ふるまぴ!【♡R18版♡俺は、フルマッピングボーナスで迷宮を無双する。〜毎日コツコツ探索してたら何でもできるようになってしまった。だからこれからはバカ弟子たちを育成していくぞ!〜】 作:龍々山ロボとみ
現在16階層を歩いているが、ここでもスペードさんの怪力無双はとどまることを知らなかった。
「邪魔だど」
出てくるエネミーのあらゆる攻撃がスペードさんの肌には一切刺さらないし、
あらゆる敵を、そのへんの木をへし折って用意した丸太で殴り倒してしまう。
先ほどの15階層では、フロアボスであるオークコマンダーの喉笛と脳天を素手で握り潰して仕留めてしまったし、
装備品を使わない攻撃だけでこれほど強いというのが、目の前で直に見ていても信じられない気持ちだ。
「すごいすごーい! スペードさんって、とっても力持ちなんだねー!」
「それほどでもないど」
「マジパネェですわ!! このダンジョンを出た後で、一度わたくしと腕相撲をしていただきたいですわ!!」
「良いだど」
バカとポンコツは分かりやすい力強さを見てハシャいでいるが、一歩間違えば俺たちもオークコマンダーみたいに捻り潰されていた可能性があったわけだからな。
俺は見ていて頼もしいよりも、恐ろしいが勝つぞ。
「ねぇ、タキ兄ぃ。もしもの時はアレと戦うかもしれなかったの?」
「そうだよ」
「……絶対無理だろ」
ユミィは、きちんとヤバさを理解しているな。
武闘家としての強さを持つモコウとムミョウも、無言でうんうん頷いている。
「しかし、セリー様。今は味方であることを素直に喜べばよいのでは?」
「……そういう単純な話でもなくてな」
たとえば、このあと、進んだ先でギャックボたちを見つけたとする。
そこで、スペードさんがギャックボたちに「大人しく捕まって裁きを受けろ」と言ってくれるならいい。
だが、ここについてくると言ったときのスペードさんは、後始末、と言ったからな。
「……なるほど。スペード様が、ギャックボたちを全員始末する可能性があると?」
「というか、そっちのほうが可能性が高い気がしている。俺たちの用件が奴らへの私刑だけなら、それでもまぁ構わないんだが」
賠償金用のカネを払わせたり、さらには、レミリオンさんたちの居場所を尋問しないといけない場合もあるわけだからな。
勝手に始末されると、ちょっとよろしくない。
それになにより、ここまで街全体で問題になった事件の下手人だと、ダンジョン内で勝手に始末するよりきちんとした法の裁きを受けさせたほうが良いんだ。
街の人間たちに分かりやすい形での処罰と制裁を与えておかないと、探索者全体への悪感情が膨らむことにもなりかねないからな。
「つまり、場合によっては、ギャックボたちに制裁しようとするスペードさんを、止めないといけない場合もあるってわけだ」
「げぇっ……。でも、タキ兄ぃ。緊急脱出装置を持ってるなら、外に出るだけですむだろ?」
「持ってればな。それか、持ってて使える状態なら。あるいは、使える状態になれるならな」
「どういう意味?」
「このダンジョンは、この先に進むと何がある?」
「……あー。21階層以降の
「そうだ」
このダンジョンには、茶ダンのスフィンクスからピラミッドまでの間にあったのと同じような、エネミーもトラップも出ない区域がある。
そこは、探索者に友好的な鬼どもの町、という設定らしく、生身になってても大丈夫な休憩ポイントだ。
「もし、長期的な籠城を計画して、どこかの宿場町に入っているギャックボたちが生身で過ごしているところに俺たち、……もっと言えばスペードさんが出くわしたら」
「幻想体になる前に捻り殺されるかもってことか……。はぁ、やだなぁ……」
露骨にユミィがげんなりする。
気持ちは分かるが、そうなった時に一番活躍するのは、火力バカのお前なんだからな。
「ユミィ。お前は、ギャックボたちを探さなくていい。常にスペードさんの動きだけを気にしてろ。モコウも、ユミィのガードだけ考えてろ」
「了解」
「あいヨー」
「ムミョウはリンスのガード。バカとポンコツはスペードさんの後ろだから、まぁ落ちないだろ」
と、俺が弟子たちに指示を出していたところ。
「心配いりませんよ、セリウス・タキオン君」
執事の男(ジンドリクセン、だったか?)に日傘を差された
「もし、セリウス・タキオン君が危惧するような事態になった場合は、私がスペード君を止めますので」
「
「はい。こう見えても私、強いんですよ?」
そう言ってニコッと笑う姿を見て、俺はゾッとする
この人は、聖奉天教会の最高幹部の1人だ。
そして、教会の秘技として、
それはつまり、翻って考えれば。
この人は、
印は、知識さえあれば俺でも使える技術だ。
そして、印は一番簡単なものですら、このダンジョン内での激レアドロップ品である護符と同じくらいの性能がある。
そんな技術の最高峰の使い手ともなれば、もしかしたら、この場の誰も敵わないぐらい強い、という可能性もあるということだろう。
そして、
この場で、一番同行理由の分からない3人が、この場の最高戦力トップ3の可能性がある、と考えれば。
「……いやぁ、ははは。頼もしいですね……」
「ええ、ええ。もちろんですよ」
「……ははは」
心配しなくていいどころか、一番の心配の種だっつーの。
……はぁっ。
ギャックボとレミリオンさんたち、なんとかこの人たちより先に見つけて確保しないとだな……。
俺は、全く安心できない状態であることを再確認したまま、スペードさんの先導でダンジョン内を進んでいく。
途中、スペードさんが20階層のフロアボスであるオークロードの胸ぐらを片手で掴んで吊り上げ、動かなくなるまでボス部屋の壁に頭を叩きつけたりするのを見守ったりしつつ、
とうとう、最初の宿場町に着いた。
◇◇◇
宿場町に入ると、すぐに町人役のオーガたちがザワザワとしているのが分かった。
これは、普段のコイツらの挙動ではない。
つまり、町中で何か問題が起きていることが分かる。
俺たちは急ぎ足で町中を進み、そして、広場の真ん中にいる連中たちを見た。
「ぐべぅっ。げふっ。た、助けてくれ。こ、殺さないでくれ……!!」
そこには、すでに半殺しの目に遭って荒縄で縛られているギャックボたち(おそらくパーメン全員いて、しかも生身だ)と、
「……君は、セっちゃん君か?」
訳が分からないという様子のレミリオンさんたち(
「お、来たなター坊。コイツらを捕まえに来たんだろ? 先にオイラたちで捕まえといたぞ」
おそらくギャックボたちをボコったであろう
ギャックボたちの首筋に抜き身の剣を押し当てている双剣の老人、
「え? まさか……、
そして、大きく赤文字でTと書かれた覆面を被っている、
……何がどうしてどうなったら、こんな意味不明な状況になるんだよ??