ふるまぴ!【♡R18版♡俺は、フルマッピングボーナスで迷宮を無双する。〜毎日コツコツ探索してたら何でもできるようになってしまった。だからこれからはバカ弟子たちを育成していくぞ!〜】 作:龍々山ロボとみ
♡(三人称視点)♡
一方そのころ。
黄ダンでは。
26階層に入ってすぐの広場で結界カンテラを使っているツバサたちが、夕食後のお茶とクッキーを楽しんでいるところだった。
「そういえばメイベルさんって、いつからタッキーと仲良しだったの?」
そしてツバサは、せっかくの機会なので、普段タッキーがいたら聞けないようなことをメイベルに聞いてみようと思った。
「なんだ、藪から棒に」
「タッキーの幼馴染、なんだよね? それってつまり、子どもの頃のタッキーを知ってるってこと?」
「それはもちろん、知っているが」
「え、じゃあタッキーってどんな子どもだったの!? 教えておしえて!」
隣に座っているツバサが目をキラキラさせて詰め寄ってくるので、メイベルは思わず上体をのけぞらせた。
「やっぱり今みたいに生意気な感じだったの? それとも昔はもっと素直な感じだった? にぎやかだった? 無口だった? 昔から背は高かった? タッキーの実家には行ったことある? 他にお友達はいた? なんでタッキーがこの街に来のたか知ってる?」
「多い多い多い……! ……もう少し絞って質問してくれ」
メイベルからしてみれば、そんなこと聞いてどうするのだ、という気持ちでしかないのだが。
見てみれば、ユミィもモコウも興味津々ですという顔で自分たちを見ていた。
メイベルは少し考え、仕方ないなとため息をひとつ。
「……私がセリウスに初めて会ったのは、私が10歳のときだ」
それからポツポツと、己の幼馴染について話し始めた。
「私はその頃、とある事情から住む場所を移すこととなり、当時セリウスが住んでいた街に引っ越した。そして引っ越して数日がたち、身の回りのことが落ち着いてきた私は街中の散策に出かけ、街の中央広場のようなところで道行く大人たちを眺めていた」
ほへー、とツバサが相槌を打つ。
「そうしていたら、人の波を眺めていた私を、いつの間にかじっと見つめている少年、……セリウスが、いた。……そうだな。当時のセリウスは明るくて、人懐こくて、よく喋る少年だったよ。声をかけられて適当にあしらおうとした私を、口八丁で巻き込んできて、気がつけば一緒に手を繋いで街中を案内されていた」
「へー! ……え。タッキーって昔はそんな感じだったの?」
「ああ。今にして思えば私も、知らない街の人混みの中に1人でいて、寂しかったのだと思う。それに、その街に来るにしても、色々とあった後だったから、余計にな……」
メイベルが寂しそうな表情を浮かべる。
ツバサは首を傾げた。
「……何があってお引っ越ししたかは、聞かないほうがいい?」
「……いや、たいしたことじゃない。ただ私が、親の言いつけを破って悪いことをした。だから私は、住んでいた街にいられなくなった。ただそれだけの話だ」
「ふーん……?」
「……セリウスの話に戻そう。アイツは、私の他に遊び相手がいないのかというぐらい、私を見かけると私に構ってきた」
「あ、やっぱり友達は少なかったんだ」
「一度聞いたことがあるが、同年代の連中からは賢しらに喋るせいで嫌われていて、大人たちからはこまっしゃくれたガキだと煙たがられていたようだ。それにあの男、歳上の女性連中からは可愛がられていたから、余計にな」
どうやら、タッキーが歳上女性から可愛がられるのは昔からのことらしい。
逆に、同年代以下の連中とは全然反りが合わなかったようだ。「君ってほんとにバカなんだね」とか平気で言う子どもだったので、当然ではある。
「今よりももう少し丁寧な言葉遣いで、今よりも全く気を遣わず、理路整然と相手の悪いところを指摘するような奴と、友達でいたいか?」
