【2/20追記】寝る前に電気を消す描写を入れ忘れたので追加しました! 忘れていてどうもすいませんでした!
●この小説はpixivにも投稿しております
夜、消灯時間を越えた遅い時間。私は寮の自室で机に向かい、座学の他に自分で学んでおきたいことの勉強を終え、網膜透写していたページを閉じる。私と同様に、学びに
「…………」
甲さんは椅子に腰かけたまま、両手を机の上に置いたままの状態で脱力し、目を閉じてしまっていた。……甲さん、眠ってる。
ARR-another rain route-
第六章『呼び起こされる記憶』
毎日の過酷な体力づくり、戦闘技術の習得訓練、
想い人が一生懸命物事に打ち込む姿。それを間近で見ることができるということを、私は喜ばしく感じている。しかし、彼が身体を鍛えているのは――人を上手に殺すため。
彼が学んでいるのは――人を効率よく殺すための知識。そして、彼を突き動かすものは、愛する人を殺されたことにより生じた――復讐の炎なのだと。
その事実に対して、
私はそんな彼を、これから一生隣で支えると決心して、ここに赴いたからだ。……たとえそのことによって自分の手が、今よりも一層血に塗れたものへ、変わり果てたとしても。
とにかく、私は自分のやれることをしよう。そう思い、椅子から立ち上がる。ベッドへ移動させるために、甲さんを起こそうと声をかけようとして、その唇に目が行った。
ふっと、病院での悦楽の記憶が呼び起こされる。毎日のように、私に接吻をしてくれた、唇。机に置かれた甲さんの両手に、視線が移る。
あの頃、私の胸を何度も揉みしだき愛撫していた、逞しい男の人の手。
「……っ」
そのことを少し思い返しただけだというのに、瞬時に私の下着は分泌された体液で濡れ、湿り気を帯びてしまう。部屋割りを操作した時に、あわよくば、という気持ちもたしかにあった。
だけど実際に彼はどこまでも理性のある紳士であり、そのことを尊敬すると同時に――残念に感じる、淫らな自分がいた。
「甲さん……」
いけないと、わかっているのに。甲さんの顔に、徐々に接近していく。もう長い間、口づけを交わしていない。また唇を重ねて、唾液を交換し、舌を絡めたい。身体にも、触れてもらいたい。そう考えた私は、甲さんの口に、自分の口を合わせかけて。
「空……」
「……っ!」
まるで、亡くなった彼女が、彼の身体を借りて私を止めようとするかのように。甲さんは“その名”を小さくつぶやいた。
「ごめんなさい……」
謝罪の言葉を口から絞り出し、甲さんから身を引いていく。今も彼の心の中には、彼女がいる。そんなにも、一途に甲さんから想われる彼女が、心底羨ましかった。
「うっ……」
声が漏れ出ると同時に、涙が頬を伝い、流れていく。私だったら、こんなにも彼に想ってもらえることができたのだろうか。そんな意味のない。亡くなった彼女にとって、大変失礼なことを考えた自分に、また嫌気がさす。
私という人間は、なんて醜いのだろう。
「はあ……っ……」
荒くため息をつき、机の上に置かれたティッシュを震える手で数枚取り、目蓋が腫れてしまわぬよう、涙をそっと吸わせていく。幾度か深呼吸をしてから、部屋の姿見の前に立つ。そして普段どおりの表情を作ることができたことを確認し、机の前に戻り声をかけながら、甲さんの肩を揺すり始めた。
◇ ◇ ◇
「甲さん……甲さん……」
俺を呼ぶ、女の子の声が聞こえる。この声は……レインか……?
