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いったい、なにが起こっているんだ。俺は彼女に試されているとでもいうのか……? 眼前には、大胆にも開かれた女の子の両脚。膝上まである長い丈の靴下に包まれ、ムチムチとしたその太ももは、強力な絶対領域の威光をもって、俺を誘惑しているかのようで。
――その間にある“大事な部分を隠すための衣服”まで、豪快に俺へと見せつけられている。よりにもよって、彼女がこんな場所で、なんの意図をもって、こんなことをするのかはわからない。
脳内を大量の疑問符が埋め尽くしていく中、ただひとつ俺にもわかることがあるとすれば――今日の彼女のパンツの色は水色、ということだけである。……さすがだな、レイン。青系統の色を好む俺の趣味に完全に適合した、彼女の完璧な選択に、俺は心の中で賞賛を送った。
ARR-another rain route-
第七章『歴代最高の』
現在、南南西の風、風速二メートル。そろそろ梅雨入りを迎えようという時期だが、本日の天気は晴れ時々曇り。今のところ視界は極めて良好だ。しかし、視野に表示した風向きと風速表示は俺をおちょくるように、先ほどからコロコロと目まぐるしく変化していく。
なにやらネットの予報では、これからさらに風が強くなるらしい。クソッ。わざわざこの俺が休日に射撃練習なんてもんをやってるっていうのに、ついてないな。
「……はあ」
見当違いの場所に発射された弾丸を見送り、ライフルを下ろす。
自分をこんな哀れな姿にした俺のことを、恨めしそうに彼はにらみつけている。今日は週に一度しかない休みだが、俺は教官に許可をもらって練習場に赴き、射撃練習に励んでいた。
いつも着ているスウェットや、支給されたTシャツではなく。訓練の際に着用する、茶色を基調とした戦闘服に身を包み。頭にはシューティンググラスを、耳にはイヤーマフを着けている。
訓練初期から感じていた、
『門倉甲さん。桐島レインさんから
気を取り直し、再び銃を構えようとしたところ、
『門倉甲さん。着信を保留にいたしますか?』
今出るから、少し待てよな。着信の保留を急かすように告げる
『甲さん、射撃練習中にお邪魔をしてしまって申し訳ありません』
「いや、大丈夫だ。用件はなんだ?」
『部屋のお掃除も終わりましたので、今からそちらにうかがっても構いませんか? 甲さんが練習しているお姿を見学させていただきたいです』
まさに、渡りに船ってやつだな。射撃の技術に優れたレインなら、きっと俺になにかいいアドバイスを与えてくれるはずだ。
「もちろんいいに決まってるだろ。さっきから練習しているんだが、もうすっかりスランプになっていて困ってる。できればレインから助言をもらえると嬉しい。待ってるよ」
『はい、それでは今から向かいますので、少々お待ちくださいませっ』
レインは微笑み弾んだ声で返事をして、
◇ ◇ ◇
『到着しました』
射撃練習をしている俺を気遣って送ってくれたのだろう。
スコープから目を離して銃を下ろし、セーフティをかける。
日の光を反射しきらきらと輝き、艶やかで長い金髪をなびかせる美人の立ち姿は、遠くから見ても絵になるものだ。
「レイン、わざわざ悪いな」
「甲さんっ」
軽く手を振って合図をすると、応えるように手を振りながら、レインが俺の元まで駆け寄ってきた。もう片方の手に、射撃グラスとイヤーマフを持って。
「……
「仮想空間の模擬戦闘などは屋内が多く、無風であることもざらですし。今まであまり風の影響を受けた状態で銃を扱っていなかったのも、理由のひとつなのではありませんか?」
「そうかもしれないな……。
特に今日は風向きがランダムに変わりやがるから、正直参った。さっきから、思いどおりに弾を的に当てることができず、俺はすっかり疲れ果てていた。
「自然の風は読むのが難しいですよね。ここは山の上で少々空気が薄くて、飛距離も通常より少し伸びてしまいますし。仮想とはだいぶ勝手が違うと思います。……甲さん、ちょっと銃を構えていただけますか?」
「いいけど」
両脇を締め上体をやや後方に逸らし、腰の上に乗せたサポートハンドで銃を支える、
「もう少し、脇を締めたほうがよいと思います。姿勢も、もっとこう……」
「う、うん」
言葉と一緒に、レインは背後から俺の腕をつかみ、姿勢を矯正していく。ぎゅっとレインの豊かな胸が背中に押し当てられ、ムニュムニュとした、やわらかな感触が身体へと伝わる。
「……っ」
入院していた頃、病室で何度も何度も。その胸を揉みしだいたことを、つい思い出してしまう。おい、ライフルには実弾が入っているんだぞ!? いかんいかん! 集中しろ!
