蓮夜の友人キャラ、どうするか。オリジナルか、あるいは既存のキャラにするか。いろいろなご意見は活動報告にてお願いします。
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「ねぇ、あの人かっこよくない?」
「どの人? ……わっ、確かにすごいかっこいい! 木場くんと同等か、それ以上かも!」
「うんうん。でも、うちの制服着てるけど……あんなかっこいい人、うちの学園に居たかなぁ?」
「おい、見ろよ。あの子たち、めっちゃかわいくね?」
「おお、確かに! 片方は外国の子、だよな? すげぇ美人だな」
「もう片方もマジでかわいいな! モデルみたいだ」
「けどよ、あんなかわいい子、うちの学校に居たか? 制服はうちのだけどよ、見たことないぜ?」
早朝の通学路にてそんな囁きが蓮夜、アスカ、エルファリアの常人離れした耳に届いていた。
どうやら人並みはずれた容姿を持つ三人は、相当目立つらしく同じ駒王学園に通っているであろう制服姿の男女から、注目を浴びている。
「──あら、なんだか目立っちゃってるわね。ふふふ。反応は子供のようだわ」
アスカは、同世代たちの子供っぽい反応に大人っぽい蓮夜と比べて微笑ましげだ。
「そうだな……まあ、こんなのはすぐに収まるさ。人なんていうのは、同じ話題を続けてられるほど熱心じゃないからな」
「あ、確かそういうの〝人の噂も七十五日〟っていうんだよね?」
「そうだな。実際は、もっと短いだろうがな」
蓮夜とエルファリアは、そんな会話をしながら他の生徒たちの人の流れに沿って通学路を進み、事前に確認しておいた道が正しいことを確かめつつ進むとやがて目的地の駒王学園に到着した。
事前に立地は確認していたとおり、部活棟や体育館を挟んで新旧校舎があり、グラウンドも広く、木々も生い茂っていて自然にも恵まれている。
さすがは元お嬢様学校というだけあり、表向きは少子化に伴って共学になっても品性が失われていなかった。
「ここが今日から私たちが通う学校かぁ。見た目は意外と普通ね」
アスカは、正門から学園内を見渡してそう呟いた。
偽装以外で学校に通うのは初めてだが、言葉以上に楽しそうにしている。
「ここが学校なんだ。初めてだけど、賑やかだね」
いままで学校に通ったことないエルファリアは、自分と同年代の者がこれだけ集まっているのを見るのが初めてなのか、興味深そうに見ていた。
「ほら、アスカ、エルフィ。ここで突っ立っていたら邪魔になる。行くぞ」
蓮夜に促されてハッとなったアスカとエルファリアは、彼とともに学園の敷地内へと足を踏み入れた。
「っ……! レンヤ、これって……」
「……ああ、先方だろうな」
エルファリアの言葉に首肯し若干鋭い視線で辺りを見渡す蓮夜。
ふたりの魔法的な感覚には、学園に張られた結界の存在が浮き彫りになっていた。
(……これは俺たちに向けられた結界じゃないな。認識阻害の類いか。感じられるのは、旧校舎周辺か。あそこは確か、先方の片方が根城にしているんだったな。仮にも人間界の学校に結界とは、何を考えているんだか)
都合が悪いことを全部有耶無耶にするつもりなのか、裏の世界を知る者には効き目がないが一般人には有効なことが蓮夜にはわかった。
わかったが……はたして一般人にしか意味がない結界がなんの役に立つのかは甚しく疑問だ。
(それだけ学園で下手な問題を起こしてるのか、単に自分を良く見せたいだけなのか……いや、考えてみたら旧校舎をいち生徒が独占してるなんて普通におかしいもんな。それを誤魔化しているわけか? なんにしろ早速化けの皮が剥がれそうだな)
旧校舎を尻目にそんなことを考えていると、あっという間に新校舎に辿り着いた。
