【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
そして、話は現在に至る……担任となる相澤消太が初日に、1-Aに課した個性把握テスト……その最下位には除籍処分を課せられた。
その内容は『個性を最大限利用した体力テスト』それを聞いた緑谷出久は泣くしかなかった……何故か?簡単である。
『僕の個性で、この種目に利用できるやつがないから』だ。さらば、ヒーローへの道、さらば雄英高校るーるーるーと涙を流していた。
「次、緑谷ーー」
かと言って……諦めるか?諦め切れるか?そんなわけあるか!!涙を拭い目に火を灯し、緑谷は50m走のレーンに入った。
『緑谷出久……個性、脊髄ぶっこ抜き……か』
担任の教師である相澤消太は、次々と刻まれていく生徒達の記録の中、その生徒の測定を見て思う。
『どれもこれも満点だな、鍛えに鍛えたのがわかる……ただし、無個性の範疇でだ……』
教師である以上、彼は緑谷の個性を知っている。そして入試でも彼の献身を見た1人だ、彼の事情も内申も目を通している、オールマイトにも話を聞いた。
『今のこいつを雄英という檻に閉じ込めてヒーローに矯正する事もできよう、見込みなしで絶望してヴィランになろうと、この個性では大悪党にはなれやしないし……そんな気もこいつには起きやしない……』
必死に、必死に食い下がる、ひたむきに……なんとも悲壮な姿だ。トドメを刺してやるのが情けかもしれない。ここで止めれば、個性と向き合わず隠して生きて行ける事もできる。
『だが……努力馬鹿は嫌いじゃあ無い、足掻くやつは嫌いじゃ無い……』
ボールが宙を舞う。飛距離は……高校トップレベル……見事だ、個性の無い時代ならスポーツマンとして活躍できたろうに。
相澤の口端が、にやりと釣り上がった。
「んじゃっぱぱっと結果発表いくぞー」
全てを出し切った、全てやりきった、数値も何もかも、勝てたクラスメイトは居ないかもしれない。分かっていた、分かっていたのだと、出久は息を切らし汗を垂らしながら言い聞かせる。
個性を持つ者達は、その個性に耐えうる肉体を生まれた時から有している。耐火性、筋力、特異体質……最初から肉体のスペックが違う。しかして……緑谷出久の肉体は『無個性の人間』であった。
緑谷出久の弱点……それは、個性による特異体質を持たない『常人』である事だ。どこまでも個性の殺意にしか頼れない、どうしようもない肉体だった。
荷物を纏めよう、これは泡沫の夢だったのだと、たった1日の担任に挨拶しようと前に出てーー。
「お世話になりーー」
「あ、ちなみに除籍は嘘な?」
「は?」
「「「「はーーーーーーー!?」」」」
悲壮な覚悟は、秒で砕かれたのであった。
「あ、緑谷……話があるから後でこっちに来い」
呼び出された緑谷は担任の相澤と対峙した。ドライアイでこちらを見下ろし、値踏みするように見られる中で、相澤は口を開く。
「個性、脊髄ぶっこ抜き……あまりに危険で残忍な個性だ……何より、それしかできない」
その通りである、痛感している、いかに対人において強かろうとそれだけでしかない。頷くしかできないと、出久は首を縦に振った。
「Plus Ultra……お前の個性が、ただの人殺しにしか使えない個性になるか、人を救う個性になるかは、お前のやる気と熱意にかかっている……ヒーローになりたいなら、仕方ないだのと甘んじたりするな……少なくともお前は、ここに入る為にそこまで鍛えたのだろう」
それは、担任から生徒への応援であった。それを聞いた出久は、震えながら涙を流して頷いた。
緑谷出久、体力テスト結果……20人中12位。