それでは本編をどうぞ!
ある日の夜のことだった。
蓮夜は、ラヴィニアとともにはぐれ魔法使いの違法研究所を制圧した。
ここで研究されていたのは、結界にさまざまな効果を付与するというものだった。
そのことを押収した研究資料を読み解き、理解した蓮夜は興味深そうにしていた。
(──既存の結界に副次効果を付与し、結界内部に閉じ込めたものに強制するか。閉じ込めた時点で効果あるのなら、格上にすら通じそうだな)
蓮夜は、この結界魔法は完成すればかの神滅具のひとつ、『絶霧」にも勝るとも劣らない魔法になるだろうと思っていた。
(……まぁ、残念なのは研究していた奴にそんな大層な思想はなかったってことだな)
蓮夜はそう微苦笑する。このはぐれ魔法使いが考えていたのは、ただひたすらに女の子にいやらしいことをするためだった。
特定の言動をせねば出られない結界とすれば、閉じ込めた女の子を意のままにすることも可能だ。
催眠と違って自我も羞恥もあるままというのがいいらしい。
日本ふうに言うなら『〇〇しないと出られない部屋』『エロトラップダンジョン』といったところか。
ご丁寧に使い魔の森に居る『服を溶かすスライム』や、『女の子の分泌物を食べる触手』なんかも用意する予定だったらしい。
(呆れたものだな……)
呆れを通り越すこともなく、蓮夜は嘆息した。
(……とりあえず、この研究資料はもらっとくか。しっかり研究すれば戦闘にも役立つだろう)
有益な使い道を模索しながら蓮夜は、研究資料を亜空間へと収納した。
と、そのときだった。
「──あ、レオくん!」
同じように研究所内を調べていたラヴィニアが、声を上げた。
蓮夜は、その声と発露する魔法力に視線を向ければ、床に何やら巨大な魔方陣が展開されていた。
蓮夜やラヴィニアが発動まで見つけられなかったあたり、はぐれ魔法使いが死んだから時間差で発動する仕掛けだったのだろう。
それまで魔方陣も、魔法力も微塵も発露されないあたり、よほど入念に隠蔽していたのだろう。
(術者の死がトリガーだったからか……!)
この手のものは、条件が満たされるまで無害無力なもので、事前に見つけることは不可能に近いのだ。
蓮夜は、これでエロにだけ傾倒していなかったらとも思うが、エロに傾倒していたから世界的なテロに繋がらなかったともいえるため、実に複雑だった。
蓮夜は、ラヴィニアを抱き寄せると自分たちを球状の結界で覆った。
もし即死級のトラップ──仮に石のなかや、深海に転移させられてもこれなら耐えられる。数秒耐えられたら脱出は容易と確信していた。
そして、魔方陣の発光現象がひときわ強くなり、収まったときには、蓮夜とラヴィニアは石造りの部屋へと飛ばされていた。
「……レオくん、ここは?」
「……誰かの部屋か?」
ラヴィニアの問いに蓮夜は、冷静に周囲を観察しながらそう返す。
天井も、床も、壁も、すべてが石造りの部屋には、蓮夜が言うように誰かが生活しているかのようにベッド、冷蔵庫、トイレやキッチンなどの生活に必要なものがひととおり揃っていた。
だが、おかしな点もある。
まず生活空間だが、誰も使った形跡がないこと。室内のすべてが新品同然だった。
そして、この玄室には出入り口がどこにもないことだ。
(まぁ、転移して出入りすることが前提なのか?)