煩悩を全力で頭から振り払う。
「次に呼吸法の見直しも行ないましょう。私の言ったとおりに行なってくださいね」
「呼吸法の見直しか、わかった」
「……息を吸い始めると同時に銃を上げて、標的より上に照準がある状態まで持っていってから、口から息を吐いて銃を下ろして。照準がちょうどいい位置に来たところで息を止め、引き金を引いてください」
「…………」
呼吸法には種類があるから、教官に習ったもの以外を教えてくれると思ったんだが。それは……。
「発射後も一秒程度は、銃を保持した状態を維持するのをお忘れなく」
俺をからかう様子はなく。至って真剣に。いつもどおり落ち着いた声音で説明してくれるレイン。
「初歩中の初歩だよな、それ……。まあ、やるけどさ……」
渋い顔になり、文句をぽつりとこぼす。
「今ちょうど、風が止んでいて狙い目ですよ、甲さん」
視野に映りせわしなく回転していた風向き表示はようやくその動きを止め、たった今、この場で風が止んでいることを知らせてくれている。
「たしかにいいタイミングだな」
バカにされているのかと思うような基本的なことを言われ、俺は少し頭にカチンときていた。だが今の俺は、自分よりも射撃の腕が立つレインに教わっている身だ。自分の子どもじみた感情に抗い、さっき言われたのと同じ呼吸法をした後、トリガーを引く。
「え……」
驚き、間抜けな声が口からもれ出る。ヘッドショット、とはいかないが。低い発射音と同時に放たれた弾丸は、的の腹部の中心近くへと無事に着弾されていた。
「これで、少しは身体のブレが抑えられたのではありませんか?」
「そうみたいだ。なんでこんな基本的なことができてなかったんだ、俺……。そうか、呼吸は盲点だったな……。シュミクラムだと、なんなら呼吸しないでいられるしな」
シュミクラムにおいて、呼吸というものはただのイメージだ。ゆえにシュミクラムに
「今思うと、シュミクラム訓練が始まってから、呼吸をまったく意識しないで射撃していたかもしれない……」
まったく、なんということだ……。
「シュミクラムではそれでもいいかもしれませんが、
「なるほど……」
「あとは射撃姿勢を見直してみるのも有効かもしれません。どうしたってシュミクラムよりも
「射撃姿勢の見直しかー。それもやったほうがよさそうだな」
呼吸が不要な鋼鉄の身体と、呼吸が不可欠な
「性別やその人の体形によって変わるのですが、とりあえず参考までに、私の射撃姿勢をご覧になりませんか?」
「レインの射撃姿勢を?」
「はい。他人の射撃姿勢を見ることで、甲さんがなにか気づくこともあるかもしれません」
「それはいい考えだな。じゃあ頼む」
現時点で俺よりも遥かに狙撃の上手い、レインのシューティングフォームを見ることで、きっと色々と得られることがあるだろう。俺は
「はい、お任せください。……あ、すいません甲さん。髪を地面につけたくないので、まとめる時間をください。そんなにはかからないので。あと、髪を結う間、これを預かっていただけますか?」
「わかった」
返答しつつ、レインの持つイヤーマフを受け取る。レインの髪は長い。腰に届くどころか、お尻の下までかかるほどの長さがある。さすがに訓練の際にも邪魔になるし、もう少し短くしたほうがよさそうに感じられる。
だが傭兵を志すことになっても、捨てたくない乙女心というものがレインにもあるのだろうと、そう俺は納得した。レインはシューティンググラスをベストの合わせの部分に引っかけ、スカートのポケットから、折り畳みのヘアブラシとヘアアクセサリーを取り出していく。
どうやらそれは、クリップと一体型になったリボン型のヘアネットらしい。
「あ……」
きょろきょろと周りを見てから戸惑った声を出し、レインは櫛と髪留めを持ったまま、動きを止めてしまう。
「あの……ここだと鏡が使えないので……甲さんの視界を、お借りしてもよろしいですか……?」
だだっ広くなにもないこの場所では、髪をまとめづらいと思ったのだろう。テーブルがある所までは距離があり、時間を節約するために、レインは俺にそんなお願いをした。
「ああ、構わないぞ」
他の男の訓練生に同じことを頼まれたら、もちろん断るだろう。よく知りもしない相手と
視界の共有など大したことではないため、俺は気軽に返事をする。
「……それでは、お願いいたします」
レインは色っぽく髪をかき上げ、うなじに指を滑らせていく。反応し開いた
「…………」
受け取ったケーブルを見て、ふと荒野でさ迷った日々のことが、頭に思い起こされる。
『ごめんね……? 重くない、甲……?』
『平気さ……。それより、ケガのほうは大丈夫か、空?』
暴漢に殴られた影響で耳と目が使えなくなり、聴覚と視覚を借りるために
今もあのことを信じられず、現実を受け入れたくないと願う本心が、そんな愚かな疑問を頭へと生み出していく。もう充分、理解したはずだろう。あれは空じゃなく、レインであって。
あの出来事は、暴行を受けたことにより記憶に混乱を来たした俺が見た、都合のいい幻だったのだと。そうやって、俺は自分を無理矢理にも説き伏せていく。
「あの……お嫌でしたら……断っていただいても、構いませんから……」
――陰りのある笑みを向けて語りかけるその瞳は、罪悪感という名の濃い闇で塗り固められ。今にもそこから、彼女の悲しみが涙とともに、にじみ出てきそうに見えて。
「いや、これくらい平気だ。気にするな」
「はい……」
首筋へ触れさせた指先に反応し、人工筋肉に覆われた
あの時と違って、レインの視野を共有するわけじゃない。レインは俺を騙したくて、あんなうそをついたんじゃないんだ。……もう、彼女のことを許してやるって、そう決めたはずだろう?
「ありがとうございます、甲さん……」
礼を告げて俺の視界を鏡代わりにするため、レインは真っ直ぐに俺の顔を見つめる。いつも着けている縦長の三角形の髪留めを外し、櫛で軽く髪をとかして、慣れた手つきで髪をお団子頭にしていく。
後ろを向きクリップの片側をお団子に挿して留め、そのままネットの中にお団子を入れ込み、形を整える。最後にいつも着けているほうの髪飾りを耳の横で留めることで、その上品なヘアスタイルが完成した。
いわゆるシニヨン、という髪型だろう。ネットが付属されてサテンのように光沢がある、大きな紺色のリボンを用いて、レインはその長く美しい金髪をまとめていた。
まるで今からパーティーに行くかのような、優雅なヘアスタイルをしたお嬢様。軍服を着てイヤーマフと射撃グラスを装着し、巨大な銃を携えるその姿は、なにかの冗談のように見えてしまう。
……俺のせい、なんだよな。花を抱える姿のほうが似合う可憐な少女に、狙撃銃なんて物騒なものを持たせ、傭兵を志すことを促したのは、俺なのだと。
『私たちが前に行くために……。私が前に行くために……、きっとこれは必要なことなんです』
入所して間もない、あの雨の日。レインは自分のために、訓練所に来たと言ってくれた。あれが優しいうそであれ、真実であれ。彼女がここに来るきっかけを与えたのは――他でもない、この俺だ。
「……っ」
おのずと拳を強く握り、唇をぎゅっと噛み締める。そんな彼女の姿を見て再度自分の犯した過ちを悔やみ、俺の心は――光が届くことのない、深い海の底へと沈んでいった。
◇ ◇ ◇
イヤーマフを装着して互いの声が聞き取りづらくなり、練習中は
声を聞き取りやすくする機能が付属された、電子式のイヤーマフを使っていれば、このように
できるだけ経費削減を行ないたい訓練所としては、電子式イヤーマフの消耗を抑えたいのだろう。ちなみに今使用しているマンターゲットは、ここへ来る前に俺が工作室で製作した、3Dプリンター製の安価なものだったりする。
再生可能な樹脂製なので、環境への配慮も抜かりない。射撃練習を許可する代わりに、自分で作ったものを使うようにと教官から言われたため、わざわざ工作室へ寄ってきたというわけだ。
普段訓練の際は用意されたターゲットを使用していて、自主練だと自ら準備しなければならないなんてなんとも面倒だが、仕方がないだろう。
(まずは
(ああ、頼む)
俺よりも洗練され堂に入った、
(さすがだな、レイン)
(本当はヘッドショットを狙いたかったのですが、教官にまだ早いと言われてしまったので)
(でも凄いよ。俺なんかあれ、だぜ?)
