ふるまぴ!【♡R18版♡俺は、フルマッピングボーナスで迷宮を無双する。〜毎日コツコツ探索してたら何でもできるようになってしまった。だからこれからはバカ弟子たちを育成していくぞ!〜】 作:龍々山ロボとみ
♡(三人称視点)♡
ある日、ツバサがひとりで(タッキーは珍しくまだ寝ているようだった)街中をぶらぶら歩いていると、なんとも大量の買い物袋を抱えてヨロヨロと歩いているお姉さんがいた。
つい気になったツバサは女の人に声をかけ(めちゃくちゃ美人でナイスバディだった)、ついでに荷物運びの手伝いを申し出た。
お姉さんはおおいに喜び、それから2人で並んで歩いてお喋りをしているうちに、すっかり仲良しになったのだった。
「いやー、ありがとうねツバサちゃん! おかげで助かっちゃった♡」
ツバサは、たくさんの買い物袋を抱えて歩きながら「いえいえ!」と言った。
「これぐらい、どうってことないよ! それにあたし、地元でも重いもの運んだりするのよくやってたから、慣れてるもん!」
ツバサは、地元で暮らしていた時ののことを思い出して、元気よく言う。
貧乏農村ではとにかくお金のために色んなものを作るので、いつでも耕運、種まき、草引き、剪定、収穫、運搬、等々のいずれかの作業があり、刈った草や集めた薪、畑に撒く肥料や収穫した作物等、とにかくたくさん色んなものを運ぶ必要がある。
ましてや、繁忙期などは猫の手どころか赤子の手すら借りねばならないほどの忙しさになることも多い。
なので子どもであっても使い倒されて、他の兄弟姉妹たちとともに皆で手伝いをしていた。
集めた薪を縛って吊る縄が肩に食い込んだり、抱きついて持ってようやく僅かに浮かび上がるぐらい重い作物袋を、畑から村の中まで運んだりもした。
それに比べれば、ちょっと両手が塞がるくらいの量の買い物袋など、まだマシなものであった。
「ふふふ、頼もしいなぁ♡ あ、その角を曲がって少し行ったところが目的地だから。もう少しだけ、がんばってー♡」
「はーい!」
そうして、目的地(なんか、細い路地の先に扉があり、その中に抱えた買い物袋を置いた)まで荷運びを終えたツバサ。
すると、お姉さんが。
「ツバサちゃんが手伝ってくれたから、お買い物、予定より早く終わっちゃった♡ それでね、お仕事までもう少し時間があるんだー。良かったら、一緒にお茶しない?」
お手伝いのお礼にご馳走するよ?
と言われたツバサは、再び元気よく「はーい!」と頷いた。
そうしてお姉さんに連れてこられたのは、オシャレな雰囲気の、ちょっとお高そうな喫茶店だった。なんか可愛らしい小物が飾られてたりしていて、ツバサも好きな雰囲気であった。
「私は紅茶とシフォンケーキにするけどー、ツバサちゃんはどうする?」
ツバサはメニュー(商品のイラスト付き)を見てみるが、どれも美味しそうで悩んでしまう。
しばらく悩み、オレンジジュースとガトーショコラケーキにした。
そして運ばれてきたケーキを一口食べ、その上品な甘さに驚いた。
「おいしー! え、なにこれ、口の中で溶けちゃった!?」
ツバサはさらに一口二口食べると、ほっぺたが落ちそうなぐらいの美味しさに、ついつい顔がニヤけてしまう。
オレンジジュースを一口飲んで口の中をサッパリさせ、さらにケーキを一口。すぐに残り半分以下の大きさになってしまったことに少し悲しさを感じつつ、ケーキ美味しいなぁと思っていると。
「……ふふふ♡」
対面に座るお姉さんが、ツバサを見てニコニコとしていた。
ツバサは、首を傾げた。
「ええと……。どうしたの?」
「んーん。美味しそうに食べるなぁ、って思って。……あ、それなら」
するとなんとお姉さんは、自分の分のシフォンケーキを半分切り分け、ツバサの皿に乗せてくれた。
