催眠玩具船団・オラクル 作:どろまみれ
13.
装備はこれで整った。
情報屋のふたりに連絡をすると、早速明日にでも出立しようという返答がきた。
いけるだろう。荷物作りも終えてある。
アークスには道具を納められる量子バックパックに、武器を格納する専用の
アイテムは
自由度は十分。特に悩むことも無く、3つを順番に放り込んで準備終了と相成った。
クエストカウンターで双子と合流。
そのままパーティを組んで、いよいよアムドゥスキアへと出立した。
アークスシップを離れ、宇宙を進む
「―― 今から向かうのは惑星アムドゥスキアの下層。調査目的はそこで最近噂になっている、ダーカーの浸食に関する調査です」
「どうやらアークスだけじゃないみたいなんだよね、ダーカーの被害を受けてるの」
ティアの説明をパティが補足してくれる。
渡されたデータを閲覧する。ダーカーという存在の危険な部分に、徐々に対象を侵食してゆき、同生物に対する敵愾心を増幅させる……というものがあるらしい。
これはアークスも例外では無い。現在のゲッテムハルトの状態などは、その例の最たるものである……と、されているようだ。
伝聞ばかりだが、そういった部分には詳しくない。実際に聞きかじっただけなので間違いでも無い。
とはいえ。そう言う特性があることは恐ろしい。なにせダーカーに敵対した相手を、内部から崩壊させることが出来てしまうのだ。
「そうだね。……アークスの上層部は以前からアムドゥスキアの原生生物である龍族と、交流を試みていたらしいんだけど……」
「なーんか下手こいちゃったみたいでさー。今は不可侵条約、だっけ? 向こうはこっちを、普通に襲ってきちゃうんだよね」
「そうそう。お題目として敵対はしないけど、取り仕切る側……
つまりは交渉が決裂した、ということなのだろう。
そういえばルーサーも似たようなことを言っていたな、と思い出す。
「そこにダーカーの影響が及んでいるってなると、あの星の調査はさらに難しくなっちゃうね~」
「だからこそ、早めに手をうちたいって考える。つまりはその星の情報の価値も上がる、って流れではあるよね」
そうだよね? とティアがこちらを向いて言う。
彼女の考えは合っているだろう。先物のようなものだ。自分としてはどこの星であっても初めてなので、情報量としては大差ないが。
「あ~……ヒースはそうだよね。なんかさ、不思議な武器の構成してるじゃん?」
パティが顎に手をあて、感心したように頷く。
その通りだろう。自分のこの装備構成には、あのゲッテムハルトもメルフォンシーナもツッコミを入れたほどである。
「それは……凄いね。なんというか、ゲッテムハルトさんの印象、ちょっとだけ変わるかも……?」
「でもさでもさ! それでも十分強いって認められてるんだから、ヒースは凄いってことだよね~!」
「うん。まぁ、そうかも」
期待をされているようだ。
自分としては初めての任務なのだ。ただただ、全力を尽くす他にない。
ティアとパティにうんと頷いた所で……シップの窓から差し込み。警告文が表記された。
「あ。シップが
「おっ、それじゃあ本格的に準備を始めないとね。メイトメイト~!」
シップカウンターでメイトの各種回復量を購入。
ポータブルテレポーターとアトマイザーも、多少お高いが購入しておくことにする。
量子バックパックにセットしながら、
……目前。
窓の外が再び、真っ暗なダークマターに戻ると同時。
シップの下部に据え付けられたフォトンプールにぽつりと波紋が広がり、一気に明かりが灯ってゆく。
武器を背中に備え、臨戦態勢となった双子が前に立つ。
「―― じゃあいこっか、ヒースクリフ」
「―― いくよーっ、ヒース!」
飛び込んだ双子の後を追うように。
自分もその中へと、飛び込んだ。
――
――
惑星アムドゥスキア。
自分も知識としては知っている星である。
虚数機関からは妹と弟を経由して、情報を得てもいる。
情報屋のふたりとはその辺り、知識のすり合わせもしておかねばなるまい。
そう考えていたのだが。
「ヒース、そっちいっちゃった! ダガン2!」
「ごめん、足止め終わり! 氷テクニック、ちょっとだけ使いづらいかな……!」
双子の間を、ダーカー……その先兵である「ダガン」が抜けてくる。
四つ足の蜘蛛のような挙動でカサカサ、カサカサ。アムドゥスキア下層の火山地帯を悠然と移動してくるその様は、生理的な嫌悪感を引き起こしてくれる。
見た目は完全に真っ黒な虫だというのに、火には弱くないようだった。
2体のうち、先頭の個体にターゲットを固定した。
右手に大剣 ―― 『ザンバ』を。
左手に楯 ―― 『フォトンシールド中型』を構えて、突っ込んでゆく。