さっきどかした穴だらけのマンターゲットを親指で指し、皮肉交じりの笑みを見せる。
(ふふっ。まだ甲さんは、
(そうかな? そうだといいけど……)
お世辞だとしても、俺よりも銃の扱いに長けた彼女からそんな励ましの言葉をかけてもらえることを、俺は素直に喜ばしく感じていた。
(私の
説明しつつ、レインは足首を立てた状態で右ひざを地面につける。その上に上体を乗せて左側のひざを立て、その上にサポートハンドの肘を乗せていく。
(……はっ?)
(なにかおかしいところがありますか、甲さん?)
(な、なんでもない!)
おかしいところがあるに決まってるだろ。――お前のパンツが、丸見えになっているんだぞ。
「…………」
いったい、なにが起こっているんだ。レインはスカートから下着を露出させてしまっているというのに、心を乱すことなく銃を構え、
先ほど海の底に沈んだはずの俺の心は、海底探査船に陸へと引き上げられた余命いくばくもない深海魚のように、強い動揺を感じていた。俺は、彼女に試されているとでもいうのか。
目の前にはニーソックスで覆われ、豪快に開かれた肉感的な太もも。その上の絶対領域と、普段は衣服で隠され人目に晒されることのない、レインの清楚な下着。
こいつ、なんでこんなことをするんだ。俺が休日に部屋でゴロゴロせずに、せっかく射撃練習なんてもんを自発的にやってるっていうのに、身体を使って邪魔する気かよ。……いや、待て。
レインはそんな、頑張っている人間をからかうようなマネをするやつじゃない。じゃあなんで、こんな。頭の中がレインの行動への疑問で占められている中、とりあえず今の俺にわかることはただひとつ――今日のレインのパンツの色は水色、ということだけだ。
……さすがだな、レイン。いい趣味してるじゃねえか。ブルー系の色が好きな俺は、レインの今日のショーツを一目で気に入ってしまった。
「…………」
何事も起きていないかのように、涼しい顔をして狙撃を継続するレイン。それにしてもレインのやつ、なんでまったく動じてないんだ? この体勢だと、パンツが丸見えになるってわかるだろうに。
――そうか、ここに来て両性生物のクソになったからか。スナイパーライフルが低い唸りを上げる音が、視界の開けた射撃練習場に響く中。瞬時にピンと来た俺は、その理由に思い至る。
常日頃、教官からうんざりするほどに言われている言葉――両性生物のクソ。もう既にお前は慎ましやかな女の子から両性生物のクソになり、男に下着を見られてもなんとも思わなくなったってことだな。
……だから、男のルームメイトが下で寝てるっていうのに、同じ二段ベッドでオナニーなんて大胆なマネができたってことなのか!? なるほどぉ! 凄ぇよお前! でも切り替え早過ぎだろ!
俺はこの地に赴いた彼女の意識改革の早さと凄さに、改めて敬服すると同時に驚愕した。でも待てよ。ついこの間まで、俺の裸を見て顔を真っ赤にしていたあのレインだぞ?
慎み深いお嬢様が、いくらここに来て両性生物のクソになったとはいえ、男にああも堂々とパンツを見せて平気だとは思えない。……もしかして、普通に気がついていないだけなのか!?
うそだろっ!? 射線に入る正面は避け、俺は慌ててレインの下半身を周囲から隠すような位置へと移動して、しゃがみ込んだ。
(その位置から見たほうが、わかりやすいかもしれませんね)
(そうだな)
違う! お前のパンツがだれかに見られないように隠してやってるんだよ! ……そっか、お前結構抜けたところがあるから、気づいてなかったんだな。せっかく俺のことを考えて真面目にやってくれていて水を差すのも悪いので、俺はこのことをレインへ指摘しないことにした。
実際教官に『お前らは両性生物のクソだ!』って言われて意識を変えたやつがいたとしても、お前の可愛らしいパンツを見たらすぐに、両性生物のクソからオスザルに戻っちまうと思う。
――現に、俺がそうなってるし。先刻から俺は、レインの下着から片時も目を離すことができなくなっていた。ゲイでもなければ、これを見せられてなにも感じない男の訓練生など、ひとりもいないだろう。
まったく、
……いい、パンツだ。目の前に現れたショーツを、俺はじっくりと観察する。アイギスガードに合わせたのだろうか。それは、彼女の機体の装甲と同じ空色に染め上げられたもので。
中央上部には、ひらひらと風に揺らめく長めのリボン。裾の部分に施された上品なフリル。リボンは紺色のもので、全体的に青系統の色で品よくまとめられたレベルの高い装飾である。
よくぞここまで俺好みのものをセレクトしたものだと、俺はうんうんと首を縦に振っていく。
(……それは、私の射撃を褒めてくださっているのですか?)
