【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「あ、ヒーローだ」
「でも、あんな白い服のヒーロー居たかな?」
「ルミリオンの隣にいるって事は、後輩かなぁ?」
道ゆく人が、緑谷と通形を見てそんな事を呟く。通形は手をあげて挨拶を軽くしたりして、声掛けをするのを緑谷は横で見て自分も会釈をしたりと町の人に応じた。
「そう言えば……パトロール自体が初めてだな、僕って」
「あれ?パトロールくらい職場体験でやってるよね?あ、もしかしてヴィラン連合の襲撃がトラウマ?」
「あ、いや、職場体験は……グラントリノ師匠とマンツーマン特訓ばかりで、基本活動してなかったんですよミリオ先輩、ちょっと緊張してます……」
まともな職場体験やってないな、自分はと。本来のヒーロー活動をここに来てやっと従事していると緑谷は気付かされた。
「成る程ねぇ、でも大丈夫!今回実際にホシを監視するのはサー達で、俺たちはパトロール、色々教えるよ!ついておいでよぉ!」
「ご指導よろしくお願いします、ミリオ先ぱ……あ、いや、通形先輩」
「おいおいミリオ先輩でいいよ!俺とキミの仲じゃないか!」
ブンブン腕を振り回し、任せろと言わんばかりにやる気を見せるミリオに、緑谷は改めて一礼して今更ながら名前呼びが気安かったかと名字で呼び直したら、名前でいいと訂正された。
そうして語らう最中、緑谷はふと思いだした。
そう言えば……ナイトアイとオールマイトが、自分が現れたから蟠りを捨ててまで会う羽目になったと言っていた事に。あの2人がヒーローとサイドキックの仲を解消した理由は何だ?余程の仲違いがあったのかとふと考える緑谷に、ミリオもあっとなって尋ねた。
「そう言やさ、ヒーロー名聞いてなかったよね、お互い?」
その質問に、ああそう言えばとなった緑谷は……胸を張ってミリオに名乗った。
「僕は……イーヴルヒーロー、イズクと名乗ってます」
「イーヴル?悪いとか、邪悪を意味する言葉だよね……態々どうしてそんな異名を?」
ここも聞かれたかと緑谷は、キョトンとしたミリオに1から話す事にした。
「僕の個性は、それこそまるでヴィランみたいな個性で……実際雄英に入るまで、色々やらかしてて、ヴィランに堕ちかけてたんです……そんな、悪の個性を抱いても正義を為してみせる、ヒーローになると込めて、そう名乗ると決めたんです」
それを聞いたミリオは、成る程とにっこり笑いサムズアップした。
「覚悟の名前か、いいじゃない!俺はルミリオン!全てとまではいかないが百万、オールでは無くミリオンを救う人間になれるように、ルミリオンと命名した!」
方や覚悟を、方や願いを名前に込めたと名乗り合ったヒーローの卵2人。そしてその前を歩く先輩、ルミリオンは言った。
「コスチュームを纏って街に出れば、俺たちはヒーローだ!油断はするなよ、イズクくん?」
「はい!ルミリオン先輩!」
緑谷は、初めてできた先輩の言葉に心を引き締めて、改めてパトロールを開始した。そうして街路を2人で歩いていると……路地裏から何かが飛び出して、緑谷の左足にぶつかった。
「あ!?ご、ごめんね。大丈夫……ーー」
衝撃を受けた左足の方に向いて、緑谷は息を呑んだ。そこに居たのは、おおよそ6〜7歳の少女であった。赤い瞳に白い髪、髪の毛は傷んでいるがそれでも綺麗と思わせる。
額の右側には小さな角が生えていて、無地の……まるで囚人や手術前の患者が着るような服を着て、左右の腕、長いスカートからのぞいた足首からも包帯が巻かれていたのが見えた。
明らかに異様な出立ち、異常な服装。しかし緑谷は膝を曲げて目線を合わせ、改めて少女に尋ねた。
「大丈夫?けが、してない?」
そうして右手を伸ばし、ぶつかったかもしれない頭を摩ってあげようとしたらーー。
「ひっーー!」
明らかな、怯えが眼差しから感じられた緑谷は、彼女の反応から怯えを察知した。酷いトラウマを感じているような、そんな反射的な反応。触ったら暴れ出しそうだと、緑谷は手を引いて慣れないながら笑って尋ねる。
「どこから来たのかな、父さん母さんとは……はぐれたのかな?痛くない?」
その質問にも、白髪の少女は応答を返さない。余程の怯えが彼女を包み込んでいる、尋常じゃあ無いぞこれはと嫌な予感が緑谷を包み込んだ。
「駄目じゃあないか、ヒーローに迷惑かけちゃあ……」
その予感は的中した、暗がりの路地から、落ち着いた声で諌めるような台詞を吐いて、ゆっくりと歩いてきた男の姿を見て緑谷は固まった。
ペストマスクを被った青年……眼差しは冷ややかで、こちらを見下ろしてなお揺らがない。先程写真でしっかり顔を覚えた男。
ナイトアイの捜査対象、死穢八斎會の若頭、治崎廻がそこには立っていた。