催眠玩具船団・オラクル 作:どろまみれ
36.
そういうわけで、本格的にクーナはアイドルとしての活動を開始した。
とはいえプロデュース方面はカスラが受け持っているし、彼女自身も移動や手続きは問題なく行える。
自分が行うことは多くない。
警護。会場の警
そのおかげで自分にも十分な時間ができ、ルーサーの(遠隔操作による)身体精査を受けられている。訓練も身体がなまらない程度には続けられているので悪くない。給金が以上に高いことを考えると、良いとまで言えるだろう。
ただ、だとすると自分が付いてくる理由は……と思いもするが。
「うーん……でもさ。男の人が傍に居ると、話しかけられ辛くならない? アイドルとして活動するなら必要だと思うなぁ~」
クーナはこう言ってくれるものの。
それこそ透刃マイの効果もある。透明化と周囲からの忘却だ。常に使えることはなくとも、要事に使えば事足りる。少なくないフォトンのリソースを使用する創世器を、よりにもよって娯楽のために……と言う文句も、これがアークス上層部からの指令である事で否定できるだろう。
そう伝える。しかし。
「え~っ? それはないよ~。だってあたし、お兄ちゃんが居てくれると嬉しいんだよ? ……あ~。折角の妹アピールなのに反応イマイチ~。……それじゃあ、もっと率直に言えばだけど……」
ダンスレッスンの最中だったためか、クーナがくるりと回ってポーズを取る。
ぶれない体幹。鏡に映った身体のラインは、前から見ても後ろから見ても綺麗な物だ。
「だとしても全シップをひとりで営業回りは、フツーにキツいよ。アイドル活動、それ自体は楽しいけどね」
舌を出して義妹が笑う。アイドル染みた仕草も、板に付いてきたようだった。
一度引き受けた依頼である。自分も最後まで見届けるので、共に頑張ろう。義妹に向けてそう伝えた。
……。
実際の所、シップを巡る生活は悪くない。
全10艦が構えられているアークス駐在用のシップのうち、自分が普段在籍していたのは1番艦の「フェオ」と2番艦「ウル」。任務の進捗などに応じて乗り換えを行っている。
とはいえそれは、その他にも8つの艦が存在するということであり……アークスが常駐しない艦やサイズの小さなものを加えるとそれ以上。どころか三桁は超えている。
そもそも全艦の機能を統括し、壮大な演算も担当する「マザーシップ」も存在している。
これらを全て現在は特定の惑星に依存せず展開しているというのだから凄まじい。だからこそオラクル「船団」なのである。
旅をしているようなものだ。しかも未開の惑星ではなく、観光地を回る感覚に近い。
艦毎に特色があって楽しいと感じるくらいには、付き人生活も悪くないと感じる。
色々な艦を巡った。
雑感は以下の通り。
1番艦フェオ。
ファーストナンバーを冠る艦のため、熟練のアークスが多い。
2番艦ウル。
4種族が綺麗に分布しており、人種が多彩。
3番艦ソーン。
一般的な艦。1、2と同時期の艦のため、人口的にはやや不遇。
4番艦アンスール。
人口増加の折に新設された艦であり、単純に人口が多い。
5番艦ラグズ。
アークスの内、他にも職を持っている者が中心に集まっていると聞く。
6番艦ケン。
4番艦の反動かやや人口が少なく、最近まで政策の対象となっていた。
7番艦ギョーフ。
おしゃれの最先端でありながら、倫理レベルが最も低い。
8番艦ウィン。
こちらも種族分布が安定している艦。周期なのだろうか。
9番艦ハガル。
広報の注力された艦その2。合間の艦は、やはりそうなるようだ。
10番艦ナウシズ。
機能の違いはないのだが系列的な最新艦ということで、赴任先としては1番人気。
……だ、そうだった。
どちらもカスラやクーナからの又聞きであり、正確な調査を行えるような項目でもない。聞く耳半分くらいが丁度良いだろう。
道中でクラリスクレイスへのお土産を探したり。
また箱巡業やゲリラライブ。ラジオ収録などの合間を縫って、クーナと共にハドレッドへのお土産を物色したりもした。
「えぇ~? お兄ちゃん、なんで木刀……? そもそもハドレッドは持てないでしょ~。自前の爪もあるしさぁ」
「んーと、今のハドレッドはね。普通の食物は食べないかも。食べられない、の方が適切かな? 栄養素は血流に直接流してるから、それで今も機関を離れられないんだよね~」
「じゃあこれにしよーよ、これ。巡業中に作ったあたしの
アイドル業務も順調だった。カスラの狙いの通り、男性アークスからの食いつきが特に良い。
諜報部の政策のため隠されているとはいえ……実際には公務の類いになるため、販売品などはないのだが、知名度の広がりは抜群だ。特に歌は波及力がある。