(そうだな)
(ありがとうございます、甲さんっ)
大人っぽい容姿から、下着もレースをメインとしたアダルトなものを選択しているのかと思えば、年相応の幼さを感じさせる愛らしい今日のショーツ。俺は先ほどからすっかり心を奪われ、レインのパンツに目を釘づけにされてしまっている。
ここに来てからレインが俺よりも一足先に大人の階段を上り、子どもっぽさを感じさせなくなっていたことに、俺は一抹の寂しさを感じていた。しかし、彼女の少女らしさというものは――どうやら
(次は
(そうだな)
ニーリングよりも安定感のある、
(膝を上下させて、銃の高さを調整していきます)
(そうだな)
もちろん、そんなポーズをしているせいでスカートの裾はめくり上がり。ムッチリとした太ももが、さらに
俺は斜めの角度から、じっくりとレインの下着を眺めることにした。
「……っ!」
どうする……!? 視線を細かく動かし、太ももとパンツのどちらを凝視しようか迷う。パンツ、太もも、パンツ。……いや、太ももかっ!? 数秒悩んだ末、苦渋の決断を下す。
選んだのは――もちろんパンツだった。だってそうだろ。どう考えても、パンツのほうが圧倒的に希少価値が高い。そんな事実がありながらも、俺の目を引きつけてやまない、レインの豊満な太もも・ニーソックス・絶対領域の吸引力には大変に恐れ入った。
(訓練でも習ったと思いますが。……こちらの
(そう……だな……)
――レインの言葉がするすると。俺の耳から、意識から、通り抜けていく。ぐあぁあぁああああぁあぁっ! お前ぇ! なんつうポーズしてんだよぉ! レインはなんと、M字開脚をして地面に座り、膝の内側に肘が来るようにして銃を構え始めたのであった。
『くぱぁ……』という擬音が聞こえてきそうな、レインの艶めかしい姿態によって行なわれる開脚に、俺は激しく心を乱される。くいっ、くいっと。俺を挑発するように、繰り返し股を開け閉めするレイン。
「……っ!」
興奮のあまり、体温が上がることで噴出する汗。俺は首にかけておいたタオルで、必死にそれを拭っていく。もうこんなエロい体勢で言われても聞いてらんねえ! 今の俺には、お前のパンツしか見えねえって!
(甲さん。ずいぶんと汗をかかれていますが、日が照ってきたから暑くなってしまわれたのですか?)
(そうだな)
返事もさっきから同じ言葉しか返せねえし! 会話支援プログラムを起動する余裕もねえ! そうやって俺はレインの股間を見つめていると――あるひとつの衝撃な事実を発見してしまった。
なん……だと……。さっきは下着が見えた驚きに心を奪われ、察知できなかったが。大きく開かれたタイトスカートの両端の裾からはみ出て、扇情的で肉づきのよい太ももにかかった“四本のリボン”の存在。
そう、レインが穿いている下着はなんと――ひもパン、だったのだ。お前というやつは……いったいどこまで趣味がいいんだ!? ムチムチとした太ももに乗っかったネイビーカラーのリボンは、風に吹かれ揺れている。ひ……ひ……。
(ひもを引っ張って
(えっ? 甲さん、今なんとおっしゃったのですか?)
射撃を中断して銃を下ろし、こちらを見て怪訝そうな顔で尋ねるレイン。
(間違えただけだ! なんでもない! 気にせず続けてくれ!)
(は、はい、わかりました……)
……どうかそのひもパンが、
(風が強くなってきましたね)
(そ……う……だ……な……)
射場の風向きを知らせる
「はあっ……はあっ……」
それが左右にゆらゆらと動くにつれ、俺の眼球も同じ動作を反復する。くそっ! リボンから目が離せねえ! もしかして女の子のパンツのリボンって、こうやって男の目を引き寄せる目的でつけられているのか!?
知らなかった! 下着業界が仕組んだ卑劣な陰謀に、俺はまんまとはめられてしまっていたというわけだ。
(こういう感じのもありですよ)
(そうだな)
レインは座り込んだまま、
それにしても、ひもパンかぁ……。いいなぁ……。
(最後に
(……ソウダナ)
レインはうつ伏せになって、つま先を両脚とも外側へ開き。脚をべったりと地面につけた姿勢を取り、がばっとショーツをさらけ出していく。
「…………」
俺はその真後ろに横たわり、銃を持たない状態で、同じように
――
その下の、大きく開かれた艶めかしい二本の太もも。ニーソックスとショーツの間に描かれる、絶対領域。アルファベットの小文字のxと同じ形になった――究極の角度で眺める、女の子のパンツ。
その四つが奏でる
――ふくよかな女体の下半身というキャンバスに描写された、雄大で壮麗な丘陵と渓谷。神仏に後光が差すかのように、太陽が彼女の全身を照らし、輝かせていく。
「……っ」
その光景のあまりの豊麗さ、神々しさに感銘を受け、目が潤む。俺は自然と両の手を合わせ、レインという名の
◇ ◇ ◇
レインに一通りの射撃姿勢を見せてもらい、助言を受けて試し撃ちを幾度かした後。銃などの片付けを終えた俺たちは、今日の射撃練習を終了し、自室へと歩き始めていた。
「それにしても呼吸法だなんて、ひどい見落としだったよ。俺、シュミクラムの時のクセで、呼吸がおろそかになってたんだなって」
「甲さんに適切なアドバイスができたみたいで安心しました」
「あと射撃姿勢な! シュミクラムよりも色々な射撃姿勢を試せるところが、
「そうです。
「だよな。俺、今まであらゆる点で
ギコギコと。わざとらしく、大昔のぎこちないロボットを模したようなジェスチャーでおどけてみせる。
「……くすっ。それは少し大げさですよ、甲さん」
「ははっ」
まさに、破顔一笑といった様子で。レインは顔をほころばせていった。
「これからは
こうして俺は、
「ありがとう、助かったよレイン」
「いえ、甲さんのお役に立ててよかったです」
「でも次から射撃練習をする時は、ちゃんと軍服から着替えてやろうな」
太ももの半分まで覆う長い靴下は、
「あ、そうですね。土で服を汚してしまいました。私としたことが……戦闘服でなくても、最低でもジャージに着替えてからここに来るべきでした」
そうつぶやいて、太ももや服についた汚れをパンパンと手で払うレイン。
「それはそうなんだが、俺が言いたいことはもうひとつあるんだ。……やってる最中、ずっとパンツ見えてたぞ」
「ええっ!? ど、どどど、どうしてそのことを教えてくださらなかったのですか!?」
驚きのあまり、常に冷静沈着なレインが、最近では見られないほどに口どもっている。
「いや、真面目にやってくれてるから、言い出しづらくて。実弾を込めた銃を持っている人間に、動揺するようなことは言えないだろ? 万が一のことを考えたら、危なくてしょうがない」
「……ということは。ずっと甲さんは、私の下着を目の前で、見ていらしたんですよね……? まさか……
「ああ、丸見えだったからな。
真実を包み隠さず、正直に言う俺。『実際は
「…………」
かなりのショックを受けたらしく。下を向き、表情を失い黙り込むレイン。怒りのためか。握られた両の拳は、プルプルと小刻みに震え始めている。さすがのレインもこれは怒るのか。下着をずっと見られていたのだから当たり前か。
