無口無表情でダウナー系の幼馴染は僕の部屋でくつろぎすぎている──ダウナー系で隠れ巨乳美少女な幼馴染がオナニーしているところを見かけてしまってから、僕が彼女と生ハメセックスを繰り返す仲になるまでの七日間 作:しじままどせ
「睦月くん、また悠里ちゃんを見てたんだ?」
同じクラスの与木さんが隣の席に腰掛けながらクスッと笑ったので僕は思わず目を剥いた。
そのときはちょうどお昼休みで、教室では生徒たちが昼食を取ったりお喋りに興じたりとめいめいが自由に過ごしていた。僕は持参した弁当を食べ終えたところで、窓辺の席に座っている悠里をぼんやりと眺めているところだった。
悠里はマイペースに鞄からクリームパンを取り出して小さな口で少しずつ食べていた。制服の上に羽織っているカーディガンから指の先だけが見えていて、その指でパンを摘まんでかぶりついているところはなんだか絵になっていた。
当たり前だけれど今は悠里の下着は見えない。スカート丈は短いけれども見えているのはふとももまでで、体のラインだってカーディガンに隠されていたからよく見えなかった。
だから安心して眺められる、と言えなくもない。少なくとも僕の部屋にいるときほど気を抜きすぎているわけではないから、こちらもそれほどドキドキしないで済むのだから。
それに悠里は黙っていれば立派な美少女で、やや気怠げな空気をまとっているとはいえ、窓から見える青空を背景にしてパンを食べている彼女はなんだか一枚の絵画か何かのようだったのだ。
それで僕はぼんやりとパンを食べる悠里を眺めていた訳だけれど、そこを隣の席の与木さんにからかわれた、というわけ。
「睦月くんは本当に悠里ちゃんが好きだねえ」
などと言いながら与木さんは両手のひらをあわせて合掌するようなポーズでこちらを見て笑っている。
与木さんはこのクラスに最近転校してきた女の子で、誰に対しても人当たりのいい子だ。ふんわりとした髪を肩のあたりまで垂らしていて、明るくて何だか丸っこい印象の女子生徒である。
このクラスにいる歴はまだ短いはずなのにすでに僕よりもずっと友達が多くて、話してみると確かにとてもいい子であるので僕も密かに与木さんには好感を持っていた。好感を通り越してもはや惚れている男子もクラスには多いようだったけれど。
そしてちなみに睦月くんというのは僕のことである。
「べ、べつに僕は悠里が好きってわけじゃ……ただたまたま眺めていただけだよ」
「そうなんだ? それにしてはいつも一緒にいるし、いつも視線が悠里ちゃんの方を向いている気がするんですけどっ」
「いや気のせいだよ。悠里とは昔から腐れ縁の幼馴染なだけで、そういうのじゃないし」
「ホントにぃ……?」
与木さんがくりくりとした大きな目で下から見上げるようにこちらを見つめてくるので僕は思わず「うっ」とたじろいだ。
一応、僕と悠里は本当にただの幼馴染だ。悠里は毎日のように勝手に僕の部屋にやってきてくつろいでいくけれど、本当にそれだけ。べつに恋仲だったりするわけでもないし、名実ともに僕たちは単なる幼馴染だ。
「じゃあさ、悠里ちゃんに彼氏ができたらどうする?」
「……え?」と僕は首を傾げた。
──もしも悠里に彼氏ができたらどうするのか、だって。
その想定は今まで一度もしたことがなかったのでハッとした気持ちになった。
「悠里ちゃんは睦月くんと付き合ってる訳じゃなくて、今フリーなんだよね? だったら他に彼氏ができちゃう可能性もあると思うんですけど」
「いや、ないな」
「えー? どうして」
「あいつはいつもボーッとしていて、無表情気味で何を考えているか不明瞭なヤツだし、そのくせ何もしていないのに急に不機嫌になることがあるから……よっぽど慣れているヤツじゃないとあいつの相手は務まらないと思うよ」
「慣れている子」
「うん」
「
「う……」と、僕は思わずたじろいだ。我が意を得たりと言わんばかりに与木さんが上目遣いにこちらを見ながらクスッと笑ったからだ。
なんだか猛烈にからかわれているような気がする。与木さんはまるで『睦月くんが悠里ちゃんの彼氏に立候補したいみたいですけど?』と言外に匂わしてきているような感じがするのだ。
確かに僕はまあけっこうかなり悠里のことを意識している節があるけれど、しかしここはお昼休みの教室だし、そんな場で『僕は悠里が好きだ』なんて言い出すには安全でも適切でもなさすぎる。
「じゃあ、睦月くんは悠里ちゃんのことは何とも思っていないんだよね?」
「そ、そうだよ。僕とあいつは単なる幼馴染で……」
「そっかぁ」と与木さんは席に座ったままいきなりズイッとこちらに接近してきた。
ぐーっと彼女の顔が近づいてきて、ふわっとシャンプーか何かの甘い香りがした。悠里のそれとはまた違った香りだ。というか与木さんもまた美少女であるからそんな近距離で見つめられると心臓に悪い。