動くとキシキシと軋んだ音がする。節足ではあるようだ。
目を凝らす。
飛びかかる。足の先につけられた爪を潜り、大剣を下から突き刺した。
次の個体へ。楯を構えて
爪を質量で押し返すとそのままひっくり返し、引き抜いた大剣を奔らせた。
……次。
「ひゅー! やるう!」
パティがこちらを見てしまっている。彼女の側へ、迅速に駆け寄った。
ひとつ身躱し。ひとつ跳躍。足の裏にフォトンを溜めて地面を蹴った。
「パティちゃん! よそ見厳禁っ!!」
ティアが
氷の波が、地面を滑るように向かってゆく。通り過ぎた際にダガンの足を凍らせ、その進行を止めてしまった。
これが氷テクニックか。メルフォンシーナが扱うものとも違うし、自分が扱うものとは大違いだ。
追いついた。凍ったままのダガンへ向けて、大剣を振るう。
『ザンバ』は通常の、フォトンコートされた大剣とは違った大剣だ。
具体的には押し潰すような質量攻撃が得意な武器である。
ダガンの体高は自分の腰程まで。十分だろう。
浴びせ蹴りを放った後に、踏みつけて。地面に突き刺さってしまうほど体重を乗せて、突き立て、抉り、ダガンを真っ二つに斬り裂いた。
「こっちも……終わり!」
「とやぁーっ!!」
こちらが周囲のダガンを鏖殺している内に、双子は本体……ダーカーの中継母体である「ブリアーダ」を倒しきってくれたようだった。
合流する。シップからの簡易探査によれば、周囲に敵影はないようだ。
一息つく。初めての実践は、どうやら損傷無く切り抜けられた。
マグマの露出した区画から離れて、それぞれ武器を格納する。
「はぁ、よかった。にしても、キャンプを出ていきなりダーカーと出会すなんて……」
ティアがマグに周囲の再探査を指示しながら、
法具はXYZのポイントを指定して投擲具の設置を行い、そこから任意のテクニックを発動させることが出来る。奇襲もそうだが立体的な戦いが可能な、扱いに熟練を必要とする武器である。
彼女の
「まぁ、不意打ちとかじゃなくてよかったって思おうよ~」
パティが
両刃剣は持ち手がひとつ。その両方の先端に、刃がふたつ。自身の周囲を回転させながら戦うための、通常の剣よりも扱いに熟練を必要とする……読み辛く、手数を出せる武器である。
彼女の
双子のどちらも、中々に癖のある武器を持っているなぁとは思ったが。
複数個。しかもフォースのメインではない大剣を持つ自分が言えた義理か……というツッコミが脳内を過ぎったため、口に出しはしない。
「ダガンが地面から生えてくるあの光景! あたし、あんまり思い出したくないよ~」
パティが自分の身体を抱きながらぶるりと震える。
気持ちは判らないでもない。気分の問題だ。しかしダガンはこれから先、いくらでも接敵するエネミーだろう。早い内に慣れてしまったほうが楽ではある。
「そうなのは判るけどさぁ~。……ヒースはかなり、危なげない戦いだったね?」
「ですね。楯とは、アークスにしては珍しい武器を持ってますが……そのおかげなんでしょうか」
それもないではない。
ただもっと単純に、人数が増えたからというのがあるだろう。
2人よりは3人だ。アークスの規定でパーティ自体は4人が限度ではあるが、同探査区画内にはもっと多人数で入り込んでも管制が可能なようなので、増えれば増えるだけ良いだろう。
勿論、その場合にはダーカーからの
「まーそうだね! とりあえずヒースがありがたい、っていうことで!」
「うんうん。そうだね。……とりあえず今日はこの辺りのダーカーを掃討して、龍族に接触できるエリアの手前まで進んじゃおう」
ティアの提案に同意して、自分のマグにエネルギーを回す。
目的地には、大きな生命反応がひとつ。
エリア3を目指して、アムドゥスキアの火山を進んでゆく。
・搬送船
プライベートもしくはチームでちょっとだけ大きさが違う……というか違わないと困る。独自設定。
大体の消耗品は買える。リング作る機能はいらないやろあれ。ショップエリアの存在意義は、どちらかというと武器の強化。
・法具
なんで威力、長杖より強くしてしまうん……?
一時期そうだった。最終的にはエネミーの高速・高威力化とプレイヤースキルとしてのラフォスナイプの進化、簡易複合などの登場によりめちゃくちゃ扱いづらくなったと思われる。
座標直撃テクニックの登場で全部解決した。
・両刃剣
ダブルセイバー。デュアルブレードとどっちがどっちか判らなくなる。
PSOのシリーズとしてはお馴染みの武器。少なくともガンスラッシュよりは待遇が良い……というか。ファイターのコンセプトを守るために、一定の火力を約束された武器ではある。
主にムービーでは主人公武器として優遇されている。