【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
『オーーケィオーディエンス!!あの日あったかもしれない"もしも"をはじめようじゃないか!!緑谷VS爆豪!!お前ら見たかったんだろ!?この戦いがぁあああーー!!』
スカスカの、学生と先生しか居ない雄英体育祭会場たるスタジアムだから、プレゼントマイクの実況がよく響くこと。
まぁ、プレゼントマイク焚き付けた時点で、こうなるのは分かっていたかもしれない。というかーー。
「昼休みに放送されるとは思わなかったよ……」
「んっとに野次馬根性だな、あの先公は……」
昼休みに、この自主練がある事がプレゼントマイクから学内放送されてしまったのだ。だからこうなった、まぁ仕方ない、そもそも喧嘩を『自主訓練』と冠して、先生方の許しを得て行う事になったから、その先生方がどんな事しようとこちら2人は文句言えない。
「キミたちの因縁は、まぁ私もよく知っている……止めるべきが教師なのだろう、が……やはり私も思うよ、話ではどうにもならないという事はね?」
オールマイトも、止めるべき立場であると自覚している。しかして世の中には避けられない衝突はあると経験し、理解していた。
2人のヒーローに憧れたルーツ、その人が緑谷と爆豪に言う。
「悔いの無いように戦いなさい……」
「はい」
「ああ」
直接対決は二度目、初めての戦闘訓練で、その時は緑谷が圧勝した……あれから5ヶ月近くが経過しようとしている。その差は何処まで縮まった?はたまた、更に先へ進んで切り離したか?並んだのか?
オールマイトがステージから離れ、緑谷はグローブの左右をしっかり確認して帽子を被り直し。爆豪はパチパチと手のひらから火花を散らし、その時を待った。
『2人とも、準備はいいかぁああーーー!?じゃあ、スタァアアーーート!!』
プレゼントマイクのスタートの合図と、ブザーが鳴り響いた。その瞬間ーー先に仕掛けたのは、緑谷であった!
「!?」
ブザーがなった瞬間、フライング審議があるかギリギリ、その間際を緑谷が踏み込み、モーションの少ない右の縦拳を放ったが、爆豪がその反射神経で見事に回避した。
いきなりか!?舌打ちをした爆豪に対して緑谷は、いや避けるの!?と、反応するのかよと互いに呆気に取られた!!
しかしそれで終わらないと、緑谷は素早いコンビネーションで、徹底的に爆豪を攻撃させないと、一方的な回転数のラッシュで攻めかかる!
「おらぁあ!!」
「む!?」
が、そのままやられるかと、爆豪は自分に爆風が当たろうが構わず手のひらを起爆させ、緑谷を無理矢理に押し返し距離を取った。
まばらながら、歓声と感嘆が上がる、数秒間で起こった濃密な攻防に、雄英生徒も先生達も、担任である相澤も目を見開きドライアイを忘れかけた。
「容赦無いな同胞は、そして爆豪も上手く凌いで見せたあたり、戦闘訓練から凄まじく成長している」
「ああ、あんな手数、普通なら二、三発当たってもおかしく無い、爆豪はそれを見切って捌いて、爆破して仕切り直させた」
「おっと、今回の解説は常闇と轟か……てかオイラ、全く分かんなかったけど2人は何したのさ!」
その数秒の攻防、何人が見て理解できただろうか?この2人は分かったのかよと、峰田は恐ろしいなとツッコミを入れた。
「まず、同胞……緑谷は奇襲気味のラッシュで秒殺を狙った、確か緑谷の格闘戦は、三つの型に絞って……今のは市街地戦闘用の敵を即座に無力化するスタイルらしい」
「クライムスタイルだな……それを反射神経だけで読み切った爆豪だったが……物量で押し切られそうになり、爆破で距離を離してそれを防いだ……互いに手の内知ってる同士、まずはこうなるか」
