【貞操逆転世界】で逆レ〇プされたい! してくれなきゃ嫌だ! 作:BIBI
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
テンリとツムギは普段着であり、これから戦う者の姿とは到底思えない。
白いブラウスに薄紫色のスカート。下着が見えない様に短パンは穿いているが、本当に平凡な格好だ。
二人は本当に仲が良いのだろう。二人共、殆ど同じ格好をしている。
「私の身体能力が欠点だとか思っていたのでしょうけど、残念だったわね。貴女達は逃げる事すら不可能なのよ」
真夜中で不気味な雰囲気漂う神社。自分は運にも恵まれていると、テンリはコウヤを見て薄く笑う。
セツナを庇う様にコウヤが前に立つ。普段能天気なコウヤだが、全く恐れがないほど馬鹿じゃない。警戒しながらも敵意がないと示す様に、ナイフをズボンの衣嚢に入れる。
その姿を見て、「…………ッ」テンリは驚く。いや彼女だけではない、セツナやツムギも目を丸くて驚いていた。
コウヤは度忘れしているが、この世界では女が男を守るのが常識。逆の好意なんて、それこそ絵物語でしか聞いた事ないレベルだ。
明らかにセツナよりコウヤの方が念は強い。それなのに身を挺して女を庇おうとする姿は、よほど惚れ込んでいる様に見えてしまう。
「この男。もしかしなくても、彼氏よね? 随分と仲良さ気ね」
ゆっくりとした足取りで、テンリは気まずそうな表情でコウヤに近づく。
男の癖に女を庇うなんて、よほどコウヤはセツナが好きなのだろう。そう判断した彼女は顔を真っ赤にして照れているセツナを鼻で笑う。
突如の襲来によって思わぬ収穫だと、テンリは自身の幸運に喜ぶ。彼女はコウヤがセツナの彼氏だと盛大に勘違いしていた。
「初めてできた彼氏です。彼から離れて下さい」
セツナが不満を言うが、近づこうとはしない。明らかに警戒し、恐れている。後、普通に恋愛関係だと嘘を吐いている。
「…………ッ」
テンリは口元から血が垂れており、呪いの進行が進んでいる。彼女が焦る理由も当然だろう。もう手段を選んでられないくらい、体が酷く蝕まれている。
「体の限界が近いんですね……」
セツナが予想していたより、呪いの進行は早かった。
「だからこその交渉よ。正直に言うと、状況は五分五分。私とツムギの弱体化が先か、フミカを捕まえて欲しい情報を引き出すのが先か……」
そう言いテンリは「フミカを大人しく渡しなさい。さもなくば、コイツを殺す」と、コウヤに人差し指を向けた。
バチッっと手に電流が走る。いつでも雷を撃てるという状況らしい。
「安心しなさい。私は自分より弱い男に興味はないから、強姦したりとか、そういう下品な真似は絶対しないわ。ちゃんと痛みを感じる暇もなく、殺してあげる」
テンリは男の趣味がセツナに似ている。だから今まで男を襲った事もなければ、性行為をしたこともない。
B級程度のコウヤに恋慕の情を抱く事もなかった。今後自分を殺せるほどの存在とも思えず、異性としての興味は持てない。
だからコウヤが整った容姿をしていようと、平気で殺せる。全くと言っていいほど、惜しいとは思わない。
後ろのツムギは案外ムッツリなのだろう。コウヤの顔をチラチラと見て、殺す前にエッチな事をしたいと考えていた。
「そんな警戒は不要ですよ。ナイフや銃すら構えてないでしょう? そもそも私は戦う気はありません。丁度、キサラに話し合いで解決する様に説得されたばかりですよ。貴女と戦うのは、こちらとしても本意ではありません」
呆れた様子で溜息を吐き、本当に戦意を感じさせない態度だった。毒気が抜けれたと、テンリも警戒を解く。
何となく本気で戦う気はない。そういう気配が念から伝わったのだ。その勘の鋭さ故に彼女は警戒を解き、コウヤに向けた指を降ろす。
「……そう。潔いのは良い事ね。何か事情があるなら、聞いてあげるし、こっちも悪い様にはしないわ。だったら――」
その瞬間、パーカーの長い袖に隠していたナイフを取り出し、コウヤは迷わずテンリに向けた。
男なら夏に長袖を着ていても違和感がなく、寧ろ半袖なんて変態だと思われる世界。ナイフを隠し持つ事は容易だった。
「――――ッ!」
驚きはした。防御の体勢も不十分。だが油断ではなく必要ないと判断していた。何故なら彼女は体や衣服に触れた物を消滅させる事が可能なのだ。
仮に警戒するにしても、足元くらい。真正面から迫るナイフなんて、恐れるに値しないはずだった。
しかし何故か。天才故に勘の冴えというべきか。何が嫌な物を感じた。
今すぐ急激に身体能力を強化して避けるべきだと、感覚的に理解した。しかし、それは自滅と同義。
恐らく負担でテンリは数十秒で死に至るだろう。
避けても避けなくても死ぬ。
そうだとしてもコウヤのナイフを避けるべきだと、彼女の天才故の勘の働きが警鐘を鳴らす。