平手打ちでもされるかな。……もしかしたら、顎を外されるかもしれない。そう考えると同時に、背筋に薄ら寒いものが走っていく。
「……うっ」
覚悟した俺に振るわれたのは――ポフッ♪ なんて効果音が似合いそうな、あまりにも力の籠められていない、弱々しい正拳突きだった。
「もうっ、甲さんったら……! ひどい……ひどいですっ……!」
レインは耳まで紅潮させて、近頃ではすっかり鍛えられた俺の胸筋を、なんの痛みも感じられないほどの力でポカポカと叩き怒っている。えいっ、えいっ。小声でそんな、可愛らしい掛け声を出していて。
プンプン! なんて漫画で人が怒っている時に書かれる擬音が、
いくらなんでも手加減し過ぎだろ。格闘訓練の時の怪力はどこへ行ったんだよ。お前の剛腕と技量なら、平手打ちですら顎を外せるだろうに。
「……っ」
そんなレインの様子を見て、口元が緩んでいく。まあでも、レインのこういうところに、俺は和まされてしまうんだよな。
「しょうがないだろ。さすがにあれを他のやつにも見られるのはかわいそうだと思ったから、身を挺して隠してやってたんだよ」
「それにしたって、もっと他の隠しかたをしていただきたかったです……。そのタオルを使わせてくださるとか……。スカートのウエストに挟んで垂らせば、下着を見せないようにできたはずです……」
「あー……」
俺の首にかかった、汗を吸ってびちょびちょに濡れたタオルを指差し、レインは恨めしそうに指摘する。タオルかー。そこには考えが及ばなかったな。だがそれに気づいたとしても、このタオルは自分の汗を拭くのに使ってたから、そんなことには使えなかったんだよ!
残念だったな!
「至近距離で下着を見るなんて……ひどいです……。甲さんの……えっち……」
「そもそもあんな格好をしたらパンツが見えるだなんて、だれにでもわかることだろう。どうして気づかなかったんだよ?」
「私……スカート穿いて銃を扱ったのは、今日が初めてだったので……。それに実弾を込めた銃を持った時は、常に全神経をそこに集中していますから……」
まあ、それも当然か。人の命を簡単に奪えるような危ないものを、扱っているのだからな。
「それにしたって、あれはうかつだったな。相手が俺だったからいいものを。他のやつに下着をあんな風に見せびらかしていたら、きっとすぐに襲い掛かられていたぞ?」
「――そのような輩は武力を用いて迅速に無力化いたしますので、ご心配には及びません」
「お、おう……」
すべてを凍てつかせる絶対零度の眼差しを向けられ、思わず身体が後退し、怯んでしまう。こいつは、本当にやるやつだ……!
「そういえば、今日は水色のフリルとリボンの可愛いひもパンを穿いているんだな、お前。よく似合ってるぞ」
「甲さんっ! もうっ……もうっ……!」
「ははっ」
そう文句を言ってはいるが、俺を叩く力は笑ってしまうくらいに弱く。あー、なんかこれ痴話ゲンカみたいだな。他のやつらに見られたらまた誤解されてしまいそうだ。
レインとの子どもみたいなやり取りに、俺はなんとも言えない癒しを感じていた。
「……やっぱり、もう気にするのはやめます」
突然、俺を叩く手を止めるレイン。
「急にどうしたんだよ?」
「わ、私たちは……両性生物の……ク、クソなので! 下着を見られたことなど、気にするようなことではありません!」
「お前……」
そっぽを向いて、顔を真っ赤にしたまま腕を組み。その上にズンッと乗せた、たわわな胸をこれでもかと張って、
「そんなに顔を赤くしておいて、言ってることに説得力が皆無だぞ」
「うぅ……」
「わかったよ。今度からはちゃんとパンツ見えてんぞって、教えてやるからな」
「こ、甲さんっ。それはそれで、女性に対する配慮が足りないと思われますっ」
「あのなー。お前は自分を両性生物のクソだと思われたいのか、女だと思われたいのか。いったいどっちなんだよ?」
まったくわがままなやつだ。女心というものは、俺にはよくわからん。
「そ、それは……その……甲さんの前で、だけは……じょ、じょせ……」
レインは視線を下げ、胸の前で組んだ指を開いたり閉じたり、といったことを繰り返す。ここへ来る前に戻ったみたいに。ボソボソと口ごもった声で言うせいで、言葉が最後までよく聞こえん。
「え、なんだって?」
「で、ですからその……もう、甲さんったらっ!」
「……門倉のやつぅ」
「ん……? レイン、今なにか聞こえなかったか?」
――どこからか、俺を憎むみじめな男の怨嗟の声らしきものが、耳に入ってきた気がする。気になって周りを確認してみるが、人影らしきものは発見できなかった。
「いえ、なにも。そんなことを言って話を変えないでくださいっ」
「そっか、気のせいか……」
毎日嫉妬に駆られた醜い野郎どもの恨み言を聞いていたせいで、とうとう幻聴が聞こえるようになったのかもしれない。ああ、いやだいやだ。
「おいレイン、そんなにいつまでも怒るなよな。下着もなにも、俺はお前の裸を見たことがあるんだし。今さらパンツの一枚や二枚、どうってことないだろう?」
「……っ!」
「あの時と同じで、今回もお前が自分で見せてきたから、俺はまったく悪くないし」
入院していた頃、レインが自分を空の代わりにして欲しいと、この俺に夜這いをかけてきたことが記憶に蘇る。普段は考えないようにしているが――俺たちは既に一線を越えている。
だから下着を見られたことなんて、そんなに気にすることじゃないだろう。
「…………」
言葉を失くし、うつむくレイン。その瞳にはじわりと、涙が浮かび始め、俺は仰天した。それを見て、胸がきゅっと締めつけられてしまう。……うっ、やり過ぎたか。
「……悪かった。言い過ぎてごめん、レイン」
俺はあっさりと自分の非を認め、謝った。女の子の涙ってやつにはとことん弱いのが、この俺、門倉甲という男なのである。
「…………」
「謝るから、機嫌直してくれよ」
「……マッサージ」
ぼそっと、そんな言葉がつぶやかれる。
「えっ?」
「マッサージ、してください」
涙を目蓋にたたえたまま、顔を上げて真っ直ぐに俺を見つめるレイン。
「う……マッサージ……」
そのワードを聞くことで反射的に、苦虫を噛み潰したような表情を作ってしまう。
「この前甲さんのマッサージを受けた後、凄く気持ちがよくなって、リラックスして熟睡できたんです。……またしてくださると約束していただけたら、機嫌直します」
レインはスカートのポケットから取り出したティッシュに涙を吸わせ、天使のような微笑みを浮かべて、俺に悪魔のようなお願い事をした。
お前さあ……。それは俺のマッサージで身体がほぐれたから、よく眠れたんじゃなくて。あの後の自慰行為で絶頂に達して、
そりゃああんだけじっくり時間をかけてイったら気持ちいいよな!? 自分でも気持ちよかったって言ってたもんなあ!? あと、ただ気持ちいいんじゃなくて“性的に”気持ちがよかったからだって正直に言えぇっ!
