【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
たどり着いた物件を前にして、緑谷ことスコーピオンは懐から軍用の赤外線双眼鏡を取り出して、周囲の確認に入った。今はネット通販でなんでも手に入るから便利である、外から見ればただの空き物件、カムフラージュだろうなと見た。
「んーーー?」
その双眼鏡に、ある集団が映った。
スコーピオンは思った、この爆豪救出作戦は『徒労』に終わる。自分が来ようが、来まいがそうなっていたと。しかし……それを轟や切島に言葉で説明しても納得しないだろうなと感じた。
『緑谷出久』ならまだ交渉の算段があったが、スコーピオンの今は聞き入れない。あの手のは見なければ気が済まないと感じて、どこか隠れやすい場所を探し、ふと目についた場所を見つけ、そこへ降り立つ。
「小窓があるな……中は……」
暗視双眼鏡を調整し、内部を見て……あ、と一瞬スコーピオンから緑谷出久に戻りかけた。そう言えばと、そもそも彼女が『どんなヴィラン』に発信機を取り付けたか聞いておくべきだったのを今更になって失念した。ここまで覚悟を決めたが、本当に小旅行で終わりそうだと、スコーピオンはショートメールを八百万に送った。
「た、たしかにここなら、人目がつきませんが……せ、せまいですわ」
「おいみ……いやスコーピオン、あの文面は何だ、徒労に終わる、特等席があるって」
スコーピオンが指定した路地裏に切島達が、なんとか入ってくる。切島が文面に文句があるようだが、まずは言葉で説明した。
「まず……爆豪少年はここには居ない、ここはアジトの一つだが、研究施設の様な場所だ」
「何だと……じゃあ、爆豪はどこに?」
轟の問いかけに、スコーピオンは首を横に振る。そしてスコーピオンは八百万に質問した。
「八百万よ、貴様が発信機を取り付けたというヴィランは……そもそも人か?」
その質問にあっ、と彼女も言い忘れたと手を覆った。
「どういう事だ、みど……スコーピオン……」
「中を覗けば分かる、そして後数分もすれば事も終わる……肩を貸してやるから中を覗くか?世にも悍ましい物を目にするが……」
その目で見る覚悟があるならばと、暗視双眼鏡を差し出して柵のある小窓をスコーピオンは指差した。しかしーー。
「いや、自前のがある……必要と思って買ってきたんだ」
切島も暗視鏡を買ってきたらしい、たしか5万はするやつだったような……そこまでするかキミはと、スコーピオンは面頬の下で笑った。
「爆豪少年は良い友を持ったな……」
「俺からすりゃ、そんな風になってまでここに来たお前の方が良い友と思うよ……」
「俺は弟弟子の話でしか奴を知らん……さて、轟に飯田、貴様らは如何する?中を覗くか?」
ならこれは轟達にと、気になるならばと暗視双眼鏡を差し出して轟が手に取った。
「ああ……すまん飯田、肩を貸してくれ」
「分かった……」
「では切島、俺が担ぐ……くれぐれも覚悟をしておけよ?」
「お、おう……」
こうして轟は飯田が担ぎ、切島をスコーピオンが担いで塀越しの小窓を除く事になった。並ぶ形になり、飯田が緑谷……スコーピオンに話しかける。
「緑谷くん、キミは……」
「スコーピオンだ」
さっきショートメール送ったよなと、名前を呼び直せと促す。
「いや、呼ばない……すまない……委員長である俺が止めなければならなかった、キミをあんなになるまで泣かせて、こうしてキミは……心配して他人になってまでここに来てくれたというのに」
飯田は悔いている、昼前の緑谷の取り乱す様を見て、止められなかった事を。切島の足首をしっかり持ちながら、緑谷ことスコーピオンは……それに返答した。
「弟弟子は言ってた……ただ戦うしかできなかった自分のせいだと……それが2人を駆り立ててしまったと……お前が気にかける事じゃあない」
「声色……戻ってるぞ、スコーピオン」
飯田に言われた矢先、切島がバランスを崩したので、しっかり支えてからもう十分だろうなと、降ろすぞと行ってから地面に降ろした。
「た、たしかありゃ……脳無とかいう化け物だったよな……USJで緑谷がぶっ倒した」
「ああ、俺も見た……保須でも出てきた……まて、徒労って……まさか!」
あ、いかん、そっちに考えたかとスコーピオンは轟と勘違いしかけそうな切島に即座に話した。
「落ち着け、爆豪少年は生きてる……そもそも、弟弟子が合宿にて狙われたらしいが、その次に爆豪少年が連れ去られた理由……キミらは分かるか?」