ここが今日から自分たちが通う学校かと、蓮夜は改めて眺めた。
「なんだか嫌な感じね……異形の巣窟って感じ」
アスカもその空気を感じ取ったのか、そう呟いて胸元をぎゅっと握る。
蓮夜は、頷いたあとに言う。
「さて、アスカ、エルフィ。上履きに履き変えたら一緒に職員室に行くぞ」
「ええ、了解よ」
「うん、わかった」
蓮夜の言葉にアスカとエルファリアは、頷く。
そうして三人は、並んで校舎に向かって靴から持参していた上履きに履き替えると、間に合わせで来客用の下駄箱にそれぞれの靴を入れ、事務員から聞いた職員室へと向かった。
それから三人は、担任の教師と自己紹介し合ったあと、軽く説明を受けて二年の教室に案内された。
「それじゃあ、ここで待っていてね」
そう言った女教師に頷き返し、蓮夜たちが教室の外で待っていると先に教室内へと入っていった。
『はーい、みんな、ちゅうもーく。今日は、ホームルームの前に新しく転校してきた子を紹介したいと思います』
『先生! 転校生は、かわいい女の子ですか!?』
『いいえ、男の子と女の子よ』
女教師の説明に転校生という学生生活で滅多にないイベントに湧き立ち、ひとりの男子生徒が率先してこういうときに誰もが一回は口にしてみたい質問を投げかけるが、返ってきた答えに男子生徒たちは、盛り上がりの声を上げる。
『先生、ならかっこいい男の子ですか!』
『それは、見てのお楽しみかしら?』
その騒動に肩を竦める蓮夜を余所に新たな質問者であろう女子生徒に対し、女教師は楽しげな声を返す。
「なんだか賑やかねぇ」
「なんでこんなに盛り上がってるの?」
何やらハードルが勝手に上がっていそうでアスカは苦笑を浮かべ、この手のことに詳しくないエルファリアは不思議そうにしている。
『それじゃあ、入ってきてちょうだい』
ハードルを上げられたことは、蓮夜も遺憾だが呼ばれたからには仕方ないとアスカとエルファリアを促し、扉を開けて教室内に入り、男女問わず生徒たちからの視線が向けられているのを感じながら教壇に上がる。
そして、黒板に名前を書いたあと、女教師に促されて蓮夜たちは自己紹介する。
「いま紹介に与った黒崎蓮夜だ。日本には、一昨日戻ってきたばかりで不慣れなこともあって迷惑をかけるかもしれないがよろしく頼む」
と、蓮夜の言葉を聞いた生徒たちは、静まる。失敗したか、と蓮夜が疑問に思ったのも一瞬、次の瞬間には主に女子生徒たちが色めき立った。
「今朝噂になってたイケメンじゃない!? 転校生だったんだ!」
「日本に戻ってきたばかりって言ってたよね?! まさかの帰国子女!?」
「それに目の色綺麗〜! でもどこか日本人っぽいし、もしかしてハーフかな!?」
「ハーフのイケメンな帰国子女ってどんな少女漫画!? わわっ、これは木場くん以来の逸材だわ!」
元お嬢様学校といえど年頃のうら若き乙女たちだ。蓮夜の存在に黄色い声を上げ、なかには身だしなみを気にし始める子たちまで現れる。
これに逆に男子生徒たちは、面白くなさそうだったが元お嬢様学校とあって数も少なく、表立って彼女たちに反抗できないのか顔に出ているだけでそれ以上の反応はなかった。
学園全体のヒエラルキーがよくわかる。
「はいはい、みんな。かっこいい男の子に騒ぎたくなる気持ちはわかるけど、それならちゃんとお淑やかに、ね? あとも控えてるんだから」
女教師がたしなめれば、女子生徒たちは「は〜い!」と口を揃えて笑顔で返事をし、さすがお嬢様とばかりに楚々と居住まいを正した。
「はい、よろしい。次、お願いできる?」
女教師に促され、アスカとエルファリアは視線を交わしたあと、アスカが前に出た。
「はい。──甲河アスカよ。これからよろしくしてくれると嬉しいわ」
ウィンクしながらのアスカの挨拶に男子生徒たちは、声を上げて喜ぶ。
