※この作品はR-18です。

ハイスクールD×D〜聖魔の槍使い   作:星屑の騎士

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日頃のご協力ありがとうございます!おかげさまでハーメルンさまでの活動はとても楽しいです!

未だにストックは貯まってませんが書き上がったので更新となります。いい加減ストック貯めれるように頑張ります!

なんだかランキングに載ってるっぽい?ので初めてのことなのでかなり嬉しいです。ありがとうございます!

そういえば、ラノベと違って挿絵はないからオリ主やオリキャラのイメージ伝えが難しいなと改めて思いました。そこも頑張っていきたいです。

↓ご協力よろしくお願いします!

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それでは、本編をお楽しみください。


魔槍投擲

 エルファリアと再会した蓮夜は、はぐれ魔法使いを追って彼女とともに追い詰めたが、はぐれ魔法使いは切り札らしきものを切ろうとしていた。

 

「今度の蟲は、これまでのようなお遊びとはわけが違うぞ!」

 

 練り上げられる魔法力が甲殻に覆われた頭を、手を、腕を、脚を形成していき、実像を成していく。

 

 やがて生み出されたのは、セミを彷彿とさせる二足歩行型の蟲だった。

 

 はぐれ魔法使いが自信とともに口を開く。

 

「これこそが戦闘魔蟲──刹鬼だぁ!」

 

 二足歩行型の蟲──刹鬼は主の隣に一歩下がる形で自身の脚で降り立つと、驚くべきことに口を開いた。

 

『……ご用命は?』

 

「奴を殺せ! 僕が術の力と恐怖を存分に味合わせたうえでな……! ただし、あの女の子は殺さずに痛めつけろ! 後悔させて僕に自分から隷属したいように懇願させてやるぅ!」

 

『かしこまりました! あなたのご要望、必ずや満たしてご覧に入れます』

 

 はぐれ魔法使いの命令に刹鬼は恭しく応じた。

 

 このやり取りから刹鬼には人間並の知能が備わっていることを蓮夜は察した。同時にその手強さも……。

 

 見る者が見ればわかる。あの魔蟲から感じ取れる魔法力が、上級クラス以上の身に纏うオーラにも匹敵していることに。

 

「そいつは……」

 

「そうさ! 僕の最高傑作に持ち出した禁制品を取り込ませたんだ! これで刹鬼は、僕の命令を確実に叶える最強の存在になった!」

 

 歪に願いを叶えるアイテム、命令を忠実にこなす使い魔。たしかにこの組み合わせは、凶悪に見える。

 

 しかも、相手を殺せといった命令は誤解のしようがない。刹鬼の制御術式も絡めたら、もっと応用が利くのかもしれない。

 

「重ねて言うがすぐには殺すなよ、刹鬼。おまえの実力と奴自身の無力さを充分に痛感させてやるんだ!」

 

『御意』

 

 主の嗜虐的な笑みと言葉にも恭しく応じた刹鬼は、後頭部から生えた節くれだった鞭のようにしなる尾を地に打ちつけたあと、恐怖を噛み締めさせるがごとく一歩一歩ゆっくりと前に出ていく。

 

「エルフィ。下がっていろ」

 

「うん、わかった。後衛は任せて」

 

 蓮夜が前に出ると、入れ替わりにエルファリアが後ろに下がった。

 

 空手の蓮夜の右手に空気から滲み出てきたかのように、一本の槍が現れて握られた。

 

 これこそが蓮夜の神器のひとつ、〝魔槍創造〟だ。

 

 それは、如何なる属性、効果、形状を持つ魔槍を自在に作り出す、手数と応用性に秀でた珍しい創造系神器。使い手しだいで無類の強さを発揮し、蓮夜の戦闘スタイルに相応しい神器だ。

 

 蓮夜は、腰を落として右手で柄を握り、左手を柄に添え、クー・フーリンを彷彿とさせた構えで待ち受ける。

 

 動と静。相反する挙動から両者の距離が十メートルにまで縮んだときだった。

 

 刹鬼の姿が搔き消える。次瞬、戦闘魔蟲は蓮夜の目前にまで迫っていた。まさに消えたと錯覚するほどの速度。武術の達人ですら無防備を晒すであろう神速だ。

 

