【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
緑谷出久と爆豪勝己の決闘騒動の前日、仮免試験中に時間は遡るーー。
『そろそろ後期が始まるだろう?もう始まってるのかな?教育に専念する物だと思っていたが……僕に何を求める?』
「ケジメをつけるだけさ、オール・フォー・ワン」
宿敵は、獄中にて再会した。
『ヴィラン犯罪者特殊収監施設タルタロス』
ここは、刑務所とは一線を画した場所。個性時代、ヒーロー社会において『死刑』よりも恐ろしい場所とされている収監施設だ。個性犯罪において、日本に多大な影響をもたらす犯罪者を『裁判無し』で叩き込み勾留し続ける施設、ここに入れば二度と、陽の光を浴びる事叶わないと言われる……そんな施設。
『それで……何を求めてーー痛いっ』
「は?」
その施設に、AFOは叩き込まれた、自分と、そして後継者に選んだ緑谷出久が神野で叩きのめして。そして尋ねに来たのだ、色々と。そんなAFOはニッカリと、待っていたと不敵に笑っていたが、突如痛みに顔を顰めた。
『いやねぇ、治したはずのタマキンが痛いんだよ?未だに、個性で再生し治癒したのにまだタマキンが疼くんだ、キミに倒されたこの醜い身体と同じだ、まじで痛い』
その男から、現状の痛みの報告があまりに不意すぎて、オールマイトは吹き出しそうになった。
「ま、真面目に受け答えして貰おうか……死柄木、死柄木弔はどこに居る?」
『知らない……あれはもう僕の手を離れている……そう言えば、キミも後継を育ててるみたいだねぇ?あの忍者、思い出したよ、緑谷出久だったか?死柄木弔を、僕の後継を酷く痛めつけたあの子だ……』
やはり、知っていたか。オールマイトはギリリと睨みつけて、その様にAFOは笑った。
『しかしまぁ、何の因果かね?予想外のアクシデントは起こるものだ、死柄木弔に緑谷出久……あの子達2人が元々誰なのか知らないだろキミ?』
「何……?」
『何も知らずにキミは彼と戦い捕まえようとし、何者かも知らずに後継者に選ぶあたり、キミはヒーローとしては最高でも教育者や指導者としてはあまりに酷いなぁ?まぁ、私をぶち込んだ報酬、として教えてやるよ?あ、痛っ……やっぱり冷やしたいな』
真面目に話す気があるのか、本当に痛みがあるのか知らない。そんなAFOが笑いながら、オールマイトに言い放った。
『死柄木弔は志村菜奈のお孫さんさ、本当はあの場で、神野でキミを乱す切り札に使いたい事実だったが……まぁもう必要無いから伝えておくよ』
その話を聞いたオールマイトは、表情こそ崩れなかったが動揺は確かにした。平時だからこそ、この事実を受け止められたのかもしれない。
志村菜奈、それは……先代OFAの継承者であり自分の師匠であり、グラントリノの盟友。私に託してAFOに殺され散って行ったヒーロー。その師匠の家族が、あの死柄木弔だと宣った。
『動揺したねえ?あの時に言ったら、キミはどれだけ取り乱したかな?君の嫌がる事を考えて準備したんだぜ?まぁそれもご破産になってしまった……あの子のお陰で』
「彼が……緑谷少年が何だというんだ!!」
思わず立ち上がり警告が響く、AFOはそうガツガツするなよと笑って、オールマイトに語り始めた。
『後継を、私の後を託すにあたって僕も色々したって事さ、まぁ死柄木を得てから辞めてしまったがね……十数年前、色々あったろ?世界中の赤ん坊や新生児が異様に個性事故で死んだよな?絶滅論まで出るくらいに……』
「何を言っている!!AFO!?」
『彼の血液を調べてみな?もしもそうなら、その中の1人なら、面白いことがわかるぜオールマイト』
面会は、ここで強制終了となった。その後、オールマイトは緑谷出久から仮免合格の報せを受け、翌日には爆豪との決闘沙汰に監視役として現れた。
その理由は、2人の暴走を咎めるだけでは無かったのだ。
「これで良いのかい……?」
医務室にて、リカバリーガールから厳重に封じられた、止血のために使われたらしい赤黒く染まったガーゼが入った袋を渡された。
「ありがとうございます、リカバリーガール」
「あんた、この事を少年には言わない気かい?もしもそうなら……早めにいうのが傷にならないと思うがね?」
オールマイトは悩む、もしも……本当に、AFOの言う通りならば、それが事実として叩きつけられたその時は、どうすれば良いのかと。
いや、ダメだ、あまりにも……彼に話すとしても重すぎる。まだ分からない、一縷の望みにまだ縋りたいと、オールマイトは首を横に振った。
「今の彼が、もしも、この話が事実となって知る事になれば……潰れるかもしれない、まだその時ではありません」
「そうかい……間違えたらダメだよ、オールマイト」
オールマイトはその袋をしっかり保存容器に封じ、保健室を立ち去った。リカバリーガールは、机に広げた資料を眺め、AFOがオールマイトに語ったらしい当時の情勢に目を通す。
「個性終末論と、新生児、乳幼児の個性暴走事故死……これは新種のウイルスか、はたまた神の審判か……」
当時の情勢……世界中で、この年に生まれた子や新生児が、突如個性が暴走したり、謎の高熱によって亡くなる事が多かった。また、流産の件数も増加して、人々から『個性終末論』という人類絶滅のシナリオが現れたのも、この年からだったとリカバリーガールは思い出す。
その情勢は、それこそ緑谷含むその年代に生まれた彼や彼女らの親は、当事者としてよく知っているだろう。だから、この世代に生まれた子は、少ない。
そしてーーオールマイトから仮説として聞かされた話にリカバリーガールは影を落とし呟いた。
「あの子が、もしかしたらAFOの息子だって?本当に悪を抱く必要まであるかね、あの子が何したのさ……」