「私のも半分どーぞ♡」
「えっ、いいの!?」
「うん。ツバサちゃん、いっぱい頑張ってくれてたからね♡」
ツバサはお姉さんの優しさに感動し、しかしこんなにもらってしまっていいのだろうかと少し悩んだ。
「それじゃあ、……はい! あたしの分も一口あげる!」
ツバサは、残っているガトーショコラを一口分切り分けて、お返しにお姉さんのお皿に置いた。
するとお姉さんは驚いたような表情をしたあと、にへっと笑って「ありがとね♡」と言う。
さらに。
「それなら、せっかくだから食べさせてほしいな♡ あー……♡」
と、お姉さんはお口を開けて、ツバサに食べさせてほしいと言ってきた。
ツバサは「お姉さんのお口の中、なんかエッチな感じがする……!?」と思いながらも、ガトーショコラをフォークですくい、お姉さんのお口の中へ。
「んー! 美味しいねー♡」
嬉しそうなお姉さん。
その表情は、まるで純真な少女のように無垢で、天使のように可憐であった。
ツバサは内心で「うわぁー、かわいい……!」と感動し、それからもらったシフォンケーキをぱくりと食べる。
「あ、こっちも美味しい!」
「でしょでしょー♡」
ツバサは幸福感に包まれながらケーキを食べ尽くし、オレンジジュースを飲み干した。
はぁー、幸せ。
と、空になったお皿に目を落とす。
「ねぇ。ツバサちゃんも、探索者なんだよね」
するとお姉さんから、そんなことを訊ねられる。ツバサは元気に「うん!」と頷く。
「ダンジョン、ってのに潜るんでしょ? ……楽しい? たいへんじゃない?」
「たいへんだけど、楽しいよ! こーんな大きな兎をドカーンって殴って倒したり、あたしなんか丸呑みにできそうな大蛇とかを、ズバーンって倒したりするの!」
「そうなんだ。……でもそれって、危ない時もあるんじゃない?」
「うん! 地雷ガマっていうカエルは踏むとドカーンと爆発するし、スライムっていうブヨブヨは、触ると溶かされたりするんだー」
「ふーん……」
「あ! でもねでもね! あたし、少し前から師匠ができて、そういうダンジョンのことを、色々教えてもらってるんだ! 前は、危ない相手とかよく知らずに潜ってたんだけど、今はその師匠が一緒に潜って教えてくれるから、全然危ないことなんてないんだー」
えへへ、と嬉しそうに言うツバサに、お姉さんは優しげに目を細める。
「そっかー。それは、良いことだね」
「うん! 他にもねー……」
と、ツバサはダンジョン探索でのあんなことやこんなことを、楽しそうに話す。
その中の大半には、師匠と呼ばれる者が関わっているようで、ツバサはよほど師匠のことを信頼しているのだな、とお姉さんに思わせた。
そしてニコニコとツバサの話を聞いていたお姉さんは、ふと時計を見て残念そうな表情を浮かべた。
「……あ、そろそろお仕事の時間かな。お店に行かなきゃだ」
「え。あ、ごめんなさい! あたしばっかり喋っちゃった……」
「んーん、良いよ。私も面白いお話が聞けて楽しかったし。今日はありがとうね、ツバサちゃん。良かったらまた、一緒にお茶してくれる?」
「……! うん!」
そうしてツバサはお姉さんと別れ、宿に戻ることにした。
また会えたらいいなー、とか、そういえばお名前聞いてなかったなー、とかそんなことを考えていると、
「……? そういえば、あたし、お姉さんに名乗ったっけ?」
すごく普通に「ツバサちゃん」と言われたので気にも留めていなかったが、どうしてあのお姉さんは、あたしの名前を知ってたのだろう。
「んんー……。ま、いっか!」
まぁ、自分が覚えていないだけで、ひょっとしたらポロッと名前を言っているかもしれないし。
たいしたことではないよね、と考えて、ツバサはそれ以上そのことを、気にしなくなったのだった。