【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
ギャングオルカは、呆れで頭を抱えたくなった。この2人、轟焦凍と夜嵐イナサは何やら因縁があるらしいが、まさか試験の場でそれを出して互いに邪魔し合う光景に。
「論外だな」
その呟きも聞こえないだろう中、また2人が炎と風を撃ち合えば、何をせずとも、棒立ちでなんともなってしまう。これが仮にも有名校の入試トップ争いをした者達かと眺めていると、先程地面を揺らし止めようとして、超音波アタックを叩き込んだ受験生の方に炎が向かった。
ギャングオルカも、流石にちょっとまずいとヴィラン役ではあるが、音波で掻き消さねばとなった刹那。
「真堂先輩!!」
そう、真堂だ。彼を助ける為に1人が、個性の力で彼を引き寄せ炎から助けたのだ。おお、彼は……緑谷出久。何かと話があがる雄英の問題児だったかと、そのギリギリながら仲間を助けた行動にギャングオルカは心中で唸った。
そしてーー。
「お前ら……ちょっとこっち来い!!!」
空で飛行して、セメント弾を回避していた夜嵐イナサが、氷の壁で防御を張っていた轟焦凍が、まるで強力な磁力で引っ張られたかの様に、2人して緑谷出久の近くに引き寄せられた。
「待てお前ら、撃ち方やめ」
「は、はいシャ長!!」
何かする気か?一時停止を部下のサイドキックへ指示した瞬間ーー。
「いい加減にしとけよ!!お前らぁあああ!!」
ギャングオルカは、一瞬素面に戻る衝撃を受けた。何故なら……。
「え、あ、に、人間って殴られてあんな回転する?あれ顎骨というか頭蓋砕けない?」
恐らく説教から、緑谷出久が2人をぶん殴ったのだろう、殴った音が会場中に響き渡る程の、絶対死んだと思えるくらいの人間らしからぬ挙動。
だって殴られた勢いで……轟焦凍と夜嵐イナサが、その場で数回転伸身バク宙と、伸身側転してしまったのだから。
緑谷出久は、個性により轟焦凍と夜嵐イナサを引き寄せて、こちらに2人して振り向いた瞬間、思い切り殴り抜いた。
「いい加減にぃしとけよぉ!!」
「ごがぁはぁああ!?」
まず殴られたのは轟からだった、アッパーカットの一撃が、そのまままるで身体をバック宙する程の威力。それを見て何が起きたのか分からないと唖然とする助けられた真堂と夜嵐だったが、その眼光が夜嵐を向いた瞬間、彼は即座に恐怖で足が竦んだ。
「お前らぁあああ!!」
「あがぁああああ!?」
夜嵐イナサも左頬を殴られた、その巨体が、地面から離れてその場で風車の様に回転する威力。そして2人はどしゃりと地面に落下し、その頭を緑谷に鷲掴みにされた。
「ぐぁああぁあああ!?」
「いただたたたたいたいっす!!」
「僕を見ろ!!話を聞け!!お前ら一体……何をしたのか分かってんのかぁああああ!!」
緑谷出久の激怒、そして頭蓋を本当に砕かれそうな握力を前に2人して、先程の因縁なぞ吹き飛び、何があったかすら分からないままで怒声を聞くしかなかった。
「今のお前たちの啀み合いで……受験者一人死ぬかもしれなかったんだぞ!!ええ!?分かってんのかよ!!お前らこれ責任取れんのかよ!!なぁ!?」
「「!?」」
怒りの理由を聞いて、2人して何も言えなかった。啀みあった結果起こしてしまった事故が、労災になりかけていた、人を殺しかけたのだと、鷲掴みで遮られた視界で、まだ立てない真堂を見て気付かされる。
「これが要救助者なら大バッシングだ!!ヒーロー社会揺らしかねない大事件だ!!ヒーローになって、それでやらかして責任取れるのかお前ら!!ああ!?轟!あんたの父親エンデヴァーですら……オールマイト憎しってなっててもチームアップしたらこんな事絶対しなかったぞ!!分かってんのかよ!?」
