次回から行為が始まります
カツカツ、カツカツ。
カツカツ、カツカツ。
真っ暗闇に覆われた部屋の中に、冷ややかな音が鳴り響く。硬いモノと硬いモノをぶつけ合ったとき特有の鋭利な音だ。
アスファルトを衝くハイヒール。机の上を叩く指の爪先。黒板に文字を写すチョーク。
それらを連想させる冷たい音。
しかし、音の冷ややかさに反し、部屋の中はある種の熱気を孕んでいた。
「ーー、……」
部屋の中には3つの人影。
部屋の中央に膝をつきながら何らかの文様を描いている人影が1つ、壁際でそれを眺めている人影が2つ。
全員が静か。
全員が落ち着いている。
そう見える……、はずなのだ。
だが、その沈黙の中には明らかに何らかの念が込められていた。
「ーー、……」
無駄口挟まず、1秒でも早く作業を終わらせたいという感情。
下手に口を開いたら己の衝動をすべてぶちまけてしまうという思考。
そもそも各々把握し合っているのでわざわざ話題にするまでもない欲望。
これらすべてが混ぜ込まれた真っ黒な沈黙がこの部屋の中には満ちていた。
カッ……
それから程なく、中央の人影は作業を終えたのか手を止め、チョークを懐に仕舞い
「終わったわよ」
と、壁際の2人にそう言い放つ。
終了の言を受け取った2つの人影は、やっとか、と言わんばかりにすぐさま中央の人影に近づいた。その二つの人影を視界に収めた中央の人影は念押しだ、とばかりの勢いで質問する。
「最後に確認だけど、ユウ。ちゃんと薬は持った?」
「あぁ。ちゃんと持ってるよ」
ほれ、とユウと呼ばれた人影は右手に桃色に怪しく光る試験管を横に振る。蛍光色に光る中の液体は、一目でよくないものであることは明白だ。
「メイも大丈夫?」
「ええ、ちゃんとここに……」
ほら、と、今度はメイと呼ばれた人影はジャラッ、と両手に握った鎖を持ち上げる。
「結構。じゃあ、さっそく始めるけど……、最後に何か聞いておきたいことは?」
ない、と、二つの人影は首を横に振る。それが最後の会話であった。
「じゃあ、始めるわね」
そして、すべては始まった。
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真っ暗な海の底を、オレはふわふわと揺蕩っていた。
ふわふわ、ふわふわ。
ふわふわ、ふわふわ。
まさに今のオレの意識の様に、方向性などなく、定型などもなく、そして終わりなんかも当然なく。
ボーっと、ただボーっとしているだけ。
静かな静かな意識の海の底。
邪魔な雑音など一切、……一切
(……?)
それほどまでの静寂が嘘のように、今度は誰か、人同士の会話のようなものがあたりに響き渡り出す。
『確率は半々だったが、来たのは男か……。マーヤが薬を作っておいてくれてよかったよ』
『この儀式は1回きりだもの。50%という数字は大きすぎるわ』
『逆に私の鎖は必要ありませんでした。召喚時点で熟睡です』
(……何の、話)
『あら、そうでもないわよ?薬を飲ませた後、逃げないように使うから』
『正確には、服を脱がせた後、な?』
『その補足必要ですか?といいますか、服を脱がせる方が薬を飲ませるよりも先ですよ』
(……思考が、纏まらない)
『あれ、そーだっけ?じゃあもう剥いちまうか……いいよな?』
『ええ、大丈夫よ』
『んじゃ早速……、って、ぷぷっ。んだこりゃ?』
(何か、不味い気が……)
『見ろよ、コイツんの、めちゃくちゃ小さいぞ?あとで私たちのモノを見たとき卒倒すんじゃねぇか?』
『……確かに、粗末としか言いようのないモノね』
『まぁ、これから雌になっていただくのですから、雄としての機能なんてどうでもいいかと』
(する……、のに)
『じゃあユウ、次は薬を飲ませて頂戴』
『了解、どうなるか見ものだな』
『私も大変気になります』
(逃げ……)
『っと、これでいいのか……っと。早速薬の効果か?最初からちっさかったけど、もうほとんど無い……って、完全になくなっちまった』
『それだけじゃない。全身が少しずつ雌のモノに。顔は色っぽく、胸も膨らみだし、腰は括れて、お尻も膨らみだしてきた。雌の第二次性徴を今この場で行っているの』
『先ほどまで男性器があった場所も少しずつ女性器の形に……。まさか、これほどに早いとは』
(な……、きゃ)
『メイ、鎖をお願い』
『了解しました』
『んじゃ、私が運ぶぜ』
(……)
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目を覚ましたオレは、女になっていた。