完全にたたみかける勢いだ。こちらは与木さんのペースに飲まれてしまっていて、会話の主導権が一切こちらにない状態になっている。
そのうえ与木さんはとんでもないことを言い出した。
「じゃあさ、睦月くんと悠里ちゃんがだだの幼馴染だってことは……睦月くんも今、フリーだってことだよね?」
「……え?」
「キミが他に彼女を作る可能性がある、ってこと」
「う……他にって、いったい誰と……」
こちらがますますたじろぐと、至近距離にある与木さんの目がスッと細められた。笑顔だ、と認識するには距離が近すぎるけれど、彼女が笑っていることだけは認識できる。
そして彼女は人さし指を立てて笑っている彼女自身の口の端を撫でながら言葉を続ける。
「キミと付き合いたい女の子が誰かって、たとえば──」
「──睦月」
と、いきなり上から声が降ってきた。
「あっ」と思って見るとそこには悠里が立っていて、表情の読めない目で僕と与木さんを見下ろしていたのだ。
いつの間に昼食を食べ終えたのだろう。食事をするのが遅い彼女にしては異例の早さなのではないだろうか。そんなことを一気に思った。
僕はまだ心臓がドキドキしている。
「悠里ちゃん、こんにちは」と与木さんは身を引きながらそう言って、急接近していた僕からスッと離れて改めて隣の席に戻った。けれども目がまだ笑っている。
「今、悠里ちゃんって可愛いよねって話をしていたんだよ。ね、睦月くん」
「えっ、そ、そうだっけ……?」
「そうだよ?」
「与木さんって結構いけしゃあしゃあと嘘話すタイプ?」
「そうだよ?」
「……いこ」と、クイッと悠里が僕の服の袖を引っ張った。
見上げると悠里はまだ感情の読めない目で僕をジッと見つめていた。何か言いたげであるけれど、何を言いたいのかは分からない。ただ、悠里は何もしていないのに急に不機嫌になることがあって、それが今であるらしいことは察した。
こういう時は逆らわないに限る。でないと後が面倒だ。もう十五年以上幼馴染をやっている僕が言うのだから間違いない。
だから僕は立ち上がりながら悠里に尋ねた。
「い、行くってどこへ?」
「……屋上」
そしてこちらの返事を聞かずに僕の袖を掴んだまま歩き出すものだから、僕は半ば引きずられる形で悠里の後を追うことになった。つまり廊下に出て屋上方面へと。
教室を出るときに後ろを振り返ったら、与木さんが両腕で小さくガッツポーズをしながら『がんばれっ』と笑みを浮かべながら口の動きだけで言うのが見えた。
頑張れって、何をだよ。
◇◇◇
空は晴れていて天気は悪くなかったけれど、屋上に出てみると風が強かった。そのせいかお昼休みにもかかわらず閑散として、僕たちの他には誰もいなかった。
屋上に出たところでようやく悠里が僕のシャツの袖を解放してくれたので、僕はそこにあったベンチに腰掛けた。悠里は緑色のフェンスのところに立って感情の読めない表情でこちらを眺めている。
「で、何だよ、いきなり服をひっぱったりして」
「むー……」と悠里は声を漏らしながら今度は自分のカーディガンの袖を引っ張っている。
もともと大きくてサイズが合っていないカーディガンだ。だからそうして引っ張ると彼女の指の先っぽさえも見えない状態になってしまう。
何か言いたいことがあるのか、それとも今何か言いたいことを探しているのか、分からないけれど言葉を探して困惑しているような様子だった。ダウナー系で普段は何事もどうでもよさそうにしている悠里にしてはこの態度は珍しい。
とはいえ、もともと悠里は口下手な子だ。言葉よりも行動で意思を示すことが多いタイプの子。それがとんでもなく分かりづらいので、幼馴染で慣れている僕が悠里の一番の理解者に近い状態になっているのだけれど。
そして、改めて見てみると悠里はやはり美少女である。
今は何故か頬にスッと朱が差したような状態で、一気に歩いてきたせいでかすかに息も上がっていたから、この場面だけを切り取って写真に収めたら最高のポートレートになるであろう顔をしていた。
「遥奈と何の話をしていたの」
ぽつりと悠里がそんなことを言ったので僕は一瞬首を傾げた。遥奈って誰だ、と思ってからすぐに与木さんのフルネームが与木遥奈だったことを思い出す。
「べつに何の話もしてないよ。僕と悠里が好き合っているような誤解をしていたから、そんなことはないって否定しておいただけ」
「ふぅん?」
「よく誤解されるけど僕たちはただの腐れ縁の幼馴染で、それ以上でも以下でもないだろ?」
「……うん」
僕がそこまで説明をすると悠里は分かったような分からないような変わった表情でこっくりと頷いた。
