ふるまぴ!【♡R18版♡俺は、フルマッピングボーナスで迷宮を無双する。〜毎日コツコツ探索してたら何でもできるようになってしまった。だからこれからはバカ弟子たちを育成していくぞ!〜】 作:龍々山ロボとみ
◇◇◇
……すげー悪夢を見た。
俺は、寝汗で背中がびっしょり濡れた状態で目を覚まし、先ほどまで目の前に浮かんでいた光景を、頭を振ってかき消した。
……バカ野郎。
なんで俺が、あのバカ弟子どもとヤリまくりで、しかも3人とも孕ませて妻にしてるんだよ……!
一夫多妻とか、お貴族様じゃねーんだぞ……!!
それになにより、アイツらとはそういう関係になっちゃダメだろ。
あのバカどもは、弟子で、パーメンで、なによりまだまだチンチクリンのガキだぞ。
百歩譲って、仮にアイツらが俺に好意を持っていたとしても。
それにつけ込んでアイツらみたいなガキに手を出すのは、男としてだいぶ程度が低いだろ……!
「……あー、クソっ」
なんでこんな夢を見たのか。
なんとなく理由は分かっている。
先日から何度か灰ダンフルマピに挑んでいるんだが、少し前の探索の時、変にテンションの上がっていた俺は、あのバカ弟子たちに「成功したらなんでも欲しいものをやる」みたいに言った。
そしたらその探索中、それを聞いてからのアイツらの目つきが、すごくギラギラとしていたのだ。
あれはなんというか、獲物を狙う肉食獣の目みたいだった。
あの時の俺は、「モノで釣られるなんて相変わらずガキンチョどもだな」とか思っていたわけだが。
「……それから、なんかアイツらの態度が変なんだよな」
具体的に言うと、ボディタッチが増えた。
なんか以前よりも気軽に俺の肩に手を置いてきたり、手を握ってきたり、腕に抱きついてきたり、背中に飛び乗ってきたり、腹筋をペタペタ触ってきたり、俺が食べてる物を横からかっさらっていったりする。
で、取ったもん返せと俺が言えば、バカ弟子どもは自分の皿にある同じ物を、自分のフォークに刺して俺に差し出してくるわけだ。
俺ももうイチイチ怒るのが面倒になってきたから、差し出されたものは黙ってそのまま食べるが。
あーん、ってされたものを食べるのって、普通は恋人同士とかでやるもんだと思うんだよな。
「……はぁっ、」
知らず知らず、ため息が漏れた。
どーしたもんかなぁ、マジで……。
◇◇◇
「て、感じなんだが。どう思う、ハンズ」
俺は、探索者協会の受付ロビーでたまたま見かけたハンズに相談してみた。
なおハンズの回答は「んなこと俺に聞いてどうすんだよ、ボケ」とのこと。
いや、チャランチーノに聞いても「タッちゃん自慢か〜〜!?」とうるさいし、カマーンさんには「あの3人のドレスはオジサンが縫ってあげるから、式の日取りは早めに教えてよぉ〜!」とか言われるしよぉ。
「別に期待はしてなかったけど、やっぱテメーにタダで相談しても無意味だったな」
「当たり前だろ。つーか……、いや、やめとこう」
なんだよ、気になる言い方するなよ。
「やかましい。とにかく、カネにもならん雑談を振ってくるんじゃない」
とだけ言い残して、薄情な守銭奴は帰ってしまった。
ちっ、ケチくせー野郎だ。
「エリーゼさんは、どう思います?」
俺は、なんかしれっと受付カウンター内で聞き耳を立てていたエリーゼさんにも聞いてみた。
「なんで最近のアイツら、俺にじゃれついてくるんでしょうね?」
「……いや、セリー君。そんなのもう、決まってるでしょ。あの子たちの態度見てて、まだそんなこと言ってるの……?」
なんか、愚か者を見るような目をされている……。
えっ、そんな目を向けられることあるか……?
「……ほんとうに、分からないの?」
「……いやまぁ俺も、もしかしたらこうかな、その可能性も無くはないかな、と思ってることはありますけど……」
「無くはないって……。無いわけないでしょ! 誰が見てもそうじゃないの!」
焦れたような様子で、エリーゼさんが大きな声を出す。
「あの子たちは、3人とも、セリー君のことが、好きなのよ!! だから君との触れ合いを求めているの!!」
「……はぁ、」
「なによそのやる気のない返事は!」
「いえ、その。……俺、別にアイツらにそう思われても嬉しくないですし。それに、アイツらとそういう関係になりたいとも、思ってないですし」
俺がそう言うと、エリーゼさんの表情がみるみるうちに怒りに染まった。
「君が思ってなくても、あの子たちは思ってるの!」
「そんなことを言われましても」
「それに、これは君だけの問題じゃないでしょ! パーティーとしての問題なのよ!?」
いや、それならなおさら色恋沙汰とは無関係でいたいと言うか……。アイツらとは恋仲になるべきじゃないというか……。
「バカ言わないの! それなら誰があの子たちの責任を取るのよ!」
「……いや、それはアイツらの両親とかでは??」
そりゃ、俺も師匠としての管理責任はあるけど、大前提として、子どものやったことの責任は親が取るもんだろうよ。
しかし、俺のこの回答は不正解だったようだ。
「このっ……!」
と、エリーゼさんが機敏な動きで受付カウンターをバッと乗り越えた。
そしてタタッと俺に寄ってきてギュッと襟袖を掴まれてグイグイッと崩しをかけられたうえで、
「おバカー!!」
ヒュパンッ、グルンッ、ビターン!!
