【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「ふー……ふー……」
岩を個性で引き付けて、また場所を移動してはそこまで引きつける、鼻の奥や目の奥、耳の中まで痛みが来て、景色が朱に染まり出した頃緑谷は、次に個性を使ったら意識が途切れるギリギリだと痛みの警鐘が鳴り響いて止めた。
計連続15回でこうなる、補助ガジェット無しの、無機物引き込み操作の限界をまず知った。あとはインターバルがどれだけ必要なのかも知る必要があるかと、血が地面に滴るのを見ながら考える。
「頃合いの様だな」
プッシーキャッツのメンバー、虎がいつの間にか傍に来ていて、緑谷を見下ろした。ここから更に、この状態でB組4人を相手にせねばならない。
「いやいや……もうガタガタじゃねぇか」
「ちょっと抵抗あるわよ」
「休ませた方が……」
「俺たちにそんな趣味は……」
後から到着したB組の内、単純な増強型個性組で、虎の『我ーズブートキャンプ』参加者の鉄哲、拳藤、庄田、宍田が流石にそんな、いじめめいた事できないと言う。
「む!?ふむふむ、わかった!!」
というわけで緑谷、声が出せないくらいだが、虎に手話を使いメッセージを送った。
「え?手話?何て彼は?」
B組の姉御肌、拳藤が何と言ってるのか尋ねた。
「小僧はこう言った……テメェらA組の補欠B組なんざ、この状態でも勝てるわモブども、おらそこの錆びた鉄屑からかかってこいや、だそうだ!」
「えーー」
「あぁ!?上等じゃねぇか!!」
めっちゃ口悪い、彼普段こんななのかとイメージからかけ離れた手話に唖然とする拳藤に、その喧嘩買ったぞと鉄哲が歩いて近づいた。
「吐いた唾飲むなよテメェ!!」
鉄哲はこの時を振り返ってコメントした、完全に油断していたと。
切島との戦い同様、万全に身体を固めておけば、あんな事にならなかったと、手負の相手故の慢心があったと。後に知った言葉だが、彼は以後しっかり刻みこんだ。
『手負の獣ほど、怖いものは無い』
だから、この手負の相手を一撃殴って眠らせてやろうとした鉄哲の、スティールに変化して顔に放った拳は避けられて外れ、左のボディが叩き込まれた瞬間、凄まじい金属音が鳴り響いて、鉄哲が白目を向いて軽く足が地面から離れ、脇腹を押さえて崩れ落ちたのを、他三名は驚くしかできなかったのだ。
「俺からいく!2人は離れてろ!!」
「宍田くん!!」
襲いかかる緑谷に2人をまず離し、体勢を立て直す為、宍田獣郎太が立ちはだかった。ビーストによるあらゆる器官の強化!単純な力ならばまず緑谷に負けはしないと!たしかにそうだがーー!
「ぬあっ!」
踏み込んだ足をまず払われ、バランスを崩した瞬間、緑谷が宍田の顎を掌底で捉えて搗ち上げ、更に宍田に組みつき払い腰で背中から叩きつけた!
「かはぁあーー!」
「宍田くん!!」
接敵数秒で相手を無効化する、緑谷のヒーローアーツ『クライムスタイル』その技術の一端とはここに居る誰もが知らない。
「やられたままなんてーー!」
恐怖を押し殺し、宍田を投げ倒した緑谷に、背後から襲いかかる庄田!一撃当てれば、次の衝撃でダメージを与えられると立ち向かうも、振り返った緑谷が前転から間合いを詰め、ジャージの奥襟を掴まれた。
「わ、わわ!!うわぁあ!!」
そのまま、まるで地震でも起きたかの様に足が振り回されておぼつかないほど引きまわされ、背中から叩きつけられる!これが、合気道という武術の入り身投げなど彼は知らない。そうして敵を受け流し反撃するヒーローアーツ『フルイドスタイル』である事も!
「ま、まだ!せめて一撃!」
最後に残ってしまった拳藤は、せめて一矢報いねば本当に彼のいう通りに補欠じゃないかと個性で拳を巨大化して一撃を見舞いにかかった!
それを見た緑谷も拳を握り締め、まさかの力比べと、緑谷の拳と拳藤の巨大な拳がぶつかってーー無論質量差から後退りしたのは緑谷だったがーー。
「いっ!?たぁあ……」
拳藤は巨大化を解かねばならない程の痛みを感じ、元に戻った右手を左手で押さえた。痛みの所在は中指!ズキズキと痛み折れたかもしれないと涙が浮かぶ。
いかに巨大になろうと……拳は指の骨の集合体!緑谷は中指の真ん中あたりを一点集中で、瓦割りのように殴り抜いた!力であれど力だけにあらず、破壊のヒーローアーツ『レッキングスタイル』!
「あの窮地に三つの戦い方を選んで扱うとはな……見事だ……」
こうして、緑谷に挑んだB組4名は、一分も持たず壊滅したのだった。
『こ、これを一週間……繰り返すのか』
余裕の勝利に見えた緑谷だったが、判断をミスしたらどこかで負けていたと、頭痛やら何やらでぐちゃぐちゃの頭でキツさを吐き散らしていた。相澤先生が今朝に言った台詞を思い出す。
『死ぬほどキツイがくれぐれも、死なないように』
笑顔で言っていた、こんなの毎日やったら死ぬと言いたくなった緑谷は、本日の『一度目の限界』を迎えて意識を手放した。