 しかし、蓮夜はいまや達人を上回る槍使いだ。

 

 刹鬼が間合いに踏み込んだときには既に槍を突き出している。懐に入り込まれるよりも速く、打ち上げられる左拳を迎撃していた。

 

 刃と拳が衝突したとは思えない激音が響き渡る。岩山すら穿つ刺突と互角の拳撃。刹鬼はスピードだけではなくパワーも桁外れのものを有しているようだ。

 

 一合の打ち合いを皮切りに、槍と拳の凌ぎ合いは続いている。

 

 刹鬼は予想通り人間並の知能を持っているらしく、フェイントを交えた左右の拳撃を上下左右様々な軌道から放っていく。大気を巻き込んで繰り出される拳は直撃すれば骨が折れるか、数十メートル吹き飛ぶかするのは間違いない。

 

 しかし、蓮夜はそれら虚実入り乱れる拳を悉く躱していた。

 

 フェイントにかかることはなく速射砲じみた拳撃の軌道を見切り、最小の動きで躱し、回避不可能なものは槍を払って受け流す。守りに徹することでセツキの行動パターンを観察しているのだ。

 

 しかし、刹鬼は、他の蟲とは一線を画す存在……究極の戦闘魔蟲だ。圧倒的な攻撃力に加え、自らの意思と高度な知能。そして、機械以上に精密な動きを兼ね備えている。

 

 尋常ではない攻撃力、自らの意思と高度な知能。機械以上に精密な動きを兼ね備えているという刹鬼。

 

 それはつまり、蓮夜が守りに徹することで行動パターンを観察しているように、果敢に攻めることで刹鬼もまた行動パターンを観察しているということではないだろうか。

 

 ──変化は唐突かつ不意に。

 

 再び躱された打ち下ろしの右拳。それと同時に握り拳を開くと、蓮夜の左腕を掴んだ。

 

 元来手とは掴むためのもの。刹鬼は実として放った拳撃すらもフェイントにし、青年を捉えてみせたのだ。

 

 そのまま腕を握り潰そうと力が込められる。魔法で強化されているはずの骨が軋む嫌な音が聞こえるなか、蓮夜は超至近距離のため槍が使えず、跳躍すると右足の爪先で刹鬼の頬を打ち砕こうと蹴りを放つが──

 

『跳んだな?』

 

 それこそがセツキの狙いだった。

 

 反撃の選択肢を狭め、骨折の危機を煽って判断する時間を奪うこと。

 

 結果、掴まれた挙げ句、跳躍してしまえば動きは大きく制限される。

 

 振り抜かれる左フック。鈍い打撃音とともに逆に頬を打たれる格好となった蓮夜は、刹鬼が腕を手放したことで大きく数十メートル吹き飛ぶ。

 

「蓮夜っ!」

 

 エルファリアの悲鳴に近い心配の声。

 

 しかし、蓮夜は殴られる瞬間に自ら首を傾けたことで衝撃を逃しており、吹き飛んだのは槍を振るう間合いを確保するためのものでもあった。

 

 最小のダメージで抑えた蓮夜は、起き上がると口内が切れて出た血を吐き捨てる。流石に無傷とはいかなかったが、刹鬼の拳を受けて頬や首の頬が折れていない辺り、見事な受け流し技術だ。

 

 対する刹鬼は、インパクトの瞬間に青年が無事なことを察していた。だというのにその場から動くことはなく、蓮夜を注視していたが──不意に口腔を開く。

 

 同時に大気が震え出し、甲高い音が鳴り響く。

 

 次瞬、刹鬼の口腔の奥から閃光が放たれた。

 

 それを見た蓮夜は、瞬時にその場を離脱する。外れた閃光は地面に斜めに走って傷跡を残し、軌道上の太い立ち木を切断した。

 

 ──それはまさにレーザーだった。

 

 ──哭鳴閃。

 

 それは、刹鬼の腔内で増幅し収束された超音波。すべての物体を切り裂く刃と化したそれは、斬れ味ならば聖剣魔剣すら上回ろうものだ。

 

 収束された超音波によるレーザー。なるほど。それならばあの怪音も頷ける。つまり刹鬼には距離を置くことも危険ということだ。

 

 だが、それを目の当たりにしても蓮夜に恐れはなかった。躊躇うことなく地面を蹴って前へと出る。

 

