※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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142話 必殺技ではなく、ガジェットができた。

「大丈夫か緑谷、血は収まりそうか?」

 

「ら、らんとか」

 

「替えのティッシュあるからね?」

 

 アクシデントはあったが、開発工房内に通された緑谷、麗日、飯田は、パワーローダー先生にまず止血からと渡されたティッシュを詰められ椅子に座らされた。意識を取り戻した緑谷は、しばらく膝枕して貰ったが、鼻血は寝たら心臓より位置が低くなりより出血する為、座った方がいいと言われたのだ。

 

「イレイザーヘッドから話は聞いてる、コスチューム改良だろう?あ、緑谷は再申請の確認だったな?」

 

「再申請?」

 

「何かもうお願いしていたのか、緑谷くんは?」

 

 麗日と飯田はこの場所に来訪するのは初めてであるが、どうやら緑谷は既に来訪済みらしい、もう何かを頼んだらしいがそれは一体と飯田が尋ねると、緑谷はティッシュを鼻から外し新しいティッシュを丸めながら話した。

 

「うん、左右のグローブを籠手にしてアームブレードを付けたいって、再申請したんだよ」

 

「アームブレード?」

 

 聞き慣れない単語だと麗日に尋ねられ、緑谷は自らの腕を見せて説明した。

 

「前腕を覆うプロテクターにして、その尺骨に当たる部分に金属製の刃をつけたいんだ、相手の紐やら蔦みたいな攻撃を切り裂いたり、刃物を弾いたり、まぁ斬撃攻撃や拘束された時に使いたいんだ……」

 

「成る程……で、再申請という事は?」

 

 確かに便利な装備だと飯田も納得した、が……再申請という単語にそれ即ち一度却下されたのだと分かる。

 

「パワーローダー先生、どうでしたか?」

 

 その再審査結果は如何にと、緑谷がパワーローダー先生に尋ねれば、首を横に振った。

 

「ダメだとさ、ヒーローコスチューム規定及び、銃刀法に触れるんだと……曖昧な部分があるが、仮免からだな緩くなるのは」

 

「だめでしたかー……」

 

 がっくり肩を落とす緑谷に、飯田がふと気になってしまい、パワーローダーに質問した。

 

「パワーローダー先生、コスチュームにも細かい規定があるんですか?」

 

「ああ、ある、特に刃物と露出がな?刃物は銃刀法の兼ね合いがあって、仮免でもなけりゃ武器として剣やらも携帯は許されないし、そこからガジェット扱いで別の申請が必要になる、あと露出もな?ミッドナイト先生でヒーローコスチュームの露出に関する法律が決まったんだぜ?」

 

「ミッドナイト先生にそんな事があったんですか!?」

 

「珍しいな、飯田くんが知らないなんて……社会問題になってたの知らない?」

 

 学のある彼も、知らない事があるんだなと緑谷はスマホを動かしてミッドナイト先生のコスチューム問題の記事を見つけ、飯田と麗日に見せた。

 

「ほ、本当だ……コスチューム一つで問題が上がるあたり、ヒーロー社会も中々に雁字搦め……いや、先生がよろしくなかったのか?この場合……」

 

「話が逸れたな、で?お二人さんは改良か?なら簡単なものならウチで調整して申請になるし、大掛かりだと会社に提出して申請通ったらで三日は掛かるぞ?」

 

「あ、はい、お願いします」

 

「僕もそれで来まして……脚部の冷却器を……」

 

 麗日と飯田がパワーローダー先生に相談をする最中、緑谷はようやく血が止まったと鼻血染まりのティッシュをゴミ箱に捨てる。それを待っていたとばかりに、発目が近づくや即座に尋ねてきた。

 

「ところでお客人、私のベイビィの調子は如何ですかな?」

 

「グラップルガン?本当によく馴染むよ、動作不良も無いし」

 

 彼女の話は、グラップルガンについてだった。そもそもグラップルガンは、緑谷が体育祭の後に発目とサポート科に頼って作らせたガジェットだった。懐からそれを取り出して、彼女に見せればあちこち眺めてふむと頷く。