と、それは見事な内股で投げ飛ばされ、俺は床で背中を強打したのであった。
痛ってぇ……!?
◇◇◇
よし。こういう時は経験者に聞くのが一番だ。
俺は今も現役で探索者をしている既婚者の先輩と近くの喫茶店で待ち合わせをし、話を聞くことにした。
「と、いうわけなんですけど。俺、どうしたら良いですかね?」
「その流れでオレのところに来るあたり、ター坊もなかなか肝が座ってるよな」
コーラを飲みながら俺の相談に付き合ってくれているこの人は、
人呼んで、
既婚男性探索者屈指の愛妻家にして、股間のだらしないチンカス野郎としても有名な人だ。
「だって、元パーメンたちと5股してたうえにそれがバレて殺されかけたのに、最終的に5人全員と事実婚して今もラブラブで過ごしてるようなとんでもない人、ジュリーさんしか知りませんし……」
「ま、それに関しては、オレも人後に落ちない自負はあるけどな。いやー、褒められると照れちまうぜ?」
「褒めてはないです」
「……分かってるよ。ジョークだっての」
そう言うとジュリーさんは、不貞腐れたような表情でコーラごと氷を口に含み、ガリガリと噛み砕いた。
この人、昔は
なんだかんだとパーメンたちに言い寄って5人全員に手を出した挙句、5人全員をまとめて妊娠させて、探索者活動を休止させた人なのだ。
つまり、とにかく女性関係が壊滅的にダメってことだ。
だがそれでも、5人の嫁さんと11人の子どもたち(来月12人目が産まれるとか)を養うために古巣の剣術道場の会員のみで構成されたパーティーに入り直して、現在も上の級のダンジョン探索をしているのも事実なわけで。
実力は指折りだし、俺みたいな後輩相手でも気さくに接してくれる良い人でもある。
なにより俺が聞きたいのは、
「お願いしますよ。パーメンのバカ弟子3人から好意を向けられているらしい俺に、人生の先輩として何かアドバイスをいただけませんか?」
俺は、袖の下用の小銭入れをそっとテーブルの上に置きながら再度問う。
「複数の女性相手にうまく立ち回る方法とか心構えみたいなのを教えていただけると、非常に助かるんですけど」
ということである。
いや、この人の現状が、俺の目指している先とも違う(この人はパーメンたちとゴールした人だからな)というのは重々承知のうえだが、
ハーレムを維持するための対女性用の対応術(俺のはハーレムとかじゃないけどな、断じて)という観点でいえば、多少は役に立つ知見を持ち合わせているはずだ。
というか、持っていてくれ。頼む。
何か、何か役に立つ知識を……!
「……うーん、そうだなぁ……」
ジュリーさんは小銭入れをポケットにしまいながら唸った。
それから、10秒ほど考える。
「まず、大前提として。ター坊のとこのレディたち、ありゃ完璧にお前にホの字だよ。何をどうしたか知らんが、ター坊のことが好きで好きでたまらないってやつだ」
「……はい」
「そのうえで言うが。お前が探索者としての活動を優先したい、少なくとも今はあのレディたちの誰とも付き合ったりするつもりはない、と思うなら。方法はひとつだ」
「その、方法とは?」
ジュリーさんはいつになく真面目な顔で、答える。
「……耳を閉ざせ。心を鈍らせろ。お前とレディたちとの間に、ガラスの壁があると思い込め。どれだけ向こうから近寄ってきたとしても、その壁を超えない限り真の意味で触れ合うことはないものだと、自分に信じ込ませろ。……なんてな」
そして、フッと表情を緩めて、肩をすくめた。
「それぐらい、ター坊なら分かってそうだけどな。オレも、カネをもらったからには少しは真面目に答えたが……。悪いな、これぐらいしか話せることはないぜ」
「いえ、充分です。……ありがとうございます」
俺はジュリーさんにお礼を言ってから別れた。
そして帰り道では、ひたすら自分に暗示をかけ続けてみた。
「……ガラスの壁、ガラスの壁。……俺は鈍感、俺は鈍感」
うーん。効いてるのかいまいち分かんねーな……。
けどまぁ、やらないよりはマシか。
「明後日からまた灰ダンフルマピチャレンジだからなぁ」
灰ダン内での連泊中に、万が一もないようにしねーとな……。
……はぁっ。