※この作品はR-18です。

インキュバス イン テイワット   作:朝潮

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モンド風焼き魚(2)

 

 

 

焚き火台の上でパチパチと火が爆ぜる。

その周囲には、串に刺さった魚肉が並んでいる。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「美味しい!」

「美味しいです!」

 

あの後も、2人に好きにやらせていたらみるみるうちに成長していた。

瑠璃グッピーにスイートグッピー、藍染グッピーと様々なグッピーを釣り上げた。

グッピーばかりなのはご愛嬌。

 

そんな彼女達の活躍に応えるため、オレは旅人の腕を振るう。

絞めた後にしっかりと内臓を抜いて、洗っておく。

ここが好きな人もいるようだが、オレは子供舌だからな。

 

それに、内臓は腐りやすい。

今日のようにすぐに焼くなら問題ないが、普段から取り除く癖がついている。

鱗とヒレを取り除き、ある程度の大きさに切り分けたら。

焚き火に使わずに取って置いた枝を尖らせて作った串に突き刺す。

 

遠火でじっくりと焼き上げ、胡椒を振って。モンド風焼き魚の完成だ。

もし寄生虫がいても大丈夫なように、時間をかけて中までしっかりと焼くのが大切だ。

 

2人に倣って、オレも口をつけてみる。

癖のない香ばしい魚肉。ピリッと刺激のある黒胡椒が食欲を唆る。

噛むと小さい体にぎっしりと詰まった旨みが溢れ出す。

しっかりとした味の魚の後に、間に挟んだ野菜を食べる。

胡椒で辛くなった口をリセットして飽きさせない。

 

「うん、美味いな」

 

新鮮な釣れたての魚を外で食うのは、店で食べるのとはまた別の美味さがある。

今日作ったのはモンド風だが、同じ材料でも璃月風のチ虎魚焼きはまた違った風味で美味い。

あれは強火で焼くから、焦げないようにするのが大変なんだ。璃月についたらもう一度食べたいな。

オレはモンド風焼き魚最後の一口をかぶりつき、残った串は焚き火に投げ入れる。

 

「ごちそうさまでした」

 

いつの間にか、数匹釣ったはずのグッピーは全て3人のお腹の中に入っていた。

一串が小さいこともあり、これならいくらでも食べられるな。

 

「2人とも、釣りはどうだった?」

「楽しかった!」

「私も楽しかったです。それに、とても美味しいです。少しお魚さんがかわいそうではありましたが」

 

ノエルは、メイドらしく調理の手伝いに名乗り出てくれたのだが。

彼女は小さく可愛いグッピーを捌くことがどうしてもできなかったのだ。

 

「それが命を頂くって事だよ。せめて美味しく食べてあげないとね」

 

2人はオレの言葉を胸に刻むように、神妙に頷いた。

サバイバル生活といっても、無闇に何でもかんでも命を奪っていくものではない。

必要な時に、必要な数だけ。捨てたり腐らせたりするのはもってのほかだ。

 

「バーバラ。今日はテントを張ったり食料調達をしたりしてみたが。やっていけそうか?」

「初めてのことばかりで大変そうだけど、楽しみでもあるんだ」

「その意気だ」

 

バーバラは心底楽しそうで、オレも釣られて笑顔になる。

可愛いバーバラの頭を撫でる。今から2人旅が楽しみになってきた。

 

「さて、このまま景色を眺めながらキャンプといきたい所だが……

そろそろ片そう。少し早いが、テントの代金を払いに行かなきゃな」

 

釣りや料理で忘れかけていたが、今はテントを借りているのだった。

なかなかの額だが、それだけの性能をしている。

オレは購入を決めて、飛んでいくモラに思いを馳せる。

もっと便利なものもあるだろうが、キャンプは不便な事を楽しむのも醍醐味の1つだ。

 

「ちょっと名残惜しいね」

「そうですね。景色も綺麗でしたし」

 

 

【挿絵表示】

 

 

オレたちは協力して、設営したテントや焚き火台を回収し、マジックポケットに収納する。

あの大きさの物をこの鞄に突っ込めるの、何度見ても慣れないな。

 

オレたちはモンド城まで戻り、テント売りの店主にしっかりと代金を支払う。

これで名実共にオレの物となった。

 

「今日は食べてばかりだから、少し運動したいかな」

「運動か……」

 

不意にバーバラが何気なく呟く。

このまますぐに運動したら胃の中の物が出てきそうだ。

 

「それでは、冒険者協会で何か依頼を受けますか?」

「うーん、それも良いんだけど……私はベッドの上で運動したい気分かな」

 

バーバラ……なんてキラーパスを出すんだ。

オレは悪戯っぽく笑うバーバラに内心で抗議を入れる。

 

「ベッドの上ですか?ストレッチのような物でしょうか」

 

そんな中、ノエルは想像以上にピュアだった。

バーバラの言いたいことがわかっていないようだった。

純真無垢というか、知らぬが仏というか。

 

「えへへ。見てのお楽しみだよ。ノエルも来るよね?」

「はい。今日1日はご主人様にお供します」

 

突然ヤる気になったバーバラが積極的すぎる。

確かに手伝ってくれるとはいっていたが……

オレは妙なことを口に出さないよう口を噤む。

 

「それではホテルに一名様ご案内〜」

 

バーバラはノエルの手を引いてズンズンと歩き出す。

ノエルも、よくわからないなりに楽しそうについていく。

 

 

 





【挿絵表示】

左手:テント設営場所 右手:釣りポイント
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