【貞操逆転世界】で逆レ〇プされたい! してくれなきゃ嫌だ! 作:BIBI
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緑髪を肩まで伸ばした女――ルカは、ビルの屋上で煙草を吸っていた。いつもはババ臭い服装の彼女だが、今日は護衛任務中であり、スーツ姿である。
キッチリとした印象と妖艶な雰囲気が相俟って、妙な人妻感が漂っていた。
「実力は衰えていませんね」
桜色の髪を腰まで伸ばした女――アヤセ。彼女もルカと同じくスーツ姿であり、式辺財閥の令嬢を護衛中だった。
「安心しました」
風が強く長い髪が揺れ、それを鬱陶しく思ったのか耳に掛けながら、アヤセはルカに近づいて微笑した。
「まぁ偶に鍛錬はしていたからねぇ」
朗らかな笑顔で、ルカは振り向き、アヤセと向き合う。屋上の床には十五人ほど死体が転がっているが、二人は気にした様子がまるでない。
「ここも違いましたか……」
金髪を腰まで伸ばした少女――カナタは溜息交じりに落胆し、学生服に着いた埃をを手で払う。
現在、彼女は犯罪者グループを潰しながら探している、フミカという親友を。
幾つか拠点は割り出したつもりだったが、空振りが続く。身体的には万全だが、精神的にかなり疲弊していた。
「ルカさん……。申し訳ありません……」
カナタは強い。A級の超能力者であり、日本では上澄みの実力を持つ。しかし財閥令嬢という立場もあり、単独行動は許されない。
それ故にルカに護衛を頼んでいたのだ。
「私はいいのよ、元から一週間は護衛するつもりだったから」
フミカの誘拐から一ヵ月が経ち、ルカとしてもカナタの気持ちは想像に難くない。だからこそ本来は避けたい護衛の仕事を今回だけ特別に引き受けたのだ。
「コウヤさんが狙われる可能性は低いでしょうが、ストレスは大きいかも知れませんね。特にチグサの方が……」
男嫌いを拗らせているチグサの姿を、アヤセは思い出して苦笑する。
「……どうなのかしら?」
ルカは仕事に出る前を思い出し、少し考え込む。「あの子、久しぶりに私と会話してくれたのよね……。もしかしたら仕事の心配をしてくれたのかも……。初めて『母さん』って呼んでくれたし……」と、頬を染めて彼女は続ける。
「何喜んでいるんですか、母親扱いされたくらいで……」
呆れた表情のアヤセ。喜んでいるルカには悪いが、彼女はドン引きしていた。
息子が反抗期で親を無視するのは珍しくないが、他人扱いなんて流石に酷すぎる。少し母親扱いされただけで何を嬉しがっているんだと、アヤセは顔を引き攣らせた。
「四日前ですが、私が話した感じだと、凄く落ち着いていい人そうでしたよ……?」
カナタは一度、コウヤに出会っている。四日前の事だ。世界が変化したと喜び、意気揚々と街を歩いていた彼が反社に尾行されていたのだ。
そこを助け、自宅まで送り届けたのがカナタであった。
「コウヤ君、基本的に部屋から出ないから……、変化に気づけなかったのよね……。いつから穏やかな性格になったのかしら……」
拳銃を磨きながら、ルカは悔いる。できるだけコウヤの不快にならない様に、顔を合わせず生活するのが癖になっていた。
それ故に彼の変化に気づけなかったと、ルカは肩を落とす。
「…………。まぁ、何にせよ、良かったですね……。キャリアまで捨てたくらいルカは子育てに熱心でしたから、日頃の愛情が伝わったのかも知れません……」
アヤセは素直に羨ましく思う。何せ、男とは我儘で上から目線で高圧的。その癖、都合よく被害者面して弱い振りをする。
ハッキリ言って、ゴミみたいな存在だ。
特にアヤセみたいな顔の整っているタイプは、男目線だとブス扱いで目の敵にされてしまう。彼女は生まれながらに男から優しくされた経験がない。
女性蔑視と思想が強い男から、何度も酷い侮辱を受け、生きてきた。
そんな彼女からすれば、穏やかなイケメンの息子なんて羨ましくて仕方がない。何となくだが、ルカがキャリアを捨てた気持ちが少し理解できた。