オ特やマイショ2といったアダルトショップの普及があるのに
巡業をしている間にも年月、日付は過ぎてゆく。
時折カスラとは直接顔を合わせ、打ち合わせは行うものの。
それ以外は通信のみ。顔を合わせるアークスの知人は、本当にクーナくらいのものだった。
10番艦までの巡業日程を無事に終えた。
アイドルとしての活動開始は大成功。その名前すら知らないアークスは、それこそ新卒の者くらい……と言えるくらいにはなっただろうか。
クーナはこれから、慰撫や興行活動で忙しくなる。虚数機関で過ごす時間は残り少ない。
……同時に、ルーサーによる自分の精密検査も完了している。
…………明日はいよいよ、その結果を聞きにゆく日だ。
/
「―― 結論から言うとだ、ヒース。申し訳ないが、もう1週間だけ待ってはくれないかい」
入るなり、ルーサーが、こうだ。
彼はいつもの調子を崩していない。焦ったような様子もなく、どころか、こちらを悪戯に眺める視線もそのまま。
とはいえ、謝る必要も悪びれる必要もない。彼の力を借りたのはこちら。お願いをしたのもこちらで、全くもって問題がない日程でもある。そもそも付き人としての業務は完遂されたのだ。自分としては丁度、時間が出来た頃合いだ。
ちなみに何か忙しい用事が出来た、とかなのだろうか。
自分に手伝える範囲であれば、手を貸したい。ルーサーへそう伝えると。
「ふむ……いや。君から得た結果を持って、ひとつ。
焦ってはいないが、その指と腕は今までに見たことがないほど
彼が発した言葉の意味を考える。……つまりそれは、何らかの兆候。自分の手がかりに繋がるかもしれない、ということだろうか。
「そうだ。君が急くならば、今の段階での結果を結論とするけれども……僕としては、この面白さを。可能なところまで探求してみたいと思っている。……さぁ、どうだい?」
ならばルーサーへ任せよう。次の週まで。
今の内に聞いておこう。次の週の、今度はいつ頃に訪れれば良いだろうか。
「そうだね……ふむ」
くるり。彼は虚数機関の内壁に取り付けられた、外の見えない、意味を成さない窓を眺めた。
薄緑色の、何もない。
「こちらから連絡を入れようじゃないか。君がそうと判るよう……明瞭な。きちりとした
了解した。自分も連絡に気付けるよう、きちりとアンテナを張っておこう。
ルーサーにお礼を言って研究室を出る。降って沸いた猶予をどう過ごすかを考えながら、アークスシップの中へと戻っていった。
……。
……。
「……クク。やはり、何度見ても興味深いな。彼は。……だとすると……やはり、この施設の
・ライブイベント
アイドルは現状クーナしか確認されていません。
ライブを見るとライブブーストが受けられ、レアドロップ率が少しだけ上がったりした(その少しがテーブル状大切だったりはする)。
ちなみにPSO2のこのゲーム内ライブの試みは、当初の反応とは裏腹に、結構うまく活用出来ていたという印象です。主にコラボに使われたりしたので。
レア泥こいこいも、最終的な印象は良かったですからねぇ。あれは。
私が1番好きなのは小林幸子VSゴジラ。あれはバグの代物ですけれども。
・1~10番艦
オンゲにおける、いわゆるサーバー=鯖。
一応は合同シップ(受けられるクエストは限定かつ固有)があったり、今現在は全シップマッチングがシステムとしてあったりします。
(上に書いた鯖毎の特徴は某ファンサイト様を参照させていただいたりしました。いつもありがとうございます。とはいえあくまで印象のため、真に受けないでいただけると有り難いです。ちなみに必要あればこちらにリンクなど貼らせてもらうことも可能ですし、当該部分の削除にも応じますので……)
ちなみに私の所感ではシップ1、2、4、7、8、10はおおよそ正しいです。
特に外人鯖は顕著。外国鯖がオープンしてからも、多いときは多いです。普通に白で英語話してたりします。
NGSはどうなんでしょうね。
・透刃マイ
原作においても見える人がひとりいる。プレイヤーのことです。
創世器としてはおそらくあまり戦闘能力に秀でておらず、これを保持している情報部次席のクーナさんは、後々のエピソードで戦力外と断じられていたりします。
じゃあそのフォトナーを使用した演算能力は何処に使用しているんや、と思いますが……透明化だけでなく「縁そのもの」を断絶しているような節があるので、かなりそちらに比率が割かれている模様。これはあくまで推測ですけれどね。
・最期
これからがEP0の最終エピソードです。