※この作品はR-18です。

ハイスクールD×D〜聖魔の槍使い   作:星屑の騎士

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せっかくのゴールデンウィークなのでもう一話更新させていただきました!いちおう新規書き下ろしの回となります!




お昼休み

 

 蓮夜、アスカ、エルファリアはクラスメイトたちとの賑やかなホームルームを経て、初めての授業も無事に終えた。

 

 元お嬢さま校なだけあって全体的に授業内容のレベルは高かったが、学校に通わずとも本来ならばかまわない蓮夜たちには特に問題なかった。

 

 そして、お昼休みの時間を迎え、クラスメイトたちから次々とかかるお昼の誘いを断り、蓮夜、アスカ、エルファリアは、とある人物たちと人目があり賑やかな教室から移動していた。

 

 表向きはクラスメイトに校内を案内してもらっている転校生なのだが、本当の目的はそれだけではない。

 

 校内を案内してもらいながら蓮夜たちとその人物たちは、自然な流れで人目につかない屋上の死角へと入った。

 

 さらに蓮夜は、念のためにと一瞬で人払いと防音の結界を展開した。

 

 蓮夜の実力もあり、たとえ異形や異能の関係者などにもほぼ気づかれないほどに高度な結界だ。

 

 この結界に気づけるのは、よほどの実力者くらいなものだった。

 

 そして、それほどの実力者はこの学園にいない。

 

 そんな結界をひと呼吸で簡単に展開するあたり、蓮夜の実力の高さが窺えた。

 

「──さて、これでいいだろう」

 

 なんら疲労も気負いもなく、呼吸するように魔法を使った蓮夜は、とある人物たちへと親しみの込もった眼差しと声音を向ける。

 

「久しぶりだな、帆波、波瑠加。元気そうで何よりだ」

 

 蓮夜にそう呼びかけられたとある人物たち──一之瀬帆波、長谷部波瑠加はそれぞれ満面の笑みを、あるいは微笑を浮かべて応えた。

 

「うん! 久しぶり、蓮夜くん!」

 

「れんぽん、相変わらずみたいで安心するー」

 

 そう、蓮夜たちと移動してきたのは、転校してきたばかりの蓮夜たちの面倒を見ることになったはずのふたりだった。

 

 何を隠そう帆波と波瑠加は、蓮夜たちと初対面などではない。

 

 帆波、波瑠加は、蓮夜の保有する後宮の役割を担う超高層マンションへと入った、表向きは愛妾という名であり、真実は蓮夜の大切な恋人たちだ。

 

 つまり教室でのまるで初対面かのような振る舞いはお互いに演技であり、帆波と波瑠加は、蓮夜が事前にこの学園に送り込んだエージェントだったのだ。

 

 しかし、帆波と波瑠加は神器も所有していなければ戦闘技術もない。

 

 かろうじて防御魔法などの簡単な補助魔法を教わったくらいだった。

 

 だが、もちろん蓮夜は大切な恋人たちをそんな丸腰で他所の地に送ったりしない。

 

 帆波と波瑠加には、魔法的な守りを何重にも施しており、さらに緊急時には瞬間転移が発動し安全圏へと離脱できるようになっている。

 

 しかも戦闘素人なふたりのことを考慮し、蓮夜の基準で危険と判断した事柄が起きたらオートで発動するようになっていた。

 

 そこに加えて認識をずらしており、帆波や波瑠加はこの外見で人の目に留まりにくい。

 

 だからこそ、例の変態三人組の犯罪行為からも難を逃れていた。

 

 おまけにそれほど多重の守りがありながら、異形や異能持ちに気づかれることがまずないほどに隠蔽されている。

 

 実際、帆波も波瑠加もリアスたちに存在を注視されたことは一度もない。

 

(まあ、あの程度の実力者ならまったく指標にはなりにくいが……)

 

 リアスも、もうひとりの悪魔も、上級悪魔らしく修業の類いはしていないのか、蓮夜が見た限り平均的な上級悪魔程度の実力しかなかった。

 

 蓮夜が想定しているのは、最低でも最上級悪魔クラスの脅威だ。

 

 上級悪魔以下では、蓮夜の偽装や隠蔽に気づくことはできない。

 

