【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
衝撃の後巻き上がった砂埃が収まり、スコーピオンと切島達は一体何が起こったのかを認識する為、もう一度肩車をして中を確認した。
「マウントレディにギャングオルカ!ベストジーニストまで!?」
「虎さんも居ますわ……」
切島と八百万が、崩壊により夜空に照らされ見やすくなった建物の中を直視で見て、ヒーロー達が突入し、脳無を確保している様を目撃した。
「うぅ〜…これ本当に生きてるの?こんな楽な仕事でいいんですかね、ジーニストさん?オールマイトの方行くべきだったんじゃあないですかね?」
「難易度と重要性は切り離して考えろ新人、機動隊!すぐにメーデーを!まだ居るかもしれない、ありったけ頼みます」
ヒーローたちの会話が聞こえた、つまり別の場所……オールマイトのいる方が本命で、爆豪はそちらかとスコーピオン……いや、緑谷出久はようやく緊張が解けた。
「杞憂であったな……オールマイトがいるならば、問題なかろう」
「ヒーローは、俺たちなどよりずっと早く動いていたんだ!」
「ああ……すげぇ……本当に徒労で終わったよ……」
「さぁ、すぐに去ろう!俺たちにすべき事は無い!」
戦闘も、無茶も無く終わったと、緑谷は一息を吐くと、切島達に言った。
「俺の任もこれで終わりだ、気をつけて帰れ雄英生徒、弟弟子にも伝えておく」
背を向けて反対側に消えようとした緑谷だったが、その背に声をかけられた。
「いやいや、お前も帰るんだよ緑谷、いつまでごっこ遊びしてんだよ」
「もう、戻ってもいいんじゃないか緑谷くん?戦う必要が合った時、他人ならばと考えてそんな事をしたんだろう?」
せめて最後までさせてくれないだろうか、確かに正しい事なのだが。緑谷は首だけを切島達に向け、空気を読めとばかりに言い放った。
「だから俺は緑谷じゃあない、俺は地獄より蘇った復讐の忍者、スコーー」
名前を名乗ろうとした瞬間だった……緑谷は微かに、その圧力、威圧感を肌が感じ取った……それはまるで……期末試験の時に戦ったオールマイトの様な、危機が来る!逃げろと背中が冷たくなった。轟も同じ物を感じ、緑谷は叫んだ。
「みんな!屈んで!!」
先程以上の衝撃が、緑谷たちに襲い掛かった。
ーーーーー
その光景を見た、切島達は……崩れかかった壁に身体を隠すように震えるしかなかった。
「成る程、相当な練習量と実務経験故の強さだ」
たった一瞬でヒーロー達が倒れ、覆された。ベストジーニスト、マウントレディ、ギャングオルカ、虎……そんな面々を見下ろし浮かぶ……タキシードか、スーツか……それを着てパイプに繋がれた仮面を付けた男に。
「君のは要らないなぁ……弔とは性の合わない個性だ」
その恐怖に釘付けにされ、動けない。切島も、轟も、飯田も、八百万も、逃げろと頭が命じていながら体はぴくりとも動かない。
ただ1人……緑谷出久、スコーピオンだけがその悪意と殺意を受けてなお、その姿を視認していた。
『あれがまさか……オールマイトの言っていた……』
期末試験の後に話してくれた……オールマイトに深傷を負わせた宿敵、個性黎明期をその力で支配して来たヴィランの大ボス……自分と類似する個性を持つ男!!
オール・フォー・ワン!!
「ゔぉえふ!?くっせぇ!!」
「えっ……」
聞き覚えのある声が耳に入る、AFOの前に、ヘドロか汚泥が空間より吹き出して、そこから現れたのは……爆豪勝己!その姿を見て緑谷……いや、スコーピオンはどういう事だと目を見開く!
そして次々と、同じような液体が空間から吹き出し現れた面々を確認する。蜥蜴男とグラサンは合宿で見た、後は女子高生、マジシャンらしき男、全身タイツ……倒れている靄のヴィランとつぎはぎ男と……。
『死柄木弔!!』
やはりお前か……しかし、これはオールマイト側が失敗したのかと背筋がヒヤリとした緑谷だったが、AFOが弔に話し出した。
「また失敗したね弔、でも決してめげてはいけないよ?またやり直せばいい、こうして仲間も取り返した。この子もね……」
その語りから察すれば、死柄木弔はAFOの弟子か何か、オールマイト側の作戦に介入してここに逃してきたのかとスコーピオンは考えた。
まだ……こちらには気がついてない。だから斯様に話をしているのだろう……かっちゃんを助けるなら、機を見て闇討ちする他無い……スコーピオンは袖から鎖苦無を取り出し、動こうとしたがーー。
「えーー」
その袖を、いくつもの力が引っ張って止めたのだった。
轟が
切島が
飯田が
八百万が
全員が袖を引き、行くなと、恐怖に引き攣った顔で必死に止めて来たのだ。
「行くな緑谷……死ぬ気か?」
「行ってはなりません、緑谷さん」
気付かれないように、小さな声で2人は止めた。なんと、轟と八百万が緑谷の名前を呼んだのだ。飯田も切島も、まさか今になって名前を読んだことに驚いた、2人は気付いてなかったのではない……フリをしていただけだったのだ。
「酷いな……最初から?」
「お前が……俺たちを止めて、恨まれても行こうとしたら……こんな風に合流するなんて……浅はかだった、お前をこうまで……追い詰めてたなんて」
「ごめんなさい……けど、貴方はそうまでして、無理をしてここに来てくれたから……せめてと……」
2人からの謝罪を聞いて、緑谷は、面頬を外し素顔を見せて笑った。優しいな皆……USJの時から、僕を受け入れてくれた、一緒に勉強して、笑って、共に歩んでくれたクラスメイト。
ある武術家は……戦いに上がる前にこう言ってたらしい。
『今日は死ぬのにとてもよい日だ』
元は、ネイティブ・アメリカンの死生観を歌った、女性詩人の表現らしい。
今多分……そんな気持ちだ、馬鹿な話だと緑谷は思った。自分が戦う姿を見て、命懸けで救いに来た轟と切島、原因は自分のせいなのに……また自分が命を賭けて戦おうとしているのだから。
「やはり……来てるな……」
その一言が、AFOから発せられ、気づかれたかと目を向けた瞬間!
「全てを返してもらうぞ!オール・フォー・ワン!!」
遥か空の彼方より、月光を背にしてオールマイトは飛来した!!