ふるまぴ!【♡R18版♡俺は、フルマッピングボーナスで迷宮を無双する。〜毎日コツコツ探索してたら何でもできるようになってしまった。だからこれからはバカ弟子たちを育成していくぞ!〜】 作:龍々山ロボとみ
「ウゥーー……。ヌルヌルベトベトにされたヨ……」
モコウは最初に2、3発殴ったものの、ほぼノーダメージのアイススライムに冷たい消化液をかけられて動けなく(状態異常・凍結だ)なり、大きくのしかかられてその場に転倒。
全身に纏わりつかれてバタバタともがくも、表面からじわじわ溶かされ始めて落ちそうになり、大声で助けを求めてきたので雷矢を核に撃ち込んで救出した。
助けたものの服がボロボロになって色々と際どい姿になってしまっていたので、モコウにこそこそマントをかけてやる。
幻想体だしガキンチョ体型ではあるものの、さすがにヌルヌルぐちょぐちょの半裸姿のままにしておくのは可哀想だからな。
「……ター師父」
モコウは、マントに包まれたままどんよりした表情を浮かべてアイススライムがいたところを見つめている。
俺は、なぜモコウが負けたのか説明することにした。
「ダンジョンエネミーの中には、特定の攻撃種別や属性ダメージを軽減したり無効化したりする奴がいる」
今回のアイススライムなら、
殴打がダメージ半減で斬撃がダメージ激減、刺突は等倍、射撃がダメージ増大扱いだ。
「つまり、今現在のモコウの装備品では最初から勝負にならないというわけだ」
属性付きの装備品は装備しておらず、殴打と斬撃の装備品しか装備してない(一応自在刃を細く伸ばせば刺突もできるが、判定がシビアだ)からな。
動きは遅くても耐久力の高いアイススライム相手だとチマチマ削るにも限界があり、近寄って攻撃してるといずれは粘体に取り込まれる。
「さて。こうして天敵のようなエネミー相手にボロ負けしたお前が、次に考えるべきことはなんだと思う?」
するとモコウは、手を振り回して怒った。
「……ウウゥー! 悔しいアル! 悔しいアル!! もっともっと強くなて、このヌルヌルの借りを返してやるヨ!」
まぁ、そう思うよな。
だが、それは
「なぜアルカ! 今は倒せなくても、もっと強くなればいずれ倒せるはずヨ!」
そうだな。
お前がこれからも
自身の練度を高め、幻想体のレベルを上げ、装備品を更新する。
どれもセオリーだし、そうすることは必須だ。だが、
「今のお前が真に考えるべきは、
言ってる意味が分かるか?
「……それはつまり、ツバサとユミィを頼れということカ?」
「そうだ。お前は生身でもクンフーで戦えるし、クンフーを使えば幻想体でも十分戦える。だから今後どこかで勘違いするだろうなと思って早めに教えてやったわけだが……」
探索者は、基本的にソロでやる職業じゃない。
仲のいい奴か、仮に仲が悪くてもお互いの戦法をカバーし合って助け合える奴らと組んで潜るものだ。
「何もかも自分一人で戦って勝とうとするのは傲慢だし、効率が悪い。お前がアイススライムを一人で倒そうとすれば向こう2か月は特訓する必要があるだろうが、3人で挑めば明日にも楽勝で倒せる」
少なくとも、ツバサとお前で交互に挑発しながら足止めし、ユミィが遠くから射撃を当て続けるだけでアイススライムは倒せる。
「所詮はE級ダンジョン5層のフロアボスだからな。人数を揃えて相性を整えれば、そんな目に遭わずに楽に勝てるわけだ」
するとモコウは、なんだか拗ねたような表情を浮かべた。
「……けど、それってズルくないアルカ? 困難には自分の力で打ち勝ってこそだって、パッパもよく言てたヨ」
ふむ、なるほどな。
まぁ、お前の言いたいことは分かる。だが、
「まったくズルくないな。むしろ正道だろ」
「……」
「パーティー登録という機能そのものが、ダンジョンが用意しているものなんだぞ。つまりそれは、パーティーを組んで探索することを前提にダンジョンが用意されているということだ」
ここが遊歩道で俺たちの目的がピクニックなら、自分の気が済むまで単独で探索してもいいだろうけども。
「ここはダンジョンで、俺たちは命懸けの探索をしにきてるんだ。命懸けの場に手抜きの状態で来るほうが失礼だろ。常に最善を尽くすべきだ」
それに、だ。
「いいか、モコウ。誤解のないようにまず言っておくが、俺はお前のことを非常に優秀なやつだと思っている。そのうえで言うが、お前は別に俺の弟子にならなくてもいいタイプだ」
「え……」
なんだかショックを受けているような表情だが、事実だ。
お前は俺から教えを受ける必要もないぐらい素の練度が高いからな。
「お前なら、ちょっと自分で何回か潜ったらどんどん上の級のダンジョンに潜れるようになって、そのうち上位の連中のほうから勧誘が来たりするようになるさ」
そうなれば、一回の探索で得られる利益はこんな低級ダンジョンの比じゃないぞ。
今よりもっと広い宿に泊まって、今よりもっと高級な飯を毎日食えるようになる。他の探索者たちからは羨望の眼差しを浴びるようになり、不注意の事故にさえ気をつければ、この街で手に入れられるものの大半は手にすることができるだろうよ。
「それぐらい、お前はすごい」
「……!」
「そんなお前に改めて言うが、俺は今、ツバサを一人前の探索者にするために色々と動いている」
そしていずれは、この街に来る新人たち全員が無理なく安全に一人前になれる育成プランとして売り出したいと思っている。
「俺の弟子になるなら、そのために必要な検証等には付き合ってもらうし、それはつまりツバサやユミィと組んで探索してもらわなくては困るということだ」
お前、俺のことを師父と呼んでいるけど。
俺は探索者としての師匠であって、クンフーの師匠ではないからな。
「モコウが探索者として活動したい理由が、自分のクンフーを磨きたいからだとかなんとか。そういうものだというなら、悪いことは言わんからもっと他のやつに弟子入りしたほうがいい」
俺にはお前のクンフーを鍛えてやる術も理由もない。
「だがもしもお前に。ツバサやユミィとともに俺のやり方を学んで一人前の探索者になる、という意思があるのなら。俺は、お前のことを正式に弟子にしてやろうと思う」
お前ぐらいできる奴向けの育成プラン作成も、必要になるときはくるだろうからな。
「お前を俺の弟子にして、お前を今よりもっと強くして、探索者として一人前にしてやるよ」
さぁ、どうする?
そして俺は、モコウの返答を、待った。