 つまりその程度は危険にすらならないのだ。

 

 ちなみにこの守り、帆波と波瑠加だけではなく、蓮夜の保護下にある女の子には全員備わっている。

 

 もちろん、織姫にもその手の守りがすべてかかっていた。

 

 仮に誰かが蓮夜の保護下の女の子たちを無理やり眷属にしようとしても防ぐことが可能であり、もし駒を使われても弾くことができるのだ。

 

 そこまでして蓮夜が帆波や波瑠加を送り込んだのは、未知の状況を探るためにあえてふたりのような素人のほうが危険や警戒がないと踏んだからだ。

 

 蓮夜たちがこの学園に早く馴染むためのファクターとしても機能してもらう、という狙いもある。

 

 さらに優秀な人材がいれば調べておいてもらうのもふたりの仕事だ。

 

 蓮夜が求める人材が眷属であれ家臣であれ、基本女の子なのだから帆波や波瑠加のように同性のほうが知れることも多いし、着眼点も違う。

 

 同性だからこそ見抜けることも多くあるのだ。

 

 そんな比較的平和な仕事にそこまで過剰な守りを施しているあたり、蓮夜のふたりへの愛情の過多がよくわかる。

 

「はい、蓮夜くん。とりあえず今日まで調べられることとか、私たちが思ったり感じたりしたことを書いたノートだよ」

 

 アスカやエルファリアともあいさつを終え、帆波がそう言ってノートを差し出した。

 

 そのノートも特殊なものであり、開くには登録者──この場合は帆波か波瑠加──が触れねばならず、書き記したことも特殊なペンを使っているため固有のパターン化したオーラを目に込めないと白紙にしか見えない仕様だ。

 

「ああ。ありがとう、帆波。波瑠加もひとまずご苦労だったな」

 

「まあ、別にこのくらいならねー」

 

「うんうん。探偵みたいでちょっと楽しいしね」

 

 蓮夜の言葉に波瑠加、帆波が笑顔で応じた。

 

 帆波も波瑠加も蓮夜の力になれることが嬉しく、苦にも思っていないようだ。

 

 とはいえ、蓮夜がそのことに感謝していないはずはなく、そのうちに時期を見計らって礼をしようと考えていた。

 

 帆波が首を傾げる。

 

「それで、私たちはこれからもこの学園に?」

 

「ああ。ふたりがよかったらだが」

 

「私はいいよー。れんぽんと楽しい学園生活送りたいし」

 

「うんうん、私も私も!」

 

 波瑠加も帆波も学園生活に乗り気なようだった。

 

「あ、でも……急に仲良くしたら怪しまれる、よね?」

 

「そうでもないさ。幸い転校生に女子がふたりいるし、世話を焼いてもらっているうちにって感じで通せばいい。常に一緒にいれば一般人なんてそのくらいで納得するさ。勝手にエピソードに肉付けしてな」

 

「れんぽんはやっかみ受けそうだよねー」

 

「それは甘んじて受け入れるさ。どうでもいい相手だし、一般人の報復なんてたかが知れてる」

 

 帆波の不安にも、波瑠加のからかいにも蓮夜ろ肩を竦めて返した。

 

 人とは、真実など多少あればあとは勝手に妄想して補完するものだ。

 

 そして、帆波や波瑠加のような美少女に加え、アスカやエルファリアとも仲良くすれば蓮夜は、男子生徒から大なり小なり恨まれるが心底どうでもよかった。

 

 そもそも帆波も波瑠加も、アスカもエルファリアも、蓮夜の恋人であり他人が入り込む隙など一ミクロンすら存在しないのだ。

 

「ま、いざとなったら私がお灸を据えちゃおっかな」

 

「そのときは私も手伝うよ」

 

 アスカとエルファリアは、一般人相手でも常識の範囲内で容赦なさそうだ。

 

「ほどほどにな。日本での保護者は、一般人にやり過ぎるとキレるぞ。俺たち相手にも容赦ないだろう」

 

「ああ……ウィズさんかぁ。あのヒト、たしかにそこらへん容赦ないもんねぇ」

 

「私はそれでも蓮夜を優先するよ?」

 