少なくとも機嫌が悪そうには見えない。機嫌の悪いときの悠里は本当に黙り込むタイプだからだ。だから会話をしている時点でまだマシな状況だ。いきなり服の袖を引っ張られた時はびっくりしたけれど、どうやらホッとしてもいい状況であるらしい。
けれど、直後に悠里は彼女にしては猛烈に珍しいことを尋ねてきた。
「睦月は好きな人、いるの?」
「──は!? 何だよ藪から棒に」
「誰かと付き合う気は、ある?」
「いやそんなこと急に聞かれても」
「教えて」
「そう言ってもな……」
ご存じの通り、僕は悠里のことを異性として意識している。というか好きである。
けれどそれをこの場で言うのは適当ではないような気がする。だってそんなの実質的に告白ではないか。このシチュエーションで告るのは絶対に変である。
こういうときは適当にはぐらかすに限る。だから僕は肩をすくめて、適当な笑みを浮かべてみせた。
「僕はほら、悠里みたいに毎日部屋に入り浸ってくる変な幼馴染がいるし? 今はそいつの相手で手一杯だから恋愛とかそういうのは考えてないよ」
そう僕が言うと、悠里は「は……」と小さくため息を吐いた。有意にホッとしたような顔をしている。そうするとあどけない顔になる。
あれこいつ何か可愛いな、と思ってからすぐに心の中で首を振る。
これはチャンスだ。普段は僕を翻弄してくる悠里にやり返すチャンス。いつも悠里には振り回されているのだから、たまにはこちらも仕返しをしたい。
だから僕はニッと口を歪めて、意地悪く悠里に聞いてやった。
「悠里こそ、好きなヤツとかいるのかよ?」
「──は!?」
その瞬間の悠里の顔はなかなかの見物だった。普段はダウナー系に抑えられている彼女の目が大きく見開かれて、完全に虚を突かれたような顔をしたのだ。
そしてかあぁ……っと彼女の顔が赤くなっていくのが見えた。
え、なにその表情、好きなヤツいるの。誰? 誰だよ、聞いてないぞ、と思った。
思った瞬間に、そしてとても間の悪いことに、下から吹き上げるような強い風が吹いた。
「きゃっ」と悠里が悲鳴をあげる。
元々強かった風が悠里のスカートをブワッとめくれ上がったのだ。
ピンク。
悠里のショーツはピンク色だった。上部とサイドに白いレースで編まれた小さな花と蔦の模様が走っている可愛らしいショーツだ。そして風で一気にめくれ上がったので彼女のそけい部や下腹部、ヘソまでもがバッチリと見えた。
その瞬間僕は目を見開いていたのだろう。だから世界がスローモーションに見えていて、悠里のショーツの小さな花の刺繍のひとつひとつまでもが詳細に見えるくらいにマジマジと見えてしまった。
「えっちバカ見るなアホっ」
真っ赤になった顔で悠里が叫んで、ハッとする。
見ると彼女は耳まで真っ赤になりながら強風ではためくスカートの裾を押さえていた。怒っているというよりは羞恥心でいっぱいいっぱいといった表情だ。
「え、あ、ごめん……」とこちらが言うよりも早く悠里はバッと踵を返してタタタッと屋上のドアのところまで駆けていった。そしてそこで一度振り返って「べーっ」と舌を出して、そのまま教室の方へ向けて階段を駆け下りて行ってしまったのだった。
僕はその様子を呆然と見守っていた。
「ええ……今の、なに……?」
ぱし、ぱし、ぱし……と何度も瞬きをして、それからベンチの背もたれに背中を預けて空を見上げた。まぶたの裏に悠里の下着のピンク色が焼き付いているかのようだった。
いや、まあ、悠里のショーツなんて見慣れている。
ぶっちゃけほぼ毎日のように僕の部屋でチラリとは見えるのだから慣れてはいるのだ。見る度にドキッとはしてしまうけれども。
見慣れていなかったのは『下着を見られて動揺する悠里』や『羞恥心で顔を真っ赤にする悠里』や『バカとかアホとか言う悠里』でこれらを目撃したのは初めてだった。
いつもの悠里ならパンツを見られるくらい「んー……」のひと言で済ますのに。
常にダウナー系である悠里が動揺するところなんて、もしも日野悠里博物館を作るなら最上級に珍しい項目として展示しなければいけないくらいに珍しい。
だから僕はバカみたいに青い空を眺めながら深々とため息を吐いた。
今日の珍しい悠里の姿を何度も反芻しているうちに、ちょっと立ち上がれない状況になってしまったのだ。
だから僕は昼休みの終わりを告げる予鈴が鳴るまでずっと空ばかり見上げて、先ほどの悠里の様子や彼女のショーツ、そして『悠里に好きな人がいるらしい』という事実について考え続けていたのだった。
◇◇◇
けれどもその日の放課後、僕はそれ以上にもっと珍しいモノを目撃することになる。
それは忘れ物を取りに帰った夕日の差し込む教室で、悠里が、僕の机の角に自分の秘部を擦りつけているところだった訳なのだけれど……。