ふるまぴ!【♡R18版♡俺は、フルマッピングボーナスで迷宮を無双する。〜毎日コツコツ探索してたら何でもできるようになってしまった。だからこれからはバカ弟子たちを育成していくぞ!〜】 作:龍々山ロボとみ
♡(三人称視点)♡
カトス・カンボス。
ハジコ村出身のスーパールーキーだ。
まぁ、スーパーといっても才能にあふれているわけでもすごい実力があるわけでもない。
単にとても若いだけ(まだ15歳)だ。
同じ村出身の幼馴染五人衆(カトス、ノボリ、ルーカス、ギレン、ハリー)に、先輩銃士のジミィを加えた6人パーティーで探索者をしている。
そんなカトスたちは普段、緑ダンを主な狩場として活動をしている。
緑ダンは食材系アイテムの宝庫だ。
シカ、イノシシ、クマなどの肉系や、各種果実系、イモやツル系、キノコやコケ系などなど。
ある程度の実力を身につけた探索者の大半は、この緑ダンか、海産食材の獲れる青ダンに潜るようになり、そこで得られる食材を持ち帰ってアカシアの食糧事情を支えるようになる。
さて、そんな王道探索者ルートを歩むカトスだが、彼には人生の先輩として尊敬する男がいる。
カトスが探索者になったばかりの頃、道を踏み外しかけた自分を厳しくも温かい言葉で叱ってくれた男だ。
カトスはその男のことを、敬意を込めてこう呼ぶ。
「タニキ!」
と。
そして、街中でカトスに呼ばれて振り返った男、タニキは、勢いよく駆け寄ってくる少年の姿を見て少しだけ表情を緩めた。
「カトスか。今日は1人なのか?」
「うっす! 今日は休養日なんです! タニキも1人っすか? ツバサたちは?」
カトスは、最近いつもタニキに引っ付いて歩いている(腕を組んだり、背中に乗ったりしてる)少女たちを目で探すが、どうやら今日は別行動らしい。
「アイツらは、なんか甘いもの食べに行くっつって朝から出てったよ」
「そうなんすね! あ、もしかして、この後お時間ありますか?」
カトスが問うと、タニキは首を傾げた。
「無くはないけど……」
「じゃあ、また訓練場で俺に弓を教えてほしいっす!」
その言葉に、タニキは数秒考えてから「少しだけなら、まぁ」と答えた。
なので2人は闘技場に向かった。
闘技場はダンジョン機構のひとつなので、この中でならダンジョン内と同じように幻想体になれるのだ。
そして闘技場内にはいくつかの訓練場があり、弓や銃を使う探索者用には、遠くに的が立ち並ぶ射撃場が用意されている。
射撃場は、横一列に並んだ射撃位置の向こうに広い空間が広がっており、色んな高さや距離、角度で的が用意されている。
一定距離ごとで区切られた射撃位置から、好きな距離の的を選んで撃てるわけだ。
カトスとタニキは射撃場に入り、幻想体になる。
そしてひとまず、カトスは
20本ほど射つと18本が的に当たり、その内の4本が中心の黒丸に当たっていた。
「どうっすか!」
カトスの射撃姿勢を見ていたタニキは、無言で頷いた。
「悪くないじゃないか。まだまだ無駄は多いが、以前よりは遥かに良くなってる」
「やった!」
「あとはそうだな。つる引きのときにもう少し引き手を身体に近づけろ。射つときも息を止めずに細く吐きながらにしろ」
「うっす!」
タニキの指摘を聞きながら何度か矢を放つ。
さらにまた指摘が入るので、それに気をつけながらさらに矢を射る。
しばらくそうやってカトスの射撃姿勢の調整をしていると、少しずつ命中率が上がってきた。
タニキが「こんなところか」と呟いた。
「カトス。とりあえず目につくところは一通り言った。一気に全部は無理かもしれないが、一つずつ悪いクセを直していけばもっと当たるようになる」
「はい!」
「射撃で与えるダメージが安定するようになれば、それだけエネミーを倒しやすくなるからな。他のパーメンたちに与ダメ量で負けないように頑張れよ」
「了解っす!」
カトスは、タニキから言われたことを一つずつ思い出し、手帳にメモを取りながら頷く。
カトスがいつも持ち歩いてるこの手帳は、タニキのことをタニキと呼び慕うようになったころに買って以来、ずっと使っているものだ。
タニキからの教え以外にも、自分なりに気になったことや、覚えておいたほうがいいと思ったことを、とにかくひたすらメモしている。
探索者としての成長の証というか、己の未熟さへの戒めというか。
