※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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163話 愛しいだーの血

 自らの手に輝く『ヒーロー活動許可仮免許証』自らの写真と、ヒーローネームの欄に刻まれた『IZUKU』の名前……本当に、ヒーローになる一歩を踏み出す事が出来たんだと、緑谷は涙を流した。

 

「出久くん泣いとる!?」

 

 麗日に指摘されたが、緑谷は取り繕ったりしなかった。そのまま感涙しつつ、麗日に言う。

 

「いや、だって……僕は悪の個性だって言われ続けたから、まさかこんな日が来るなんて……」

 

 今の今まで、個性の差別で色々言われて来た自分が、ここまで来れたんだと改めて実感してしまうと涙が止まらないのだと麗日に吐露した。

 

 腐らなくてよかった、頑張って良かった、ギリギリだったけど、一歩踏み出せてよかった。

 

「そうだ、母さんとアメリカの父さん、オールマイトに送らないと!!」

 

「あははは、忙しいねぇ出久くん」

 

 この合格を両親とオールマイトに報せねば!涙を拭い泣き止み、早速写真をと何枚も撮影して送信していく様に、本当に嬉しいんだなと麗日は微笑んだ。

 

「さて……喜ぶのはここまでにして……」

 

「え、ちょっ、どうしたの出久くん?いきなり落ち着いて」

 

 すん、と真顔になった緑谷に、びっくりする麗日。その足がある方向に歩き出す……その先に居たのは、士傑高校の集団だった。

 

「すいません、毛原……さんでよろしかったですか?」

 

「む、キミは……雄英の」

 

 緑谷が話しかけたのは、肉倉の事で爆豪に謝罪してきた士傑の、此度の試験でまとめ役のように振る舞っていた毛原長昌であった。

 

 毛原は話しかけられ、穏やかに返事をするが、その眼差しが尋常ならざる真剣な眼差しである事に気付いて何事かと身構えた。

 

「実は……失礼を承知で伺いたい事がありまして」

 

「何かな?穏やかな話……ではなさそうだ」

 

「はい……一次試験中に、そちらの現見ケミィさんと共闘して、お互い合格したのです、まずは感謝を」

 

「む、ああ……彼女何やら、君を偉く気に入っていたみたいだが……」

 

「ですが……一つ、彼女に対して疑念があります」

 

 毛原も、何やら偉く普段と違う、彼女らしからぬアプローチを彼にしていたなと疑念があり、その件で何か聞きたいのかと緑谷に尋ね、緑谷は言い放った。

 

「彼女……人を殺してますか?」

 

「なーー」

 

「彼女から血の匂いがした、僕と同じ、あれは……殺人者の匂いだった、何より……彼女の個性は、姿や気配を消し去る個性ですか?」

 

 唐突な、あまりに失礼な、それを前置きにしても何だそれはふざけるなと毛原は言い返しても仕方がない質問。しかし……毛原は緑谷から彼女の個性を尋ねられ、思い当たる節が浮かび上がる。

 

「彼女は……直接そのような事ができる個性では無い……間接的には可能だ、しかし、ここ三日くらい彼女は変だったような……」

 

「彼女……今ここには?」

 

「先に駅にタクシーで帰った」

 

 毛原と緑谷は、互いに疑念が濃く渦巻いて、即座に動いた。

 

「相澤先生呼んできます!そちらも先生を!」

 

「分かった!彼女自身にも連絡を確認する!!」

 

 理由は分からん、しかし一気に事態が深刻やもしれないとなって、2人は試験後という疲労の最中動いた。

 

 

 

 そう動いた時には、もう遅いーー路地に消えた現見ケミィは、その体がゆっくり崩れ去るや、スマホのコールに出た。

 

『やっと繋がった!どこで何している……トガ!!』

 

 犬歯をのぞかせた笑みでスマホに、彼女は応えた。

 

「素敵なでぇとをしていました……一生の思い出になります、それよかみんな、具合はいかがですか?治してもらったとはいえ、ぐちゃぐちゃになったんですから」

 

 現見ケミィの姿は無くなり、糸切り歯を見せて笑うお団子を左右に結えた少女が姿を現す。

 

 彼女の名前は『トガヒミコ』

 

 敵連合の1人であり『神野の悪夢』においても、爆豪を逃すまいとした1人であった。

 

『ああ、問題は無いよ……あと定期連絡くらい入れろ、1人見つかれば全員見つかるかもしれない、今は匿われている身でもあるんだから』

 

 電話相手からの忠告に、トガは笑いながら答える。

 

『だぁいじょうぶなんです、私は今まで見つからずに生きて来たので……それに有益でした、弔くんが喜ぶよ?」

 

 トガは……ガラスのカートリッジに、なみなみと入った、波打つ赤い液体を、うっとりと見つめてスマホに言う。

 

「ダーリンの血……たくさん貰っちゃいました!ダーリンったら痛みに鈍感で全く気付かなかったのですよぉ?かぁいいなぁ……少しくらい舐めていいですかぁ?」

 

 愛おしそうに、ガラスのカートリッジにトガが頬擦りして、せめて少し舐めさせて欲しいと頼む。

 

『ダメだ、有益に使えるタイミングに使え……我々のプリンスになれるなら、その血の有用性をよく考えろ』

 

「一舐め!いや一滴でも!!」

 

『ダメ!我慢しなさい!』

 

「うーケチー!」

 

『さっさと帰ってこい!全く』

 

 敵連合、トガヒミコ

 

 個性『変身』

 

 他者の血液を摂取する事で、他者の姿に変身するーー。

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