さらに、父すら引き合いに出されては反論できなかった。オールマイトへの対抗心や憎悪はあれど、絶対に彼はチームアップしたら邪魔はしなかった。ヒーローとして、人を助け弱きのために戦う姿は決して崩しはしなかった。
「お前らの因縁、色々あったんだろうけどさぁ……それ抱えてもヒーローとして人を助けて悪と戦うなら!意地張るのは終わってからにしろ!!分かってんのかよ!!分からないならーー」
そして、轟はゾクリと背筋が凍ったのを感じた。待て、待ってくれ!ああ、これが爆豪がいつも感じている『死への恐怖』かとーー首にかかる力と泣き叫びたくなる激痛に轟はーー。
「ま、待て緑谷悪かった!俺が、どうかしてた!ごめんなさーー」
「ここで死んどけ、もう」
「がはぁああああーーー!!」
問答無用ーー!皮膚が肉が引き裂け千切れ、血を吹き出して謝る間も無く、その脊髄がーー首から引き抜かれ血を吹き出して、轟の景色が赤く染まった。
「お前もだ士傑の、試験の邪魔、そこで朽ちてろ、そして二度とヒーローになるとか吐かすな!!」
「ま、待って!ごめんなさい!反省しますかーーいぎゃあああああ!!」
そして夜嵐イナサも、脊髄をぶっこ抜かれ、血を首から吹き出して、緑谷はそれぞれ左右に轟と夜嵐の脊髄を持った。
試験会場の公安達も、目良も、対するギャングオルカも、その目で初めて目撃する。
これが、緑谷出久の個性……。
『脊髄ぶっこ抜き』
緑谷は右の轟、左の夜嵐の生首脊髄を掲げて、目を閉じていた2人の生首がやがて目を開くのを確認しーー。
「え!?は!?なんで俺生首で生きてるんっすか!?うわすげぇ!!」
夜嵐は死んだと思ったら生きている状況に、びっくりしたが、まるで慣れてるみたいな反応をした。やはり……何かしらがあれば生きたまま、意識を保っていられるらしい。
「緑谷……すまない……俺が悪かった……」
対して轟は沈み込んだ声で、己の所業を反省した。そしてそれを聞いた夜嵐も、今そんな状況じゃないと思い出した。
「試験に集中するつもりが、結局意固地になってこの様だ……折れてこいつに合わせてたら、こんな事には……お前にもこれを使わせちまった……」
夜嵐は轟の反省を聞いてハッとさせられた、それは自分も同じだと。因縁を試験中に持ち込んだ浅はかさ、それがこの取り返しのつかない事態を起こしたのだと。
「い、いや、俺が悪いっす、試験中に因縁持ち込んで……口喧嘩なら試験の後にもできたっす……いがみあうのだって……嫌いなら嫌いなりに、色々やれた筈っす」
緑谷は生首の2人が反省するのを見て、厳しい眼差しを向けて言った。
「じゃあどうする、2人とも?不合格と見て諦める?それでも挽回して、なんとか足掻いてみる?こんな事だから、足掻いても合格まで行けるかわからないけどさ?」
もう合格から仮免の芽は潰えただろう、諦めても良いがどうするか?そう尋ねた2人は目線だけを合わせて緑谷に言った。
「「足掻きたい、最後まで、責任を取りたい」」
それを聞いた緑谷は2人に頷いて言った。
「分かった、じゃあ力を貸して、3人で……目の前のヴィランを止める!!」
緑谷は2人の脊髄の首元あたりに持ち替えて、ギャングオルカを前にして叫んだ。
「いくぞヴィラン……これが僕の個性、その力だ!!」
なぜ出来るかなど考えるな。
できて当たり前と考えろ。
これぞ、我が個性であり、力である。
緑谷出久はそう念じて叫んだ。
「脊 髄 着 装 !!」