む。先程の爆発は、威力が低かった。腕だけで済んだ事を単に、不幸中の幸い程度としか思っていなかった。
しかし認識が甘すぎるのだ。殺しのプロが相手で、何を舐め腐った判断をしているんだという話。
爆発を庇った時、突き出した左腕は毒に犯されていたのだ。それすら気づけないカナタの甘さは、圧倒的な経験と驕りが主な原因である。
これだけ才能に溢れているのに、こんなアッサリと彼女は両腕を失ったのだ。
「…………くッ!」
歯噛みし、カナタが勝機はないと死を覚悟した。抗う手段が残っていない。こんな簡単に殺されてしまうのかと、心臓が痛いほど軋む。
その時、本郷ミサエの携帯が鳴る。
急いで電話に出て、本郷ミサエは数秒後「うっそ――――ん!」と叫び、顔を真っ青にして呆気なく退散した。
こうして、激闘は拍子抜けな幕切れを迎える。
「「……………………」」
その場に残されたカナタとアヤセは、ポカンとした表情で唖然とていた。
しかし数分後に二人はミサエの行動に納得する。
「えーと? だ、大丈夫ですか?」
馬鹿みたいな速度で、セツナが夜空から着地してきたのだ。そりゃあ部下の報告を聞いて顔を真っ青にする訳だ。
セツナの実力なら、高がミサエ程度、数十人いたって余裕で殺せるのだから。
恐らくカナタとアヤセを生かした理由は、時間稼ぎだ。
彼女達の傷は既に自力で回復できるものじゃない。だからセツナが傷の手当てに時間を費やすだろうと信じて、本郷ミサエはあえて二人の命を奪わなかった。
その冷静さは流石と言った所か。これが馬鹿な三下であれば、セツナの急接近に激しく狼狽して、追い詰めた二人を勿体なく思って始末した事だろう。
しかし、そんな下手な真似をすれば、セツナは念の気配を辿り、いとも容易くミサエ達に追いつき始末した事に違いない。
「…………」
この冷静な状況判断能力は大したものだと、セツナは思いながら溜息交じりに二人の治療を開始した。