アスカのような茶目っ気のあるスタイルのいい美少女は、いつでも大歓迎なようだ。
もちろん、アスカとしては有象無象の男子生徒たちにまったく興味がないのだが。
「はいはい、騒がない騒がない。最後、お願いできる?」
「はい」
エルファリアは、アスカと並んぶように前に出た。
「エルファリア・セルフォルトです。日本には不慣れですが、いろいろ教えてもらえたら嬉しいです。よろしくお願いしますね」
仲間内で『聖女モード』なんて言われる、外行きの対応を見せるエルファリアに、再び男子生徒たちが湧き立つ。
エルファリアは、アスカよりさらに男子生徒たちに興味はない。
その様子に女教師は、ふぅと小さく溜め息をついた。
「まったく……それで黒崎くんたちの席は……そうね、黒崎くんが一之瀬さんの隣、甲河さんとセルフォルトさんが黒崎くんの前後の席ね」
そう言われても名前も顔も知らないからわからない蓮夜だが、ちょうど三つ空いてる席があるので目立つためすぐにわかった。
「それじゃあ、一之瀬さん。席が隣同士としていろいろとお願いね」
「──はい! 任せてください!」
女教師に一之瀬と呼ばれた女子生徒は、 ピンク色のロングヘアーと抜群の美貌、グラビアアイドルにも勝るとも劣らないスタイルを誇る明るく朗らかな美少女だった。
蓮夜たち三人は、促された席にそれぞれ座った。
蓮夜は、一之瀬と呼ばれた彼女が美少女の多いこのクラス内でもダントツのかわいさがあるとわかった。
それを証明するように人気があるのか、男子生徒たちは、蓮夜を羨ましげに、あるいは恨めしげに見ている。
他の女子生徒たちは、逆に一之瀬を羨ましそうに見ていたが軋轢がないあたりに彼女の人望が感じられた。
だからこそ隣の席に選ばれたのかもしれない。
蓮夜は鞄を机に置いて椅子を引き、座りながら言う。
「──『初めまして』。黒崎蓮夜だ。よろしく」
「──うん、『初めまして』。黒崎くん。私は、一之瀬帆波っていうんだ。この学園のことでわからないことがあればなんでも訊いてくれていいからね。だから安心して学校生活を送ってくれていいから」
「ああ、いろいろと不慣れなこともあるが教えてくれると助かるよ。『一之瀬』」
天真爛漫な様子で明るい笑顔とともに手を差し伸べる一之瀬帆波に、蓮夜はその手を握り返して頷いた。
それに対して帆波は、「うん、任せて!」と笑顔で応じる。
明るく接しやすいだけでなく、責任感もある帆波に蓮夜も気楽に接することができていた。
帆波は、眷属にするほどの戦闘素質はないし、ラヴィニアたちにあった運命を感じるような直感も働かないが『相変わらず』器量は負けず劣らずに良いと蓮夜は感じ取っていた。
そうして朝のホームルームは、軽く流されて一時間目が始まるまで蓮夜たちへの質問の時間となった。
「黒崎くんって帰国子女みたいだけど、どこに居たの?」
「ああ、イタリアのローマだ」
「黒崎くん! 黒崎くんってハーフなの?」
「ああ、母が日本人で父は……まあ、イタリア人だな」
「もう、みんな。あまりいっぺんにあれこれ訊いても黒崎くんに迷惑だよ? ほどほどにね」
主に女子生徒たちから寄せられる矢継ぎ早の質問に、蓮夜は嫌な顔ひとつせずに答えていく。
どうやらみんな帰国子女の美青年とあって興味が尽きないようだ。
何気ない答えであるにもかかわらず、笑顔や黄色い声が飛び交っている。
ちなみに父親であるメフィスト・フェレスをイタリア人としたのは、『灰色の魔術師』の根拠地がイタリアにあるのと見た目や性格がイタリア人寄りだからだ。
キリスト教の本拠地であるバチカンのあるイタリアに協会があるのは、問題にもなりそうだが魔法は教会でも賛否両論がありながらも使われているし、メフィストは理事としてあまり表舞台に出てこないのであまり問題にはなっていない。
