ふるまぴ!【♡R18版♡俺は、フルマッピングボーナスで迷宮を無双する。〜毎日コツコツ探索してたら何でもできるようになってしまった。だからこれからはバカ弟子たちを育成していくぞ!〜】 作:龍々山ロボとみ
モコウは、しばらく俯いて黙っていたが、やがて意を決したように顔を上げて、口を開いた。
「……ター師父は。……ワタシのクンフー、すごい思うアルカ?」
「ん? ああ。まぁな」
モコウが、ゴクリと生唾を飲み込んだ。そして言いにくい秘密を打ち明けるみたいに、恐々とした様子で喋る。
「でもワタシ、……門下生の中では落ちこぼれ、だたヨ。ママみたいに強くないし、パッパみたいに、体大きくならなかたヨ」
「そうなのか?」
「ヤー。だからワタシ、ほんとにター師父の期待に添えられるかは、分からないアルヨ……?」
ふむ。だがまぁ、お前らのとこの他の奴らがどうかは知らんが、この街の探索者たちの中では間違いなく強いさ。
生身の戦闘力ならかなりの上位に入ると思う。
それは間違いない。
「そのうえで言うが。俺は別にお前のクンフーの腕前がすごいから弟子に誘うわけじゃないぞ」
モコウが、きょとんとした表情を浮かべた。
「……そうなのカ?」
「ああ。クンフーがすごいのは、あくまでもオマケだな。俺が一番お前に将来性を感じるのは、初対面の俺相手にどんな手を使ってでも飯を奢らせようとしたあの調子の良さと、何を言われても飄々としてられるぐらい良い根性をしてるところだ」
ハングリー精神があるところ、と言い換えてもいいな。
何が良いって、ハングリー精神があるやつは多少のことではヘコたれないってところだ。
ビシバシ鍛えるにはちょうどいい。
「ツバサとかユミィなんか、沼蛇の沼に潜るって言ったら揃って悲鳴を上げて俺のことを詰りやがったからな」
バカだのクソボンクラだの、好き放題な言われようだったぞ。
「それに比べればお前は、文句も言わずついてきて沼に潜った。それだけでも十分上等だよ」
すると、モコウが泣きそうな顔でにへっと笑った。
「……ワタシも言わなかただけで、沼潜る言われてほんとはビックリしたシ、平気な顔で潜ってくの見てちょと引いたネ」
……なに、そうなのか?
「ヤー。けど、ついてかなくて弟子を断られたらイヤだから、頑張ってついてたヨ。それに……、さっきのヌルヌルも、こんなのと戦わせるなんてこの人見かけ通りの鬼畜だと思たネ」
誰の顔が鬼畜顔だって??
おい、お前もなかなか言うじゃないか。
「大きくて細くて、目つき怖いし口も悪いアル。けど、ワタシがこの街で見た中で一番、頭使てそうに見えたヨ」
まぁ、俺ぐらい毎日いろんなこと考えてるやつもそうはいないだろうよ。
バカ弟子たちの世話を焼くのはたいへんだからな。
「それだけ頭使てる人が、ワタシのこと将来性十分と言てくれたネ。それならワタシも、師父のこと信じて頑張てみるヨ」
そうか。
それならまぁ。
「これからよろしくな、弟子三号」
「アイヤー。よろしくヨ、ター師父」
俺とモコウはガッチリ握手し、それから帰還用サークルを踏んで黒ダンを出た。
なお。
「お前らほんとにバカだな……! 誰がレベル1ステのままで暴れ兎と戦えって言ったよ!!」
初期ステのままだと俺でも手こずるっつーの!
しかもそれで2人とも落とされて緊急脱出装置を使いやがって!!
「なにをやってるんだお前らは!?」
「だって〜、タッキーにすごいとこ見せて驚かせたかったんだもん〜……!」
「もうちょっと! もうちょっとだったんだよ! あと2発ボクの弾がクリティカルしてたら倒せたんだ! だからもうこれはほとんど倒せてたようなもんだろ!?」
落とされてたら意味ないだろーが!?
お前らちゃんと俺の言うこと聞けよ!!
「バカ2人とも、今日は晩飯抜きだ!!」
「ええー!?」
「おい、ふざけるなよ! ボクたちだって頑張って腹ペコなんだぞ!!」
やかましいわ!
いらんことして余計な出費増やした奴が文句を言えると思うなよ!!
「俺の指示を無視したあげく探索失敗して帰ってくるようなバカどもに食わせる飯はねぇ!!」
ということで俺は、マジでツバサとユミィを晩飯抜きの刑にした。
4人で飯を食いにいって、2人にはオレンジジュース一杯だけの注文にしてやった。
「ううぅ〜〜……、お腹空いたよぉー!」
「このクソボンクラ、これみよがしにステーキなんか頼みやがって……!!」
なんとでも言え!
本当なら弟子三号の弟子入り祝いで美味いもん食わせてやろうと思ってたのに、調子に乗ったお前らが悪い。
「それなら明日の晩ご飯は抜きでもいいから、今日は食べさせてよー!」
「そうだぞ! せっかくモコウが正式に弟子入りしたんだろ! めでたい話のときにケチ臭いこと言うなよこのボンクラ!!」
うるせー!
「そんなめでたい話にバカやってケチつけたのはお前らだろうが! 何を言われても今日お前らは晩飯抜きだ! これに懲りたら二度と調子に乗るんじゃねーぞ!!」
「そんなー!?」
「このクソボンクラがよー!!」
そんなこんなでバカ2人と言い合っていると、なにを思ったのか弟子三号ことモコウが、切り分けた自分の肉とパンを小皿に乗せて、そっとバカ2人の前に差し出した。
驚く俺とバカ2人。
「おい、モコウ。なにしてる」
「アァー、その、……ワタシ、ター師父の弟子になたから、つまりこの2人はワタシの姉弟子いうことになるヨ。姉弟子を差し置いて、ワタシだけご飯食べるわけにはいかないネ」
だから、ワタシの分を分けっこするヨ。
と、モコウは言う。
それを聞いたツバサとユミィが、揃って感激した。
「モコたん……! ありがとー! そしてごめんよー! あたしたちがポカしたのが悪いのにー!!」
「悪いのはこのクソボンクラだよ。見ろよボンクラ、キミより年下でもこうやって慈愛の精神を待ってるんだぞ。もう少し見習ったらどうだ」
カチンときた俺は、わりと強めにユミィの鼻を引っ張った。
「ふんぎゃあ!?」
ユミィが猫みたいな悲鳴をあげながらのけぞる。そして涙目で掴みかかってきたので、俺はその手をあしらって座らせる。
……はぁ、まったく。
「……まぁ、いい。良かったなお前ら。頼りになる妹弟子ができて」
モコウの心意気に免じて、分けてもらった飯を食うのは許してやるよ。
そう言うと、モコウはニコニコとして頭を下げた。
「アイヤー。皆、これからもよろしくヨ」
「おう」
「よろしくね、モコたん!」
「よろしく、モコウ」
こうして俺に、3人目の弟子ができたのであった。
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