ふるまぴ!【♡R18版♡俺は、フルマッピングボーナスで迷宮を無双する。〜毎日コツコツ探索してたら何でもできるようになってしまった。だからこれからはバカ弟子たちを育成していくぞ!〜】 作:龍々山ロボとみ
◇◇◇
「タッキー! あたし、海に行きたい!!」
と、バカ弟子一号ことツバサがデカい声で言ってきた。
ふむ。青ダンか。
「海産系アイテムで欲しいものでもあるのか? 何が欲しいかを言ってくれれば、ドロップ効率の良い狩場に連れていけるが」
しかしツバサは俺の言葉に首を振った。
「違うよ! かいすいよく? ってのをしたいの! 夏になったら海で泳いだり砂浜で遊んだり、皆でお肉とか焼いたりスイカ割りとかするもんなんでしょ!? あたしもやってみたい!!」
なんだ。遊びたいって話か。
「お前なぁ、よく考えてモノを言えよ。この街から海まで行くとなったら、どれだけ時間がかかると思ってるんだ」
一番近くの港町に行くまでに、少なくとも馬車で片道2週間はかかるぞ。
そんなヒマないだろ。
「泳げる湖のある、避暑地的な街ならもう少し近いけどなぁ。入るだけでカネがいるし遊ぶにもカネがいるし、泊まるとなったらバカみたいな大金が必要になるぞ」
結論。
海で遊ぶヒマがあるなら、ダンジョンに潜って稼いでるほうがマシだ。
「もう! タッキーのバカ! 毎日毎日ダンジョンばっかりじゃ、せっかくの夏が盛り上がらないじゃん!」
いや、別に盛り上がらなくていいだろ。
それに、百歩譲ってそういう愉快で楽しいイベントで夏を彩るとして、なんでお前に誘われて行かなきゃならないんだ。
「バカ弟子どもと海行って何が楽しいんだよ。そういうのはせめて、シオンさんとかと行かないと……」
「じゃあ、シオンさんも誘う!」
……は?
「待っててタッキー! シオンさんにも聞いてくるから!」
そう言ってドタドタと走っていくツバサを、俺はポカンと見送る。
5分後。
少し恥ずかしそうにするシオンさんを連れてツバサが戻ってきて、「明日、一緒に水着買ってくることになったから!」などと言うものだから、
俺は、やむなく海水浴の手筈を整えることにしたのだった。
◇◇◇
そんなこんなで1週間後。
準備のできた俺たちは水平線の見える砂浜に来ていた。
青い空、白い雲。
穏やかな波にサラサラの砂。
照りつける陽光で日向は暑く、しかしカラッとした風が吹くので日陰に入れば涼しむことができる。
振り返れば、少し離れたところに青々とした緑の生い茂る小さな森があり、森の中には小さな川や湖もある(釣りもできる)らしい。
海岸から少し離れたところには木造の四阿がいくつか立ち並んでいて、その横にはレンガ造りのかまどや炊事場なども完備されている。
さらにさらに、きちんと鍵のかかる更衣室もあるぞ。
トイレやシャワーのある建物に、男女それぞれ用の更衣室があるのだ。
余計な荷物はここに入れておけば、盗まれる心配もないってやつだな。
「す、すごいわ。部屋の中かと思ったら、お外に来ちゃった……!!」
シオンさんが、珍しく興奮した様子で感動の声をあげた。
その様子を見て満足した俺は、ここまで案内してくれたエリーゼさんに頭を下げる。
「それじゃあエリーゼさん、また終わったあとはカギを返却しに行きますので」
「はいはい。……はぁ、私も誘ってくれたら、堂々と仕事休んで泳げるのになー」
いえその、探索者協会のマドンナであるエリーゼさんを誘うと、先輩探索者の皆さんからの目が厳しくなるので……。
「分かってますぅー。言ってみただけですよー、だ」
そう言ってさっさと帰っていくエリーゼさん。
岩場にポツンと存在する扉を潜ると、姿が見えなくなった。
「けどタッキー、
まぁ、そうだな。
「前にも言ったが、
「ほへー、なるほど!」