もしかしたらメフィストが居ることにも気づかれていないのかもしれない。それだけ隠蔽が上手いのだ。
「あ、一之瀬さん。イケメンの隣だからって独り占めするつもり?」
「えっ!? い、いやいや、そんなことないから!」
「──帆波。黒崎くんがかっこいいところは否定しないんだ〜?」
「ちょっ、波瑠加!?」
女子生徒にからかわれる帆波だったが、その後ろから身を寄せてきたひとりの女子生徒に瞳を見開いて驚く。
帆波に波瑠加と呼ばれた女子生徒は、少しいたずらげな笑みを浮かべて「ごめんなさい」と身を引き、蓮夜に向き直った。
「──『初めまして』。私は、長谷部波瑠加っていうの。帆波とは、まあ、いちおう友達かな〜。何かあったらさ、私にも頼ってくれていいから。よろしくね〜」
長谷部波瑠加と名乗ったのは、これまた帆波たちに勝るとも劣らない端正な顔立ちの美少女だった。
おでこを出した青髪のロングに、左目の目尻に涙ボクロがあり、グラビアアイドルにも匹敵ないし上回るスタイルに恵まれた、かわいいというよりは綺麗寄りの美少女だ。
「ああ、『初めまして』。よろしくな、長谷部」
その傍らでは、アスカやエルファリアも男子生徒から質問責めを受けていた。
「甲河さん、セルフォルトさん! おふたりの好みのタイプを教えてください!」
「そうねぇ……優しくて、強くて、かっこいい男かしら」
「私も優しくて、強くて、私のことを大切にしてくれる人ですね」
男子たちは、アスカやエルファリアの好みを聞いて必死にアピールしているが、実際はふたりとも蓮夜の恋人なため望みは一切ないということは知らぬが仏か。
とはいえ、アスカもエルファリアも好みのタイプを言うときに蓮夜のほうをチラチラ見ていたため、察しのいい女子生徒たちはなんとなく気づいていたが。
「それで黒崎くん。なにか聞いておきたいこととかあるかな?」
「そうだな……なら先に俺に教えておいたほうがいいことっていうのを聞こうか」
「あ、うん。そうだね……うちの学校には、要注意人物が居るの。その人たちは、男子だから黒崎くんには直接的な被害はないだろうけど、関わらないように気をつけたほうがいいかなぁ」
「ああ、あの男たちね……ほんっとマジでキモくてありえないんだよねー……」
蓮夜の問いにアスカがそう言うと波瑠加や他の女子生徒たちは、嫌そうに顔を顰める。
質問が、ではなくその要注意人物を思い出して不快な思いをしているようだ。
「それはわかったが、その要注意人物っていうのは誰で、いったい何をしたんだ?」
「名前は覚えるのも嫌なんだけど、兵藤、松田、元浜っていうんだけどねー……別に何かすごいところがあるわけじゃないんだけどさ。ただ……よく女の子の着替えを覗いてたりするんだよねー」
波瑠加は、蓮夜の問いに答えてくれたが逆に疑問が生まれた。
「……それは犯罪じゃないのか?」
悪魔的には、人間界の法律などはあまり意識しない。
蓮夜としてもそんなのを気にしていたら、敵を殺害した際にいちいち罪を問われないとならなくなる。
しかし、それが一般人同士や日常の範疇での話となると変わってくる。
アスカやエルファリアも居るため、蓮夜は『帆波たち』のためにも詳しく話を聞いた。
なんでもその三人の男子生徒は、変態三人組と称されていて入学してからいまに至るまで女子の着替えを覗き、教室内では卑猥なDVDや写真集を広げ、平然と猥談し、注意した女子生徒を脅したりと、問題行動があとを絶たないという。
それが原因で不登校や転校、体育や部活への不参加の女子生徒が増えてきているらしい。
「……学校や親に相談しないのか?」
