※この作品はR-18です。

ハーレム主人公にさせられて   作:ボルメテウスさん

18 / 18
イータの初筆

雪の静寂を透かして、障子越しの光が畳の間に柔らかく差し込んでいた。

外は一面の白に包まれ、音すら凍るような世界だ。けれど、この部屋だけは妙に熱を帯びていた。

 

俺の目の前には、イータが座っている。

淡い藤色の浴衣には、白と紫の花が静かに咲いていた。裾が揺れるたび、肌の輪郭が光の中に浮かび上がる。生地は薄く、絹のように滑らかで、彼女の動きに合わせて静かに呼吸するようだった。

 

髪を結い上げ、白い蝶と花の髪飾りが添えられている。無言の美しさがそこにあった。

 

「エロゲ、準備はいい?」

 

イータは真顔で、そう呼び捨ててくる。

いつも通りの調子だけど、浴衣姿で正座して筆を構えるその姿には、何か妙な色気があった。

 

「……準備って、何のだよ」

 

そう聞き返すと、彼女は目を細めて筆と墨を持ち上げた。

 

「今日は、筆で触れながら魔力の流れを測定する実験よ。摩擦や刺激でどう魔力が動くのか、データが取りたいの」

 

冷静に言ってるが、俺の脳内では警報が鳴っていた。

――ちょっと待て、それって、つまりは……筆プレイじゃないのか!?

 

「ほら、こっちに手を出して」

 

彼女は真剣な表情で、俺の腕に筆をあてがう。

筆先が肌に触れると、冷たさと柔らかさが同時に走った。絹のように滑らかで、墨の香りがわずかに漂ってくる。

 

「ん……っ」

 

思わず声が漏れる。

筆が撫でた場所に、じんわりとした熱が残った。波紋のように、その感覚が広がっていく。

 

「感じた? 今のが魔力の波」

 

イータの声はあくまで冷静だったが、俺の内心は違う。

(違うだろ……これ、どう考えてもエロゲで見た流れだぞ!?)

 

筆は腕から肩、そして鎖骨の辺りへと移動していく。

浴衣の襟がわずかにずれ、彼女の白い指がその隙間に差し込まれるたびに、俺の鼓動が跳ね上がった。

 

「次は、胸元に沿って」

 

さらりと言ってのけるその口調に、俺は動揺を隠せなかった。

だが彼女は淡々と筆を滑らせ、肌の上を微かに撫でる。

 

筆の感触は、風が肌を舐めるようだった。

くすぐったく、それでいて心地いい。

まるで冷たい雪解け水が、火照った肌にそっと流れ落ちるような感覚だった。

 

「エロゲ、呼吸が浅くなってる。過敏反応、だね」

 

(いやいやいや、過敏反応って……そりゃなるだろ!?)

 

それでもイータの手は止まらない。

筆は今度、俺の手の甲をなぞり、指の間をゆっくり滑っていく。

まるで言葉にできない感情を、筆で紡ごうとしているみたいに。

 

「……あんたの魔力、やっぱり面白いわ。反応が素直で、読めない」

 

その口調には、恋人に向けるような柔らかさが混じっていた。

俺の内心は既に限界寸前だったが、口には出せない。

筆のたった一撫でで、こんなにも感覚が翻弄されるとは思ってなかった。

 

「エロゲ、今度は、わたしにもやって」

 

筆を差し出され、俺は半ば反射的に受け取る。

 

「えっ、いや、その……いいのか?」

 

「もちろん。測定は対称的に行うものよ。私も被験者だから」

 

その理屈、おかしくないか!? と思いつつ、

彼女の浴衣の袖から伸びる白い腕に、そっと筆をあてた。

 

滑る。柔らかい。温かい。

まるで春先の雪がとけて、小さな水路になって流れていくようだった。

 

彼女の肌は、雪見障子の向こうにある静寂のようで、筆が触れるたびに確かに“何か”が動いた。

 

「……少し、くすぐったいけど……悪くない」

 

イータは目を伏せ、筆の感触に意識を集中している。

俺はその姿を見ながら、だんだんと筆先に意識を持っていかれていた。

 

触れているのは筆なのに、まるで自分の指が彼女の肌に沈んでいるような錯覚。

筆の毛が彼女の肌をゆっくりと探るたび、こちらまでその熱を感じるようだった。

 

「エロゲ、そのまま……もう少し、ゆっくり」

 

柔らかな声。静かな畳の部屋。降り続ける雪。

俺はただ、筆を動かし続けた。

 

それはもう、魔力の測定でも、実験でもなかった。

筆を通して伝わってくる彼女の温度。

それが、すべてだった。

 

筆の先端が肌をなぞるたびに、空気が変わっていくのが分かった。

初めは遊びのようでいて、徐々にその線は熱を帯びていく。

柔らかな光が畳に射し、障子の向こうでは雪がまだ降り続けている。

けれど、この部屋だけは、季節の外にあるようだった。

 

