催眠玩具船団・オラクル 作:どろまみれ
22.
奥へ。奥へ。砂漠周辺はダーカーと機甲種に埋め尽くされていたが、そこはモニター陣の助力を得て最低限の戦闘をこなしながら進んでゆく。
そうして戦闘をくぐり抜けること数戦。
目的地となる第三区画にまで到達した……のだが。
「……こちらオーザ。目標地点に到達した……が」
『ど、どうされましたか』
言い
ふたりで顔を見合わせる。そのままを伝えてよいだろう。
「……要救護者を
バラバラの
表情が全て失われた顔とバイザーと。
そう。私とオーザの目の前に転がっているのは……キャストのパーツ。その内の、生体部分だけだったのだ。
キャスト。元々生身だった身体を機械化、サイバネティクスにより強化した人種のことを指す言葉である。
キャスト化の処置を受ける理由は人様々だが、最も比率が多いのは「個人が有するフォトン含有量に肉体が耐えきれない場合」だとルーサーから聞いている。特に幼年期などから多量のフォトンに感応してしまうと、細胞からして破壊されてしまうケースもあるようだ。そう言う人は早期にキャスト化の手術を受けたほうがよいらしい。
今、目の前でパーツだけになってしまった
沈黙が降りている。が、モニカに尋ねておくべきだろう。
『え、と?』
目前のパーツは引き千切られたものではない。ジョイント部分で効率よく分解をされたもののようだ。
キャストである以上、元から切り離すことが想定されるパーツ単位で分解されたのであれば……修復が可能なのではないだろうか。
『……! は、はいッ! 幸いにもぉ、胸部と頭部がありますからぁ……アークスシップに持ち帰れば、代替パーツ等で再構成可能かと……!』
だ、そうだ。推測の通りである。
これを聞いてオーザはふぅと胸をなで下ろしたようだった。
「そうか……! 間に合った、とは言い難いが……可能性があるならば来た甲斐もあったと言う物だ」
互いにうなずき合って、各パーツを収容する。
……周囲にちらほらと、風に舞う小動物の体毛らしきものが確認できる。自分達が来ることを見越してここへパーツを運んだ
周囲を一通り確認し、他の物品が落ちていないことを確認する。
解析の依頼のために現場を映像で記録し。
オーザと共に、帰投した。
/
「……周辺の戦闘データの解析、終わったわ」
オーザと共に身繕いを終えた頃。マールーが声をかけてくれたので、シップの階段を降りて行く。
ブリーフィングルーム。モニカとレダ。マール-。そしてオーザと自分。きちりと全員が揃ったのを確認して、モニカが後を続けてくれる。
「そ、それでは解析を表示しますねぇ……?」
ぶぉんという起動音と共に、極大のフロントモニターが起動した。
情報が並べられてゆく。おおよそは以下の通り。
ここ数日の活動から見るに、やはり、惑星リリーパにおけるダーカーの動きは活発化しているようだった。
特に大型ダーカーがコンスタントに出現するようになっており、呼応するように機甲種の活動範囲も広がっている。
おそらくはそのせいだろう。「大型の機甲種」の出現が予測されている……とのことだ。
「大型の、機甲種……だと?」
「は、はぃぃ……。大型というか、むしろ、
「あー、なるほどな。つまりダーカーがでっかくなってんだから、防衛側もでっかくなろうって訳だな?」
「……そうみえるわね。原生種側の動きは」
最後にモニカと共にデータをまとめていたマールーが、ため息交じりに頷いた。
視線はそのまま。用意をしてもらった他のデータにも目を通す。……どうやら現在、惑星リリーパではレアメタルの採掘が活発化されているようだ。これも大型の機甲種を生産する為なのだろう。
地表面だけでなく既存の岩石にも食指が伸びているようで……ああ、なるほど。キャストのアークスから金属部分だけが回収されていたのも、その一環なのだろうか。
「かも、知れない……ですぅ。さ、流石にここまで見境ないのは記録に、ありませんでしたけどぉ……」
「……割り入ってすまない。中央から照合結果が来た。先ほどのキャストのアークスは、どうやら先遣隊のようだ。個体名をフーリエ。他に隊員が3……だがパーツしかなかった辺り、彼女以外は全滅とみて良いだろう」
中央部と連絡を取っていたオーザが苦々しく告げる。
先ほどの現場で収集してきた解析映像の精査によると、砂の下。キャストが倒れていた周囲の地面は、おびただしい血痕跡で汚れ散らかして居たようだ。同時に循環用のオイルもぶちまけられていたようで、散々な現場であったらしい。
砂に覆われていたのも風で血臭が消えていたのも、幸運とみるべきなのだろう。むしろキャストだからこそ生き延びることが出来たのかも知れない。
「あのぅ……ヒースクリフさんが持ってきてくれた体毛については、も、もうしわけありませぇん……。アークスのデータベースでは、照合されませんでしたぁ……」
モニカがおずおずと、小声で結果を教えてくれる。