……なんてことは、もちろん言えるはずもなく。
「はあ……わかったよ……。今度やってやるよ、マッサージ……」
ため息をついて肩をすくめ、小心者の俺は、大人しく彼女に屈服する。
「はいっ」
ああ。俺はまた、あの地獄のマッサージを行なわなくてはいけないのか……。いやだなぁ……。でもどうせ苦しまされるというのなら、お前の太ももの触り心地を存分に味わい尽くしてやる……!
覚悟しておけよ、レイン……! わきわきと、両手を虚空へ伸ばし、開閉する。俺は憂鬱な気持ちを抱えつつも、またレインの魅惑的な太ももの感触を堪能することを、心待ちにしていた。
◇ ◇ ◇
「あの、甲さん……」
「なんだ?」
自室に戻り収納から服を取り出し、おずおずと俺に声をかけるレイン。
「服が土で汚れてしまって、着替えたいのですが……」
「脚に土もついてたし、どうせならシャワーを浴びに行ったらどうだ?」
「この時間だと、まだ浴槽にお湯が張られていませんし。シャワーで済ませるのは、ちょっと……。私は毎日、お風呂に入ることを習慣にしていますので」
「たしかに中途半端な時間だな……」
視野に表示された時計を確認する。夕方の五時前、というなんとも微妙な時間。レインは女の子だから、毎日お風呂に入りたいのだろう。とはいえ、汚れた服のままでいたくないから着替えておきたい、というレインの気持ちもわかる。
部屋に着替えを取りに行ってからシャワーを浴びる予定だったが、俺もレインと同じように今は着替えだけ済ませて、後で風呂に入るとするか。今日は休日なのに実弾射撃をしたせいで、身体が強張って疲労が溜まってしまっている。
明日から始まる過酷な日々を乗り切るためにも、ここはシャワーで済ますなどという愚行は冒さず、きちんと風呂に入って疲れを取るべきだろう。
「俺もレインの言うとおりシャワーはやめておいて、後で風呂に入ろうかな。実弾を込めた銃を使った後は、疲れてしょうがない」
「そのほうがよろしいと思います。それでは甲さん、その……私が着替えている間は、入り口のほうを向いていただけますか……?」
「わ、わかった」
――結論を言うと、レインは両性生物のクソ、なんてものにはなってなどいなかった。同い年の男の前で恥じらうその姿は、どうしたって俺の目には、年頃の女の子にしか見えないのだから。
シュルッ。滑らかな生地で作られたネクタイを外していく音が、部屋に響く。いつもレインは俺よりも早起きをして着替えを済ませていて、こんな風に目の前で着替えをされたことは今まで一度もなかったため、妙に緊張する。
前に一度だけ、レインが寝坊したことがあった。あの時は俺が気を利かせて部屋から出ていったので、こんな風に目の前で着替えをされるようなことにはならなかった。……失敗したな。
この前みたいに、すぐに部屋を出ればよかった。レインは既に服を脱ぎ始めているから、ドアを開けて外に出るわけにはいかない。レインは自分の着替えのために、俺を部屋から追い出すようなマネをしたくないと思っているみたいだが。
こうやって、女の子に目の前で着替えられるほうがキツいってことを理解しているのか?
「……っ」
背後から聞こえる、衣擦れの音を意識し、心臓の鼓動が高鳴っていく。チャックを下ろす、ジーッという低い音が鳴っている。今脱いでいるのは、スカートだろうか。
だとしたら、さっきの可愛らしいひもパンが振り向いた先に見えるのかと考えると、顔が熱くなってくる。ついでシャツを脱ぎ捨てたような、パサッという音とともに、反射的に身体がビクついてしまう。
……今振り返ったら、下着姿のレインが後ろに立っているのかもしれない。俺はそんな誘惑に抗うため、戦闘服のパンツを手で握り、湧き出る手汗を吸わせていった。
「着替え終わりました。あの……甲さんは、戦闘服のままお着替えされないのですか?」
「お、俺も着替えるに決まってるだろ!
