【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
緑谷の発言に切島は困惑した、拘束具をつけられる程、爆豪を助けに昨日まで脱走していた男が唐突に手のひらを返した事態には、同じく救出に向かおうとした轟も呆けてしまうくらいに。
「ど、どうしたんだよ緑谷……お前昨日まで、脱走するくらい爆豪を助けようとしてたじゃんか」
「だから……今の飯田くんの話聞いて、正しいってなって落ち着いた……切島くんの気持ちも、焦りも、分かる……僕も脱走したくらいに、かっちゃんを助けたい……けど……仮に……それが救出する為に動くヒーローの邪魔をして……かっちゃんやキミがもしも死んだら……耐えきれない」
唐突にまともな話をし始めた、この自分たちの勝手な行動が、どれだけヒーローの迷惑になってしまうのか、その時爆豪が、切島が死んだら?そうなったら耐えられないと切島を嗜めた。
「キミはここで行かなきゃ男じゃ無いと言ったけど……耐え忍ぶのも男だと思う、だからお願いだ……」
緑谷は、ベッドから降りて床に正座した。その瞬間切島、いや……A組一同が、何をするのか気付いて、切島が両肩をがっしり掴んでその行為をさせないと封じた。
「やめろ緑谷!!」
「どうした……切島くん?」
「そんな事したら……俺は!行けなくなる!!だから……やめてくれ!!」
「じゃあ、行かない?」
「けど、俺は……!」
男が、男に『土下座』で懇願するという恥も外聞もない様、それをされたら面子だ矜持だと、男らしさを良しとする切島には耐えられない。それをされたらもう、行けなくなる。
そして、この時点でクラスメイトからも『土下座までさせかける程、止めに来たクラスメイトの引き留めを振り払って無茶をしようとする切島くん』という構図が出来上がってしまったのだ。これで彼を引き止めようとした……しかしーー。
「緑谷……すまない、だが……俺はやはり諦めきれない……お前がUSJで退学を覚悟して、俺たちから嫌われるのを覚悟してまで戦ったようにーー俺は、爆豪を助けに行きたい」
「!?」
緑谷は愕然とした……それを……ここで出してくるのかキミは!?それはもう、とんでもないカウンターだった。
A組の中であの事件は『美談』『武勇伝』となってしまっている、全てを打ち捨て立ち向かう様を、自分で示してしまっている。
「ああ、悪いな緑谷……恨むなら恨んでくれ……今夜俺と轟だけでも、爆豪を助けに行くよ……」
「行こう切島……すまん、緑谷、みんな」
クラスメイトの壁を掻き分けて、2人は病室から出て行った。
「まずいって……あの2人覚悟決めちまってる……」
「あれはもう止まらんぞ、学園も対応に追われているこんな状況で……」
あの覚悟はもう何がなんでも止まらないつもりだ、上鳴と常闇が焦燥し、皆がその背中を見送るしかできなくなった中、ふと砂藤が視線を緑谷に戻して気づいた。
「おい……み、緑谷!?大丈夫か!!」
緑谷は泣いていた……包帯が巻かれた両手を見て泣いていた。
「僕の……せいだ……僕が……戦い続けたから……その姿を見せたから……彼らを……死兵にしてしまった!!」
気づいてしまった、命をかけて戦うという、苛烈な光が、人を狂わせてしまうと。死ぬならあんな風に、雄々しく、目をつぶし盲信させるという事態を招いてしまった!
「ごめん、みんな……ごめん!ごめんなさい!!僕のせいで!!死んでしまう!!ふ、2人が!!ああぁあ、あぁああああ!!」
「緑谷ちゃん!!落ち着いて!!大丈夫よ、大丈夫だから!!」
「誰か先生呼んできて!!早く!!」
心が軋む、自身を苛む。
ああ、お前が戦ったから、お前があり方を示したから、彼らは死にに行くのだ。
お前は戦うしかできない、たとえそれで誰かを救っても……その姿を憧れた者が、それに目を潰し命を落とすのだ。
お前は……誰も救えやしないのだ。