 圧縮した魔力を足に集め、炸裂させることで加速する歩法──瞬歩だ。

 

 刹鬼の反応すら上回る迅雷のごとき速度。一筋の稲妻と化した蓮夜が間合いを詰めたときには、既に槍が振り抜かれていた。

 

 だが、迫る銀光に対して刹鬼はこの一瞬に軌道を見切って回避を試みる。

 

 しかし、迅雷のごとき一閃は戦闘魔蟲の速度すら上回り、その右腕を肩口から斬り落としてみせた。

 

 それでも刹鬼の反応速度は大したものだった。正中線狙いだった刺突を腕一本を犠牲に凌いでみせたのだから。下手すれば完全に回避されていたことだろう。

 

「くっそ! おまえ、魔法使いじゃないのかよぉ! 武器なんて野蛮なもん振り回しやがって!」

 

 これには、悪態をつくはぐれ魔法使いも冷や汗をかいていた。自分にはまるで見えなかったが、刹鬼の速さを以ってしても躱し切れない刺突。魔法による強化だけではない。青年の純粋な槍術もまた侮れないものがある。

 

 しかも、速度にまだ余裕があるようにも見えた。

 

 だが、そんなことは関係ないとはがりに身を震わせる者が居た。

 

『クッ……お……のれ……! おのれ貴様ァア────ァァアー! よくも主の前で無様な姿を晒させたなァ────!』

 

 他ならぬ刹鬼だ。主への忠誠を傷つけられたことで紳士的な口調は崩れ、瞳を真っ赤に光らせて激昂する。

 

『殺してやる! 必ずバラバラにしてくれるぞクソガキがァアアァア──!』

 

 怒り狂う刹鬼は斬り落とされた自らの右腕を踏みつけ、蓮夜に向かって蹴り飛ばす。

 

 それを青年は、槍を使わずに魔法障壁で防いで弾き飛ばした。

 

 だが、それはフェイク。真の狙いは哭鳴閃のチャージだ。刹鬼が口腔を開くと大気が震え出し、甲高い音が鳴り響く。

 

 次瞬、放たれる閃光。

 

 万物を切り裂く超音波のレーザー。こればかりは回避する以外に術はないかに思えたが──蓮夜は不動だった。

 

 これには、はぐれ魔法使いも正気を疑い、死ぬ気かと考える。

 

 しかし、当然蓮夜にそんなつもりはない。迫る閃光に対して青年は、槍を水平に構えて待ち受けた。

 

 穂先から石突まで磨き抜かれた槍。それは鏡面に命中したのと同じだった。

 

 槍で寸分違わず受けたレーザーは、反射され刹鬼へと返される。これには、はぐれ魔法使いともども驚愕を露わにした。

 

 それでも刹鬼は、自らの技で敗れるような無様は晒さず、驚愕から覚めると間一髪で反射された閃光を回避してみせる。

 

 だが、予想外の返し技だったため体勢は大きく崩れていた。そこへ迅雷のごとき速度で踏み込んだ蓮夜が迫るが──

 

『またそれか! 同じ手は喰わぬ!』

 

 刹鬼は後頭部から生えた節くれだった尾が高速で宙を駆け、刃のごとき先端で青年を貫かんと迫る。

 

 しかし、その刃は蓮夜に命中したにも拘らず貫通した。串刺しにしたかに思えるが──

 

『なっ!? 残像っ!』

 

 そう、それは神速が生み出した虚像に過ぎなかった。蓮夜が同じ手を馬鹿正直に使うはずがなく、瞬歩で間合いを詰めたあと、刹鬼のカウンターを誘い、そこから更に瞬歩を使って残像を残したのだ。

 

 ならば本体はどこに、という疑問が浮かぶがそれはすぐに氷解した。

 

 横一文字に走る銀光。断ち切られ、宙を舞う刹鬼の首が見たのは地に残された不動で立ち竦む自らの体の背後で、槍を振り抜いた姿勢で残心する蓮夜の姿だった。

 

 そう、青年は瞬歩の連続使用で刹鬼の背後を取ってみせたのだ。

 

 予期せぬ死に痙攣する刹鬼の体は、やがて力を失い前のめりに倒れ伏した。

 