「嬉しいがやりすぎないようにな。眷属と師匠の殺し合いとか、考えるだけでもゾッとしない」

 

 蓮夜がそうであるようにアスカもエルファリアも大切な者が最優先なきらいがあり、この『王』にしてこの眷属ありだった。

 

 そのため蓮夜も釘を刺したが、もしアスカたちに何かあれば一般人でも容赦しないのは、蓮夜も同じなためどっちもどっちだ。

 

 ちなみにウィズは、蓮夜の魔法の師匠でもあり、その実力は最上級悪魔以上の魔法の使い手だ。

 

 そんなウィズは、現在はこの駒王町におり、帆波や波瑠加の保護者を務め、さらに何かと問題を起こしがちな蓮夜たちのフォローもいざというときはしてくれる約束をしている。

 

 ウィズが日本にいるように、帆波や波瑠加もあの超高層マンションから一時的にこの駒王町へと移り住んでいた。

 

 場所は蓮夜の駒王町での拠点近くであり、いざというときは緊急転移魔方陣も設置されており、超高層マンションか蓮夜の拠点へと転送されるようになっている。

 

 帆波たち本人にだけではなく、住居などにも多くの守りを施しているあたり、蓮夜らしいと彼を知る者ならば言うだろう。

 

「──さて、このノートは帰ったら見させてもらうとして、いまはせっかくの昼休みだしな。難しい話はひとまず終わりにして、せっかくだから昼飯でも食べるか」

 

 蓮夜の言葉に全員が賛成し、各自持ってきた弁当を広げて昼食の時間となった。

 

「でも、愛里も来れたらよかったねー」

 

「仕方ないよ。愛里ちゃんは、けっこう有名だから騒ぎになっちゃうし」

 

「あまり人数増やしても誤魔化しきれないしね」

 

 と、波瑠加、帆波、アスカが言う。

 

 愛里こと佐倉愛里は、『雫』の名で活躍しているグラビアアイドルだ。

 

 最近は知名度も高まっており、学生をやるにはなかなかハードルが高い。

 

 会話に参加していないエルファリアは、蓮夜との昼食を楽しみにしており、いつ「あーん」をし合うかタイミングを見計らっていた。

 

 ちなみにすでに結界は解いており、こうして仲の良いところを少しずつ見せ、蓮夜たちが一緒にいることが普通に思えるように印象づけている。

 

 というのが表向きな理由であり、本当は単に蓮夜が学園でアスカたちとお昼を食べたいというだけだった。

 

(たまには、こういう学生っぽいことをするのもいいな)

 

 それが大切な者と一緒ならばこれ以上楽しいことはない。

 

 お昼を食べながら談笑するアスカたちを眺めながら、蓮夜は心中で静かに噛みしめるのだった。

 

 

 

 

 

       §

 

 

 

 

 

 昼食を終えた蓮夜たちは、屋上から教室へと戻る途中だった。

 

 階段を降り、同じようにそれぞれの教室へと戻っていく生徒たちの好奇や嫉妬の視線を受けながら、蓮夜はアスカたちと自分の教室へと向かう。

 

 その途中のことだった。

 

 蓮夜たちの進行方向とは逆の廊下から、ひとりの男子生徒がこちらへ向かって歩いてきている。

 

 イケメンというほどではないが、整った顔立ちに赤茶色の髪をした男子生徒だ。

 

 ちょうど正面から鉢合わせるカタチだが、その男子生徒を見て蓮夜は反応を示した。

 

「──颯馬?」

 

「──おう。久しぶりだな、レオン──いや、ここでは蓮夜だったな」

 

 蓮夜の意外そうな声音に颯馬と呼ばれた男子生徒は、片手を挙げて気軽に応じた。

 

 それは蓮夜の想定外な再会だった。

 

 

 

To be continued

 

 

 




というわけで帆波と波瑠加との再会でした。蓮夜の過保護ぶりもよくわかりますが、そのせいで見落としがちですが魔法の腕前が異常というのも何気にわかる回になっています。

さらに親友のオリジナルキャラもチラッと登場しましたが、設定が甘いかもです。元七十二柱の誰の血を引いていることにしようかなぁ……。

というわけでひとまず楽しんでもらえたのなら幸いです。

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