【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
夜嵐イサナが緑谷より、その名前を聞いた瞬間……顔が一気に険しくなった。
「あんた……あいつの友人か何かっすか?」
「親族です……その様子だと、受かってはないみたいで」
「いや、まじに受からなくて良かったっすよ、あんなやつ……じゃあこれで!互いに頑張りましょう!」
それ以上、話す事も憚れると夜嵐は士傑の他生徒を追うように去っていった。
「緑谷、お前……夜嵐と知り合いだったのか?」
相澤先生から、知り合いだったかと尋ねられて緑谷は首を横に振った。
「いえ、ただ普通に止血でハンカチ渡して、彼が一年と聞いたから少し聞きたかった話を尋ねただけです」
「先生、あの夜嵐イナサって人知ってる人ですか?」
知り合いではないが士傑に関して聞きたい事があったので、ハンカチ渡して尋ねただけと言う緑谷、葉隠が相澤先生に尋ねれば、ああ知っていると話す。
「ありゃ強いぞ……昨年度、つまりお前らの年の推薦入試、トップの成績で合格したのにも関わらずなぜか入学を辞退した男だ」
「そうだったんですか……」
それを聞いた緑谷は、轟に目を向けた。推薦枠はA組B組それぞれ男女1人ずつ、つまり場合によっては……轟かB組の骨抜の枠に収まっていたかもしれない男というわけである。実力は轟よりも上なのかと、それを聞いた緑谷は背中がゾクゾクした。
「緑谷、試験だからな?脊髄ぶっこ抜くなよ?」
「え!?あ、いや、抜きませんから!!」
「いや、相澤先生が注意しなかったら絶対抜きにかかってたよ緑谷、もう顔が体育祭の轟とのガチバトルの時に戻ってたぞ?」
「ほんとほんと、手鏡あるけど見る?」
試験だからなと相澤先生に釘を刺されて、緑谷は抜きませんよと焦って否定したが、上鳴に体育祭の時の狂気の笑みになってたと指摘された。さらに芦戸からも鏡を向けられ、あらまと緑谷は本当に目がガン開きの狂気マックスの笑顔になっていて、即座にあちこち引っ張って修正していると……。
「イレイザー?イレイザーじゃないか!」
相澤先生をヒーロー名で呼ぶ、元気のいい女性の声を聞いた。その声を聞いた瞬間、当のイレイザーヘッド本人である相澤先生はビクリと震えた。まるで会いたく無かったやつに声をかけられたみたいな反応だった。
「テレビや体育祭で姿は見てたけど、こうして直で会うのは久しぶりだなぁ!」
声の主は、オレンジのバンダナにミント色の髪の毛の女性で、手を振りながら相澤先生……引いては雄英一年A組に近づいて来た。確かこの人はと、緑谷の脳内ヒーローデータバンクにて検索がかかる最中、その女性は……。
「結婚しようぜ?」
「しない」
相澤先生にプロポーズして、即座に振られた。芦戸がそのプロポーズにきゃあと野次馬のように反応したが、プロポーズした彼女は腹を押さえて言った
「ぷはは!しwなwいwのwかwよwwうけるww」
「相変わらず絡みづらいなぁ、ジョーク」
そんな食い気味なお断りに腹を抱え笑う彼女を『ジョーク』と呼んで検索エンジンがより早く作動して、彼女が何者かを緑谷は思い出した。
彼女はスマイルヒーロー『ミス・ジョーク』個性は爆笑、相手を爆笑させて思考、行動を鈍らせて倒す様は、狂気に満ちたヴィラン退治と呼ばれているヒーローだと。
「仲が良いんですねぇ?」
2人の夫婦漫才じみたテンポのいい会話に蛙吹がそう言うや、ミスジョークはくねくねして顔を赤らめて言う。
「昔事務所が近くでな!助け、助けられを繰り返すうちに相思相愛の仲へとーー」
「なってない」
「いいなぁ!そのソッコーのツッコミ!弄りがいがあるんだよなぁイレイザーは!」
いや、仲良いでしょどう見てもと、緑谷はその夫婦漫才に苦笑いした。
「ジョーク……お前がここに居るって事は……」
「そうそう!おいでみんな、雄英だよ?」
この場に居る事は即ちと、旧友に尋ねた相澤先生に、ミスジョークは背後から歩いて来た灰色のシャツを着た一団をこっちだと指示して引き連れて来た。
「おお!本物じゃないか!」
「凄いよ凄いよ!テレビで見た人ばっかり!」
つまり、ミスジョークもまた、此度の仮免試験の引率に来た先生というわけである。
「傑物学園高校2年2組、うちの受け持ち……よろしくな?」
傑物学園高校、聞いた事ないが二年生、つまりは他校の先輩かと一団に雄英A組が皆目を向ける中、黒髪の男はいの一番に近くの緑谷の手を握ーーろうとして来たが、緑谷は即座にバックステップで下がった。
「あはは、そんな身構えないでよ緑谷くん?俺は真堂、今年の雄英はトラブル続きで大変だったね?」
「……表情と言葉があってない」
「あはは、言われちゃった……」
爽やかな男だ、見た目は、しかし語気というか雰囲気に対して表情が違うと緑谷は呟いて、振られちゃったと鋭い瞳を向けて来たので、次々と彼は他に挨拶をし始めた。
「ねぇ轟くん!サインちょうだい!!体育祭かっこよかったんだー!!」
「は、はぁ……」
「やめなよ、ミーハーだな……」
「おいらのサインもあげますよ」
それぞれが、傑物学園高校の生徒に話しかけられて軽い交流をする中で、緑谷は……ふと、轟に話しかけた女子の先輩が体育祭という単語を出した事に、はっとなった。
「ねぇ、かっちゃん……」
だから、ちょうど隣に居た爆豪に囁けば、爆豪は舌打ちして呟く。
「クソヴィラン、テメェにしちゃあ呑気こいてたな、気付いたか?」
お前が気付くのが遅いあたり、気が抜けてやがると叱咤される。2人はあることに気づいて、そしてこの試験にて起こりうるかもしれない事を予見した。それを最初に気づいたのは爆豪だと、だからしずかにしていたのかと緑谷は今更気付かされた。
「うん、浮かれてたんだ……多分気づいてるの僕たちだけ?」
「だろうな……まぁ嫌でも気付くだろ、言う必要ねぇよ、気づかねぇ馬鹿な奴はウチには居ねぇ……」
だからと言って、世話焼く必要ねぇぞと釘を刺される、試験は蹴落としあいとなれば、同じ学園すら敵になりかねないのだからと線引きはしっかりしていた。
「ありがとうかっちゃん、終わったらご飯奢るよ」
「受かって終わったらだ、クソヴィラン、雄英全員でな」
その台詞を聞いた瞬間、緑谷は彼の顔を見て目を見開いた。いや、まじにどうしたかっちゃん?何かあったんかと心境の変化に緑谷は唖然とさせられるのだった。