蓮夜は、観察しながら探知魔法も使うが特に何かおかしな点が見つかることはなかった。強いて言えばこの状況でおかしな点がないことが異常だ。
「……レオくん、あれを見てほしいのです」
ラヴィニアの声に彼女が示す先を見れば、そこには新たに看板のようなものが壁に出現していた。
「……なんだあれは?」
蓮夜も無地の看板を見上げていると、やがて光る文字が浮かび上がってきた。
そこには──
『女がどすけべセックスして男を満足させなければ出られない部屋』
と書かれていた。
「…………」
「…………」
思わず無言になる蓮夜とラヴィニア。
蓮夜は冷めた目で看板を見つめ、ラヴィニアは恥ずかしげに頰を赤くしている。
いろいろ経験のあるラヴィニアだが、どすけべセックスとか言われると羞恥を覚えた。
そんなの蓮夜と数えるほどしかしていないのだ。
──裏を返せば数回はしてるわけだが。
何よりラヴィニアが困ったのは、男──この場合は蓮夜を満足させなければならないということだ。
もちろん、ラヴィニアは蓮夜への愛情は最大値を常に更新し続けるくらいに好きで、愛している。
だが、蓮夜を満足させるのは、ラヴィニアといえど大変だ。
「……まぁ、従う必要はないな」
そう言って蓮夜は、この部屋を破壊しようと結界破壊の魔槍を造り出し、手にしたと思えば投擲していた。
壁に突き刺さった魔槍は、その能力を遺憾なく発揮し、玄室の構成術式を完全に破壊した。
硝子の砕けるような音ともに景色が割れ、蓮夜とラヴィニアは元の研究所に立っていた。
(転移ではなく、空間の描き変えだったか)
そう判断した蓮夜は、ラヴィニアに言う。
「さて、帰るぞ、ラヴィニア」
「……あ、は、はいなのです」
上の空で応じるラヴィニア。その様子に「どうかしたのか?」と蓮夜が訊くも、ラヴィニアは「だいじょうぶなのです」と微笑んだ。
(むぅ……レオくんらしいのですが、その気になってドキドキしていた私の心と体はどうするのです……レオくんの能力を一瞬でも忘れてその気になっていた私が悪いのですが……でも……)
ラヴィニアは、必ず助けてくれる、必ず守ってくれる蓮夜が大好きだ。
蓮夜を心の底から愛している。
同じだけ大好きでいてくれるし、愛してくれてもあるのもわかっていた。
しかし、それとは別に蓮夜に不満があった。
蓮夜は、その愛情ゆえに全力で女の子を抱くことはまずない。
本気で抱いてくれてはいるが、全力を出せばいかに眷属悪魔に転生していても抱き潰されてしまうからだ。
それというのもラヴィニアは、蓮夜の本気に加えて全力のセックスを唯一経験したことのある女だからだった。
いま思い出してもあれはすごかった。
蓮夜の誕生日プレゼントにラヴィニアは、自らをプレゼントした。
休みを取り、リボンを巻いてベッドに忍び込み、ラヴィニアはやってきた蓮夜にその身を差し出した。
当時、まだまだお互いにいまより若かったこともあり、大いに盛ったものだ。
いま思えば蓮夜は、自分の性欲を全力で吐き出すことを遠慮していたのだろう。
だが、独占欲や支配欲もある蓮夜は、自分から体を差し出したラヴィニアに、タガが外れたのだろう。
そこからは、もう快楽しか覚えていない。
かろうじて水分補給はしたが、それ以外は寝ても覚めてもセックス続き。
ラヴィニアは、二回めのセックスを経験したその日に膣穴、尻穴、口腔、手、足、腋とすべてで蓮夜の欲望を受け止めた。
終わったのは、実に三日後のことだった。
ラヴィニアは、妊婦同然におなかを精液で膨らませ、全身至るところに精液を付着させ、しばらく快感に意識を彷徨わせていたものだ。
魔法で処理していなければ悪魔に転生していても妊娠確定だっただろう。
しかし、ラヴィニアの記憶にある限り、それ以来蓮夜は、全力で欲望を吐き出していない。
他の女の子たちにもその様子はなかった。
あったら自分の経験した悦楽からして、すぐにわかるのだから。
当時のことを思い出し、じゅんっと蜜を垂らしたラヴィニアは、ショーツに染み込むのを恥じらいながら決意した。
(レオくんに数年ぶりに全力を出させるのです!)
聞けばかっこいいセリフだが、その全力がセックスなのだからなんとも言えない。
しかし、ラヴィニアは本気だった。
その本気は、間違いなく蓮夜に届くのだ。
To be continued