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昔から痴漢や強姦如きで傷つく女が理解できなかった。
全く可哀想だなんて思わなかった。こんな事で傷つくなんて、女は心が弱いなって見下してくたくらいだ。
何せ僕は男だから、女の価値観なんて共感できる訳もない。
こういう本音を言えば、価値観が違う人にも同情すべきと注意されるだろう。
たとえ自分が理解できなくても、他人が傷つく事に同情する優しさを持つべき。
そう世間は善人気取りで、偉そうに言うはずだ。
だからこそ僕は言いたい。
お前等は、こんな世界を見ても、同じ事が言えるのか――――と。
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コウヤは笑いを堪える様に、ニヤニヤしていた。
『買い物中に後ろから胸板をまさぐまれた事があって……。それだけじゃなく胸を押し付けられながら、パンツに手を突っ込まれて、性器を……。うぅ……! それがトラウマで俺……、暫く外を歩けなくなっちゃってぇ……! ふえぇぇぇ……!』
ブラウン管テレビの画面で、高身長で屈強な男が涙ながらに喋っている。それを聞く周囲の人は表情が真剣そのものだった。
痴漢する様な悪人が許せないのか、番組内で固く拳を握る女も居た。
思わずコウヤは「ブハッ!」と吹き出す様に笑い、口元を抑える。どうにも屈強な男がメソメソと痴漢被害を語るのが、面白くて仕方がないらしい。
「な、何で笑ってるの? 凄く悲惨な話なのに……」
隣の椅子に座っているチグサはドン引きした様子である。それもそのはず。この世界で痴漢や強姦の被害を受けるのは、男なのが常識だ。
彼女からすれば、テレビの内容には何ら違和感などない。たとえ屈強な男がだろうと性的な被害に遭えばトラウマになる。
それを笑うコウヤの方が、この世界だと異端である。
「ご、ごめん……。別に馬鹿にしている訳じゃないんだけど……。痴漢やレイプ如きでトラウマになるなんて、繊細な人だと思って……」
コウヤは全く同情していなかった、屈強な男に。
確かに痴漢やレイプは悪い事かも知れない。今の世界では、男は体を性的に触られたら傷つく。強姦なんてされたら、トラウマで外も歩けないだろう。
その価値観の違いを理解していても尚、彼は全く同情なんてできなかった。
「…………」
コウヤは昔を思い出しながら痛感する、男が女に抱く同情なんて所詮は勃起だと。
女を甘やかし、男が勃起しまくった結果、社会はどうなったか。
何と女性専用車両まで作り、大学も女しか入れない枠まで用意し始めた。
気が触れたとしか思えない所業だが、勃起した男に冷静な判断など出来る訳もない。狂気の沙汰だが、これが現実なのだ。先進国ほど〈勃起した男〉と〈女の我儘〉に振り回されていた。
今振り返るとバカみたいな話だなと、コウヤは呆れ交じりに苦笑する。
「…………。兄さん、さっきは襲われたら傷つくって……」
戸惑った様子でチグサが、テーブルに置かれたカップを口に運ぶ。チラチラと、不安や期待が込められた目でコウヤの顔色を窺っていた。
「まぁ嫌だけど、トラウマになる程じゃないよ。嫌いな物を無理やり食わされる程度には嫌かなぁ……」
今後レイプされたとして、一々落ち込む演技するのは面倒臭い。それに性に寛容で無防備な善人キャラを気取った方が、長期的に立ち回りやすい。
だから前もって、そこまで傷つかないとコウヤは伝えた。
「そっか……」
どことなく嬉しそうな、安心したようなチグサ。さっきまで虚ろだった目が、今は少し光を取り戻している。
同時に、大して傷つかないのならもっと大胆な事も――と、チグサで淡い欲望が蠢く。この気持ちはよくない。そう思いつつも、ざわざわとした欲望が胸の内に広がる。
コウヤは「……?」と首を傾げる。そろそろレイプする気になってくれたかと、内心ソワソワし、期待に胸を膨らませていた。