【貞操逆転世界】で逆レ〇プされたい! してくれなきゃ嫌だ! 作:BIBI
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コウヤは恐るべき才能を有していた。単純な念のポテンシャルなら、テンリを僅かに超えている。
彼は初めての射撃を二発目にて、弾速を落とさず成功させた。
それと同じように初めてナイフを握り、念を研ぎ澄まし殺傷能力を高める。その洗練された念は玄人の域に達していた。
何より、念の強さは、超能力の強さ。
テンリを超える念を持つ事は、それだけ超能力のポテンシャルが高い事を意味する。セツナが知らない強力な〈特殊効果〉が、ナイフには宿っていた。
「く…………ッ」
深々と腹部に突き刺さるナイフ。
直前で身体能力を強化し心臓は避けれたが、あまりの激痛にテンリの表情が歪む。加えて男の念による強烈な発情が、彼女の思考を乱す。
そしてコウヤすら知らない、強力な超能力がテンリの体内で静かに炸裂していた。
「…………ッ‼」
コウヤの腕を掴むテンリは、じわじわと力が抜けてしまう。急激な身体能力の強化による負担は予想より大きかった。残り十数秒で体は限界を迎え、死に至るだろう。
息が荒くなる。体から体温が抜けていき、指先の感覚が徐々に失われていく。視界は暗く狭まり、橙色に染まる。まるで失神寸前の様な症状に陥り、テンリは今にも倒れそうな状態だ。
「――――ッ‼」
その様子を視界に捉えたセツナは、自身の企みが成功したと確信する。突然のテンリ襲来には驚き恐怖したが、思わぬ僥倖を拾ったと不敵な笑みを浮かべる。
警戒心薄く近づいて来たテンリに、何の命令もなく自分の判断でナイフを突き刺すコウヤには惚れ惚れしてしまう。
彼が状況が理解できず、みすみすチャンスを取り逃がす様な事態にならず、心の底からセツナは安堵していた。
しかも、これ以上ない完璧なタイミング。ナイフをズボンに入れた後、袖から出した別のナイフで斬り付けるアドリブも機転が利いている。おかげでテンリの反応が一瞬遅れた。
コウヤがナイフで刺しいる間、超能力の使用は不可能。つまり、今のテンリは〈無敵バリア〉の機能を失っている状態。
「――――ッ!」
今なら楽に止めを刺せるとセツナは拳銃を構えるが、それをツムギが阻止する。彼女は勢いよく蹴り上げて、拳銃を空に吹っ飛ばす。
ツムギは何故、セツナの胴体を狙わなかったのか。それは接近は彼女にとってもリスクが大きいからだ。
雷の速度に目が追いつかないのは、ツムギとて同じ。
それなら不用意に近づき過ぎては、ただタイミングを合わせられてしまう。特にセツナの様な読み合いが得意なタイプだとリスクが高すぎる。
故にヒットアンドアウェイが能力の性質上、正しい運用だと言える。
しかし一撃目で拳銃を蹴り上げる事に成功した。セツナが勝機を急いて油断を突けたのかと、ツムギは一瞬考えたが――。
「…………ッ」
しかしだからどうしたと言わんばかりで、不敵な笑みを崩さずセツナはツムギを、ただ見ていた。
その笑みの理由を察し、ツムギは自身の判断が甘かったと焦る。セツナが危惧していたのは、ツムギがコウヤに接近する事。
しかしテンリが〈無敵バリア〉を貫通され、ナイフで刺されるという状況。テンリに拳銃を構えるセツナ。
これを見たツムギの思考に
今の姉は銃弾を食らって死ぬ可能性が高いと、ツムギは判断してしまう。彼女の頭の回転は速く、その推測も筋が良い。
だからこそセツナは、ツムギの動きが読みやすかった。セツナの狙いは時間稼ぎではなく、ツムギに追撃のチャンスを与える事。
姉の危機。時間がない状況。相手は武器を失っている。特に狡猾なセツナを前に変に勘繰り、思考に集中を割いた事もまた、冷静な判断を狂わせていた一因。
――今、一瞬だけ、ツムギは一歩踏み込んでしまった。ヒットアンドアウェイという適切な戦術を捨て、深追いしてしまったのだ。
その僅かな隙を、セツナが見逃す訳がない。
彼女の超能力は――念の爆発と加速。
地味だがS級のポテンシャルは侮れない。何より咄嗟の判断能力に優れた彼女と相性が良過ぎる。
踏み込みも、力みも、予備動作もなく――即座に繰り出される一撃。
「…………ッ‼」
ツムギの横っ腹に、セツナの強烈な蹴りが肉を
身長が140センチもない小さな体のツムギが、神社に向かって叩き込まれた。爆発の様な衝撃で、建物が傾く光景から、彼女の脚力の高さが伺える。
セツナの念を研ぎ澄ました蹴りは非常に鋭利であり、深く腹部を突き刺していた。足先にツムギの血がべったりと付着しており、それだけで彼女の傷が深い事が容易に想像できた。
同じS級とは思えない明確な実力差。天才とはいえ、ツムギは所詮サポート系。本当の戦闘特化の足元にも及ばない。
そもそもセツナは銀髪だ。テンリと同じ天才の証を持っている。弱い訳がない。
蹴りの感触からして戦闘不能だろうと、セツナは即座に腰から予備の拳銃を取り出す。
「…………ッ」
ツムギが死ぬ可能性が頭を
コウヤの腕を握って雷を直接流そうとしても、超能力自体が発動しない。彼女の表情には全く余裕がなく、焦りと困惑に染まっていた。
右腕で、腹部にナイフを刺す腕を剥がそうとしている。左腕は、二本目のナイフを持つコウヤの腕を掴んでいる。
そんな状態でテンリは、数メートル先でセツナが拳銃を構えている姿を視界に捉える。
「く…………ッ!」
生まれて初めての敗北してしまう。そう判断し諦めた時、彼女は胸が締め付けられる感覚に襲われた。
今まで無傷で敵を殺してきた自分が容易く負けるなんて、考えるだけでも苦しい。妹の生死が不明な状況で死にたくない。
そういう不安を抱きながら、グルグルと視線が定まらず、思考もぐちゃぐちゃになっているテンリに向かって、容赦なくセツナは銃弾を撃ち放つ。