「それがなぜか学校側は、ろくに動いてくれないんだよねー……ただでさえ少子化の影響で女子校から共学になったくらいだからさ。たぶん、入学希望者が減らないためにスキャンダルを避けたいんでしょ。キャリアとかもあるだろうし、教師もあまり積極的には動いてくれないんだよねー」
蓮夜の至極真っ当な疑問に波瑠加は、そう答えてくれた。
いまの生徒を蔑ろにして新規獲得ばかりに目が向いているらしい。
大人らしい汚い話だ。
「ほんとありえないよねー……ネットにアップしてもなんだか芳しくないしさ」
「だめなのか?」
「炎上しそうなんだけど、ある日ぴたっとなくなるんだよねー……少しずつ下火になるとかじゃなくて、いきなり鎮火するの」
波瑠加としては、ネットで炎上させて停学か退学に追い込もうと考えたこともあったのだが、不思議と広まらないようだ。
世知辛い話といえばそれまでだが、蓮夜は疑問を覚えた。
(学校側の対応は、まあわからないでもない。経歴に傷をつけたくなかったり、面倒を嫌った教師にありがちな対応だ。だが、ネットで炎上しないとなると……)
そうは思うがそれにしては、違和感が拭えない。
はたしてそれだけの被害があってここまで下火になるものだろうか。
いまどきSNSなどでいくらでも拡散して炎上させれば、学校側だとて隠し通せるはずがないのに。
(……ああ、そうか。あの結界か)
蓮夜は、合点がいった。
今朝見た結界は、学内の問題に対する違和感を低下ないし無力化させる。
それは、非日常的なことだけでなく旧校舎のことや覗きなどの軽犯罪にも適応されているのかもしれない。
(意図してなのか、それとも意図してないのか、どちらにしても術式を含めて想定が甘い)
蓮夜は、内心そう断じる。
試しにあの結界を解除するなり改善するなりしてもいいが、先方の許可なくやれば問題になるだろうし、仮に許可を得ようとしてもあのプライドだけは高いリアスは、絶対に認めはしないだろうと蓮夜は、そのあたりは諦めた。
「まあ、私や帆波はだいじょうぶなんだけどねー」
と、波瑠加はちらっと蓮夜を見てからそう言った。
「でも、他の女子たちはそうはいかないからさー。着替えのときには、女子同士で交代で見張りと着替えをしたり、室内を隈なく確認してから着替えるようにはしてるんだ。まあ、手間がかかるし、なんで被害者の私たちがそこまでやんなきゃいけないのかって思うけどさ」
「うん……ほんとに怖いよね。あの人たち、私も嫌いかな。関わりたくないから避けてるけど、あっちが起こす問題があるからねぇ……」
波瑠加は気だるげに溜め息をつき、帆波は嫌悪感を露わに呟いた。
『こらぁ!待ちなさいっ!』
と、不意に外から女子生徒の怒鳴り声が聞こえてきた。
クラスメイトの女子生徒たちも顔を見合わせたあと、またかといった雰囲気で嫌悪感を露わにしている。
蓮夜が席から立ち上がって窓側に近づき、様子を見れば三人の男子生徒が複数人の女子生徒に追い回されていた。
間違いなく件の変態三人組だろう。
どうやら話にあった覗きをして見つかり、逃げ回っているようだ。
「……あの冴えないのが兵藤、坊主頭が松田、ひょろがりなのが元浜なんだけど、あいつら、またやったんだ。ほんとにマジでキモいよねー……」
と、波瑠加が冷たい表情と視線を変態三人組に向けながら言う。
「いま他のクラスは、授業中じゃないのか?」
「サボりじゃない? ほんと失うモノも取り柄も何もないから、人の迷惑とか考えないで行動してるんでしょ」
蓮夜の問いに波瑠加は、そう言って変態三人組から見るのも汚らわしいとばかりに視線を切った。
「このっ、毎度毎度! いい加減にしなさいよ!」
「うるせぇ! この若さゆえの熱い衝動は誰にも止められないのだ!」
「むしろ素晴らしい被写体を見ないことこそ侮辱! 選ばれたことを光栄に思ってほしい!」
