※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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129話 母親

後日、緑谷出久は雄英教師陣から22時間の説教を本当に受けた。それで済ませてくれたのを感謝すべきだろう、相澤先生からは『次やったら内容の大小問わず除籍』を言い渡された。

 

 オールマイトは緑谷に言った通り、その鶏ガラ姿を皆に晒し引退を宣言、個性に関しても『変身』で戦って来た事で、最後の力を使い果たしたと伝えた。

 

 AFOは逮捕され、タルタロスに収監され、爆轟勝己救出作戦はこれにて幕を閉じた。ヴィラン連合は依然逃走、姿を見せない。また捜索から振り出しに戻った。

 

 ただ……『怨霊忍者スコーピオン』が都市伝説となったのはまずかったので、気に入っていたがヒーロースーツは廃棄処分する事を緑谷は決めた。

 

 怨霊は消え去った、という事にしておく。

 

 そして……数日後の話であった。

 

 

 

「ごめんなさいオールマイトさん、日課だからって……」

 

「相変わらずですね、彼は」

 

 兼ねてより生徒を守る為、全寮制導入の家庭訪問の話となっていたのだが、緑谷出久は、日課の修行に出かけているらしい。出迎えた緑谷引子に茶を出され、対面したオールマイトは、心臓が飛び出しそうだった。

 

 何しろ彼は合宿で大怪我した1人、さらに重なる雄英の醜態だ、一人息子をこんな状況の全寮制に入れるなど気が気で無かろうと思っていたからだ。

 

 長丁場になる、覚悟の上の家庭訪問。口を開いたのはオールマイトからだった。

 

「……前日も電話した通り、全寮制なんですが」

 

「はい、お願いいたします」

 

「え、あ、え!?」

 

 にっこり笑って緑谷引子は即決した。面食らうオールマイトは、本当にいいのかと言葉が出なかった。

 

「どうか……なさいましたか?」

 

「いえ、あの……お母様?こちらへの叱責や疑念などは……」

 

 彼女は我々を責めて、叱責する権利があるはずだ、それらも無しに即入寮を許すとなった事を、思わずオールマイトは尋ねてしまった。

 

「そんな事よりも……私は、あの子がこうしてヒーローになる為学べている事の方が、嬉しいんですオールマイトさん」

 

 それらを差し引いても、今の息子の生き生きとした姿が嬉しいから、許せるのだと彼女は紅茶のカップを傾けた。

 

「あの子は……貴方に会うまで死んだように生きてました、ヒーローを諦めかけて荒れ果てて……いつか本当に悪の道へ進むと……私や夫では止める事ができなかったのを、貴方は導いてくれたんです」

 

「ですが……彼には大怪我を……」

 

「合宿の件は聞いてます、あれは自ら子どもを守るために戦ったと……あの子は……そうなれば、そうする子なんです、命を賭けて」

 

 カップを置いて、ふうと息をした引子の目にオールマイトは戦いた。まるで戦女神のような、覚悟を込めた瞳に息が詰まった。

 

「あの子がヒーローを目指すと決めた日から、私も、アメリカの夫も普通を捨てました……その先にあの子が惨たらしく死のうとも、二度と普通の生活ができなくなろうとも……迎え入れる気でいます、ですからどうか……オールマイトさん……彼を、立派なヒーローにしてあげてください」

 

 親の愛という形は……様々だ、心配して手を離せない親が多いだろう。しかし、この母親の悲壮と決意は、オールマイトですら計り知れなかった。

 

「分かりました……雄英は彼を必ず、立派なヒーローに育て上げる事をお約束いたします」

 

 ならば、こちらも命を賭けて答えねばなるまい。深々とオールマイトは引子に頭を下げて、家庭訪問は早々に終了したのだった。

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