「甲さん。疲れているのはわかりますが、明日はお休みの日ではありませんし。ちゃんとベッドで寝ないと身体に毒ですよ。このままでは風邪を引いてしまいます」
目を開けると、俺を見下ろし眉根を寄せ、子どもを叱りつけるような声色で注意するレインの姿が見えた。
「んー、いいよこのままで……」
倦怠感をともなう疲労が眠気を誘い、俺の目蓋を再び閉じさせる。この場で、ただ泥のように眠りたかった。それほどまでに、今の俺は疲れを感じているのだ。
「……失礼します」
そう言ってレインは俺の腕を持ち上げ、脇の下から頭を入れて身体を担ぎ上げた。
「お、おいレインッ」
「文句がおありでしたら、机ではなく、きちんとベッドの上で寝てくださいませ」
女の子だというのに、レインは軽々と俺を支えたままベッドへと向かい歩き出す。さすがだな、レイン。普段から身体を鍛えているだけのことはある。
「…………」
疲れているせいか。はたまた、俺の身体に押し当てられたレインのぽよぽよとした胸の感触が心地よいからか。ボーっとした俺はなすがままになり、完全にレインへと身体を委ねてしまっていた。
「あ、あら」
「んっ……?」
戸惑うような声に併せて、急に不安定になるレインの動き。慣れない体勢によるものなのか、レインはふらふらと左右に身体を揺らしたかと思うと、バランスを崩し足をつまづかせてしまった。
「きゃっ!」
「おわぁっ!?」
身体を横方向に、ぐるりと一回転させつつベッドへと倒れ込むレイン。重なり合いながら、レインと一緒に俺も彼女の上に倒れてしまった。
「うぅ……いたた……」
「いてて……ん?」
起き上がろうと手を突こうとして、なにか“柔らかなもの”をつかむ。
「きゃあっ!」
レインが高い声を上げる。なんだ、これ。確認するために、両手でもう一度“それ”を握ってみる。柔らかく、むにゅむにゅとした感触が心地よい。ずっとこのまま揉み続けていたいと思える、俺の手に完全にフィットした、懐かしい感触の“これ”は。
「あんっ……やっ……んぁあぁっ……! こ、甲さん……あの……そこ、はぁ……!」
「……っ!」
ようやく俺は、レインの“乳房”を両手でわしづかみにして、揉みほぐしていたことに気づく。しかも俺はレインの身体に覆いかぶさり、まるでベッドへ押し倒したような形になってしまっていて。
ギシッ。情事を連想させるベッドのスプリングの軋む音が、静まり返った部屋に響き、病院での日々が頭を過ぎる。……ちょうどいつも、これくらいの時間にあんなことをしていたっけ。
そんなことを、眠気でぼんやりとした頭で考える。
「甲……さん……」
俺に触れられたことで感じたのだろうか。俺を求める潤んだ瞳を向けて、頬を赤く染め熱を含んだ声音で俺を呼ぶレイン。
「っ……」
レインの唇と胸に、視線が引き寄せられる。何度も舌を絡め、唾液を注いだ、小さく柔らかな唇。飽くことなく数えきれないほどに揉みしだいていた、横になっても形をほとんど変えることのない、ハリのある豊満な胸。
思わず、生唾をゴクリと飲み込んだ。実際のところ、俺はいつも性欲の処理は二日か三日に一回、レインが寝静まってからこっそりトイレで済ましている。
しかもここ最近は寝る前の勉強で忙しかったため、前回処理した日は数日前まで遡らなければならない、という厄介な状態に俺は陥っていた。ゆえにこんな風に俺を欲する瞳で見つめられて、男として平静を保ち続けることなど、できるはずがなかった。
――だが俺は、絶対に応じるわけにはいかない。
『あんっ……あっ……甲さぁん……好き……大好き、ですぅ……んぁ……ぅっ……愛して、ます……』
何度俺の名を呼び、愛をささやこうとも。彼女が見ているのは――俺じゃない。
『これからずっと、私が空さんの代わりになりますから』
『私の好きな人になってください』
俺の身体を通すことで。俺ではない、自分の好きだった別のだれかを、彼女は見ているのだと。冷静な自分が、耳打ちをする。
「ごめん……」
「あ……」
そう謝罪しながらレインの両胸から手を放して身体を起こし、ベッドの脇へと移動する。名残惜しそうな表情を浮かべた後、レインはベッドから降り、備えつけられたはしごに手をかけた。
「…………」
「…………」
俺たちの間に、言葉はなく。はしごの軋む音が、音のなくなった部屋へと反響し、今の俺たちの心境が表現されていく。寝る前には必ず、おやすみの言葉を交わす俺たちだったが。