振り返りながら、俺は慌ててコンバットシャツのジッパーを下ろし、ばさっと勢いよく床へと脱ぎ捨てる。
「きゃっ! こ、甲さんっ。お着替えされるのでしたら、服を脱ぐ前に教えてください! 終わるまで私も後ろを向いていますから!」
「あっ!? ……ご、ごめん」
土に汚れた脚で、椅子を汚さないようにするためなのだろう。軍服からTシャツとスウェットのラフな格好へと着替え、髪を下ろしたレインは、恥ずかしそうにして後ろを向いた。
「……はあ」
両性生物のクソ、か。俺もまだ、どうやらそんなものにはなれないらしい。……少なくとも、彼女とこの部屋で生活している間はな。そんなことを着替えの最中に、ぼんやりと考えた俺なのであった。
――やはりあの時、射撃練習場での俺たちの様子をどこかで見ていたやつがいたのだろう。しばらくの間、俺は射撃練習を利用してレインのパンツを覗き見るド変態だと、訓練所中で噂された。
◇ ◇ ◇
「次はぜひ、トップになってくださいませ」
「……まったく、手厳しいことを言うな、レインは」
次期の射撃訓練の成績はレインがいたためにトップとはいかなかったが、俺は彼女に並び、二番目の成績を無事修めることができた。
「……甲さんが自主トレをなさるだなんて、珍しいですね」
「ああ、たまにはこういうのもいいかなって」
今日は休日だが目覚めがよかったこともあり、俺は朝一でランニングなんてものに励んでいた。ちょうどレインも今からランニングをすると言うので、どうせなら一緒に走ろうということになったのだ。
二人して、爽やかな朝の山道を走っていく。路傍に生えた草花が放射冷却によって生じた朝露に濡れ、白く発光するその様は、なんとも神秘的だ。レインの結い上げられた金の髪はその髪型の名のとおり、馬の尻尾を思わせ、ゆらゆらと滑らかに揺れ動く。
同時にその豊かな胸も動きを合わせ、上下へと弾んでいる。しっかりとしたスポーツブラを着けているのだろうか。予想に反しその上下運動は控えめなもので、俺はそれが少し残念だった。
「……っ」
視線を感じ取ったのか、レインは俺から目を逸らして頬を赤らめる。
「そういえば聞いたか? どうやら俺たちのコンビの成績は歴代でも上位らしい」
「そうらしいですね」
「どうせなら、目指してみないか?」
俺はレインに、ある提案をする。
「目指すって、いったいなにをですか?」
「歴代上位、じゃなくて。……歴代最高を、さ」
「甲さん……」
俺の発言に、以前とは比べ物にならないほどの向上心が含まれているからだろう。真っ直ぐに見つめた、今日の青空のような色をしたその瞳に、驚きの色が混ざっていた。
「それくらいの成績を出さなければ、ドレクスラー機関のやつらを見つけ出して復讐する、なんてことはとてもできやしないさ。レインも、そう思わないか?」
レインとなら、やれる。俺と彼女のコンビなら、きっと。そんな確固たる自信を持って、優秀な俺のパートナーへ問いかける。必ず承諾してくれると、そう信じて。
「……そうですね。私も、そう思います。甲さんのおっしゃるとおり、私も目指そうと思います。歴代上位、ではなく。……歴代最高を」
「そうこなくっちゃな! それじゃあこれからもよろしく頼むぜ、相棒っ」
「はい、これからもどうかよろしくお願いしますね、甲さんっ」
そう言って、俺たちは笑顔を向け合い、ランニングコースを駆ける。先生を探し出して、灰色のクリスマスの真相を解明してやる。――そして、あいつを死なせた報いを受けてもらう。
……絶対に、お前の仇を取ってやるからな、空。こうして俺は今日も、胸の奥底にある復讐心という決して消えることのない灯火を、激しく燃え上がらせていった。
第七章『歴代最高の』
終
※途中で「……門倉のやつぅ」って言ってるのはもちろんあのキャラです。
彼は十四話からまともに登場する予定です!
予定よりも投稿が遅くなってしまいました……。
この前レイン視点で描く、灰色のクリスマス当日から甲さんの目が見えるようになるまでの日々のネタが浮かんでしまいまして……。
もちろんあの初体験やレインが暴漢を殺すシーンもあります……。
とにかく連日、ネタが浮かびメモする度に泣いて泣いて、他のことが出来なくなって大変でした……。
あと通勤時にプレイしているchuSingura46+1が面白くて絵描いたり、燃え文章書いたり、漫画も描いたりしていたので忙しかったのです……。
「小説と絵と漫画の三つがやれたら最高!」とか考えていましたが、好きな作品が出来ると三つもやりたくなって大変です……。
先日絵のトレーニングを始めたのですが、絵のトレーニングを毎日すると絵描きスイッチが入りっぱなしになって、小説が書けなくなるのでダメですね……。
今回はラッキースケベ回の癖に色々と細かい描写を入れなくてはいけなかったので、書くのにかなり手間がかかってしまいました……。
『試練のマッサージ』もそうですが、自分でも「どんだけ頭がイカれてたらこんなテキスト書けんだよ!?」って思いながら書いていました……。
ほんと、書けば書くほど自分と甲さんのIQがゴリゴリ減っていくのを感じましたとも……。
まあ、自分はクリアしてもいない作品の小説を連載するくらいイカれているという自覚はあります!
さすがに今度描き途中の絵や漫画を片付けて、レインが甲さんとえっちしてる絵か漫画を一枚描いたら、しばらく絵の方をお休みして原作をクリアしようと思います。
やっぱり小説と絵と漫画を勉強しながら三つ同時にやるのはあまりにも忙しいので……。
絵を休んで、色々メモしながら頑張って原作をプレイしようと思います!
でも15,790文字も溜まったネタメモを消化するのが先ですね……。
次に買ってある電子戦基礎理論の本読んでネタ書かなくちゃ……。
まずはそれからだ……。
何気に今回の文字数最高記録突破したな……書き過ぎだろ……。
以下、これからの予定です。
<夏>
⑧【R18】『彼の匂いと、私の匂い』
レイン視点。シリアスひとりえっち回。
※⑨【シリアス】『かけ離れた存在』(電子戦基礎理論学習用テキスト回一回目)
甲さん視点。座学回。
「甲さんと一緒に電子戦基礎理論をお勉強しよう!」な回。
マジで電子戦のことばっかり書いて終わると思います……。
「小説じゃねーぞこれ!」というツッコミを受ける覚悟は出来ています……。
でも読者の方の99%が電子戦基礎理論に興味があると予想しているので、これで良いと思います!
あまりにもアレだったらボツになります……。
⑩【日常】レインの誕生日
甲さん視点。傭兵訓練所編最終回の予定でしたが、傭兵訓練所編が3年分書けそうなのでここにしました。
⑪【コメディ】虫取ったりする夏の話
甲さん視点。子どもっぽ過ぎて苦情来そう……。
<秋>
⑫【日常】『貴方と眺める今宵の月』
レイン視点。甲さんと一緒に月を見て、団子食べたりするだけの話。
⑬『二人だけの空間』
次の回が続きみたいなお話なので、ここに入れることにしました
⑭【日常】『貴方と過ごす、特別な一日』
レイン視点。デート回。
気合を入れて書いた回なので頑張って仕上げたいです!