 

「おやおや、ワイヤーの摩耗が来てますね、折角だから交換しておきますよ、切れてしまっては意味がありませんから!巻き取りの動作確認もしておきます!」

 

 余程摩耗があったらしい、なら丁度いいと手渡した緑谷は暇になってしまったなと。開発工房を見回す。すると、片隅に積まれた機械の残骸が目に入りそこに近づいた。

 

「そいつらは全部発目が入学してから作ったサポートアイテムの失敗作だよ」

 

「これ、全部ですか……凄いな」

 

 同じ一年生でこんなにもと、全て失敗作ながら気になってしまうと眺める中、緑谷は足元に転がって来た短い棒に目が向いた。

 

 シンプルな、削り出しただけの金属棒かと思ったが装飾とスイッチがある。ふと、山の中に幾つか同じサイズの棒がもう二つあって、それを山が崩れないように取り出した。

 

「ああ、そちらは電磁力でくっついたり離したりして、様々な形にするサポートアイテムです!本当はいくつもあったのですが、磁力をミスって幾つか吹っ飛んでしまって残り三本しかなくなっちゃいました!」

 

 発目の失敗作、磁力を使った様々な形に固定して扱う棒、その内2本をそれぞれの手に持った時、緑谷はふと思いついた。

 

 ヌンチャクみたいだな、と。

 

 エクトプラズム先生も、ミッドナイト先生も言っていた。『イメージ』が大事であると。

 

 今の今まで、ただ『引っ張る』『引っこ抜く』のイメージで個性を使って来た緑谷は、ミッドナイト先生の『引っ張る際、何で引っ張っているか?』のイメージも膨らませてみろと言われた事を思いだす。

 

『なら……引っ張る前、物同士を繋ぎ止める事は?』

 

 そんな考えが頭によぎる、今までの引っ張るイメージにも、相手に鎖を巻き付けるイメージをしていた。ならば、巻きつけたまま持続させる事は?

 

 緑谷は棒の片方を上側に、片方を下側にして、その間の何も無い空間にイメージを重ねる。紐同士いや、鎖同士で繋がっている。上側の棒で下側の棒を今から引っ張るが……決してお互いがくっつかない様に『着いていくが、間隔は開いたままに引っ張る』イメージ……そうして、下側の棒の手を離す。

 

 そして、イメージ通りとばかりに緑谷の手を離れた下の棒がぶら下がった。新しい個性のイメージだった、それでも脳が焼けつく感覚も、鼻血の垂れる感触も無い。

 

 左右にゆっくり振ってみて、本当に紐で繋がれた挙動をしている。それに気を良くした緑谷は……。

 

「ほぁああ!!」

 

 怪鳥音を吐き出して、それを振り回してみた。突如の奇行に飯田や麗日、パワーローダー先生も驚く中、発目だけがほほうとその様を興味深く見つめる。

 

 左へ右へ、頭の上に背中にと振り回し、最後に右脇へ片側を挟み込み、左手を前にかざしてゆっくり息を吐けば、この場の全員がおーーと唸りをあげ拍手するのだった。

 

「成る程!ヌンチャクですか!!そんな使い方をするとはさすが私の未来の第一顧客!」

 

「これいいね……僕の個性にぴったりな武器だ、貰っていい?」

 

「ええ!ええ勿論!!私のベイビィがまさか息を吹き返すだなんて!!ただ、貴方用にまず改良させてください!!」

 

「そう?僕はこのままでも……」

 

 気をよくした緑谷はこのままでもと、もう一回振り回した瞬間、掴むのをミスしてしまいーー。

 

「はぉう!?」

 

「あ!?」

 

「うわぁ、ああもう調子乗るから……」

 

 その棒が見事股に命中して内股になり、電磁力棒から手を離し緑谷は撃沈した。パワーローダー先生が調子に乗った罰だと近づいて、飯田も哀れな顔でうずくまる緑谷の腰あたりをトントン叩いてあげるのであった。

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