 それを見届けた蓮夜は残心を解くと、傍観に徹していたはぐれ魔法使いへと向き直る。

 

「……それでどうするんだ? これがおまえの切り札らしいが、もう戦えそうにないが?」

 

「……心配することはない」

 

 蓮夜の言葉に一切動じる様子を見せないはぐれ魔法使い。虚勢ではなく、真実慌てる必要など欠片もないと考えていた。

 

 それを証明するかのように、死んだはずの刹鬼の体から魔法力が溢れ出てくる。

 

「そうさ! 願いを叶える万能のアイテム! それを宿した刹鬼は、僕の命令を果たすまで決して死なないのさ!」

 

 不意に刹鬼の死体があらゆる物理法則を無視してうつ伏せの姿勢から、糸を引かれたマリオネットのようにひとりでに起き上がる。

 

「刹鬼は滅びない! 何度でも蘇ることができるのさ!」

 

 その言葉通りに切断された右腕も、首も再生復元して復活した刹鬼。そのさまはまるで不死を体現した悪魔、フェニックスのようだ。

 

(……つまりこいつを倒しても意味がない。いや、術者の魔法力を消耗させることはできるが、効率的ではないな。そもそも、禁制品の使用に魔法力は、消費されているのか?)

 

 おそらくは、このはぐれ魔法使い程度では刹鬼の再生復元は大した消耗になっていないだろう。禁制品が肩代わりしているに違いない。

 

 逆にこの戦闘魔蟲を倒す際に生じる消耗のほうが大きく、持久戦は圧倒的に不利だった。

 

「そしてさらに! 刹鬼の戦闘能力を倍増させることもできるぞ!」

 

 それだけに留まらず、はぐれ魔法使いは素早く魔方陣を展開すると、さらなる魔法力を送り込んだ。

 

「秘術! 魔蟲・鋼体変化!」

 

 刹鬼の体が光を放ち、その体躯がひと回り以上巨大化した。保有する気力も倍増し、大気を震わせて木々を大きくしならせる。

 

『感謝いたします。この溢れ出する力……必ずやあなたさまのために!』

 

 その場から駆け出した刹鬼は瞬く間に距離を縮めると、その拳を振り下ろした。蓮夜はそれを横に跳んで躱したが、空振りした拳撃が大地を粉砕し直線に走った衝撃だけで軌道上の地面を割り、木々を破壊する。

 

 あまりの破壊力に数十メートル先までそんな光景が続き、遠くで山の一部が崩れたことでようやく破壊現象が収まったほどだ。

 

 それを見届けることなく、蓮夜は着地と同時にそのまま刹鬼の横を駆け抜ける。使い魔に相当する戦闘魔蟲を相手していても時間の無駄と判断し、術者であるはぐれ魔法使いを倒す算段だ。

 

『主にはッ! 指一本触れさせんッ!』

 

 しかし、それを見た刹鬼は瞬く間に蓮夜へと追い縋る。巨大化したが速度に陰りはない。否、むしろ増しているようにさえ見えるが、体が大きくなれば筋肉量も増し、脚力も増すのは当然のことだ。

 

 主を害そうとする下手人の背中に向けて鉄槌じみた拳が振り下ろされる。

 

 対する蓮夜も振り返りざまに一閃を繰り出そうとしたが──冷気の風が刹鬼に衝突し大きく吹き飛ばした。

 

 吹き飛ばされはしたが、攻撃に使う腕を防御に回して受け切った刹鬼は無傷。十数メートル先で着地して体勢を立て直し、自らを押し退けた存在を確認する。

 

 それは、刹鬼の十数メートル先の地面に立ち、こちらを睨み据えていた。エルファリアだ。

 

「これ以上レンヤに酷いことさせない! 氷の影よ 雪霊よ そなたの息吹を貸しておくれ 死よりも静けく凍えさせておくれ! 〝凍える影(フローズンシェイド)〟!」

 

 エルファリアの怒りとともに放たれる不可視の冷気が、刹鬼を一瞬で凍つかせる。

 

『こんなっ、こんなものでぇっ!』

 

 刹鬼は、氷の拘束を壊そうとしたがビクともせず、表面が壊れてもすぐにその倍以上厚い氷に覆われてしまい、まったく抜け出すことができなかった。

 