「……エロゲ、今の反応、いい傾向だったわ」

 

イータが、静かに言う。

さっきまで筆を動かしていた俺の手を取って、そっと自分の膝に置いた。

 

「魔力の質、もっと高められると思う。ね、もう少し続けましょ」

 

その声に、思わず喉が鳴る。

イータの浴衣は、筆がこすれたせいで胸元の合わせがゆるみ、肌の白さが覗いていた。

そこに、夕方の光がすっと入り込み、まるで肌が淡く発光しているかのように見えた。

 

「いや……その、これ以上はちょっと……いや、危ないんじゃないか?」

 

警戒心が声に滲む。

だけどイータは微笑んだ。

 

「大丈夫よ。だって、わたしにとっては“あなた”が研究対象で、恋人なんだから」

 

その言葉に、思考が止まる。

“研究対象で恋人”――それはおかしい、二重にも、危険な意味で。

 

「だから、あなたがどう反応するかも、全部知りたい。触れた時、どんな魔力が生まれるのか。どんな温度が走るのか……全部、観測しておきたいの」

 

イータは筆を置き、今度は素手で俺の手を撫でた。

ひやりとした指先が、手の甲をなぞる。

それだけで、心臓が跳ねる。

 

「肌の熱も、呼吸の速さも……ねえ、あなたの“今”を感じさせて」

 

手から腕へ、肩、そして首筋へ。

その指の旅路は、あまりに静かで、あまりに繊細だった。

触れているのに、夢のような感触。

重くもなく、強くもなく、ただ確かに――俺を観察している。

 

「……ねえ、エロゲ。魔力って、心で変わると思わない?」

 

耳元で囁かれた声は、少しだけ震えていた。

俺の顔が赤くなっているのを、イータは見逃さない。

そして、そのまま――彼女の手は、俺の胸元に触れた。

 

「ドクン……って、鳴ってる」

 

「ちょっ……!」

 

俺の声は、押し殺すような呟きになっていた。

けれどイータは、真剣なまなざしで俺を見つめたまま、

畳に片膝をつき、距離を詰めてくる。

 

「実験なんだから、我慢しないで。私も、ちゃんと記録したいの」

 

その言葉の裏にある熱を、俺は理解してしまった。

唇の端が、わずかに震える。

 

イータの指が浴衣の襟を押さえ、首元をわずかに開く。

その動作が、決していやらしくなくて、むしろ神聖な儀式のようで――

だからこそ、余計に艶めかしかった。

 

「……体温、上がってきたわね」

 

指先が肌に沿って滑り、肩に、鎖骨に触れる。

そのたびに、全身の神経がそこに集まっていくようだった。

 

俺は、もう逃げられなかった。

この空間と、この感覚と、彼女の真っ直ぐすぎる想いに――

 

イータが囁く。

 

「エロゲの魔力、もっと強くなってる。

 それに、さっきよりずっと……あたたかい」

 

呼吸が混じり合う距離で、視線がぶつかる。

この距離で見る彼女の瞳は、いつもよりも濃く澄んでいた。

 

「……イータ、お前さ、本当に……魔力のことしか考えてないのか?」

 

俺の問いに、彼女は微笑んだ。

そして、そっと唇を寄せて――

 

「半分は魔力。半分は……あなたのせいよ」

 

淡く触れた唇は、筆の穂先よりも柔らかくて。

魔力よりもずっと熱かった。

 

夕闇が部屋の障子に影を落とし、雪明かりが畳の縁に淡く映えていた。

夕日の気配はやがて消え、静かに夜が訪れようとしている。

 

イータの浴衣は、そっと光を含んで柔らかく揺れていた。

淡い藤色に染まった布には、白と紫の花が静かに咲き、まるで雪の庭を纏っているようだ。

裾が畳の上で静かに波打ち、彼女の指先がじっと俺を見つめている。

 

「エロゲ……もう、外さなくていい」

 

その声は低くて、どこか官能的な余韻が含まれていた。

前に進むべきか、立ち止まるべきか。

そんな迷いを、彼女はまるで見透かしているかのようだった。

 

「さっきの筆の感触……確かに熱かった。

 でも……もっと深く知りたいの」

 

イータは静かに俺の身体へ近づき、指先で俺の肩を軽く撫でた。

筆でなぞった時とは違う、素肌への直接の触れ合い――

その柔らかさに、俺の呼吸がふっと乱れる。

 

「エロゲの魔力……感じるわ。

 じんわり広がるその熱……まるで、溶けていくみたい」

 

彼女は囁くような声で言い、ゆっくりと俺の胸に手を当てた。

その手のひらが触れる度に、熱が重なり、

まるで二人の魔力が透き通る糸のように絡み合っていく。

 

