催眠玩具船団・オラクル 作:どろまみれ
29.
薄い大気と茶けた大地そのまま、惑星リリーパが遠ざかって行く。
窓枠一杯になった頃合いでスイング・バイ。速度十分、ワープ潜行。一面が粒子色の、眺め飽きた光景がやってきた。
帰りのシップの中。折角なので管制官ブリギッタに依頼し取り寄せた
どうやら自分たちがビッグヴァーダーと悪戦苦闘、駆け上っているうちに、大型ダーカーのうちダークラグネについては倒しきってしまっていたようだった。
追加の砲撃は残るグワナーダへ行われたもの。大型ダーカーが倒された時点で追加の雑兵の出現はなくなり、掃討もおおよそ短時間で完遂されている。
また、動きをみるに、ゼノとオーザがうまく取り仕切ってくれている。
ゼノが一度ひとりでグワナーダを受け持ち、時間を稼ぎ、火力を片方へ集中させる。ダークラグネの四肢を破壊し、順次ダウンを奪いながら、頭部後ろのコアを狙う。教科書通りの戦法だ。
自分自身が対峙できなかったのは心残りではあるが、いちアークス隊員。査定される側としては十分な評価になるだろう。成果として持ち帰り、今後の機会を待つこととしたい。
では、その「機会」が来るまでの間、自分は何をするのか。
問うまでもなく山積みだ。武器の調整。テクニックの拡張。一度武器を
そういうことを考えている内に。
自分達が乗った船は、アークスシップへと着艦した。
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「―― なるほど。それじゃあヒースとは、これでサヨナラな訳か」
オーザが名残惜しそうな声色と表情で言ってくれる。
シップロビーからやや外れて、スキルやチームに関するクエストを請け負っているカウンターの前。
集まったオーザ、マール―、レダに向けて自分は頷く。
自分の目的はボスエネミー撃破の実績と経験。今回のパーティー実績を持って、更に色々なアークスとクエストをこなすのが「自分にとってよい」と判断した。
「つってもおれたち、連携は結構良かったよな~。もったいないぜ~」
「……連携じゃなくて多分、ヒースが特殊だから。そうでしょ?」
マールーが入れてくれたフォローの言葉に頷く。
こうして実践に赴いてみて理解出来た。自分は「周囲のアークスに負担をかける側」なのだと。
「そうは言うけどな。体術があるが故の高機動と高
「……それじゃあ火力が足りない、って言ってるようなもの。……でも、そうね。土テクニックは『単体への火力』としては優秀でも……通常のフォースに求められるような殲滅力はない、ものね」
「いやいや。マールーちゃんの方が火力たっけぇじゃんか、それ」
事実なので問題は無い。
そう。やはりというか……自分は「火力役としては脆く」、「殲滅役としては火力が足りず」。「援護役にしてはヘイトを集めすぎる」。
要は『アークスの歯車として噛み合わない立ち位置の人員』なのである。
そんな自分をどうみてか、オーザが言う。
「……いちおう言っておくぞ。ヒース。これからもオレと組むつもりはないか? お前の特性を十分に活かせるとまでは言わないが、その眼と頭は間違いなく必要だ」
ありがたい言葉だ。
しかし、申し訳ないが答えはNo。
自分は自分で固定パーティを作る努力をするよ……と、オーザへ告げた。
「そうか。お前が決めたのなら、オレからはこれ以上は言わないでおこう。ありがとう、ヒース。頼もしい仲間だった」
ここで出会った時を思い出しながら。彼のハンターらしい無骨な手のひらと握手を交わす。
マールーやレダとも、同じく。
「―― 次に会った時にまでに、あなたでも使えそうなテクニック。探してみるね」
「じゃ~な、ヒース! またな~!」
ふたりが手を振りながら、
その姿が見えなくなるまで手を振って。
「オレもしばらくは報告書でマイル篭もりだ。フーリエのパーツも技術部に持って行かなきゃだな。……また会おう、ヒース」
最後にオーザを見送って、ロビーにひとり。
……かと思いきや。
「―― そんじゃ次は、俺と話そうぜ。ヒース」
2階から。今度はゼノからお声がかかっていた。
別れ際を見計らっていたのだろう。遠回りに階段を登り、メディカルセンター上部。2階へと登ってゆく。
周囲には誰も居なかったが、景観は良い。下階を行き交うアークス人員の多さと喧噪、賑わいが感じられる場所である。
そんなロビーが一望できる展望を
「お前も一人前のアークスになったみたいだし、俺も研修生っていう肩書きは正式に取れた。……ゲッテムハルトのこと、お前には教えておいた方が良いと思ってな」
そのためにわざわざ待っていてくれたのだろう。
自分に縁の深い内容だ。興味がある。
ゼノに礼を言い、傾聴。
曰く。
ゲッテムハルトはアークスシップ・テミスのダーカー襲撃に際し、恋人である「メルフォンシーナ」を失った。
当時メルフォンシーナには家族がいた。「メルランディア」という
テミス襲撃に伴って恋人を失ったゲッテムハルトは心を病み、また、ダーカーによる浸食もあり……攻撃的な性格へと変貌し。メルランディアをメルフォンシーナとして認識しているようになってしまった ―― のだ、そうだ。
メルランディアはメルランディアで、その状況を受け入れている。
何故ならメルフォンシーナが命を失ったのは、ゲッテムハルトが妹をかばったことによるものであり……間接的に、自分が姉を殺したに等しいと思っていること。
また、幼心ながらに、姉の恋人に懸想をしていたから……という後ろめたさもあるようだ。
ゼノが言葉を切った。
ここまで聞き終えて、率直に思う。
……これはゲッテムハルトが居ない場所で、他人から聞いてもよい内容なのだろうか……?