とにかくこの手帳の紙面を一生懸命に埋めていけば、より立派な人間になっていけるんじゃないか、というカトスなりの願掛けでもあるわけだ。
「それじゃ、俺はそろそろ行くぞ。ジミィたちにもよろしく言っといてくれ」
「ありがとうございました! あ、タニキ! 良かったら、最後に少しだけお手本を見せてもらえないっすか!?」
立ち去ろうとしていたタニキが立ち止まり、振り返る。
そして左手に中弓を具現化すると、
「ほらよっ」
たたたたんっ、と一息に4射。
今までカトスが狙っていた的の中心に、全射命中した。
「おおっ! やっぱすっげぇ!」
「たいしたことじゃねえって。お前でも練習したらこれぐらいできる」
「いやいや、俺じゃあそんな速さで矢を引けないっすもん」
「幻想体の速力がCを超えたら早引きはできるようになる。あとは素早く狙っても当てられるようにひたすら練習をすればいい」
その練習がたいへんなんだけどなぁ、とカトスは思うが、つまりタニキはそういう練習をひたすらしたからあの高速連射ができるようになったというわけで。
カトスは、立ち去るタニキの背を見送ってから、しばらく早撃ちの練習をしてみることにした。
ほかにも、タニキから指摘されたことを一つずつ確認しながら撃ったりしていると、それなりに時間がたち、
「あ、もうこんな時間か」
気がつけば夕暮れの時間になりつつあった。
カトスは、パーメンたちと晩飯を食う約束になっていることを思い出し、そろそろ行きつけの飯屋であるチャンプ・カッツ(トンカツ定食がご飯のおかわり何度でもオーケーなのだ)に行かなくては、と思う。
「えっと、忘れ物ないよな? よし、一回宿に帰って準備して……、うわっ!?」
と、前をちゃんと見ずに射撃場から出ようとしたところ、誰かとぶつかってしまった。
バランスを崩して尻餅をつくカトス。
「いてて……」
「むっ。すまんな。大丈夫か」
カトスがぶつかったのは、ガタイの良いヒゲ面の男だった。
生身でも鍛え上げられた肉体をしているようで、カトスとは身体の厚みが倍ぐらい違っていた。
「す、すんません。そっちは、ケガないっすか?」
「ああ、大丈夫だ。ほら、手を取れ」
差し出された手を取ると、カトスは力強く引き起こされる。
そして、先ほどまでカトスが射っていた的をチラリと見たヒゲ面の男は「弓、か」と呟いた。
「あの、すんませんでした。俺、慌てて前見てなかったです」
「いや、俺も不注意だった。すまなかったな」
「いえいえ、そんな。……あの、お互い大丈夫そうなら、俺、この後用事があるんで、帰りますね」
そう言って、再び射撃場を出ようとしたところ、
「あら、ジグザ。どうしたの、そのボウヤは」
と、女性の声が聞こえてきた。
ジグザと呼ばれたヒゲ面の男は、申し訳なさそうな声で応じた。
「すいませんお嬢。この若いのと、ちょいと不注意でぶつかりまして」
「そうなのね。ボウヤ、大丈夫?」
「あ、はい。だいじょっ……!?」
大丈夫です、と言おうとしたカトスは、しかし女性の顔を見て思わず固まった。
ツヤツヤとした黒い髪。
真っ白でキメ細かい肌。
ふんわり優しげな目に、思わず目を引く
カトスより少しだけ低い身長。
女性らしい体つきを包むのは、胸元の開いたドレスのような服。
細い指先は手荒れひとつなく、手にした扇子を優雅に弄びながら、女性はふわりと笑ってみせた。
か、かわいい……!
と、カトスは女性の顔を見つめながら、思う。
すると女性は、先ほどまでとは少しだけ違う笑みを浮かべながら、カトスに顔を近づけた。
「あら、ほんとに大丈夫? ……少し、休憩する??」
そして、細い指先で、カトスの首筋からあごまでを、つつぅーっとなぞった。
「う、うわぁっ!?」
突然のことに驚いて大声を出したカトスは、そのまま逃げるように走り出した。
「あら、つれない子」
「……お嬢」
「ふふふ、分かってるわよ。……あら?」
女性は、床に何か落ちているのを見つけた。拾い上げてみるとそれは手帳で、中にはビッシリと文字が書き込まれ、使い込まれていることが分かった。
そして背表紙の裏側にはカトスの名前が、1ページ目の真ん中ぐらいにはカトスが今使っている宿の名前が書かれている。
「あらあら……。これってあのボウヤのものよね?」
それなら届けてあげなくちゃ、と女性、……