「そうだそうだ! 俺たちは、彼女が簡単にできるイケメンと違ってこうでもしないと女子の裸体を拝めないんだよ! 少しくらい舐め回すように見るくらい許してくれてもいいだろ!」
と、追い回す女子生徒たちに松田、元浜、兵藤が最低最悪な反論をして女子生徒たちに悲鳴や怒りの声を上げさせる。
それを不愉快に思った蓮夜は、一番後ろを走る元浜の足下に指で弾いた空気弾を放った。
「うわぁっ!? な、なんだ!?」
「お、おい元浜っ!? おわぁっ!?」
「な、なにしてんだっ!? うおぅっ!?」
結果、足を取られた元浜が前のめりに倒れ、兵藤がそれに巻き込まれて松田を巻き込んで転び、変態三人組は顔面から地面へとスライディングしながら倒れた。
そこへ追いついた女子生徒たちが手にした箒や塵取りで滅多打ちにしていく。
「いい気味ね。黒崎くんもあんな連中に関わらないようにね?」
「……ああ、わかった」
波瑠加の忠告に蓮夜は、肩を竦めて頷く。
ひとまずこの問題は、頭に入れつつ保留という形にする。
「あ、グレモリー先輩じゃん」
と、波瑠加が不意にその名を口にした。
それに蓮夜が疑問に思いながら見れば向かいの窓に立つ紅い髪のロングヘアと青い瞳をした、美女が下の騒動を見下ろしている。
「知ってるのか?」
「ああ、うん。黒崎くんに教えておきたかったことのひとつ、我が校の二大お姉様のひとりで三年生のリアス・グレモリー先輩だよ。黒崎と同じで帰国子女らしくて、北欧出身でお父さんの仕事の都合で日本の学校に通ってるんだってさー。黒崎くんと似た境遇だから話が合うかもよ?」
同じ立場の、それも先達の者が居れば慣れない日本の学校生活も不安は薄らぎ、何かあれば相談できるかも、といった波瑠加の気遣いのようだが蓮夜からしたらその心配は徒労に終わる。
まず不慣れというのは、方便で四年前にもしばらく日本に滞在していたし、そもそも不安などない。
転校生で帰国子女だからという方便みたいなものだ。
そのあたりは、波瑠加も帆波も知っている。
つまり表向きの理由だ。
それに何より──。
(まさか、悪魔としての名前をそのまま名乗っているのか。人間界にも七十二柱の名前や、著名な悪魔の名前は知れてるんだぞ。父さんの名前も書物や、創作に出てくるしな。だというのに違和感を覚えられないのは……ああ、またあの結界か)
何を隠そうリアス・グレモリー──蓮夜が先方と称していた彼女のことが苦手だった。
理由としては、典型的な上級悪魔然とした性格や立ち居振る舞いが、かつて自分と母を殺そうとした貴族悪魔のそれを彷彿とさせるからだ。
嫌いとまではいかないが、極力関わりたくない苦手なタイプの人種なのだ。
(価値観が違いすぎて会話が成立するか怪しいしな。実家や兄の魔王が甘やかしているから、典型的なわがままプリンセスってやつだからな)
極力関わりたくない相手だが、あらゆる能力は下の相手でも立場的にこのあと自分から挨拶に行かないとならないと考えると、蓮夜は憂鬱でしかない。
(とりあえずうちのクラスには、グレモリー眷属がいないのはいい。もう片方の先方の眷属は居るみたいだが……そっちにも挨拶に行かないとな)
そう、この駒王町には管理者のリアス以外にももうひとり、上級悪魔とその眷属が居る。
どちらも七十二柱の貴族なため政府と距離を置きがちな番外の悪魔である蓮夜よりも立場は、対外的には上である。
実力以外で決まる立場には、正直なんの価値もないと考えているが魔王派の上層部の悪魔たちが鬱陶しいため仕方ないと割り切っていた。
(面倒だが、これも目的のためだ。せいぜい上手く立ち回るとしよう)
蓮夜はいままでの相手に比べたら楽だが、油断することなく改めてそう決意するのだった。
To be continued