「ホントはダメだろうけどよ。……アイツもディアも、こんがらがっちまった。もうこんなこと話せるような状態じゃねーと、俺は思う。最近の動きを見てると、上層部はゲッテムハルトの奴にクエスト回さず飼い殺しにするみたいだしな。お前が隊員として成果だしてっから、隊長資質を疑う方向はやめたみてーだしよ。……そうなっちまうと、俺くらいしか伝えられる奴いないだろ。こういうの」
それもそうか。
自分の反応を待って、ゼノは話を続ける。
「ま、どっちかっていうとアイツへの
本当に、本当に。
顔をくしゃくしゃに
だから言った。断る。
「……そっか。そうだな」
初めからダメ元だったのだろう。
ゼノはあっさり引き下がると、肩を落として柵に額をくっつける。
「……なぁ。アイツもいつか、死んじまうよな。シーナみたいに。俺は、俺が死ぬのはいいけどよ。自分勝手、なんだけどよ。エコーの奴が死んじまうのは……さぁ」
だからレンジャーなのに
理屈としては合っている。ゼノが誰かの前に出れば、後ろの誰かは死に辛くなる。
問題はその誰かが、エコーであるということだろう。ゼノは、ずっとエコーの傍に居るのだろうか。
「……俺が死んだら、居られねぇなぁ……」
ごん、と額をぶつけて。勢いよく離して。
ゼノはやはり、悩んだ末にこういう立ち位置に居るようだった。
少し考える。
ゼノの願望を叶えるのに最も早いのは、エコーを後衛に配置することだろう。後衛というか、後方。もっといえばそれこそ、管制官や事務員がよい。
そのためにはゼノに相当な実権が必要となる……し。そもそもエコーはエコーで「ゼノの傍にいる」ことを行動理念としているように、自分には見えた。後衛に配置するためには、彼女の意思を封殺する必要があるのだ。
可能か。ゼノに問う。
「……。……っし! お前にならアイツのこと任せられるかな、って思ったけどな。やめとくよ。やっぱ俺が前に出るのが良さそうだ」
吹っ切った、とまではいかないが。
ゼノは少なくとも、前を向いたようだった。
いつもの彼の調子に戻って言う。
「そんじゃこっちのお願いはどうだ、ヒース。今度レギアスに大剣での戦闘習熟の程度をみせるために、ナベリウスに行く予定になってんだ。それまで大剣での実践練習に付き合ってくれねぇか?」
快諾する。それくらいなら、幾らでも。
対人戦闘についての訓練は、自分も積んでおきたいところだ。
こうして合間の予定も加わった。
自分が自分の仲間を ―― つまりは「隊長格」としてアークスに認められるまでは、こつこつと実績を積み重ねてゆく他ない。
それが自分自身の手がかりをつかむための。
長くて曲がりくねった、真っ暗で足元不確かな……最短経路なのである。
……。
忘れているのであれば、
・やることが山積み
良いですよね。やることが多すぎるオンゲ。
・高機動フォース
イル・ゾンデ(並行)やサ・フォイエ(三次元も可)などにより高機動なのは間違いありません。
ぷそ2におけるフォースの最終
簡易複合やギ・ゾンデのおかげですね。また光弱点のボスエネミーに対しては極まったテクカスが成されたラ・グランツとイル・グランツで火力を出すことも出来たので満足な役割と言えるでしょう。
また最長ダメージを出せるのが射撃職ではなく肩越しラ・フォイエの扱える法撃職ということもあり、ヘイト管理が可能で、防衛戦にも強かったイメージです。バーン入れるのめっちゃ緊張しますけど。
・固定パーティを作る努力
しません。
このあと成人向けシーン、間章少し挟んで0章の最終節の予定。