構わない。あれが新種のダーカーなどでなければ、それでよい。
「はっ、はい。ダーカーでは、ないと思いますぅ……」
「おいおいなんだよ、ヒース。モニカちゃんと秘密のお話かよ? 羨ましいじゃんかよ~、おれも混ぜろよ~!」
「いえ、あのっ……わ、わたしなんかじゃ……はわわ……」
ちょうど良い頃合いでレダが割り入ってくれて助かった。
流れで全員へ話しておく。おそらくは砂漠に住まう、機甲種ではない原生種のものだろう体毛を回収してきていたことを。
「……ふむ。ヒースはそいつらがフーリエを
オーザに向かって首を振る。
現場を見るにキャスト、フーリエたちはダーカーに襲われた。機甲種の戦闘にも巻き込まれた。これは事実だろう。
ただ、惑星リリーパもアークスが探査を始めてから長い星だ。これまでの探査にも関わらず未確認のままの原生種が、悪戯に危険な現場に顔を出したとは考えづらい。
「……臆病。もしくは危険に敏感な種……と、いうこと?」
ああ。マールーの言うとおりだろう。
推測でしかないが、フーリエは「助けられた」のだ。見ず知らずの原生種に。
何があってだとか、どうしてだとか、そう言う部分は不明である。しかし現場の状況からはそうとしか読み取れない。
ダーカーが浸食を行う前に、機甲種がフーリエを分解した。対立するそれら2種の合間を縫って、あるいは隙を突いて……パーツだけを取り返した。
そして自分とオーザが近付いてくることを見越して、危険が過ぎ去った現場にフーリエのパーツを置き去った。こんな所だろう。
「ふむ。……敵対生物ではない、か」
「ヒースの見立て通りならそうなるよな~。おれもごめんだぜ、これ以上エネミーの種類が増えるのはよ~」
レダの意見には自分も同意である。
いずれにせよ、自分達の行動は変わらない。駐在の役目を続けるべき。……そうだろう、オーザ。
「ああ。……ヒースの読みの通り、先ほどの連絡には続きがある。現在のリリーパには、ダーカーの異常発生の兆しがみられると判断された。これから戦力を順次投入するそうだ」
先遣隊の壊滅……は、おそらくアークスとしては
これまでの展開を鑑みて。以前のアムドゥスキアだけではなく、こちらの惑星リリーパも精査を行うべきだと判断をしたのだ。おそらくは、ルーサーが。
こうしてアークス全体を戦時下に置くことで、戦力の底上げを狙うことも出来る。ダークファルスとの戦争から逆算すれば「そろそろ実戦経験の乏しいアークスが出てくる頃合い」なのだから。
腰を上げる。情報はおおよそもらった。
逗留するアークスの部隊が増えるとはいっても、再編成にはそれなりの時間がかかるだろう。自分達の明日の、あるいは明後日の任務が変わるべきではない。
強いて言えば遠征よりも……大人数のアークスが寝泊まりできるだけのキャンプシップ駐留場所の選定や防衛を行っておくべき、だろうか。
「そ、そうですね。コフィー先輩方に、あ、いえ、管理官さん達に依頼をしておきますぅ……」
「そちらは頼んだモニカ。……オレは報告書だな。リーダー側からも出さなきゃならん」
「おれは周囲警戒に出とくか~。観測は全部引き受けとくから、モニカちゃん、マールーちゃんも休んできておっけーだぜ」
「……うん。そうする。それじゃあ私は、フーリエ……さんのパーツ、バイオポッドに補完しておくね」
レダの側に置いてあった頭と、胸部と、股の生体パーツをマールーが回収する。小脇に抱え、キャンプシップの別区画へと歩いて行った。
自分も腰を上げる。幸いにして役割はないので、次の番にレダと交代できるよう身体を休めておくべきだろう。
レダに断りを入れて自室へと向かう。通路を歩く道中、窓外には変わらずリリーパの砂と風が吹いている。
……影。目を凝らす。小さな足跡が、風に吹かれ、今まさに、消えた。
ああ、どうやら本当に敵愾心はない生物だったらしい。自分が送った視線にもおびえはあったが、害意は全くといって良いほど感じられなかった。
キャストの彼女が助かってよかった。そういう感謝の心を込め、一礼。
頭を下げて、小さな二つ耳の背を見送った。
・リリーパの原生種
リリーパ族。あざとい見た目から繰り出される畜生の如きエマージェンシー・トライアル。
伝言くらい自分でやれや。ギルナスにつかまってる己は爆破したほうが早い。守ってやるのは住処ぐらいだぞお前等。
砂漠なのに毛皮なので、色々とあれな過去が予測される。
ちなみにエルジマルト周りは面倒なのであまり扱いません。ヒロインズは出しても良いかなくらい。
・大型機甲種
どこから大型というのかはあれですけど、あれはきちんと砂漠にも出るので……。
最後に見たのは、いつかのまるぐるハロウィン季節緊急とかでしょうか。あたりEトラだったような気もしないでもないけど無駄にキングの方が出るとドロップ圧迫が起こって面倒と言えば面倒というか
・フーリエ
メガマンのほうのゼロさんみたいな扱いになりました(