たった今、この時だけは。そんな言葉をかける余裕もなくなってしまっていた。やがてレインははしごを登りきると自分の寝所へと辿り着き、なにも言わず大人しく布団の中へと入っていった。
「……はあ」
それを見届けホッとして、ため息をつく。……肉欲に駆られ、彼女を襲わずに済んだのだと。さっき一瞬見えた、レインの顔が残念そうに見えたのは、きっと気のせいではないのだろう。
でも、これが彼女のためだ。自分の欲望に、しっかりとふたをして、封じ込める。そしてなにも考えないようにして布団の中に身を滑り込ませ、枕に頭を乗せていく。
「……電気、消すぞ」
「……はい」
最低限必要な言葉だけをかけ、レインもそれに応える。
『おやすみなさい。よい夢を』
やがて豆粒ほどの明かりへと変わると、ろうそくの灯火に息をかけ、ふっとかき消すように。それは音もなく消え、部屋は闇一色に包まれて、就床の準備が整えられた。
――あんな虚しい、悲しいことは、二度とすまいと。ただそのことだけを俺は固く誓いながら静かに目を閉じ、深い眠りへといざなわれていった。
第六章『呼び起こされる記憶』
終
前回はいったい何だったのかと言いたくなるくらいにシリアスな話ですいません……。
あんなR18コメディ回を何故あんな真面目な話の後に入れたのかというと、ずばりこれの後だと笑えなくなるからです……。
今回は暗い話ですが、絶対に傭兵訓練所編で入れなければいけない話なので書きました。
いやだって、みなさんも原作の「戦場の二人」の病院編から二人がヤっていなかったという衝撃の事実が二回目のえっちシーンで判明した時驚きませんでしたか!?
私は本当に驚きました……。
なので、その事実に対してきちんと理由付けをする話を書くべきだと思って今回の話が生まれたみたいです。
なぜ「生まれたみたい」なんて言い方をするのかと言うと、私は話を基本的に思い付き100%で書いているので、ネタが浮かんだ後からその理由を自分で推理するんです……。
こういう話を書くべきだから書いた、ではなく。
「こういう話が浮かんで書いたけど、こういう理由で書いたのか!?」って自分に問いかける感じです……。
ネタが浮かぶメカニズムが自分でも謎なのでいつもこうなります……。
ちなみに私は甲レインに脳を焼かれたことにより、千夏ルートのノーマルエンドを残してDive1を中断し二次創作を始めた異常者です……。
現在もその状態を継続してこれを書いています……(いい加減にクリアしろ)
DiveXは「BALDR SKY the Another」をネタバレ回避のために見ないようにしてスキップで終わらせ、公式からの唯一の濃厚な供給である「戦場の二人」をちびちびと咀嚼するようにプレイしながら浮かんだネタを書いていました。
二回目のえっちシーンまで読み進めた時は驚愕しました……。
まさか二人が一度もえっちしてなかったなんて……。
しかも私はその時既に、病院編と傭兵訓練所編のえっちネタを書いてしまっていたのです……。
結局病院編のは修正して、傭兵訓練所編のえっちネタはボツにしました……。
傭兵訓練所編のえっちネタはしっかり一話分書いてしまったというのに……。
まあ正直、もったいないから妄想極秘ファイル扱いでその内小説かえっち漫画にするのもありかなって思ってます!
えっち漫画はまだ描けないので、もっと絵を勉強して画力を上げてからになるんですけど……。
次回は性欲三部作完結編です。
最後はまたもやレインのひとりえっち回です。
「ひとりえっち書くの苦手なのにまた書くのかよ!」と思いながらも、書かなくてはいけないので頑張って書きます!
次回が傭兵訓練所編のえっち回ラストです。
その次からは傭兵時代編までずっと健全なお話になります!
傭兵時代編はほとんど合体するえっち回になるので、今から大変そうで悩んでます……。
とりあえず官能小説の参考書を五冊買ってあるので、それを読んでちゃんと勉強してから書きたいと思います……。
次回はまた二週間後くらいにアップしたいのですが、手こずったら遅くなるかもしれません!
えっちなお話でどれか読みたいと思うものはありますか?ちなみにもちろん全て甲レインで、『記憶を失くした俺と、彼女の初体験』(愛と快楽の会議で最後までする話)が一番書けています。一番内容が薄いのは初日にHする話です…。
-
愛と快楽の会議で最後までする話
-
枕代わりに使ってと言われて甲を眠姦する話
-
嫌がるレインを襲って最後までしちゃう話
-
愛と快楽の会議でHしないと出られない部屋
-
レインルートの初日でレインとHする話