常闇と轟の解説を聞いて、お前らあの数秒全部わかったのかよやべぇなとあんぐり口を開く峰田。そこに、砂藤と障子も加わる。
「こりゃ分かんねぇな、緑谷は長引くとどんどん不利になっていく……早めにケリつけたいと思うが」
「ああ、爆豪の個性は身体が温まり、汗をかく後半になるに連れ、威力とスピードが上がっていく……どうする緑谷」
最初の接敵数秒、それで相手を打ちのめし無力化する『クライムスタイル』による奇襲は乗り越えられた。この辺り本当に化け物じみた反応するなと緑谷は、だらりと垂らした構えてすら無い自然体から、一息吐くや手を開き顎と腹に添えた構えを取る。
「オラ行くぞぉお!!」
次は俺からだと爆風を使い、人外の速度で踏み込んできた爆豪の、大振りの右ーーからフェイントの左手で掴みかかる手を回避して、その装備である手榴弾型グローブのレバー部分を握り左肘に、掌底を放つ。
「!?」
左肘を折りに来たのを感じたと同時に、右手で爆風を更に起こし、左肘の掌底への負荷を和らげ宙を舞う爆豪。
爆豪がよく行う、正面から背後に爆風を使い回り込む動き、それを利用して逆にーー。
「こうかクソヴィラン!!」
「な!?」
逆に宙で緑谷の左腕を同じように固めて着地しかけ、それにより緑谷が逆に『跳んだ』。
跳ばなければ、折られていた!まさか自分の動きを、敵の攻撃を捌き反撃に転じる古流武術の型『フルイドスタイル』を真似て看破するなんてと、景色が反転してセメントに身体を叩き込まれるが受け身で威力を和らげる。
小細工は無理か!なら真正面しかあるまい!!この数秒でスタイル二つ潰すとか……やっぱりかっちゃんは天才だ!!緑谷が狂気の笑みを浮かべたのを見た爆豪は、ここからだとしっかり腹を据えて、ついに来る本来の緑谷の姿に身構えた。
『レッキングスタイル』
緑谷出久の、破壊の力を集約した戦闘スタイル!その軌道が見にくい、視界の外から来る左の三日月蹴りを爆豪は受け止め防御。しかしーー。
「むん!!」
「くぁあ!?」
ぐぅうん!と脊髄が見えない何かに引っ張られ爆豪は体勢を崩され片膝を付き、その低くなった頭部に向けて右の回し蹴りが飛んできたが、これを床を転がり回避しながら、下から爆破を放ちそれを緑谷は身体を逸らし避ける。
即座に立ち上がった爆豪と緑谷はまた即座に接敵し、打ち合いが始まる。爆風を捌いて軌道を逸らし、殺意の拳を紙一重で避ける、一歩も譲らない攻防。
「はぁあ!」
「だらぁあ!!」
やがて、2人の拳が顔面を捉えてお互い後方に吹き飛び、転がりながらも即座に立ち上がって睨み合い、また拮抗状態に戻った。
「化け物かよ、あの2人……本当に俺らと同じ一年か?」
「いや、爆豪……ここまでお前強かったんか?」
「もしかしてあいつ……緑谷に勝つためずっとイメトレしてたのか?」
放送を聞いて見に来ていた、B組の鉄哲徹鐵は、本当に同じ一年かよと唖然とする。仮免で行動を共にした切島と上鳴は、戦闘力において天上の存在だった緑谷を相手に互角以上の戦いを見せる爆豪に、そこまでお前はと驚愕する。
誰もが見ても名勝負、文句なしの試合……だが……。
「違ぇ……」
「何?」
爆豪が呟いた、緑谷はその表情を見て、なぜそんな顔をと唖然とした。
「確かに……今テメェは全力なんだろうよ緑谷、だが……俺が……」
何で、そんな泣きそうなんだよ。
そんな悲しい顔をしているんだ?
手は抜いてない、全力だ。
それなのに何故キミはと、緑谷自身も顔がぐしゃりと歪む。
「俺が超えなきゃいけねぇのは!!クソヴィランのテメェなんだよ!!」
「!!」
爆豪の叫びに、何が言いたいのか緑谷は理解してしまった。