※この作品はR-18です。

催眠玩具船団・オラクル   作:どろまみれ

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21.同期3

 

 021.

 

 

 モニカの招集をうけて、1度キャンプシップへ帰還する。

 一際大きなモニターが置かれた司令室に、オーザ。レダ。マールー。そして最後に私が入室した。

 率先して口を開いたのはリーダーであるオーザ。

 

「それでモニカ、救難信号だと? どこからだ」

 

「はっ、はい! わたし達のキャンプシップから北東。オーザさんとレダさんが先日に任務を行った区域から、さらに北上した辺りの岩場付近ですぅ……!」

 

 宙に浮いた水色の量子モニターに、位置と方角を示したマーカーが点滅する。

 遠くは無い。近くも無いが。……急行のための移動方法を考えている内に、ひとつ思い当たる。オーザへ、任務場所でのテレポーター設置などはまだ生きているかを確認する。

 

「! ああ、先日オレとレダが帰投の際に使用したテレポーターは生きている。使用可能だ」

 

 どうやら当たりだ。

 アークスが携帯するアイテムの内、区画移動のためのテレポーターというものがある。設置してからの耐用回数・時間は内部エネルギーの残量によって決まるが……今回の自分達は2人1組。通常より少ないため、まだ使用可能だろうとあたりをつけられたのだ。

 

「メンバーはどうすんだ?」

 

 レダがオーザを見て言う。

 オーザは決定だろう。テレポーターは基本的に持ち主が起動する必要がある。シップにも人員は残すべき。それもダーカー等の襲撃を退けられるよう、最低限2人。

 残るは。

 

「ならば……オレと、ヒース。来てくれるか」

 

 任された。掃討能力よりも守りの堅さを重視しての人選としては、適任だろう。

 腰を上げる。自分が手に持っていた通信端末のバッテリーを遠征用途の物へ切り替えている間に、オーザはメンバーへてきぱきと指示を出してゆく。

 

「レダは斥候。モニカはこちらのナビゲートにリソースを割いてくれ。マールーは……」

 

「……」

 

「……ナビゲートもそうだが、防衛要員だ。モニカのサポートを頼んだ」

 

「……はい」

 

 そういう、気を使ったのか使われたのかよくわからないやり取りを挟んだ後。

 ふたりの関係も気にはしなければならないが、目前の救急要請を優先すべきでもある。

 オーザを連れてフォトンプールへ。座標を確認して後、モニカの「お、お気を付けてぇ~」という声に見送られ。自分とオーザは惑星リリーパの北東部へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 リリーパは元々、要監視対象の惑星だ。

 とはいえ資源惑星というわけでもない。鉱物資源には優れているが、地表付近のものは殆どが採掘され尽くしている星なのだ。地下にはまだまだ眠っていると予測はされるが、対費用効果が伴わないとルーサーから聞いている。

 

 砂礫の原を越えて点在する岩場のひとつ。岩場に守られてさえいれば、かつて利用されていたのであろう鉄鋼の機械群も姿が見える。今回救難信号が発せられたのも、そういった入り組んだ区画からだった。

 

「……区画には到着した。どちらから入れば良い?」

 

『はいっ……そのまま、西側から進行しましょう。今現在オーザさんたちが居る場所をポイント・ゼロと規定。そこから順にナンバリングをしましたぁ。区画は全3つ。気をつけてください、既にダーカー反応が多数ありますぅっ』

 

 多数。ならば遠距離武器から……とパレットを入れ替えながら。

 モニカ、ついでに聞いておきたい。熱源(サーモ)もそうだが、音響探知(ソナー)の方にも気を配ってくれるとありがたい。

 

『はいッ。あ、え、えぇと……』

 

 ここの機甲種は、ダーカーと争う(・・)。自分達は第三勢力なのだ。

 つまるところ、砂風にさらされる危険性の少ない地域。機甲種の稼働が制限されない地域では、誘発された彼らが現われる可能性が高いと考えられる。

 そしておそらく、電源(・・)が入るまで彼らは熱源探知には引っかからない。

 

『……! な、なるほどぉ。これから精査をかけさせて、も、もらうので……お時間をいただいても?』

 

 OKだ。ただし時間がもったいないので自分とオーザは先行する。

 第2区画、第3区画を重点的にお願いしたい。特に救護者が居ると思われる第3区画(もくひょうちてん)は、念入りに。

 

『は、はいっ……ご武運を』

 

「いくぞ ―― ダガン2! 手前の安全確保のため、掃討からだ!」

 

