※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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110話 内通者

「こ、殺しちゃったの?こいつ?」

 

「死んでない、大丈夫……うん、まぁ、首の傷は深くないし血の流れも強くない……多分、恐らく、きっと」

 

 出水洸汰は、倒れ血を流し痙攣するマスキュラーを見下ろして、緑谷に尋ねた。大丈夫だ、死んでない、恐らく、メイビーと明らかに現実逃避を見せる緑谷を、洸汰は見上げて言った。

 

「もし、お兄ちゃんが捕まったら証言台に立つからね」

 

「ありがとう……よし、宿舎まで戻ろう、それから……マンダレイにキミの無事を伝えて、皆を助けに……」

 

「ま、待ってよ!そんな怪我でまだ何かするの!?骨が…‥飛び出てるんだよ!?」

 

 緑谷が、まだこれ以上何かするのかと、腕は骨が飛び出る重傷なのにと尋ねた。

 

「洸汰くん、人間には大体215本骨があるんだ一、二本へし折れたって大丈夫なように出来てるんだ」

 

「嘘だよ!お兄ちゃんの場合へし折れたじゃなくて、ぐちゃぐちゃっていうんだよ、それ!」

 

「それに……もしも他に襲撃してきたヴィランがこんなに強かったら……皆が危ない、この命に変えても僕が……さぁ行こう!まずはキミを施設に運ぶ!!」

 

 こんなぼろぼろになっても、背中でおぶって走ろうとしている緑谷に洸汰は、どうしたらいいのかと考えた。この人は絶対、自分を送り届けたらまた戦いに行く、自分が死んでも助けようとする、それこそ死んだ父や母のようにと、涙ぐみながら、洸汰は首に手を回した。

 

「しっかり捕まってて!」

 

 

 

 恐ろしく早いスピードで走り出した緑谷の背中で、洸汰は必死に考えた。この人をどうにか止める方法がないかと、時間が無い……森を駆け抜ける中で洸汰が考えている事など知らず、そのまま宿舎へ走る中……洸汰はふと木々の間に見えた人影を見つけ、緑谷に声を掛けた。

 

「兄ちゃん!あれ!」

 

 洸汰が見つけたのは相澤先生だ、恐らく補習授業から、マンダレイのテレパスを受信し様子を見に来たのだろう。

 

「先生!」

 

「緑谷?お前……その傷ーー!?」

 

 生徒が、右腕から骨が飛び出す大怪我をしている。それだけでもう緑谷に何が合ったのか察した相澤だったがーー。

 

「大変なんですーー色々伝えなければいけなくて……とりあえず、今から僕はマンダレイさんにこの子の無事を……」

 

「おい、緑谷」

 

 ハイになってる、脳内麻薬が流れ出して痛みすら感じてない興奮状態だ、どうにか落ち着けなければならないと呼びかけようとする中ーー。

 

「狙われてるのはこのお兄ちゃんです!!!」

 

 洸汰が、大声で叫んだ。それを聞いて緑谷もびくりと驚き、話すのをやめた。

 

「僕、1人で秘密基地に居て……そこにヴィランが来たんです!!それをお兄ちゃんが助けてくれて……ヴィランの奴が、お兄ちゃんを仲間になれって何度も何度も言ってた!!」

 

「こ、洸汰くん……」

 

「お前……陽動する気だったな……」

 

 洸汰の告発により、緑谷がやろうとした事を理解して目を細めた相澤は、これにより何も言えず平静となりつつある緑谷に言った。

 

「子どもにこんな顔させてヒーローなんてなれると思うな、後は俺に任せろ……後で色々説教と補習だお前も……この子をお前が宿舎まで運び、ブラド先生に応急処置してもらえ、それがお前の最優先任務だ」

 

 その言葉により、緑谷出久の行動指針が書き換わった。

 

「わ、分かりました……」

 

「分かったら行け、キツイだろうが後少しだ」

 

 本来ならば担任として自分が同行すべきだろうが、森の中の生徒も助けなければならない、宿舎まで洸汰を運ぶのだけは頼むと言って相澤は森に入って行った。

 

 キツくはない、大丈夫です、言えなかった。今更になって右腕が痛みだしてきて、背中の洸汰に言った。

 

「ありがとう……」

 

「無理すんなよ、もう」

 

「よし、あと少し頑張るか」

 

 魔法が解けたかのように、緑谷の走る速度が一気に落ちた。これでいい、これでよかったと洸汰は緑谷の背中で、安堵の涙を流すのだった。

 

 

 

「なんだこれ!?皆大丈夫!?」

 

「それはこっちのセリフだ緑谷ぁ!?お、お前その腕、骨が出てんぞ!!」

 

 そして緑谷が宿舎に戻り、焦げ臭い匂いにまた走れば、補習組と帰還組が集まる教室に小火騒ぎでもあったような惨状を見て、大丈夫なのかと言ったら、補習組の切島にこっちのセリフだと返された。

 

 洸汰が背中から降りて、教室に入れば芦戸が口を覆い、物間は白目となり気絶。他の者もその惨状に唖然とする中、ブラドは緑谷のその大怪我を見てすぐ指示を出す。

 

「解放骨折か!?誰か救急セット持ってきてくれ!!清潔な布もだ!!」

 

「分かりました!僕が行きます!!」

 

「椅子を一つ出してくれ!彼を座らせる!」

 

「は、はい!」

 

 座席も散らばった中で、とりあえずまずは消毒と整形が必要だと、芦戸が椅子を一つ引っ張り出し緑谷を座らせた、飯田は救急箱を探しに走り、ブラドは救急箱を待つ中で、緑谷は彼に言う。

 

「ブラド……先生……奴らの狙いは……まず僕みたいです、あとは……皆が帰って来れたら……」

 

 緑谷はいよいよ脳内麻薬の時間切れが来たらしい、痛みに意識が遠のき始める中、先程のマスキュラーとの戦いで気付いた事をブラドキングに言おうと意識を繋ぎ止めた。

 

「喋らなくていい……よく頑張ったな……」

 

「それと……少し気になった事が……」

 

「ーーー!?」

 

 喋るなというブラドに、緑谷がか細い声を残すと、緑谷はいよいよ意識を失った。

 

 

 

 こうして……林間合宿は、ヴィランの襲撃という形で幕を閉じる。救急や消防が到着したのは、緑谷が気を失ってしばらくの事であった。

 

 生徒40名の内、ヴィランのガスによって意識不明の重体15名、重軽傷者11名、無傷で済んだのは13名だった。

 

 そして……行方不明1名……攫われたのは……爆豪勝己。

 

 プロヒーローは、6名の内1名、プッシーキャッツのピクシーボブが頭を強く打ち重体、同じく1名、ラグドールが現場に大量の血痕を残し行方不明になっていた。

 

 一方ヴィラン側は……3名の現行犯逮捕、うち1名は意識を取り戻した後、恐怖から精神を壊され譫言のように『助けて……死にたくない……』と呟いていた。

 

 1年ヒーロー科の林間合宿は……最悪の結末で幕を閉じた。

 

 ただ一つだけ……わかった事があった。

 

 緑谷自身、こんな事を信じたくもなかったし、嘘だと思いたかったけど、マスキュラーとの戦いの中で聞いた言葉で、確信した。

 

『教師たちか……A組に……内通者が……マスキュラーに……僕の個性の弱点が……』

 

『ーー!?』

 

 誰かが……雄英の情報を流している……皮肉にもそれをB組の担任に残して、緑谷はしばらく眠りについたのだった。

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