【貞操逆転世界】で逆レ〇プされたい! してくれなきゃ嫌だ! 作:BIBI
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上階にあった貯水タンクは傷つけておらず、普通にシャワーの使用が可能だった。石鹸で念入りに洗い、フミカは〈アラネア〉が常備している新品の下着と服を着用した。
「終わったわ」
一ヵ月振りの風呂だが、敵が来る可能性を考慮し、短時間しか楽しめなかった。心惜しいがいつまでも敵の拠点に居続ける訳にもいかない。
「足を引きずってるけど、長時間歩ける?」
そうコウヤは問うと、「……無理、だと、思う」フミカは自分の膝を見て答えた。今、彼女は立っているだけでも激痛に少し顔を歪ませている。
先程、カンデラがコウヤに雷を浴びせた。その電流がフミカの足首を少し斬っていたらしい。
「そっか。じゃあ仕方ないね」
しゃがみ込み、コウヤは「ほら、おんぶだよ。おんぶ。運んであげる。発情するだろうけど大丈夫。人気のない場所で幾らでも発散すればいい」と背を向けた。
「…………」
顔を赤くし、意味を問う。女の中でもフミカは性欲旺盛だ。コウヤが何を言っているか理解している。少し悩んだが――――。
「お願い……」
フミカは素直に背負われる事を選択する。
「~~~~ッ!」
肩に手を乗せ、ドクンと心臓が高まる。眩暈がして、もたれかかる様に、フミカはコウヤの背に体重を乗せた。
触れる面積が増えた分、「な、なに、こ、れ……? へんな……ッ、かんじ、がッ」と興奮が更に高まり、目を白黒させていた。
そんな彼女の動揺など気にした様子もなく「じゃあ、行こうか。ちゃんと掴まっていてね……!」とトウマは階段を駆け上がり、アラネアの拠点を出た。
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キサラは懐かしい気配に、歓喜し、心臓が高鳴り、脳が痺れるほど幸福を感じた。
一ヵ月振りのフミカの気配。
数キロ先の小さな気配だが、S級の実力者である彼女は探知した。
気配を感じた瞬間、全力の念で身体能力を急上昇させ、一瞬で高層ビルの屋上まで跳躍する。
「…………ッ!」
視力の強化。目視にて、コウヤに背負われたフミカを見て、生存を喜ぶ。
しかし彼女の本能が告げていた、あの男は危険だと。優れた感覚を持つ彼女だからこそコウヤのポテンシャルに一目で気づく。
一体何者なのか不明。どうしてフミカを背負っているのかも不明。だから敵だと考え行動するのが最善だろう。
居ても立っても居られない。ビルから落下と同時に外壁へ足を密着させた、しゃがみ込む姿勢を取った瞬間。爆発が起こる。
キサラが馬鹿力で蹴ったのだ。彼女は弾丸の如き速度で一直線に飛ぶ。フミカを盾にされる事を考慮して銃は使用せず、ナイフを握った。
「マジかよ……」
数キロ先で爆発する様な念の気配を感知して、コウヤが呟いた瞬間だった。
彼が呟き終わると同時に、数メートル先が爆発する。キサラは派手に地面を叩き割りながら、しゃがみ込む様に着地したのだ。
半径十メートル以上に亀裂が入り、その中心に居るキサラはゆっくり立ち上がり、コウヤを見た。
「――――ッ‼」
コウヤはフミカ念を含め、限界まで気配を隠していたはずだった。それなのに容易く、当然の様に感知された挙げ句、一瞬で距離を詰められた。
「…………ッ」
コウヤの表情が引き攣る。直面するだけで、吐き気がするほど、圧し潰されるほど、あまりに禍々しい念をキサラは纏っている。
今まで出会った誰よりも圧倒的格上。カナタ、チグサ、ルカ。彼女達も恐ろしい力が有していたが、キサラの力は比較にならない。
潔くコウヤは逃走を諦めた。周囲は人気のない公園だ。戦うにしても、話し合うにしても都合がいい。
どうか味方であってくれと、コウヤは涙目になった。
「大人しく、お嬢様を我々に返しなさい。そうすれば、命だけは、見逃してあげます」
人質に取られている可能性を考え、一応キサラは警告する。
「か、勘違いです。僕がこの子を助けました。……ね? そうだよね?」
コウヤはフミカに恐る恐る尋ねた。「はぁ……♡ はぁ……♡」フミカは股を彼の背中に擦り、キサラの存在に気づいていない。
カチャ。無言で「…………」ナイフを構えるキサラ。
それに「ひぃぃ!」とコウヤはガタガタ震える。
「おいおい! お嬢様! しっかりしてくれよ! ていうか、お嬢様だったのか⁉」
泣きそうな声でコウヤは叫ぶ。
「……え?」
やっと状況に気づいたのか、フミカは小さく首を傾げて反応した。
「お嬢様! 待っていてください! 私が! 必ず助けてみせます……!」
一瞬で殺せば問題ないと、キサラは腰を下げながら隙を狙う。だが彼女の本能が警告していた、目の前の彼は恐ろしいポテンシャルを秘めていると。
油断するべきではない。弱そうに見える事すら、もしかしたら罠かも知れないのだ。
「キサラ? 私は大丈夫……。もう、いいの……。私、この人とずっと一緒にいるから、助けはいらない……」
フミカは潤んだ目で赤面し、はぁはぁと息を乱す。
その表情を見て、キサラは暴力で従順になった者達を連想してしまった。そしてふと目に入る、傷付いて血が流れている足が。
「おい! その言い方は!」
まるで僕が誘拐犯みたいだろと、コウヤは慌てふためく。
「――――ッ‼」
コウヤは凄まじい速度でキサラに急接近される。命の危険を感じた影響か、無意識に彼は体感時間を限界まで伸ばしていた。
迫り来るナイフを達人が如く紙一重で躱し、コウヤは手を伸ばす。
そして掴んだのだ、キサラのナイフが握られた右腕を。
男の念に触れたら――――女は発情する。
「――――は……?」
コウヤは力が抜けて、体がよろける。彼の念は半分近く、奪われてしまった。
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相手の念を奪う技。これは超能力ではない。
そしてキサラの超能力は、相手の念を奪う力の強化。それだけだ。
一見弱そうな能力だが、実際は極めて凶悪な性能である。
通常、相手の念を奪うには、数十秒は触れなければならない。
しかし、キサラは一瞬触れるだけで、半分近く相手の念を奪えてしまう。破格の性能。馬鹿みたいな技の強化である。
仮に彼女の放つ銃弾をまともに食らえば、それだけで念が奪われ、身体能力はガタ落ちしてしまう。
ただの通常攻撃が、掠る事すら危険な技に昇華されるのだ。
それでも仮に、コウヤから直接触れられたら、超能力は無効化されてしまう。
だが彼女は腕を念で覆い、彼から直接触れられる事はなかった。
「は……」
激しい動揺にコウヤは一瞬にして、血の気が引いた感覚に襲われる。
「――――ッ‼」
キサラは冷たい瞳で見下ろす。コウヤから念を奪い、相手の身体能力を著しく下げる事に成功した。当然彼の言葉が本当で、フミカにとって命の恩人かも知れない。
無意味に傷つけるのは駄目だと、ナイフを握った腕を降ろした。
「…………降参」
もう無理だなと、コウヤは手を上げて負けを認めた。