 オーザの号令に応じる。黒い4足の虫型ダーカーは、こちらを向く前に、先制したオーザのパルチザンによって赤黒いコアを貫かれていた。

 

 岩陰から飛び出して自分も合わせる。距離のあった位置に居るダガンの手前の脚2つ目掛けて、左の中楯に据え付けられたボウガンから弾丸を射出した。

 

 ダガンの足元でフォトンの黄色がはじけ飛ぶ。

 足を止めたところを接近。オーザがパルチザンを振り回し、ダガンを手際よく片付け終えていた。

 

「成る程な。お前の武器は単純に、全距離対応をするための手管というわけでもなさそうだな」

 

 東へ。砂にまみれた鉄板の上を走りながら、オーザは話す。

 次の区画へ向かうためのルートを確認し、マールーがリアルタイム更新をしてくれているエネミーマーカーを頼りに、可能な限り戦闘を避けつつ。それでも挟撃などには合わないよう必要分を掃討しながら進んでゆく。

 

 ステップ・ジャンプ。

 急激に上昇から下降し、自重を乗せて大剣(ソード)を振るう。『ザンバ』の鈍く光る刀身が、エル・ダガンのコアを甲殻の上から真っ二つにしてみせた。

 オーザがそれにも目を剥く。

 

「そもそも体術も、アークスの正規の訓練を受けたものじゃあないな。なるほど、シップで噂になるわけだ。……こうか? いや、健よりも足底か……」

 

 おそらく自分のステップ・ジャンプの模倣だろう。

 確かにこういった「体術的にフォトンの強化部位を変更してゆく」技術は、どうやらアークスでは未だ開発されていないようだった。自分も身体が覚えていただけなのだが……別段、秘匿しておくような技術でも無い。

 リリーパでの任務の内に、オーザと哨戒任務などに就く機会もあるだろう。その時がきたら解説をさせて欲しい。

 

「そうか? ありがたくご教授願おう。……む。この先にダーカー6。恐らく砲台が1、空中型(・・・)が1だ」

 

 角を曲がる前にオーザから口頭で伝達。

 了解した。なら同じく遠距離から入って……と、連携を組もうとした時だった。

 

「―― ダーカー共! このオレ、オーザが相手をしよう!」

 

 槍の穂先を正面に向けて。

 オーザは足を止めることなく、そのまま真っ正面からダーカーへと突貫してしまったのだ。

 これに驚いたのはモニカの代わりに先ほどの情報を伝えたマールーである。

 

『……っ、ばか!』

 

 同意しよう。

 そしてマールーの情報を無駄にしないよう、自分が少々ピッチを上げて連携を組む必要がある。

 

 視線を前へ飛ばす。

 オーザの狙いはダガン。そして3体の小型・二足で跳ね回るクラーダというダーカーのようだ。

 その中央へ突っ込んでいる。おそらくヘイトをかうために大声で啖呵を切ったのだろう。おかげでか、ダーカーの視線は全てそちらへ向いている。

 オーザのもつ槍が長物であることや殲滅効率を考えると、一概に間違いとは言えないのが厄介だろうか。

 

 ただ、今の問題はその奥。

 砲台型。カルターゴが、既に充填を終えているという部分にある。

 

「ふんっ……ふんっ!!」

 

 オーザが槍を振り回す。ダガンを弾き、クラーダを1匹仕留めて見せた。

 クラーダはダガンよりも耐久力はないのだろう。体躯が小さいため、数で飛びかかられたらどうしようもなさそうではある。そう言う意味では相性が良い。

 

 戦闘区域に到達。オーザの背を横目(・・)に打開の策を練る。

 カルターゴをどうするか。どうしようもない。オーザに受けてもらう(・・・・・・)のが早い。

 ならば自分の狙いはもう1匹。オーザが言う所の空中型。

 

 大きな尾部の上で長い触覚を揺らし、棘と鎌を備えた2本の腕を構えた ―― エル・アーダだ。

 ダーカーの中でも特に攻撃力が高く、機動性も兼ね備えた種類である。カルターゴの攻撃をオーザが受けきったとして、ここと連携を組まれて追撃されるのが最も不味い展開だと考える。

 

 そして可能な限り、一度の接触で倒しきるのが好ましい。なにせ自分は飛べないのだ。

 ならば今度こそ、新たな装備と術を出し切る場面だろう。

 

 踏み込む。オーザと視線が交差する。どうやらオーザとしても、大群の側を任されるのは狙い通りであるらしい。

 