俺はわずかに目を閉じる。

イータの指先が俺の胸元を優しく撫でるたび、

その魔力が心臓の奥へと流れ込み、柔らかく波紋を広げていく。

 

「エロゲ……もっと、深く……感じたいの」

 

イータの声は静かに震え、その言葉はまるで密かな祈りのようだった。

まぶたの裏に映るのは、淡く揺れる光と、彼女の深い瞳。

その瞳が、俺を見つめたまま、

まるで――俺たちの距離を一つにするように近づいてくる。

 

「こんな風に触れ合うと……魔力が重なって、

 身体が一つになるみたい……不思議ね……」

 

彼女の言葉は低く、そして甘く漂った。

俺の内側では、魔力の流れが徐々に強くなり、

熱が脈打つように身体中を満たしていく。

 

イータの掌が、じんわりと俺の腰へ滑る。

そして、ゆっくりと俺の背中に沿っていく。

その温度は儚くて柔らかく、筆で触れた時とは違う、

肌と肌が溶け合うような深い感覚を伴っていた。

 

「エロゲの魔力、すごく濃い……

 こんなに熱くて……深くて……ふぅ……」

 

イータの息混じりの声が、部屋の静けさに溶けていく。

その呼吸の余韻が、まるで魔力の流れそのもののように感じられた。

 

「もう……離れられないかも……」

 

彼女の囁きに、俺も応えるように身体を寄せる。

肌と肌が触れ合うたびに、魔力が幾重にも重なり、

二つの熱がじんわりと混ざっていく。

 

「エロゲ……このまま……深く、絡み合っていきたい……」

 

イータの指先が俺の胸に戻り、

その先で魔力が一つの流れとなって溢れ出した。

 

ふたりがひとつになる瞬間、

その魔力は熱い奔流となって放たれ、

光のような余韻が二人の間に漂った。

 

雪が窓外で静かに舞う夜、

部屋の中では、柔らかな温度と深い呼吸が重なっていた。

 

――魔力が、身体で歌うように流れる。

 

そして、ふたりの夜はまだ、深く続いていく。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

【R18】グラブル深夜の部(作者:沼のアルマス)(原作:グランブルーファンタジー)

グラブル夜の部( https://syosetu.org/novel/198773/ )とは別の世界線な感じのものです▼こちらは積極的なヤリチングラン君が好き放題にします▼合わない方は回れ右してください


総合評価:2276/評価:8.58/連載:10話/更新日時:2021年09月11日(土) 22:16 小説情報

【R18】欲望に忠実に生きたくて(作者:嫉妬憤怒強欲)(原作:陰の実力者になりたくて!)

大人の階段を昇らないまま30歳を迎えてすぐ、変態の奇行に巻き込まれて死んでしまった独身貴族(悲)。転生した先で自身が死ぬ原因となった変態に好き勝手に振り回されてムラムラ……じゃなくイライラがつのる毎日。▼そしてとうとう限界がきた。▼「こっちも好き勝手にヤッてやるよ」▼


総合評価:597/評価:6.8/連載:4話/更新日時:2026年09月07日(月) 00:42 小説情報

【R18】淫の実力者となってみた!(作者:らぅめん せゝらぎ)(原作:陰の実力者になりたくて!)

淫乱とは……まあ、えっちなことである。▼童貞のまま死んでしまった変態は、鍛え抜かれたその身体で恋人を抱きしめることも無く、一度目の生を終え▼次の生へ強くてニューゲーム▼異常な愛を向ける姉を始め▼王女とお近付きになり▼才女の手助けをし▼生徒会長に好かれ▼そして謎のヒーロー気質で助けた肉塊はエルフ美少女に……▼さっさと童貞を捨てた第二の生でどうなるか。▼彼は後に…


総合評価:5001/評価:8.39/連載:12話/更新日時:2026年09月01日(火) 03:00 小説情報

【R18】R18 才能の権化が才能を無駄遣いしていることを嘆くのは間違っているだろうか(作者:柔らかいもち)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

 才能の権化が才能を無駄遣いしているのは間違っているだろうかのR18版です。作者の性癖全開です。それでもよければどうぞ!▼ 全年齢版(こっちを見ないとわからない)▼https://syosetu.org/novel/288592/


総合評価:5858/評価:8.73/連載:13話/更新日時:2024年06月23日(日) 13:57 小説情報

【R18】POCKET GIRLS(作者:エロティック大魔神)(原作:ポケットモンスター)

バグを使ってモンスターボールでトレーナーが捕獲できるようになった青年トレーナーが、全国を旅しながら気に入ったトレーナーやジムリーダーを捕まえて、ペットにしちゃうお話。▼ ※pixivにも同じ作品を掲載しています。▼


総合評価:2212/評価:8.36/連載:8話/更新日時:2019年06月02日(日) 23:24 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>