【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「んーーーー……」
エクトプラズムから渡されたボール大のセメントの塊、それを引っ張って手元に持って来ては、また転がして見たり、空に投げては引っ張ってみたりを繰り返す。
無機物を引っ張るのも慣れて来たなと緑谷は成長の著しさを実感した、空き缶一つ引っ張って鼻血を流していたのが、手足のように扱えている。相澤先生の合宿メニュー『岩石引き』が、ここに来て効果が出ているようだ。
さて……じゃあどうする、これで?どうしたらいい?このまま手遊びで終わらせたらいけないと緑谷は考える。
「悩んでいるようね、緑谷くん?」
その悩める若人に声をかけたのは、ミッドナイト先生であった。
「ミッドナイト先生……どうも……」
あれから偶に連絡したり、お洒落のアドバイスをしてくれるが、こうして生徒と教師となれば礼は尽くさねばならない、そのあたりは弁えろと緑谷はお辞儀をした。
「必殺技、なかなかイメージが湧かないと言った感じね?」
「ええ、はい……思えば今まで、自分の徒手空拳で技は編み出したり真似たりしましたが、個性となると全くだなと」
「貴方の個性自体が、そもそも必殺技として帰結してるのもあるわよね……」
そもそもの話が緑谷出久の個性『脊髄ぶっこ抜き』自体、必殺の個性であるが為、それで充分ではとなってしまっていたのもある。しかし……それも最早万能では無いと、オールマイトにマスキュラーの二戦で理解してしまった。
ただ、その人殺しの個性が雄英に通い、こうして新たな使い方ができ始めたならば、それに相応しい必殺技も考えるべきで、課題でもあるのだ。
『プルスウルトラ』さらに先への精神を忘れてはならないと、セメント玉の手遊びをしながら悩む緑谷へ、ミッドナイトはふと尋ねた。
「緑谷くん、あの鎖の技は個性の応用じゃないの?」
「鎖のって……」
「ほら、貴方が敵を引っ張る……あれなんて技?」
「あー、Get Over Hereですか?」
「それ正式な技名なのね?」
『Get Over Here』
別名、鎖苦無投げ。緑谷がよく使う技……ではあるが必殺と呼ぶよりは、相手を崩す小技に類される技だ。鎖をつけた苦無を相手に投げて刺し、引き寄せるだけの技。
モータルコンバットの主役級キャラクター『スコーピオン』が使う技で、真似て体得したのだが、実は知らず知らずの内に『引き寄せる』イメージが個性の新たなる深化の鍵となった技である。
この引き寄せのイメージが、体育祭以降『脊髄ぶっこ抜き』の個性を様々な物を引き寄せるように出来た。
「個性に対するイメージって中々に重要なのよね?私は単純に眠らせる香りを出せる、だけど……同時にどんな香りがより眠らせられるかをアロマや香水からイメージしたりするの」
「成る程……」
個性を扱うにしてもイメージは必要、彼女はただ『眠らせる香り』なんて漠然としておらず『より眠たくなるリラックスできる香り』をイメージするのだと。
「貴方は引き寄せる際、何をイメージしてるかしら、緑谷くん?」
それを踏まえて、その引き寄せはどんなイメージがあるのか尋ねたミッドナイトに、緑谷はやはりこれだと答える。
「鎖……ですね」
そう『鎖』これが強く根付いていると答えた緑谷に、ミッドナイトはクスリと笑って言った
「例えば……そのイメージを普通の紐やらゴム紐、ワイヤーにはイメージできない?あと、手に引き寄せるだけ?色々やれる事はあると思うわよ」
そのイメージをまず変えてみる、それだけで何か見えるかもよと、話は終わったとミッドナイトは緑谷の元を去り、他の生徒達を見に行くのであった。