「―― いけ!」

 

 言われずとも。

 2歩。踏んで、リズムを調えて。そのままフォトン・ダッシュへ切り替え、空中にあるエル・アーダへと飛びかかった。

 

 急加速したおかげだろう。既に準備を終えていたエル・アーダの突撃を、辛うじて大剣で逸らすことが出来た。

 真っ黒い甲殻の身体は、自分の体躯よりもふた回りは大きい。質量差は凄まじい……が、その衝撃を二の腕を貼り付けるように回転させた身体でいなして……いなしきった。

 

 地面に着地する。再びエル・アーダとの距離は離れている。

 そうだ。丁度いいくらいに、離れている。

 

 エル・アーダが空中で静止する。

 ホバリングで体勢を整える。

 こちらを向く。

 羽を動かして距離を測り、狙いを定める。

 

 4工程。

 その間に、こちらは既に術の準備を終えている。

 

 長杖ごと、ぶんと腕を振るう。

 放り投げられたのは、テクニックによって固められた不格好な土塊。

 自分がクラリスクレイスから教わった土テクニックの基礎法撃(シングル・アクション)、『ディーガ』である。

 

 スピード感もなく、不格好で、まるで物理的な動作で放られる。

 放物線を描くソレを、エル・アーダはどう思っただろう。

 

 がきん。直撃した。

 同時、エル・アーダの身体がはじけ飛ぶ。

 大きく打ち上げられて……そのまま、滞空せず地面でどしんとバウンドした。

 

 十分だ。足は止まった。遠くでオーザが光線を耐えきり、カルターゴに斬りかかった声がする。

 自分も仰向けに突き出されたエル・アーダの腹のコアに大剣を突き立て、貫いていた。

 

 戦闘終了である。戦闘音に感化されたエネミーがいないか探査をマールーへ依頼して、オーザと一緒に区画間の隘路へ駆け込んだ。

 

「よく合わせてくれた」

 

 フォースとはいえ、元から自分は中衛寄りの役職である。役目を全うしただけだろう。

 ただ、自分はオーザと組んだことはないのでそのスタイルを実体験したことがなかったのだ。それで少しばかり援護は遅れてしまっただろうことを詫びておく。

 

「……はははっ! いや、普通は謝るのはオレのほうだろう。レダの奴からも出来れば慎重にやってくれと懇願されていたところだよ。……変わったやつだな、ヒースは」

 

 回復補修剤、ディメイトを経口摂取しながらオーザが言う。

 それでもスタイルを変えないというのだから、彼にも理由は有るのだろう。……とはいえ自分としては、実際こうして目にしてみて、オーザのスタイルにも理はあると感じたので問題ない。事実としてかなり早急に討伐が出来ており、救護に向かう時間もそれだけ早まった。

 

 オーザが危険かどうか。後衛に負担をかけるかどうか。戦闘効率があがるかどうか。

 ―― 死ぬか、生きるか。

 それらと任務の成否は、また別の物なのである。

 

「そういってくれるとありがたい。この身体を貼っていくスタイルは、オレの……ハンターの矜持というやつなんでな。さて、それじゃあ第2区画へ進むか。今回の目標はダーカーの殲滅じゃない。救護者の救出だ」

 

 オーザは槍を構え、再び東へ歩いてゆく。

 貯水槽のような建造物を回って、しばらくは金属質の床が続いている。自分もボウガンを装填し直して。

 彼の後を、走って追った。

 

 







・ディーガ

 うんこー

 マガシ抹殺計画を回すのに最も障害となる術。
 昔あったテクニック。土属性。弾速も遅くPP消費もあるが、単発威力も高く相手の打ち上げもあるという術。
 チェインのフィニッシュをこれで決めるとカンスト出来る。


・フォトンダッシュ
 NGSでのあれ。ステジャンと合わせて体術は出来ない理由はないかなと。
 でもダダ広いとこ走るのにはいまいち遅いという。


・パルチザン
 特に変態が多いと感じる武器種……え、そうでもないですか。
 なんか舞いとかでクセ強武器の筆頭だと思うのですが。

 最終的にはPAの範囲が広いことから「対多数を相手取るなら強い」という印象。
 ディバイドの人型ボスとか、相手が多いほど秒間ダメージ(DPS)は倍々になるという。


・テレポーター
 多分もう誰も使わない悲しきアイテム。
 区画移動とか、作戦中にシップに帰ってなにかしらしたりが有効なクエストが昔々あったことも無きにしも非ず。

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