【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
『では整理しよう……あの神野のAFO決戦の際、貴様はオールマイトの脊髄から、ベルトを作り出して金色のオールマイトに変身した、それで間違いないな?』
『はい……』
『ああ、そうなる』
『へー、じゃああの姿はオールマイトの最後のフォームじゃなくて、緑谷くんがオールマイトのベルトで変身した姿だったのか!』
保健室のホワイトボードにマーカーを引きながら図解を書くナイトアイを前に、緑谷出久と通形ミリオ、そしてオールマイトが注視して、今現在緑谷出久に宿る『OFAのカケラ』が何なのか?を解明しようとしていた。
サー・ナイトアイは、緑谷出久をオールマイトの、その保有する個性『ワン・フォー・オール』を継承する事は認めていなかった。しかし、そのOFAが『何故か』別れてしまい二つある状態となり、そのカケラが緑谷出久に移ってしまっている状態となっている。
袂を分かってから、オールマイトが彼を後継者にすると一報入れた時は正気を疑った。だから、組み手の際にわざわざ出向いてその強さを確かめた。
確かに強かった、職場体験前の荒削りですら、手加減したオールマイトに攻撃を当てて追い詰めた事実は認めよう。しかし『力』を継承するには、OFAを与えるにはあまりに危険とナイトアイは感じた。
根津校長からの通達もあり、オールマイトが雄英の教師になってから、OFA継承に相応しき人物を探し、ナイトアイが今日まで育てたのが通形ミリオである。
だが……この前の緑谷出久がクラスメイトとの蟠りから決闘沙汰となった動画をオールマイトから送られて、それを見てからナイトアイは彼を問い詰めた。
まさかOFA渡したのかと。しかし……渡した覚えは無いし、確かにまだ自身が保有しているのだとオールマイトは言った。
ただ、こうも言った。
『以前より力が少し弱まった、あと身体の負担が少なくなった』と。
『私が思うに、この変身……ここがキーポイントだと思っている、貴様の個性……脊髄を引き抜き、その脊髄を武器化できるというトンチキ個性だが、オールマイトが変身ベルトになり貴様が変身した事で……同化、融合状態となっていると仮定する』
ホワイトボードに融合と記入し、そしてナイトアイはオールマイトに尋ねた。
『オールマイト、OFAの継承、その条件は貴方がよく知っているな?』
『譲りたい相手に、その意思を持ちながら遺伝子の一部を接種させる、だ』
OFAが、代々継承されて来た個性である事は、職場体験でグラントリノから聞かされていたが、その条件は初めて知ったなと顎に手を当てる緑谷。
『そんな条件が……ん?待って……けどじゃあ受取拒否できないんですか?』
『ああ、仮に……相手の催眠術にかかって、奪われる危険性がある……だから私はあらゆる部分で秘密主義を貫いた、そして……恋人すらも作らなかった、インタビューで個性を聞かれても濁したし、最後は変身という嘘の個性を隠れ蓑にして引退を決めた』
『恋人すらって……』
想像すれば確かに、粘膜の接触で譲渡もあり得てしまうのかと、OFAの譲渡セキュリティの緩さに驚く緑谷。
『この変身時の融合で遺伝子まで混ざり合ったと仮定すれば……OFAの所有権が共有状態となったとも見れる……オールマイト、貴方はその際……考えてしまったのではないか?この子に跡を継いで欲しい……と』
『ああ……思った……あの時はそれでいいと思うくらいに』
戦闘時の高揚もあれど、緑谷を後継者にして構わないとオールマイトは思っていた、それは事実であると頷く。これで、譲渡の条件はそろってしまったなと、次は緑谷に鋭い眼光を向けてナイトアイは尋ねた。
『貴様はどう感じていた緑谷出久、自分こそがふさわしいと思ったか?』
その当時の、オールマイトへの気持ちへのアンサーは?と聞かれて緑谷は、思い出す時間すらいらないと即答した。
『確かに、オールマイトへの憧れはあります、けど……月並みな事を言いますが受け継ぐのは力じゃ無い、その魂だと思った……自分はオールマイトにはなれないから、あの時にAFOを倒すなら、仮初でもオールマイトになれればと考えてました』
『つまり、力を要らぬと思ったか……』
ふむ、と顎に手を当てるナイトアイに、ふとミリオが言った。
『じゃあOFAの押し付け合いになったんじゃあないですか、サー?』
『押し付け合い?』
『はい、無意識下で、お互い混じり合い一つになった、意識は二つあった……所有権も共有状態……で、押し付けあって譲り合った中で決着がついて変身を解除した……タイミングなのか、その意思かは知りませんが、それによってOFAが誤作動して、二つに分かれたとか……』
それが一番あり得るのかもしれない、しかし……力の縮小具合はあれど、確かに緑谷の力はOFAのそれだ、何故そもそも取り込んだのか?と、オールマイトはハッと思い出した。
『残り火か?OFAの……』
『残り火?』
『それって何ですか、オールマイト』
緑谷と通形が尋ね、ナイトアイがはっとする。オールマイトはその質問に、答えた。
『OFAは継承すると、全て一気に消え去る訳じゃあないんだ、しばらくは同じ力を使える、これを残り火と継承者は呼称しているが……むしろ緑谷少年のそれは……薪に火をつけた、に近いやもしれない』
『成る程……継承が薪ごと火を新たな薪に移動したと例えるなら、緑谷少年という薪に、OFAという聖火で火をつけた……というわけかオールマイト』
『つまり、擬似的な継承状態が変身時に出来てしまった、だから残火というには強く、継承というには弱い状態で緑谷くんにOFAが宿ってしまったわけですか!』
これが、緑谷出久とオールマイトにOFAが別れた一番の仮説だと、ホワイトボードに丸が刻まれた。なら話は早い!緑谷は即座に提案した。
『な、なら早速僕の……血でも何でもオールマイトか通形先輩が啜ってください!このOFAを返しますよ!借りっぱなしなんてダメに決まってーー』
『いや、ダメだ、そのままにしておくんだ』
ならば直ぐに、この力を返すなり本来継承するはずの通形先輩にそのまま渡すのが筋だと立ち上がった緑谷に、ナイトアイが諫めた。
何故という表情を浮かべる緑谷に、オールマイトも頷く。
『私も賛成だ、この現状はOFA継承でも例が無い事態だ……同じ継承ができるか分からない、何より今……通形くん自身、OFAを継ぐ気は……』
『俺には親から貰った個性があります!何より……受け継ぐのは力で無く魂!でしょ、緑谷くん!』
胸を叩いて、通形ミリオもOFA継承を辞退した。ナイトアイも、そうなったかとメガネを直し緑谷に目を向ける。
『しかし、もう一つのOFAか、そこに確かに存在するが見えない力、まるで蜃気楼だな……とりあえず、貴様のそのOFAのカケラの力を呼称するならば……うむ、ワン・フォー・オール・ミラージュとでも名付けておくか……』
『OFA.M……』
不慮の事故のように、自らの『脊髄ぶっこ抜き』の個性とは別に……とも言えない程溶け合ってしまうくらい馴染んでしまったもう一つの個性……その名前を刻まれた緑谷は、右手を握ったり開いたりして力を自覚した。
『さて、そうなった以上……オールマイトよ、この力の監視も兼ねて私はこの子を、インターンとして引き入れようと思うが……いいな?』
『え!?』
そして、その話し合いの終わりは、緑谷出久をインターン生徒として自身の事務所に迎え入れさせて貰うぞと、断らせはしないという気迫を感じさせる口調でオールマイトに言うのであった。