 本来なら広範囲を氷漬けにする〝凍える影〟だが、刹鬼に範囲を絞ったためより強固で分厚い氷となっているのだ。

 

「なっ!? く、来るなリア充がぁっ!」

 

 その隙に蓮夜は、はぐれ魔法使いとの間合いを一瞬で詰めた。

 

 唐突に目の前に現れたように見えた蓮夜に、はぐれ魔法使いは、狂乱したように杖を突き出す──ことすらできず、頭、喉、心臓の三箇所を瞬きの間よりも速く槍で貫かれた。

 

 確実性を取って放たれた致死の三段突きは、はぐれ魔法使いの命を断ち、苦し紛れの魔法すら使えないように頭も喉も潰され、なにひとつ遺すことなくその生涯を終えた。

 

『あ、主さま────ッ!』

 

 はぐれ魔法使いを殺され、刹鬼が吼える。本来なら術者が死ねば消えるはずだが、禁制品の力かその存在を保ち続けていた。

 

「……仕方ないか」

 

 そう呟いた蓮夜は、氷漬けにされながらもなんとか抜け出そうと狂乱する刹鬼と向き合った。

 

 そう、仕方ない。回収できたらよかったが、ことここまで来たのなら諦めるしかない。

 

 禁制品の力で自己改造、自己進化を始める刹鬼を、蓮夜は禁制品ごと消滅させることにした。

 

 蓮夜は、刹鬼に冷たい視線を向ける。

 

「──おまえのような妖物は、(うつわ)を破壊してもたしかに意味はない。だが(なかみ)を破壊されたらどうだ?」

 

 そう言って蓮夜は、何事かをひと言呟いた。それはルーン文字ではなく、何かの真言のようであった。

 

「──その命、もらい受ける」

 

 あれほど熱せられていた灼熱のごとき刹鬼の怒りが、極寒のごとく凍りついた。

 

 死ぬ。あれは死ぬ。何をする気かは判然としないが刹鬼には、そんな確信じみた予感があった。

 

『やめ────っ』

 

 それは、刹鬼の言葉か、あるいは禁制品が言わせた言葉か。

 

 何事かを口にするより速く蓮夜が動き出す。

 

 魔法力を込め、軽く宙に放った槍が回転しながら落下し、タイミングを合わせて身を捻って回転すると石突きを思いっきり蹴り飛ばす。

 

「──〝虚空を突き穿つ死翔の槍(ゲイボルク・アーカーシャ)!」

 

 それは、かのクー・フーリンの魔槍の名であり、影の国の秘中の秘でもある投擲体術の名。

 

 蓮夜は、クー・フーリンより後者を教えられ、さらにはサンスクリット語の虚空──アーカーシャの真言を乗せて蹴り放つことで、空間を穿ちて回避や防御すら許さず、本来捉えられぬ魂にすら必中必殺の一撃と化した彼のオリジナル。肉体と魂魄を打ち砕く必死の魔技だ。

 

 

 衝撃波を伴って極音速で放たれた魔槍は、獲物に喰らいつく猟犬がごとく刹鬼を逃すことも抵抗も許すことなく、その心臓を捉えて打ち貫く。

 

 同時に刹鬼の存在を維持する禁制品、その存在を突き穿った槍は込められた力を解放し、肉体と魂魄をズタズタに引き裂いて粉砕する。

 

『────────っ!!!!?』

 

 肉体に、魂にすらも奔る想像を絶する激痛に刹鬼は、あるいは禁制品──聖杯の模造品はこの世のものとは思えぬ悲鳴を上げてその妄念諸共消滅した。

 

 本来ならば聖杯の模造品は、破壊されたのならば呪いが溢れ返っていたことだろう。

 

 しかし、蓮夜の魔槍技によって存在そのものを砕かれたことで最後の悪足掻きもできず、聖杯の模造品は、僅かな欠片を残してこの世から消滅した。

 

 こうして、エルファリアとの再会を経てから始まった戦いは、幕を下ろしたのだった。

 

 

 

END

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これにて戦闘終了!あ、エロだけでなく戦闘とか日常とかもいろいろ書いていくのでそこはご理解ください。

それではまた次回!ストック貯めの状況しだいで投稿します!

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