【貞操逆転世界】で逆レ〇プされたい! してくれなきゃ嫌だ! 作:BIBI
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「ルカだけではなく、チグサとも連絡が途絶えた……?」
セツナは車に乗っていた。A級以上の超能力者ともなれば、大抵の車より速い。しかし肉体の大きな損傷とは違い、体力の消耗は回復しにくいのだ。
到着した時にバテた状態では、戦いに支障が出てしまう。不利になっても離脱が困難になり、死亡するリスクも高まる。
だからセツナとキサラは車で移動していた。
「街で戦いが巻き起こっているとは、まだ報告はありません。……A級のルカとチグサが容易く無力化される相手……?」
セツナとしては信じ難い。ルカとチグサは何方もA級の中でも上澄みの実力者だ。それが何の抵抗も出来ず、倒される事態なんて想定外にも程がある。
呑気な雰囲気で何も考えてい無さそうな彼女だが、謀略には長けており自信もある。だからこそ、ルカとチグサの音信不通な状況は堪えるものがあった。
「恐らくテンリ、でしょうね……」
これはルカとチグサが消えたと勘違いした状況では、妥当な線ではある。実際はただコウヤとルカが行為に現を抜かし、それを目撃したチグサの脳が破壊され、電話を取る所じゃないというだけ。
しかし、テンリが裏で糸を引いているというのは事実である。
実際、裏で小細工を行っているのはテンリであり、〈アラネア〉は一つの駒として上手く利用されているのだ。
あくまで偶然だが、この時点でキサラはテンリの可能性を視野に入れた。
「一体、〈アラネア〉は何処から〈フミカ〉に辿り着いたのやら……。そう多くはないんですけどね、彼女の正体を知る人物は」
セツナは裏切り者がいると考えていた。部下の運転手は、後ろに座るセツナの念が冷たくなるのに気づく。憤りで念が自然と研ぎ澄まされおり、近くに居るだけで悪寒がした。
「……情報網を張り巡らす事に特化した超能力者くらいしか、思いつきませんね。我々の中に裏切り者が居るとは思えませんし」
あくまでキサラは裏切り者が居ないと判断しているらしい。
「もしかすると――本郷ミサエ。あのクソババァが裏に居るのかも知れません……」
これも正解。ただ仲間に裏切り者が居ると一切考えないお人好しで、当てずっぽうに過ぎないが、キサラは正解を見事に言い当てた。
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夕日が沈み、夜が近づく。その夕日を見つめる二人の姿が、高層ビルの屋上にあった。
「気合い入れな……ッ! 此処でカナタをぶっ潰さなきゃ、私達に未来はないッ! 逆にぶっ潰す事さえできりゃあ、アーティファクトは私達のもんだ!」
泣く子も黙るデカ女――本郷ミサエ。肩まで伸びた茶髪を後ろで束ね、昭和のババァみたいな小汚い顔と服装だが、妙な貫禄を持つ。
顔の左側に念でも癒えない三本線の傷を持ち、ジャラジャラと金製の鎖やリングを身に着けている。
歴戦の猛者感はなく、ただの成金みたいな風貌だ。
新聞を捨て、「何がフェミニズムだ……! あの政府の犬共は腐ってるねぇ……! 他所の国から病原菌みたいな思想を持ち込みやがって気色悪い! いつか私がこの国を変えてやるッ!」とミサエは踏み潰す。
彼女はゴリゴリに男性蔑視しており、男女平等には反対している。社会は女が回しているのにも関わらず、国は男ばかり優遇した制度を提供する。
こんな理不尽な世界を変える為、彼女は国と戦っているのだ。
というのが建前で、単に暴れたいだけのババァ。それが本郷ミサエである。
「そうね。特に近親相姦を禁忌とする社会風潮。これを是正しなければ、日本に明日はないわ……」
ワンピース姿のデブ――大咲坂未も不敵に笑う、手錠で縛られた自分の息子を小脇に抱えながら。何だか思想だけなら、ルカやチグサと気が合いそうな人物であった。
「……ところで、フミカちゃんは?」
ふと湧いた疑問をサカミは口にする。一ヵ月前に〈アラネア〉が捕まえたフミカを、新人である彼女は見ていない。
「……アレは見ない方が良い。それより、アンタはどうするつもりだい? このまま私と一緒にカナタを始末するか。それともチグサの方に行くかい?」
拠点の光景を思い出す。見て気持ちのいいもんじゃないと、ミサエは判断して仕事の話を切り出した。
「息子が居るのよ。チグサにするわ。あの子、超能力を使いこなせてないんでしょう? それなら街で戦えば有利よね」
サカミは女優ではあったが、訓練された超能力者だ。有象無象の本職より身のこなしは洗練されている。それこそが、彼女が大女優と称された所以でもあった。
「……どうだろうね。私にはチグサは能力を使いこなせると睨んでいる。ただ、強すぎて人を巻き込んでしまう。だから、わざと力を抑えてんじゃないかねぇ」
馬鹿そうな顔の癖に、ミサエの洞察眼は確かの様だ。以前チグサを遠目から見ただけではあるが、何となく本質的な能力を見極めていた。
熟練された兵士でも、彼女ほどの目を持つ者は非常に稀だろう。
「そういう人、いるわよね。理解できないわ。戦場で他人の命が気になるなんて、平和ボケし過ぎなのよ」
紐で器用に息子を自分に括り付けて背負うサカミ。
「理屈じゃないんだろうさ。アイツが戦いに不向きな性格なのは間違いない。だが、精神的な鎖なんて断ち切るのは一瞬さ。何かしらの不幸があって、自暴自棄になられたら厄介だ……。今回で確実に仕留めな、今後化けるかも知れない」
冗談か本気か分からない曖昧な調子で、ミサエは不敵に笑った。