「あー、それは嫌かも……」
「私も、何度言い合いになったか分からん。まったくアイツは……」
昔を思い出すようにして、メイベルが遠い目をする。
そんなメイベルに、ツバサは気になったことを尋ねた。
「……けど、それでもメイベルさんはタッキーとケンカしてバイバイにはならなかったんだよね。どうして?」
「……それは」
「決まってるじゃん。その時からメイベルが、タキ兄ぃのことを好きだったからだよ」
と、ここで。
今まで聞き役に徹していたユミィが口を挟んだ。
「色々と口うるさいことを言われても最終的には許せてしまうぐらいタキ兄ぃのことが好きだった。それだけのことだろ。というか、それよりも!」
「な、なんだ」
「メイベルは……。タキ兄ぃが、どうしてあんなにお尻が好きか知らないか?」
「……は?」
「だからお尻だよお尻! タキ兄ぃ、ボクたちとヤるときいつもお尻の穴を舐めたり指を入れてきたりするだろ! あれがなんでか知ってるかって聞いてるんだ!」
思わぬ質問に、メイベルはパチクリとまばたきをした。
「いや、知らないが」
「ほんとに知らないのか!? 実は子どもの頃に一緒に水浴びをしたとか、お医者さんごっこして触りっこしたりとかしてないだろーな!?」
「……してない」
「ほんとにほんとかぁ!? 実はこないだの件以外にも、ボクらの知らないところでなんかあったりしてないか!?」
「……そんな関係でいられたら、良かったのだがな」
自嘲の笑み浮かべたメイベルをしばらく見つめたあと、うぅぅぅーー、とユミィは唸る。
「……はあっ。ごめん。言いすぎた」
それからふいにシラフに戻ったように項垂れて、謝った。
う、うむ、とメイベルは頷く。
「ユミィどしたネ。生理カ?」
「違うから……。いや、メイベルがボクらの知らないタキ兄ぃを知ってると思うと、ちょっと妬ましくなっちゃって……」
「オォー、醜い嫉妬ヨ。それにユミィ、たまにメイベルに敵意を向けるケド、何がそんなに気に障るのネ?」
「……これはボクの勝手な憶測だからメイベルは答えなくてもいいんだけど。メイベルって、元々どっかの
メイベルの眉がピクリと動く。
「家?」
ツバサは首を傾げた。
「貴族の家、ってことだよ、ツバサ。というか、妹分だっていうラナだって、どっかの家の人間だろ? しかも多分あっちはまだ籍を抜けてない、正真正銘のお嬢様っぽい」
「そのラナの姉貴分だかラ、メイベルもお貴族様だト?」
「それもあるし……、ボクも元々はそういうところにいたから、なんとなく雰囲気で分かる」
弟子3人の視線が、メイベルに集まる。
メイベルは、口元を引き結んで一言も発しない。
「……いやまぁ、別に答え合わせをしたいわけじゃないから、答えなくていいよ。ボクが言いたいのは、そういう家の女だと、新婚初夜まで処女でないとダメだから、そこ以外を使ってコッソリ、ってこともたまにあるんだよ」
「……だから私が、セリウスに肛門趣味を教えたんじゃないかと?」
「だって、普通はそんな汚いところ興味持たないだろ……? けどタキ兄ぃは、前の穴より後ろの穴のほうが興味津々のときもあるからさ……。初恋の相手との秘められた思い出でもあって、だからそっちが好きなのかなって……」
「……残念ながら濡れ衣だ。私がセリウスと交わったのは、……というより、性交したのは、先日の一件がハジメテだった。それに、私は
「そっかー……」
ユミィが、すっかりぬるくなったお茶をズズズとすする。
メイベルも同じようにお茶で唇を湿らすと「今、私が言えるのは。私は、この命に代えても虹ダンに挑まなくてはならない。……だから私は、この街にいる」と呟いた。
なんだか物騒だなぁ、と。
ツバサは少しだけ、メイベルのことが心配になったのだった。