【貞操逆転世界】で逆レ〇プされたい! してくれなきゃ嫌だ! 作:BIBI
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
コンビニを立ち寄った後、チグサはカナタと通話していた。
チグサは片手で携帯を持ち、もう片方に袋を掛けてアイスを持っていた。夕暮れ時だが真夏という事もあり、かなり蒸し暑い。
特に黒い学生服を着ている彼女は暑そうだが、実際はそうでもなかった。念によって体を冷やしているから、寧ろ快適なまである。
「カナタ先輩。あの寝取られ系の小説、兄さんに見られました……。私の趣味だって、思われちゃいました……」
アイスが少しずつ溶け、話しながら齧る。チグサは交差点で立ち止まり、肩を落としていた。
小説はカナタに読んでと、渡された物だ。しかし正直に言うのも悪い気がした。だから自分の趣味だと認めるしかなくて、寝取られ好きだと兄に思われてしまい、チグサはかなり落ち込んでいる。
「えっと? レイプ系は見られなかったの?」
カナタは貸した小説は一つではない。十冊ある中には寝取られ系だけじゃない、ドギツイ内容も含まれていた。
「紙袋に入れたままだったので、それは見られていません……。でも寝取られ物は、読んでいる途中だったので……」
そうチグサがため息交じりに言うと、「読んでくれたんだ! 良かったぁ……! ど、どうだった? ちゃんと脳破壊された!?」とカナタは喜ぶ。
「はい……。イケメンの上司と途中まで上手く付き合っていたのに、ぽっと出の女に押し倒されて無抵抗に――――……」
思いがしてチグサは大きな溜息を吐く。無事、脳を破壊されている様だ。必死に『あれは最初からヤリチンだったと思えば楽しめるはず……。最初から純愛物じゃない。乱交物だと思えば……、全然いける』と心の中で言い聞かせ、脳を治療していた。
「男の人は殆どハーレムを作るんだから、そんな童貞厨だと今後の恋愛で苦労するよ?」
呆れた声でカナタが言い、「私なんて――」と続けようとした話が止まる。
チグサが「…………?」と首を傾げた。何かあったのだろうかと思い、しばらく耳に当てたままカナタの声を待つ。
「今アヤセから緊急の報告があったの。チグサちゃん。実は――」
深刻そうな声でカナタは、今受けた報告をチグサに伝える。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「…………やっぱりチグサちゃんと合流は無理みたい。お母さんが心配で探しに行ったんだと思う」
カナタは電話を切られた理由を、いい方向に解釈していた。
「少し急ぎましょう」
既に移動の手配は済ませており、アヤセは迅速に対応していた。
カナタは「でも……」と言い淀むが、「分かった……」と了承した。
〈アラネア〉からカナタに襲撃を仕掛けようとするのは、勝てる算段があるからだろうとは容易に想像できた。
超能力者は念の力だけではなく、相性が重要である。〈アラネア〉がカナタと相性の良いメンバーを揃えたとしたら、セツナが近くにいない現状は極めて危険。
今すぐに移動を開始しても遅いくらいだと、カナタは表に出さないが内心で焦っている。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「――――ッ‼」
嫌な予感がした。寝取られ、近親相姦。そんな言葉が会話の中にあった所為で、自然と彼女は考えてしまう、ルカとコウヤが行為している可能性を。
義理の母とはいえ、叔母だ。血縁者には違いない。そんなの有り得ないだろう、とは言い切れない事は自分が一番よく理解していた。
妹であろうと、兄に手を出すのだ。40手前まで男から相手にされなかったオバサンが何をしでかすか。
そんなの官能小説で嫌と言うほど知っているのだ。
「…………ッ!」
全力でチグサは駆け出しマンションに向かっていた、母親であるルカが敵に襲われていた方がマシだと思いながら。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
チグサがカナタから連絡を受け、自宅に引き返し目撃したのは異様な光景だった。
ルカの寝室。飾り気がない部屋の隅。ベッドで交わる二人の姿。
「…………ッ!」
確かに最初はルカがコウヤを襲っていた。しかし今はコウヤがルカに覆い被さり、嬉々として行為に及んでいる。
逆レイプしてきた相手を、レイプし返す。それもまた一興だと、いとおかしだなと、コウヤはルカの体を弄んでいたのだ。
ルカはチグサの気配に気づき、嫌がる素振りは見せるが、本気でコウヤを拒絶している様子はない。無理やり押さえつけられ、ルカはまんざらでもない様子だった。
「何を……、してるの……?」
ただ強姦されているだけなら、チグサは許容できなくても納得できた。しかしコウヤから積極的に体を求められるなんて、自分もされた事がない。
そもそも男は無理やり根気で勃起させる人ばかりで、性行為を楽しむ人は殆どいない。男の方から女を襲うなんて、それこそ官能小説の中だけだと思っていた。
だからこそ激しい困惑と深い嫉妬が入り混じり、チグサの脳は無事、破壊された。
「酷いよ……!」
世界は理不尽過ぎると、チグサは半泣きになった。そして彼女はルカに銃口を向け、躊躇わず発砲した。