「さらに今回は、半協会員である俺の福利厚生名目で、普段は協会員しか入れないスペースの特別訓練室を借りることができたからな。ここなら、俺たち以外誰もいないプライベートビーチとして、思う存分はしゃげるってわけだ」
「さすがタッキー!」
テンションの上がっているツバサのヨイショを聞き流しつつ、俺は所持品の中から日傘を取り出してシオンさんに渡した。
「シオンさん、これを使ってください。いくら幻想体になっていても、眩しさや暑さはあるでしょうから」
今回、この訓練場ビーチを使うにあたって、シオンさんも探索者登録をした。
さすがに幻想体を持っていない人までは、この中でも幻想体になれないからな。
登録して、軽く白ダン黒ダン緑ダンでパワーレベリングするのに数日かかってしまった(フルマピはさせてない。シオンさんをあんなにたくさん歩かせるわけにはいかないからな)が、
その甲斐もあって、丸一日海辺で遊んでも大丈夫なくらいには、体力に最低限のステ値の補正は乗ったはずである。
「他にも、冷たい飲み物とかおしぼりとか色々用意していますので、何か欲しいものがあるときは遠慮なく言ってください」
しかし、だからといって気を遣わなくていい理由にはならないからな。
ただでさえインドア寄りのシオンさんを真夏のビーチに連れ出したわけだから、不快な思いをさせないようにしないとダメだ。
「あ、ありがとう、セリー君」
そう言って日傘を受け取るシオンさんは、なにやら頬が赤くなっている。
むむ、早くも日差しで顔が火照ってきているのか?
冷たい濡れタオルも出したほうがいいだろうか……??
「あー、暑いぃぃ……。タキ兄ぃ、ボクにも日傘をくれよー」
と、シオンさんよりはるかにへばった様子のユミィが、そんなことを言ってくる。
おいおい。
「お前はステ値が高いから暑さにも耐えられるだろ……。ワガママを言うな」
「なんでだよ! シオンには渡せてボクには貸せないってのか!? なぁ、頼むよー。ボク、日を浴びるとすぐに肌がヒリヒリしてきて痛くなっちゃうんだよぉ!」
と、幼児のようにゴネられた挙句、見かねたシオンさんが自分の日傘を渡そうとしたので、俺は渋々ユミィにも日傘を渡してやった。
くそっ、バカ弟子が……!
「いやァー、しかし。海とは。何年ぶりだろうねェ」
「私は港町の生まれなので海は見慣れていますけど、これほど穏やかで綺麗な砂浜は初めて見ますね」
サングラスをかけた俺の姉貴と、姉貴に日傘をさしてやっているモルモさんは、すでに四阿に向けて歩き出していた。
「セリーさん、ひとまず荷物を置いて、各々お着替えをするようにしましょうか」
と、モルモさんに言われたので、俺たちは四阿に足を向ける。
と、
「ふふふ。じゃーん!」
突然ツバサが着てきたシャツを脱ぎ捨て、乳をぼろんとあらわにした。
はっ?
……いや、コイツ。
「あたし、中に水着着てきてるもんねー!」
ブイ、と元気にピースサインをするツバサをよく見ると、明るい水色でフリフリのついた水着を着ている。
そのまま短パンも脱ぎ捨てて完全に水着姿になると、海に向かって走っていってしまった。
そのまま「とーうっ!」と叫びながら、水面にダイブ。
ザブンと沈んでから浮かび上がってくると、頭を犬のようにブルブルと振った。
「わー! 冷たくて気持ちいいー!」
それから波打ち際から少し離れたところを、そのままザブザブと泳ぎ始めてしまった。
「実はワタシも、着てきたのヨ」
そう言うとモコウも、いつも着ている上下一体型の赤い服を脱ぎ捨て、これまた真っ赤な水着姿になった。
「お前らなぁ……。いやまぁ、いいけど。準備体操ぐらいしとけよ?」
「はいヨー」
そうしてたったか走り出したモコウも見送って、俺たちは更衣室に向かった。
なお。
「あ、足つったーー!?」
というツバサの悲鳴と、慌てて助けにいったモコウが見えた気がしたが、
面倒なので無視した。