催眠玩具船団・オラクル 作:どろまみれ
10.
「―― クソがぁッッ!!!!」
ゲッテムハルト様の拳が、私の腹部を思い切り殴打した。
衝撃。背中から壁に激突し、肺から全ての空気が抜けてゆく。
身体に力は残っていない。
ただ私の膣内から、ゲッテムハルト様の精液が出てしまうことだけが心残りだ。
近寄ってきた彼は私の頭をわし掴んで持ち上げる。
四肢は宙に浮いて。腹部の痛みだけが、私を私たらしめている。
「治まらねぇ、治まらねぇ……畜生がぁッ」
そして股間で猛り狂った男性器を、再び私の中へと挿入した。
彼の男性器は常人の大きさでは無い。
腰がぶつかるたびに、私の内臓は攪拌される。
幾度も使い古され。開発し尽くされた私の膣口は、既に広がりきって閉まらなくなった。
その挿入とストロークは殴打に等しい。
腹部を殴られることさえ気持ち良いと誤認させるほどに……だ。
私の女性器は彼の精液を吐き出す為の道具。
ただ扱くためのシリコンよりも、ローション要らずで頑丈な所がウリの、オナホールである。
「死ねッ……死ねッ……! 死にやがれェッッ!!」
首を握られ、呼吸は細く。
膣内を犯してくれる男性器が奥を叩くたびに、私は絶頂する。
射精された。
ぎゅうと首を絞められると、喜んだ膣が男性器を締め上げる。
細く握った意識の先で、彼を射精させたことを誇らしく思っていると。
ごとり。
「……ッハァ、ハァッ、ハァ……。……チッ」
たった
床に落ちる。明かりの点いていない、ひどく臭いのこもったプライベートシップの中に転がりながら考える。
彼が自分を満足に扱ってくれなくなったのは……ヒースクリフ。あの男の研修を受け持ってからだ。
ゲッテムハルト様を新人の研修先としてあて、隊長資格不十分……からの隊員資格剥奪。その切欠となるだろう。アークスの上層部はそう考えていたに違いない。
しかし現実は違った。
あの男はゲッテムハルト様の気性を受け流し。あろうことか興味を持たれるにまで、到ったのだ。
ああ。私の胸の底から、どろりとしたものが沸いて出る。
これは嫉妬だ。かつての愚かな、今も愚かな私が……姉に対して抱いていた、ゴミに等しい感情だ。
死んで欲しくなかった。彼は壊れてしまった。
でも、ざまぁみろ。私はゲッテムハルト様の精液を受け止めているぞ。
そういうクソみたいな優越感で、嫉妬の感情にフタをする。
ベッドに座り息を整えていたゲッテムハルト様が、拳を握る。
「何を殺せば、晴れやがる? 何と闘えば、消えやがる……!」
股の間で再び男性器を勃起させながら、彼は
もう消えない。もう無いものだから。彼にその答えを突きつけるのは、酷に思えてしまった。
だから私は今日も、彼の感情を受け止める。
足の裏。
「……ぐぇっ! ……がはっ……!? ……く、ふ」
顔を踏まれた音。腹を踏まれた音。彼の男性器を挿入された、喘ぎ声。
彼に与えられるものならば全てが心地よい。
ダーカーを駆除して回った後のイライラを治められるのは、
そう感じられるようになった。
私は、幸せだ。
……。
……何かが出てゆく感覚があった。
私の中から絞り出されたソレは、きらきらしてなんて、いなかったけれど。
鈍く透明に、碧の色に輝く、小さな結晶。
「―― あ? なんだ、コレは」
握られた、と思った。
大きな手のひらに掴まれた瞬間、私の全てが彼のものになった感覚があった。
部屋の明かりに
碧色をした結晶には、極小さな
セキュリティを保つためのもの、なのだろう。恐らく私は彼に、アークスとしての根幹の
自殺に等しい愚行である。
彼が拳に力を入れたなら、ソレは瞬く間に砕けるだろう。
彼がそれを誰か他人に売り払えば、私としての自我は永遠に失われるだろう。
……でも、それでも良いかと思ってしまった。
彼に殺されるのならば、多分私は本望だ。
付属物だろうが従者だろうが、何でもいい。
私は彼に夢をみているだけなのだから。
目を閉じる。
音は無い。
「……これが、シーナか」
彼は手に持った結晶を……壊すこと無く。
マグの中に収納して、笑った。
「……ハッハッハァ! なんだこりゃ! オマエ、従者とか名乗り始めたくせに、全部をオレに任せちまったのかよ!」
見下して、笑う。
その目は
「オマエがオレに! なれるハズが! ねェだろうが……クソがぁっ!!!」
殴られなかった。また犯された、だけだった。
壊れた器に入れられた炎が、暴れている。衣装の端がすすけている。黒色へと変わってゆく。
私は彼の腕にひねり潰され。
私は彼に足蹴にされ。
私が。
「―― 死ね。雑魚が」
私であることだけは、私自身で放棄が出来なかったから。
せめて彼の精液を受け止める。
心地よかった。
胎に出されたこの熱が、彼のものだったなら。
彼を涼しくすることが出来たなら、いいのにな。
そういうどうでも良いことを考えながら。
私は、私である権利を手放した。
>>メルフォンシーナ?
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