⑮【日常】『語学回一回目』
外国語を学ぶ話。
⑯【コメディ】ミカンとロボの話
レイン・甲さん視点。ドタバタコメディ回。
⑰【シリアス】『鈍色のクリスマス前編』
レイン視点。
灰色のクリスマスから甲さんの目が見えるようになるまでの話のネタが浮かんだので書くことになりました……。
ネタが浮かんでからたった二日で冒頭が仕上がってきた辺り、未だかつてないほどに自分の意気込みの強さを感じています……。
「レイン視点の灰色のクリスマス→荒野で放浪→レインが空のフリをする→病院に入院→甲さんの目が見えるようになるまでの日々」←ここまでの長い夢を見て1年後のクリスマスに目覚めるレイン→甲さん視点で鬱々としたクリスマスの話っていう、過去最大のボリュームになりそうです…。
手応えがあり過ぎて二万文字はいくと思ったので、初体験の後で話を分けました。
おかげで最終回以外で最も気合を入れた回になりましたね。
だってこの話は高いクオリティを要求されますから……。
ネタが浮かんだ時点で泣きまくって、ネタメモを読み返しただけで泣きまくって、仕上げる時、投稿する時にも泣きまくると思います……。
↓pixivの文章サンプル詰め合わせにこの回のサンプルも追加しましたので、気になる方はこちらからどうぞ。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=23770849
⑱【シリアス】『鈍色のクリスマス後編』
甲さん視点。鬱々としたクリスマスの話です…。
前編は少し明るく終わりますが、後編は最後まで暗いです…。
⑲【日常】『彼女と迎える新たな日の出』
甲さん視点。一年目の年末年始ネタ。
初日の出見て、ぜんざい食べて、カルタして、お昼寝して、お茶飲みながらミカン食べる話。
かなり平和で明るい話で前回とギャップがあり過ぎてちょっとアレですね……。
※⑳【日常】一年目のバレンタイン
短すぎるので漫画にするかどうか悩んでいます…。
㉑【コメディ】甲さんの誕生日回
甲さん視点。結構にぎやかで楽しい感じの話になっています。
㉒【バトル】シュミクラム演習回
甲さん視点。
ゼロレンジブラストや自走ミサイルなど。
アイギスガードの兵装で魅せる回。
初のバトル回ですが、甲レインが終始イチャイチャしているだけなので、そんなに期待しない方が良いです……。
何気に二人が一番イチャイチャしてる回だったりします。
二年目
㉓【コメディ】『アイギスガード盗撮事件』
甲さん視点。二年目の話。物凄く下らない話です…。
㉔【日常】レインの誕生日
㉕【日常】電子戦基礎理論学習テキスト回二回目
㉖【日常】『メリークリスマス、なんて言えない』
甲さん視点。二年目のクリスマス。
※㉗【日常】二年目のバレンタイン
㉘【日常】『語学回二回目』
㉙【コメディ】『R・C』
甲さん視点。訓練所で仮想薬物バーチャル・ドラッグが流行る話。
㉚甲さんの誕生日
㉛【バトル】二年目のシュミクラム演習回
影狼&アイギスガードVSクワトロ&モブのシュミクラム(その内設定します)
クワトロの頑丈さを描くバトルにする予定です。
三年目
㉜【シリアス・日常】『モラトリアム』
レイン視点。
エアコンが壊れるだけの話だったのに、書いていて泣くくらい切ない話になりました……。
㉝電子戦基礎理論学習テキスト回三回目
※㉞三年目の正月
甲さん視点。
※㉟三年目のデート回
甲さん視点。
㊱【バトル】『名もなき腕利き』
三年目のシュミクラム演習回
影狼&アイギスガード&クワトロ&モブのシュミクラムVSβ・ダイン&
教官の設定を盛りまくったらしっかりボス戦って感じになりました。
教官を強くし過ぎたかなって思ったんですが、久利原先生より長い期間教わってるし、甲さんが
もう既に結構良い感じに書けているので、頑張って仕上げたいです!
<ここから傭兵時代編>
※㊲【シリアス】統合軍所属傭兵時代の話
甲さん視点。
㊳【R18】『彼と私の初体験』
戦場の二人の初回えっちシーンのレイン視点版
㊴【R18】『不躾なお願いですが……私を……慰めてはいただけませんか……?』
甲さん視点。
㊵【R18コメディ回】甲さんの誕生日えっち回
甲さん視点。下らない感じです……。
㊶『レインの誕生日』
㊷【シリアス】『幼き頃の夢』
甲さん視点。甲さんがちょっとした人助けをする話。
こういう話もひとつくらいあっても良いと思います……。
㊸【R18】『明らかになった想い』
㊹【R18】『貴方の笑顔』
同じ話を二人の視点それぞれで書いた話。
㊺【シリアス】『貴方の幸せな部下』
甲さん視点。レインがケガをして入院する話
<ここからアナザーレインルート>
㊻『たったひとりの部下』
フェンリルの
がっつりえっちさせようか悩んでいます……。
㊼【R18】『偽物』
甲さんによるレイン凌○回
㊽【R18】『本物』
愛のあるえっち回
㊾【バトル】『君を手にかけるくらいなら』
アイギスガード戦前半
㊿【バトル】『一日の長』
アイギスガード戦後半
51【シリアス】『嘘だなんて、言わないでくれ』
最終回
※のついた回は没になるかもしれない回です。
全五十一話って……当初の予定の五十一倍だぞ!?
増え過ぎぃ!
えっちなお話でどれか読みたいと思うものはありますか?ちなみにもちろん全て甲レインで、『記憶を失くした俺と、彼女の初体験』(愛と快楽の会議で最後までする話)が一番書けています。一番内容が薄いのは初日にHする話です…。
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愛と快楽の会議で最後までする話
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枕代わりに使ってと言われて甲を眠姦する話
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嫌がるレインを襲って最後までしちゃう話
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愛と快楽の会議でHしないと出られない部屋
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レインルートの初日でレインとHする話